百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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13話

 

ゼノオーガだった化け物との戦いが終わりノエインを支えながら聖都の中心を目指して歩く。

 

血まみれのやべーやつと打撲アンド傷、ついでに返り血な騎士様なんて傍から見ればただのやべーやつらだろう。

 

それは急に聞こえた。

 

「あ、シグルド」

「ノエイン!?」

 

広場を抜け、聖都中心部へ向かう道中のときだ。

 

ルシフェルが慌てて駆け寄って来る。

大怪我してるから心配するのも当然だ。

 

「……セシリィ様、申し訳ありません。少々手こずる手合でした。傷の応急処置はシグルド殿の助力によって済んでおります」

 

「今治療します!」

 

ルシフェルが両手を組み祈祷、すると組んだ手を中心に光り、その光が素早く広がる。

 

するとノエインの傷がたちまち治った。

顔や首、胴体に四肢と全身で傷が塞がっていくのだ。

セシリィの祈りに応えるように。

 

 

「……ありがとうございます。ですが……」

 

それとは反対にルシフェルの体調が悪くなっている。

ノエインもそのことを心配してるし。

 

エルアラド聖教の姫巫女、あるいは聖女である彼女の奇跡。

日頃から身分問わず苦しむ人々のために負担を考慮し、回数に制限はあれど癒しの施しをしていると聞く。

 

 

「いいのです。どれほど苦しい戦いだったかも察しますので、私がもっと速く向かわなければ行けなかったのですから」

 

「そんなことはありません!私が未熟だったことが招いた結果です!」

 

あの、団長さん。

あなたに並ぶ腕っぷしの持ち主そうそういないんだよね。

すぐ隣にいる自称狩人とかいい感じに格下だぞ。

 

「それでもノエイン、あなたは全力を尽くしてくれました。だからこれは私のお返しなんです」

 

「セシリィ様……」

 

「……ですので自分を下卑しないでください」

 

「はい、申し訳ありません」

 

お互いに少し頬を赤らめて……

 

待って挟まりそう、某が死ぬかもしれん。

せめてセシリィさんや肩貸してあげて、ってそれは無理だね。

王女様にさせて自分達は楽をするなど不敬よ。

 

あ、助けて先輩!

ちょっと包帯外してうるうるした目で説得せねば……この感じダメみたいですね。

まるで伝わってない。

 

 

美談に感動してると勘違いされてら。

百合に異性が挟まったら死ぬんだぞ!

身分的に自分が勝手に何か喋るのは無礼だしどうしよう。

 

ヤメロー シニタクナァーイ!

 

 

 

あれ?たくさんの足音だ。

聖騎士の団員が来たみたい、よかった死なずに済む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……急に亡者共がいなくなったので何事かと思って駆けつけましたよ。それと、残ったオーク共は殲滅完了しております」

 

副団長ドゥークロイが報告をしていた。

 

「お疲れ様です。亡者は召喚する能力を持った蝙蝠の淫魔は狩人さんが倒したので消えたと思われます」

 

ルシフェルは事情を知っていたため回答をする。

ドゥークロイはシルヴェールへ視線を移す。

 

「おぉ、そうでしたか!感謝致します」

 

「いえいえ」

 

 

ドゥークロイは兜越しでノエインとシグルドを眺めてから、

 

「ところで団長はずっとシグルド氏に支えられてますがあれですか。ついに出会いが、ってあれです?」

 

「そんなわけあるか。姫様にお手を煩わせる訳にはいかず、貴様らにさせても何故か絶対にろくなことにならんと判断したからだ」

 

「我らに信用がないとおっしゃるのですか?」

 

「貴様は単にデカすぎる。他は特に危険なのはルンシャットとシャンシャットだな」

 

「「そんなぁ!」」

 

騎士団の中から二人分の反応があった。

 

青い髪で長いポニーテールのルンシャット(姉)

桃色の髪の短くまとまったツインテールのシャンシャット(妹)

姉妹で聖騎士団に所属する騎士だ。

 

「なんでですか!酷いです!」

「私達は誠心誠意、粉骨砕身を覚悟の上で勤めていますのにっ!」

 

「それで砕かれるのが私の胃と頭の血管だと知れ。いや知ってるだろ?」

 

「まさかノエイン様……辛いご病気を?」

「……すみません。私、知らなかったです」

 

「違うに決まってるだろ馬鹿者っ!そういうところだ!」

 

セシリィとシルヴェールは苦笑い、シグルドに至っては包帯の目隠しを既につけているのに更になるべく目線が合わないための努力をしている。

 

肝心の騎士団はいつものこととばかりに特に反応はない。

 

「わかったか全く……」

 

「ははは、いやはや、団長の苦労が伝わります」

 

ドゥークロイはしみじみと頷く。

 

「ならなんとかしてくれ」

 

「無理です」

 

 

ノエインに返ってくるのは非常な宣告だった。

 

ルンシャットは優しくノエインの肩に手を乗せる。

 

「大丈夫ですよ。私達がついてますから!」

「苦労を私達で分かち合えば三分の一になります!」

 

「三倍の負担の間違いだろ」

 

「「えぇっ!?」」

 

 

「あのっ、私めの肩なんかであれば引き続きお貸しします。雇った用心棒も一緒ですがお許しをお願いします」

 

「ありがたい、本当に」

 

全てを諦めたかのような目がシグルドには見える。

悲痛な叫びとはこのことだろう。

 

 

シグルドは聖騎士団の寮舎にある仮眠室まで運ぶことになったのだった。

 

強く心で「明らかにアホそうな二人など見なかった」と念じながら。

 

 

__________

 

馬車を出してもらってなんとか帰路に着く。

聖都は大混乱していたのにわざわざ用意してもらったのは申し訳なかった。

 

そして隣にはシルヴェール先輩がいる。

お給金出さねばならないし。

 

郊外の被害は無かった。

今回は聖都、王城を中心にケダモノは出現したみたい。

 

建築物が破損しておらず雰囲気は暗いが人通りに大きな問題があるわけでもなく至って普通だ。

 

時折血まみれ過ぎてギョッと驚く人がいる程度。

 

 

やっと休める。

あぁ、かなり辛かった。

 

 

「ただいま〜」

 

「お邪魔します」

 

 

あ〜なんか全部成し遂げた気分になる。

まだ序の序も良いところなのに。

ルドルフはまだ元気に悪事を働こうとしてるぞ。

 

全く、明らかにおかしいゼノオーガにはひどい目にあわされたものだ。

 

聖騎士団の面白シスターズには今後絡まれたくないな。

 

「おかえりなさい!清々しい朝帰りですね。臭いです」

 

廊下にイルヴィナが出て開口一番の言葉がそれだった。

残当なんだけどさぁ。

 

「すまないな」

 

「お姉さんとどんだけハードなプレイをしたんです?」

 

「ケダモノ狩りをしただけだ」

 

至って健全なはずだ、ちょっと流血が多いだけよ。

モラハラやパワハラ、セクハラなんてなか……!?

 

シルヴェール先輩!

 

あ、ニヤニヤしないで。

 

「__彼、かなり強引だったよ。わたしを後ろから無理矢理羽交い締めにして、乱暴して……きゃっ☆」

 

絶対言うと思ったよ。

突貫しようとした先輩を止めただけなのにさぁ。

 

「はーそうですか!やるときはやりますねご主人様!雰囲気的に責任取ったらどうなんです!?」

 

「真に受けるな。冗談なら話が止まらないからやめてくれ」

 

「止まらないのはご主人様の臭いですけどね。とっとと風呂場に行ってください」

 

ぐぬぬ、反論できない。

ちゃんとタオルとか準備してるしできる子過ぎる。

次から風呂の支度をある程度して狩りに行こ。

 

 

「イルヴィナ、お客様を案内してあげてよ」

 

「了解です!どうぞどうぞ」

 

「どうも」

 

シルヴェールを誘導して客間へ向かわせた。

さて、ひとっ風呂浴びるか。

 

 

 

着替えヨシッ

洗濯物置き場に装束をシュート!

後から自分で洗いましょうね。

 

 

ガララッ(戸を開ける)

 

バシャーッ(清掃中)

ザッパーン(湯船に浸かる)

■■■■■(雑な鼻歌)

 

ガララッ(風呂場を出る)

ここまで15分

 

 

__鉄臭っさ!?

え?何が……それワシの装束じゃん。

 

イルヴィナが臭い臭い言うのも通りだな。

反省せねば。

 

「やっぱりご主人様は微妙にヒョロいですね。あ、パンツです」

 

「……なんでいるかなぁ?」

 

自分が言うのもおかしいけど家に客人を招き入れたまま放置してまで来るかな?

 

「お茶とか出しましたしあのお姉さんはおしゃべりを必要としてる人でもないですよ。なのでちょっとハメを……席を外すみたいなことを言って風呂場に来ました」

 

「なるほどわからん。とっとと行くぞ」

 

パンツを受け取りシャツ等と共に着替えながら客間へ向かう。

待たせてる以上早く行かねば。

 

「すんすん……最後に少しご主人様の血のにお……はい!」

 

 

 

途中から走り客間へ入る。

室内ではシルヴェール先輩が座って待機してた。

 

「すみません、おまたせしました。」

 

「いやいや大丈夫さ。こんなことで謝られても困るよ」

 

「そう言っていただければ……では報酬でしたね」

 

事前にイルヴィナが用意していた布の小袋と依頼書への完了サインを書いたものを差し出す。

本当にありがとうね。

 

「あぁ、一応確認するね」

 

そうだよね。

確認しないとね。

 

 

 

「……確かに金貨25枚、250万ゲルド頂戴したよ」

 

「はい」

 

「と、言いたいんだけど金貨8枚しかもらえないかな」

 

「……はい?」

 

なして?

 

「いやー、だって寄り道しちゃって更に戦略としても依頼人が怪我してしまった。それで全額を貰うのは申し訳ない」

 

「しかしですね、ケガ云々の記述は命を基準にした護衛を依頼しました。こうして五体満足ですし、どうぞ受け取ってください」

 

お金は惜しいけど報奨渋ったとかで酒場を出禁にはなりたくないのだ。

だから受け取ってよ。

 

「満額は受け取れないよやっぱり」

 

「いいえ受け取って貰います!」

 

いつの間にか金貨が詰まった袋の押し付け合いになっていた。

 

「初めてだよ。君のようにお金を押し付けてくる依頼人さんは。わたしを呼ぶ次の機会があればその時のためにとっておくのをオススメするよ」

 

「それはそれは……ご丁寧にご指摘ありがとうございます。前向きに検討させていただきます」

 

「いや、実行してほしいな」

 

拮抗する押し付け合いの中でイルヴィナが割って入る。

 

「__ご主人様。あんまりお金持っていないので無理して払うのは止めてください。イルヴィナちゃんも不必要な節約はしたくありません」

 

日頃の張り切り朗らかな声質ではない無感情に近い声質だった。

 

「うす」

 

ちょっと恐い。

笑顔が笑ってないよ。

 

 

結局金貨8枚、80万ゲルドになった。

お財布には優しいけどこれでいいのだろうか?

 

 

 

 

 

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