百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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26話

 

 

―ルドルフの召喚魔法が優位となりシグルド達は攻めあぐねる。

魔法使いとしての腕の差が均衡を崩したのだ。

シグルドの羊皮紙スクロールによる魔法行使では使いやすさに特化して魔法の威力はスクロールの上限以上に出せない。

 

ぶつかり合う魔法では魔法の力が押し流され効果がほとんど発揮されなくなる。

 

 

斬り伏せてもまた補充が現れキリがない。

それでも短時間で決着がつかないのは少なくともシグルド以外の3人は実力者だからだろう。

 

敵の手を潰し首を掻き切り胴を貫き辺りには血が飛び散り鉄の臭いが漂っている。

 

どれほど戦い殺したかはこの光景だけで察することができる程。

 

(ここから巻き返すにはもうジリアンが魔女として戦う他ない。となれば姉妹が弊害になる……思う所はあるけれども扉の外へと行ってもらうしかないな)

 

物量に押されいつ危機的な状況になるかわからないため決断した。

 

「【バリアー】!」

 

シグルドの言葉と共に光壁が前方に出現。

小隊とルドルフらの間に広がり阻む。

 

 

「ルンシャット様、シャンシャット様。ついに勝ち筋が見えました。ノエイン様へその旨の報告と扉の防衛をお願いします!」

 

スクロール一枚ではすぐに破壊されるため何度も発動させる。

 

 

 

「ほんとっ!?」

「わ、わかりました!」

 

「では、起動!」

 

シグルドがこの場に来てスクロールを何枚も配置したところまで後退していたためすぐにそれを起動させた。

 

二人の足下が輝き光の中に落ちていく。

 

「えっ!こんな感じでですか!?」

「足先で大門のあっち側ってわかりますね」

 

「あ、はい」

 

凄まじい戦場でまだこういった物言いをしてくれるのでシグルドも少しばかり緊張感が薄まり落ち着く。

 

そして姉妹は消えた。

ここに残される狩人モドキの二人。

 

 

 

 

「__頼む」

「もちろん」

 

短い言葉のやり取りを終える。

するとシルヴェールの衣装が鴉羽となり重力に引かれヒラヒラと落ちる。

ついに魔法の壁が割れ消えてしまう。

だが化け物達は僅かにしか進めなかった。

 

 

 

「エデンズフォース、オーバーロード」

 

 

狩人は本来の姿を取り戻す。

最後の魔女が手にした楽園の騎士の力、例え鱗片だろうと誰もが刮目。

楽園の騎士の名はリッター・ハルファス。

燻る炎纏う復讐者である。

 

 

 

「馬鹿なっ!?」

 

化け物達が状況を理解できないでいる。

遠巻きに見ていたルドルフだけが驚く。

 

「全解除終わっていつでもオーケーにしてる」

「ありがとう。使ってない魔術触媒もかなり使わせてもらうわ」

 

「問題ない」

 

シグルドは背負っていた荷を下ろし教会の杭、散弾銃を手にする。

何枚ものスクロールが壁面や天井に向かい貼り付く。

丁寧に間隔が開けられて引火などでの破損リスクを減らした上で。

 

 

「……ぐっ、一つしてやられたか。よもやエデンズリッターとはな」

 

ルドルフは苦虫を噛み潰したような言葉とは裏腹に淫魔の群れを増やし盤面を固めて備える。

ここからではわからないものの総数がノエインと聖騎士達が抑えている淫魔達と規模が変わらない。

 

 

「そうね。あの男はあなたが倒してくれるかしら?」

 

「わかった」

 

魔女に理由は聞かなかった。

ただ導きと信じて。

 

「相手はたった二人だ。囲って殺せぇ!」

 

『『『オォォォォ!!!』』』

 

 

 

「あの瓶をまっすぐ、そしてかなり遠めに投げて」

 

「ッ!!」

 

シグルドは栓を開けた閃光瓶を力をいっぱい投げる。

 

「小細工を……フンッ!」

 

魔法で作り出した光壁が瓶の落下先へ展開し拡張した。

瓶は光壁にぶつかる衝撃で割れるが、

 

光壁を通して地上を照らす陽の光より眩い閃光。

「まさかこれだったか!」

『グォォァッッ!?』

『目が、目がぁぁ!?』

 

群れの中間部がストップ、後列が足止めされ前列のみが突撃。

迎え撃つのはハルファス。

 

黒い両翼、地より出て欲に溺れた血袋を吊るし血に塗れよ……そして」

 

 

『ッ!?!?』

 

足元が揺れる。

次の瞬間、地より黒く尖った鉱石に似た何かが前列の淫魔達を襲う。

 

最前列辺りにいた者達は鋭利な棘に貫かれた。

 

地面から生えた巨大な左右の翼が敵の串刺しを行うように生える。

やがてそびえ立つ鉱石の翼は壁になり行軍を遮った。

 

「__驕る者を砕く報いとなれ

 

黒翼から結晶が飛び出しアーチを描く。

ハルファスは行けと促した。

 

「あぁ」

 

結晶のアーチを足場として駆ける。

 

「小癪な!」

「邪魔はさせない」

 

洞窟の壁、天井が発光。

シグルドが設置したスクロールからだ。

 

『カァーッ』

『ガァ!ガァッ!』

『カァッ!』

 

「カラスだとっ!えぇい!」

 

魔法で炎を灯した杖を群れたカラスが妨害。

火が霧散。

 

『カァー!』『カァー、ガァー』『カァーッ!カァーッ!』

『ガァーッ!』『カァーッ、カァーッ!』

 

続々と現れるカラスの大群。

彼らは後方の淫魔へ攻撃を始め戦線がいよいよガタついた。

 

「私の邪魔ばかりしおって、鳥共なぞ纏めて消してやろう!」

 

「このぉ!」

 

シグルドの指が散弾銃の引き金にかかる。

(人だからと躊躇うな!引き金は、軽い!)

 

割り込むシグルドを察知しカラスは上へ退避。

 

銃声、火花が散った。

硝煙が立ち昇る。

 

「むゥッッ!?」

 

 

被弾したルドルフはよろめく。

頭上には刃。

 

「ぅぅ…くぁっ」

 

ふらつく足取りながら後方へ下がり横に一閃する剣の刃から免れる。

逃れた剣にジャコッ、と金属音が鳴った。

仕掛けによって変形。

 

リーチの長いウォーピックとしての刺突が振るわれて左胸あたりを抉る。

深く刺さり傷は当然深い。

引き抜くと同時に刃を押し付け、傷をなぞり深くする。

 

 

「ぐおぉぉ……」

 

散弾銃の引き金を再度引く。

 

「ぬぅ、図に乗るなぁ!」

 

反撃に鋭い光が数本瞬く。

首に激痛が走り悶えた。

光が突き刺さっているからだ。

 

 

「グヴェ……」

 

シグルドもただでは下がるまいと散弾銃を撃ちながら下がる。

 

激痛に隠れて首がぬるい。

言葉が出てこない。

 

(ただ怯んではだめだ。奴から目を離さず、だ)

 

 

ポーションの上部を砕き直接首へ流す。

幸い動脈に魔法が当たらず敵は重症、傷を治す猶予はあった。

先に立ち直ったシグルドが教会の杭を構え踏み出す。

 

「コヒューッ、カハッ……カッ、あ、あぁ……」

 

ルドルフも負傷の身で立ち直る。

 

「ハァーッ、ハァーッ、出でよッ!」

 

「うっ!?しまったぁ!」

 

「………なに?……あ、__」

 

淫魔の群れが呼ばれると思った矢先、天井を見上げまたルドルフが叫ぶ。

 

 

 

「__()()()()()()()()()()!!!」

 

召喚物が出てこなかっのだ。

 

シグルドには何が起こったのか理解できなかった。

考えてる時間はない、攻める。

 

抵抗で数本光の棘が飛ぶ。

 

「ッ!」

 

シグルドの身体と学習能力が勝り横へ回避。

散弾での牽制とルドルフの魔法の盾が両者の間に挟まる。

 

『ガァ!』『カァー!』

 

警戒が薄れた頃にカラスが身を挺して行動を阻害し次の一手を打てない。

 

「……んんん!んんんんぁぁぁ!!」

 

溢れる怒りと殺意が見て取れる程の表情でシグルドらを見据えていた。

 

 

「どいつもこいつも小人と畜生の分際でッ!大義ある使命を持つ私の邪魔を!トンチキなカスどもがぁ!」

 

魔法の原動力たる魔力がルドルフから大量に溢れ出す。

その量は並の魔法行使者ではたどり着けないくらいである。

 

撃ち込む散弾を魔力の操作だけで防いでいる。

カラスの攻撃も阻まれ通じない。

 

「クッ!だが……」

 

何度も撃てば魔力は元に戻るのか少しだけ霧散。

 

『ガァ!!』「っ!?」

 

避けろとでも!?

咄嗟に下がると__

 

燃える塊が複数でさっきまでいたところへ降り掛かった。

 

「助かった!」

 

カラスの警告でなんとか免れる。

別のカラスがシグルドの腰辺りに脚でしがみつく。

 

(ほぼ零距離で爆撃をしてもやったあんたは無傷かい。あっ!また光の針ぃ!)

 

躱す。

 

躱した先、炎の矢。

 

(気張れ!)

 

教会の杭でまとめて払う。

散る火の粉が身体を蝕むように焦がす。

 

 

 

『ガァーッ!!』

 

カラスの合図に合わせて斜め後方へ退避。

燃える塊が連続で地面に衝突する。

 

(なにっ__)

 

炎から不可視と半ば化した光の矢が飛び反射的に左腕を構えた。

腕に光る棘がいくつも刺さり込む。

 

痛みによる怯みで止まった右足にも刺さる。

 

 

「これで終いよ!」

 

恐怖なのかこれも反射運動か目をつむる。

パリッ、と砕けた何かの音。

 

 

 

 

 

 

 

「__な、ぐぁっ、かっ!?」

 

瞼の裏にも届く強い光。

開けば眼前には藻掻く魔司教ルドルフ。

 

(閃光…カラス君かっ!ならまだだっ!ルドルフをやれる!)

 

目潰しされた抵抗としてこれでもかと攻撃魔法を前方にばらまく。

 

彼が閃光にかかったのはカラスの翼がカラス自身で何をしているのかを隠し通したからだった。

そのためシグルドの腰にある物入れから凄まじい光が放たれてルドルフを襲ったのだ。

 

 

「忌々しい……奴はどこだ?死んだか?」

 

煙が晴れるのを待つ。

魔力の素質が乏しいらしい相手だからこそ目視以外で探せず厄介。

 

多数のカラスがその他探知に対してノイズになり邪魔に拍車をかける。

 

 

それでも早急に目潰しから立ち直ったルドルフは魔法の攻撃を止めて確認した__

『ガァーッ!』『ガァーッ!』

「ぬぅ!?」

 

煙に紛れてカラスが襲い掛かり、これを魔法の壁で防ぐ。

何なら防がなくてもよかったと考察を()()()()()()()

 

 

「__まさ」

 

胸を穿く杭の剣

 

 

「かっ!?ゴボッ、ォ……」

 

 

即座に背を守るため魔法の壁を展開。

しかし血と硝煙をまとった狩人は内側に回り込んだ。

 

そして腕を延ばす。

魔力を利用した防御も間に合わず、

 

「ッ!!ガバァッ!?」

 

腕は腹に穴を開ける。

「……ハァァ」

 

肉の灼ける臭いが狩人から爛れ、敵の温い血が肉に帯びる熱を冷やす。

 

「下賤、な゙…バゲモ゙ノがぁ……ッ」

 

腕を引き抜けば血が溢れ出した。

 

ルドルフは下がる。

背に剣を刺されていようとも。

 

シグルドは大鉈を持ちよろめきながらも追う。

彼も鉈を引きずっていることから双方重症だ。

 

「……くたばれい」

 

それでも足掻き光の針を飛ばす。

 

「!」

 

飛んでくる針を鉈が防ぐ。

 

 

 

「我らの、使…めい、大い…なる淫魔王のふっ……かつ……ぉ……りかい、できな…いおろ、愚かもの、が……」

 

「あんたは、ここで終わる。願いの為に終わらせる」

 

 

カラスがルドルフへ襲い掛かる。

彼らはどこかおぼろげに見え生気を感じられない。

 

「…これは魔力の塊……ぐうっっ!」

 

 

最悪の結果を予想して引っ付くカラスを警戒。

ルドルフは魔力を極限まで防御に回す。

 

貼り付くカラス達が形成されたドームの内側で爆発。

 

「ぬオォォォォォォッ!?」

 

 

 

 

 

 

「____はぁ、はぁ、はぁ」

 

 

まだ生きていた。

息も絶え絶えだが倒れない。

 

(いくらなんでもしぶと過ぎる。再生能力でもあるのか?)

 

シグルドはノコ鉈を手放す。

そして追いつき背に刺さった教会の杭をぶっこ抜く。

流れる血が少ないのか出血はそう多くはなかった。

 

「がっ!?」

 

 

トドメを刺すために銃口を頭に押し付ける。

引き金はいつだって軽いと心で言い聞かせて。

 

悍ましい剥き出しの感情が溢れる言葉と表情がルドルフに出て吠える。

「貴様っ!キサマなんぞにぃぃっっ!!!!」

 

 

 

騒音の中で銃声が響く。

 

 

国家を揺るがす首謀者はここに倒れた。

 

なんかよくわからないところは?

  • 目隠ししたら見えなくね?
  • 内蔵攻撃マジでやっててウケる
  • いいからとっとと投稿な
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