百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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17話

それは市場から帰宅後、狩道具の整備しているときだった。

 

 

 

ノコ鉈の整備……と言ってもプロの鍛冶師ではない自分にできることは限られる。

 

血糊を流して拭いてついでに臭い消しのために洗剤をぶち撒けた。

意味があるか知らないが。

まじで界面活性剤ってすげーな、頑固な汚れは全然無理だけど。

 

今日は洗浄済みのノコ鉈を砥石にかけていくよー。

ノコギリの部分は使用後に油を馴染ませるといいらしいがケダモノの血脂でなんとかなるやろ(ならない)

 

血の遺志でメンテできればねぇー、ないんだねこれが。

身長2メートル級の銀髪球体関節系レディとか大鎌のおじいさんとその屋敷とか見つからないかな?

 

 

 

ノコギリ……これ削るの砥石じゃないね、ヤスリかな?

 

お世話になってるとはいえ面倒だ。

刃を一つ一つヤスリで削ればいけるかな。

 

どのみちケダモノを真っ二つにする刃物じゃないから素人なりにやれるだけやってみよう。

 

 

……これでいいのかわからん。

でもなんとかなっているってことでいいとしようそうしよう。

 

 

『カァーッ!カァーッ!』

 

なんだ?

窓にカラス?

思いっきりこっち見てるし……なんかあった?

待てよ……まさか!

 

「怪我をしたのか?」

『?』

 

違うか……おや?足に何か巻き付いてる。

多分手紙の類い、そんなものをカラスにつける人物など一人しかいない。

 

「足のそれ、取っていいかな?」

 

『……』

 

無言で頷かれた。

言葉がわかるのか?

ジリアンが自分のカラスは賢いって言ってたっけ。

 

「あとお水いる?」

 

『……』

 

首を横に振った。

こっちはノーサンキューね。

 

 

じゃ失礼して、

……手紙。

内容はやはり魔女ジリアンから。

いやワシの住所どうなってるの?なんで分かるんこわー。

明日か明後日にでもお自宅に行こうとは思ったが……

 

ウチの情報安すぎひん?

 

 

そんなことを気にしても何にもならない、肝心の内容よ。

 

 

__南部の荒野、その大洞窟にて目標と思わしき集団を確認。規模は大隊を越えると予測。

該当人物を一名を視認、中年から老年に近い容姿。

 

 

すげぇ、二日目でもう発見か!?

これなら……自分とジリアンだけで行けるわけない。

王女様に泣きつかないと、どうしょうもないぞ。

 

 

問題はどうやって見つけたと言い訳するよ?

溜り場を見たとでもいえばいいのか?

 

実際見てないから確実にボロが出る。

魔女に手伝ってもらいました!といえば確実に処される。

 

どうしろと?

……やるしかないんだけどね。

時間は惜しいし。

 

 

情報の出どころを……うーん。

いっぺん下見するしかないね。

 

調査となると少数精鋭、ボッチ出撃が望ましい。

今回の下見で重要なのは見てきたということ、もうジリアンが調査済みなのだから深入りは必要なし。

 

幸いにもゼノバイドのルドルフは探知に長けてる人物ではない。

 

行くしかないねこれは。

それと返信書いておかねば、ありがとうって。

 

 

返信をつけさせたカラスくんともさよならバイバイして早速調査へ向かおう。

 

 

 

「__どこに行くのですかご主人様?」

 

「今からちょっとね」

 

「お買い物以外は明日にしてくだい。万全って言葉知ってますよね?」

 

見抜かれとるがな……

 

「……はい」

 

「今日はシチューとハンバーグです。待つなり手伝うなりしてくだい」

 

「手伝わさせていただきます」

 

……自分は焦りすぎているのか?

でも、本当のシグルドならもっとよく動けているんだよ。

 

弱いんだ、悲しいくらいに。

 

 

それはそれとしてご飯は美味しかった。

 

____________

 

翌日。

 

装備ヨシッ

体調ヨシッ

覚悟デキテナイケドヨシッ

 

「……で、どこへ行くのですか?大人のお店ですか?」

 

「洞窟探検」

 

「何をしにです?」

 

「……聖都にケダモノをぶち撒けた変態がいるかの調査。見つけたらトンズラして聖騎士団の皆様にチクる」

 

「……はぁ、気をつけてくださいよ」

 

半ば呆れてるね。

命投げ捨てはだめなのはわかる。

 

でも誰にも知られちゃいけない方法で知ったからにはこうするしかない。

もっといい方法があっても自分では思いつけなかった。

 

「気をつけるさ」

 

 

______________

 

 

道中は特に異常もなく目標地帯に到着した。

 

場所は荒野。

近くには反り立つ岩や崖、視界の悪い洞窟に気をつけなければ。

 

進み始めれば少数だが、いる。

オークか……

 

風向きは無風のためなし、嗅覚で見つけるのはきっと困難なはず。

 

 

 

例えばそこの2体、ちょうど背後を取れてる。

そこに石をやつらの前に落ちるように投げて……

 

 

『お?なんだぁ……?』

 

『どうした?』

 

そうしたら自然と注意が前に向く。

 

 

 

『ホゲッ!?』

 

しゃがんだ方を一気に剣で突き刺す。

断末魔にもう1体が気づく。

 

『野郎、どっからっ!?』

 

尽かさず変形させ、横一閃。

 

『ガッ!?ゴラァ!!!』

 

まだ動いてやがる。

浅いかっ!

 

「__っうらぁ!」

 

『ごぶぉぉっ!?!?』

 

振り下ろした鎌状の杭を上げる。

かなり置くまで刺さっていたのでもう立ち上がらない。

剣の形へに戻し血を払う。

 

 

「はぁ……」

 

周囲を確認し倒れたオーク✕2以外には誰もいないことを確認し洞窟へ移動する。

 

探知の魔法を使えばもっといいルートが見つかるかもしれないが回数は魔法を発動する羊皮紙に完全依存中だから温存も考えないといけない。

 

あとは、細工だな。

オークを引っ張るのは辛いがやらねば。

なるべくオーク同士が勝手に殺し合った感じで並べる。

 

お互いの首、胸を刺しあったように。

 

ドスン、と落下音がした。

 

__もう一体来たか!

 

 

『くたばりやがれぇ!』

 

大振りを躱すと代わりにオークの死骸が槍で貫かれた。

槍は業物とかそんなものではないのにな。

本当に危ない。

肉厚な同族を普通に貫ける力があるんだよこいつら。

動きの単調さからそうそうは当たらないが当たればワンパン級のダメージがある。

 

『避けんなよムカつくからなっ!』

 

威力はすごい、だが予備動作と次へのアクションがなぁ!

 

 

『〜っ!?』

 

オークの手が壊れた。

杭が刺さり手の甲からまっすぐ裂けてしまったのだ。

槍の刃に近い部分を握った手である。

 

咄嗟の反撃も槍を固定する手が刃から遠く、突きがブレて当たらない。

 

ブレるため槍のリーチが逆に枷と化す。

 

片手で槍を使うのは非常に技量を要する。

長さが短いなら多少はなんとかなる。

しかしそれは至って普通の槍だった。

 

突きの動作がまだ終わらないうちに零距離まで接近し杭の剣を首に突き立て、裂く。

それは喉笛のある辺り。

 

切った箇所が原因か声を出すことなくオークは地に伏した。

 

 

……あの崖から飛び降りてきたんだアイツ。

見渡しても他に誰もいないしこの1体も細工をしておかなくては。

 

 

結果、三つ巴で殺し合ったオークという感じになった。

証拠も回収しておかなくては。

 

……温存してたら死ぬな、探知の魔法使ってしまえ。

 

 

 

 

 

崖を登りまだ距離があるものの、問題の洞窟が視界に映る。

ケダモノの数はいっぱい。

穢れたケダモノ、気色悪いカタツムリみたいな何か、きっと頭のイカれた幹部のルドルフがいる。

 

淫魔は群れる場合、たいてい同種で群れる傾向があり、ここから伺える洞窟では複数の種類でまとまっていた。

 

それは誰かに指示されてそこにいると考えられる。

 

探知に軽く引っかかったヤツだけでも100を越える。

入口付近で、だ。

内部にいる姿がわからない奴らの数はざっと入口付近の100倍はいるだろう。

 

現在接近してる数は5、オークが4でゼノオーガが1と流石に戦いたくない。

 

当然ようにゼノモンスが闊歩し危険だ。

内部を詳細を知るには軍隊がいる。

そんな軍隊があれば投入して殲滅しているが。

 

今日は見てきただけでいいんだからとっととトンズラよ。

 

 

 

『おいおい……バカが殺し合ったみてーだぜ』

 

『なんやってんだか、ヘッ』

 

『襲えてもいない女の話で温まったんだろうよ。しょうもねぇなガハハハッ!』

 

 

死体に気を取られている間に逃走が成功した。

 

_____________

 

ノエイン宛で報告したところ、当然こっち来いやという旨の返信があった。

 

 

 

そして聖騎士団の宿舎、その中で執務室がある。

主な彼女の仕事場だ。

 

戦後処理的なデスクワークを今やっている。

 

「来てくれたか。私とて別の作業をしながら呼ぶなどどうかとは思うが……まぁ事実多忙でこの様だ。許してくれ」

 

「いえいえ、心中お察しいたします」

 

「早速本題になるが本日開かれる仮称ゼノバイド教団への対策会議にて証言をして欲しい」

 

はい?

 

「はい?」

 

思ったことが口に出たわ。

 

「事は重大だとシグルド殿が書いたのだ、急ぐのが当然だろう」

 

「えぇ、はい」

 

「そもそも我々で掴める情報が少なくて難儀していた。それで渡りに船と思い呼んだ訳だ。与える報奨も兼ねてな」

 

でも早すぎない?

それでいいのかな?

 

「自分が対象を発見した場所と予測する規模を発表、ですね」

 

「あぁ、シグルド殿の言いたいことはわかる。かなり急ぎでやってるな。だがそれだけ深刻な状況なんだ」

 

だよな、一部とはいえ聖都をめちゃくちゃにされてまた来られたら溜まったもんじゃないから。

 

「承知しました」

 

「2時間後だ、紙とペンなら備品としてそこに置いてある。何を伝えるか纏めるのに使うといい。あとは……今のうちに口裏合わせをしなくてはならないことがあれば言え」

 

「ありがとうございます」

 

えっと……お偉いさん方に説明しろってことだよね?

クッソ緊張するよこれは。

 

 




それっぽいテキスト

教会の杭

医療教会の古い「仕掛け武器」の一つ
この一振りはそれを真似て作られたアスフォディル家の「仕掛け武器」

変形前は癖のある大型の剣として
変形後は長柄のウォーピックとして扱える

使い手に依っては微かに神秘を纏うが祈る気持ち程度ものだ
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