百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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20話

やりやがったなノエイン、よりによってなぜこの二人よ?

 

あれだな、自分だけ助かろうとしているな。

恨みはないし事情もあるのだろう、許すけど許さん。

 

 

「なぜ自分が隊長なのでしょうか?実力なら確実に騎士様方に及ばないでしょうに?」

 

これはこれで疑問。

わざわざ実力が数段下がる人員を頭に置く理由がない。

 

こちとら賢者様(笑)だぞ。

 

「さぁ?」

「なんででしょうね?」

 

さいですか……ひょっとして姉妹揃って押し付ければ状況的に自分が頭にならざるを得ないということ?

 

やだ、私の責任が増えるだけじゃない団長さん。

 

「忘れるところでした。指令書渡しますね」

 

「あ、はい」

 

シャンシャットから指令書を受け取る。

 

 

 

__配属命令

 

シグルド・アスフォディルは■月■■日付けで対ゼノバイド反攻作戦終了までの期間、エルアラド聖騎士団に所属扱いとし貴殿を隊長とする小隊を結成、作戦を遂行せよ。

小隊編成のため聖騎士団から以下の人物を隊員兼護衛として派遣する。

 

 

ルンシャット・ヌヴォール

シャンシャット・ヌヴォール

 

 

二人とも実力は高く素直で柔軟な気質のため指示にはよく従うだろう。

きっと役に立つ筈だ。

費用も貴殿含めて常識の範疇であればこちらで受け持つので護衛としてもシグルド・アスフォディルの自宅へ配備させるものとする。

期間が延長する可能性も留意されたし。

短い期間であれど聖騎士としての給金は出す。

 

 

 

貴殿から殴られる覚悟は出来ている。

 

 

エルアラド聖騎士団団長、ノエイン・グランノーフィス__

 

 

 

 

 

あ、あのときの、会議後の嫌な予感は当たったか。

的中したのに全く嬉しくないねこれは。

公的に審査されたらしく王家の紋章入りとは……

 

〜だろう、とか〜筈だ、とか不穏な響きが怖いよ。

 

 

 

「それと予定表渡しておきますね」

 

「へい」

 

ルンシャットから手記が渡される。

わぁ作戦決行まですぐじゃん。

スタンバイしてる担当のカラス?経由で魔女さんに連絡しとこ。

 

 

非常事態&人が実質無職だからって経費に物をいわせて……聖騎士姉妹を派遣した以外は現状の最適解なんだよなぁ。

 

魔女ジリアンの参戦を考慮したら……あれっ?

これ限られた戦力の中なら最適解じゃない?

劣化シグルドの被害以外は完璧では?

 

魔女の戦いを「そっか~」くらいで片付けそうな人物でかつルドルフ相手に聖騎士二人が加わって戦えればかなり安定するだろう。

 

 

 

「__ご主人様ぁ、果物の皮むきが終わり……」

 

 

しまったイルヴィナ!?

 

「シグルド様っ!」

「あの子はいったい?」

 

淫魔いるのバレたよ。

情報過多で頭からすり抜けてたよ。

 

姉妹は庇うため自分より前に出て剣を引き抜き構える。

この空気で思うこととしては場違いだけどすごく、騎士っぽい。

 

 

「すぅー…………落ちてたからって女の子を拾って来ちゃ駄目ですよ?元の所に置いてきてください」

 

イルヴィナの清々しい笑顔、目が笑ってない以外はあのときの笑顔。

あっ、修羅場だなー。

自分も探さないでくださいとお手紙を書くか?

 

黙っても埒が明かない、説得だ。

 

 

「3人とも主張したいことはわかる(知らないけど)。しかし聞いて欲しい」

 

間に割って入り注意を引く。

深々と頭を下げて。

 

 

「まずこの二人は国から派遣された私の部下?になる人達だ。強制らしい」

 

「……」

 

イルヴィナは黙り込んだ。

 

 

「次に聖騎士様方、ここにいる淫魔はやむを得ない事情があってここにいます。人に危害を加えないと約束しましょう」

 

「……危害を加えないと言うより……」

「……純粋に力がないだけですよね見た感じ」

 

「人と歩み寄れる子なんです嘘じゃないです。ちょっとユーモアに富んでいるだけなんです」

 

 

 

 

「……シャン」

「えぇ、お姉様」

 

 

姉妹は剣を鞘へ戻す。

よかった、わかってくれたのね。

 

……あ、絶対よからぬことを考えてるな。

欲しいのは金か?名誉か?

 

 

強請(ゆす)ればいける……よね?」

「はい勝確です」

 

 

 

「「__黙っているので私達と結婚を前提にお付き合いしてくださいっ!!」」

 

「お二人とも自分にはもったいない程の女性です。自分ごときが釣り合う筈がありません。本当に申し訳ないですが」

 

冷静になればわかるわ。

貴族令嬢と結婚も婚約も無理でしょ。

 

「うっ!?」

「そんなっ!?」

 

二人揃って打ちひしがれたみたいに膝をついている。

天才のシグルドなら研究者としての側面があるし悪くないんだろうけどさ、自分じゃおつむが足りないのだよ。

 

 

「勝確なのにどうしてダメだったの?ヨヨヨ……」

「これが……失恋」

 

ついでに実績も身分も問題があるんだよ、こちとら一応罪人よ?

更に結婚は家名を守るために親が介入して来る筈だ。

 

 

「ご主人様、さっきからなんですか?……顔よし、身体よし、()()()()してそうなお二方ですけど。結婚って」

 

「全くわからん。変な噂でも流れるのか?ウチの実家は解体済みなのに」

 

むくっ、と姉妹は立ち上がる。

 

「噂とは違いますね」

「団長から直接仕入れた情報です。近々名家として立ち直るのですよね?」

 

ルンシャット、シャンシャットと続けて暴露する。

 

前にアスフォディル家の再興の話を王女セシリィがしていたな。

言い訳して話を蹴ったのだが。

しくじり先生なゾズマをボコるまで再興しない宣言をして。

 

ノエインの仕業と思うがというかなんちゅう情報を教えるんだよ。

まぁ守秘義務なんて下民に適応されるか怪しいけどさ。

ワンチャン善意かもしれないのがなんともいえない。

 

 

「……?当分復活しないですよ。できるかも確定してないですね」

 

「はい。再興に何をするのかを聞いていますのでそれまでご一緒してそれ以降も生涯ずっと……うふふっ」

 

「えぇ……」

 

シャンシャットよ、そこに至った過程が知りたい。

 

 

「この場で延々と惚気けられても困ります。ご主人様は結局どうするんですか?あと口を開けてください」

 

「どうするも何も様子見しかない」

 

フォークで刺した果物を近づけられた。

口を開ける。

 

うん、オイシー。

 

 

シグルドは見なかったがイルヴィナはにへら、と姉妹に向けて笑う。

 

 

「……ふふっ、見せてくれますね。ですが私は別に妹のシャンと淫魔ちゃんの3()()()()いいと思っちゃってるんですよ。余裕とはこういうものでは?」

 

ルンシャットが攻撃的な笑顔でイルヴィナにマウントを取り始めた。

強調するためか手の甲を向けて親指、人差し指、中指をあげて3を示す。

シャンシャットも同調する。

 

「奪い合っても足りない、でも分け合えば余る、そうは思いませんか?」

 

「ぐぬぬ……(確かに二人も美少女が増えればイルヴィナちゃん的にも差し引きでお得です)ボソッ」

 

「いや、一時的に住人が増えるだけだが。何に悩むの?」

 

覚悟を決めた様子でこちらを向く。

ついでに食べさせてくる。

 

 

 

 

「__空き部屋があるので案内してきます」

 

……この感じは堕ちたか。

なんで籠絡されたか知らないけど。

 

「頼む。あぁ、その皿は貰おう」

 

空になった皿を受け取る。

 

「ではイルヴィナちゃんに着いてきてください。えっと騎士の……」

 

「ルンシャットです!」

「シャンシャットです!」

 

「わかりました!イルヴィナちゃんはイルヴィナちゃんです。ではレッツゴー!」

 

「「おぉーっ!!」」

 

 

 

問題が全く起こらないとまでは贅沢を望まない、お願いだから当分は何も起こりませんように。

 

……戻って皿洗いしとこ。

______________

 

聖騎士姉妹が居住のためにああだこうだしてる間に備品の確認をする。

 

もう時期またケダモノとの戦いになる。

いくら騎士が強いといえど万単位で潜む敵と戦うのは厳しい。

当然のように戦力差10倍を蹴散らす精鋭も大量のゼノモンスを相手にするのは現実的じゃない。

 

2体のゼノモンスに遭遇したが初めのゼノバット、こいつは純戦闘系エデンズリッターで倒せる。

問題はあのゼノオーガだ。

 

本来あそこまで強くない。

ゼノバットと同格ぐらいが関の山な筈なのに変異して別次元の生き物になった。

 

何がなんだか分からないが似た状態として魔王化なるものがあり、それと真逆の方向に覚醒をしたのだろうか?

 

魔王化は美少女の闇落ちした結果みたいなやつ。

絶対に避けるべき災厄、国家滅ぶぜ。

 

まぐれもまぐれだがあんな奴がいる想定をしなくちゃいけない。

 

 

仮に遭遇するとしたら理想は魔女ジリアンが来てくれるので彼女をフルアーマー、重武装状態にして大火力ゴリ押し脳筋ファイトに持ち込みたい。

 

予算と納期に間に合わない現実があるのだけれど。

 

妥協せねばならず歯痒く思う。

携帯食やら予備の武器やら必要になるからだ。

バックアップすると言った以上、完璧の限りなく近くを目指さないといけない。

 

 

 

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