百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる 作:レンガチェッカー
『風雲急を告げる』
意味は今にも何か大きな変動差迫る、である。
シグルドには最初から大きな出来事はいくつもあったがどれも自分の意思や予めわかっていたことだから覚悟していた。
だからこそ避けた弾丸が急に旋回してぶち当たるような出来事はそうそうない。
しかし現実は非情だった。
______________
朝、小鳥の囀りで目が覚める。
陽光がカーテンから僅かに漏れ、暖かい。
新聞の朝刊を取り、居間へ行く。
起床した時間が普段より少々早く、イルヴィナはまだ寝ていた。
こんなこともあるだろう。
せっかくだ、朝食ぐらい自分で用意するか。
昨日は目玉焼きにバター塗りのトースト、葉野菜のサラダ、お茶だった。
台所に貼ってあるイルヴィナの献立表を確認しながら冷蔵庫を開ける。
なるほど。
今日はコーントースト、キャベツとトマトのスープ、芋とベーコンと焼きソーセージねぇ。
凝りすぎでは?まぁ作るが。
―なんちゃってシグルドクッキング―
えーまずはとにかく野菜を切ります。
キャベツの葉の二枚分を一口サイズに切っていき、トマトは……まぁ同じく小さく一口サイズでいっか。
ジャガイモは前2つと違い少し面倒だ。
皮を剥くのは当然、芽までしっかり取らないと危険。
怖くてつい多めに芽の部分を取ってしまう。
そしてスライス状に薄めで切る。
調理場のかまどに火をつけて……ベーコンあるしスープに具材を増やすために一部を切って入れてしまえ。
鍋に油をちょっと敷いて細かくしたベーコンを軽く火で通します。
芳ばしい。
続いて具材のキャベツとトマトを入れていきます。
しばらく火を通して水と自家製スープ出汁を加えて煮込む。
出汁はコンソメで美味しくなるやろ。
玉ねぎがあれば具材が安定したけどないものは仕方ない。
煮込む間に芋とベーコンとソーセージを焼いていきましょー。
実感の問題だがジャガイモは火を通さないといけないけど両面とも焼きすぎ注意。
一気に焦げるし。
「おはよーございますご主人様……ふぁぁ……」
「おはよう」
イルヴィナが起きた。
「食器の準備しておきますね」
「あぁ、頼む」
ジャガイモがまだそこそこ固い内に塩を振って回収、あとはベーコンとソーセージを良さげなタイミングでこちらも回収。
次にコーントーストやってみよう。
黄卵に油とレモン果汁を加えてできたソースを食パンの上に塗る。
そこにチーズと粒のコーンを載せてていく。
いろいろ載せた食パンをオーブンに入れて焼く。
パンを焼いている時間に煮だったスープの火を止めてちょいと掬って味見__こんなもんか。
あとは調味料で適度に味付け……塩なんかで調整。
適度なしょっぱさとトマトの甘みがちょうどよし、知らないけど。
最後に時間を見計らいチーズが溶けて食パンもこんがりと焼けて来ればこっちも引き上げる。
いい匂い。
あっちっち。
それぞれお皿に盛り付ければ終わり。
「持ってきいますねー」
「おーけー」
「「__いただきます」」
改めてスープを一口、うーん……
「やっぱりイルヴィナが作った方が出来がいいな。もっと優しい味になるんだよ。毎度のことだが」
「はむっ、……ふぉうへふは?……んっ、私はいいと思うんですけどね」
自分で作るとしょっぱさや旨さ、甘みがストレートなんだよね。
細かい時間管理ができてないとかかな?
調味料に依存しがちも良くないのだろう。
コーントーストを齧る。
こっちはジャンクな味だけどもとよりこんなものだし、むしろジャンクな風味だから美味しい。
朝でも食欲を掻き立てる。
そしてジャガイモとベーコンとソーセージだ。
ベーコンとソーセージはまぁ、そんなもの。
素材から既に美味しいので普通に旨い。
ただ少し多すぎたかな?
肝心のジャガイモ……こんがり、ホクホク。
自分にしてはまぁ上出来。
スープの塩味が強かったかもしれない。
総合として塩の主張が多くて甘みのあるスープならいい着地点だったな。
次に作るときは気をつけよう。
「喉が乾いたのでそこの水取ってください」
「あぁ」
イルヴィナもきっとそう思ってるだろうし。
「ありがとうございます」
塩味から遠ざかるにはコーントーストを食べるか水を飲むか、コーントーストであれば油分でより水が欲しくなる。
「ご主人様ぁ、後で何か果物でも用意しますか?」
「そうだな。あるもので適当にやってくれ」
「はーい」
確かリンゴとオレンジと梨は……梨はなかったな。
新聞を開き記事を読む。
やはり最近はケダモノが襲撃してきた話ばかりだな。
セシリィ王女を描いた挿絵の胸部がダウンサイジングされてら。
他には……
「……物の値上げかぁ」
「最近はなんでも高いですね。そういえば卵がすごく高いのでいっそのことニワトリが欲しいです」
卵50個で1ニワトリですよ、とついでに言ってくる。
ニワトリ、もともとできる子のシグルドは家で飼育していたっけ。
卵の値段が高いとかこんな理由じゃないだろうけど。
「家で世話をできそうだが何羽いればいいのだろうな?」
「大人になると1日1個卵を産むと聞きましたので最初は3羽でどうです?オス1にメス2で始めて、始めます?」
「卵が50で鶏が1と……育成に金もかからない動物と聞くし。悪くないな」
「イルヴィナちゃん一度ニワトリさんどこで売ってるか見てきます」
ならこちらは飼育の書籍を漁ってみるか。
全滅したらたまったものではない。
「品種もそれなりにあるだろう、一応種類が違うやつも見てきてくれ」
「お任せあれっ!」
「__ごちそうさま」
先に朝食が終わり皿をテーブルから片付ける。
自分の分だけでも洗ってしまおう。
朝食が終わりイルヴィナが果物の用意をしているときだった。
__悪寒が走る!
災厄の気配がした。
街の人に騒ぎは無し、ならなぜ?
ドアからベルの音、きっと元凶たる人物だ。
居留守はできないだろうか?
「ご主人様、イルヴィナちゃんが出ましょうか?」
「いや、自分で見てくるさ」
ドアのある玄関から隣にある部屋、そこの窓から確認する。
数は二人、特徴は青髪とピンク髪……
「なん、だと……?」
なぜいる!?ここに!
どして?
完全にフラグは突破したはずだ!!
『おはようございまーす!聖騎士団の者でーす!』
『開けてもらえませんかー!』
居留守を使っても無理だ……国営組織には逆らえない。
毎日来るだけだし。
まて、ただちょっとこっち(王城or公的機関に)来いや!って話かもしれない。
むしろそっちだ、そっちのはず。
招集担当がちょっぴりアホの子だったんだよそうだよ。
仮になんかあっても劣化シグルドは賢者(笑)の性能しかないので本来のシグルドのように
ならば恐れるに値せず、開門!
『いいシャン?』
『はいお姉様』
『もしこの件が
ドアを開けるためにレバーを引きカチッ、と音がする。
『猛アタックして二人でお嫁さん、ですね!』
「…………」
うん、ドアを開ける前に体調を崩して倒れたことにしよう。
音が鳴ったしバレてるんだが。
あと今の自分の顔がしょんぼり顔になっているはず。
『……シグルド様?いますよね?無礼は承知で開けますよ?』
無情にも戸は開かれる。
「おはようございます、本日付けでエルアラド聖騎士団より派遣されましたルンシャットです!」
「同じく派遣されてきましたシャンシャットです!」
「あ、はい。お疲れ様です……今日はいったいどのようなご要件でしょう?」
嫌な予感が凄まじい、実際どうだ?
「セシリィ様が対ゼノバイド反攻作戦を発令されて急遽、対淫魔戦特化特別小隊の結成をすることになりました。その際団長のノエイン様よりシグルド様を隊長とした小隊を作り、私達シャンシャットと」
「ルンシャットが」
「「隊員になりました!!」」
「嘘でしょ……」
戦うとは主張したけどおかしいぞこれ。
「シグルド様の住宅に住み込みで活動するのでお自宅お邪魔します。結構荷物があるので下がってくださいね」
ルンシャットとシャンシャットは持ってきていた袋を室内の床に置いていった。
『一つ下らないことを聞くがシグルド殿の自宅は広いか?』
ノエインが先日あった会議の前に言ったあの言葉を思い出す。
これを見越して言ってたのかよぉ……