百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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第3話

警鐘がなった。

 

まだ夜中だというのにと思う。

 

何かあったのだと飛び起きて寝室を出る。

音の方向は聖王国の郊外。

対してここは中央にあたる聖都。

何が起こっているかはおおよそわかった。

 

普通であれば短時間でたどり着ける距離ではないが例外はある。

 

 

エデンズリッター

それは聖遺物と称される存在に宿る楽園の力により、人の身から楽園の騎士へと姿を変えた者たち。

 

 

その力によってエルアラド聖王国の王女、セシリィは背部の美しい両翼を広げ夜空を駆けて行く。

 

飛び立ち、十秒も経てば先程までいた王城はもう小さく見える速さだった。

 

セシリィが変身した楽園の騎士。

騎士の名はリッター・ルシフェル、神樹セフィロトを触媒に最高位の力を得て脅威に立ち向かう。

 

 

_________

 

 

空を駆け郊外の上空に着くのは然程時間はかからなかった。

しかし聖王国の民はこの瞬間にも襲われている。

 

視界にオークが何体かいることを確認し突貫。

 

 

 

『い、いやぁぁぁ!!』

 

『グフフ……安心しろよ。おでは優しいから取って食ったりしねーぜ。何なら食わせてやるぜぇ、おでの股にあるぶっとい槍をっ、ぐおぉぉぉ!?』

 

 

リッター・ルシフェルの槍がオークの横腹を貫く。

貫かれ悶え、やがて倒れる。

 

 

「お怪我はありませんか!」

 

「はい!あ、ありがとうございます天使様!」

 

周囲では他のオークが市民に襲いかかっていたがルシフェルに注意を割く。

全員が、ではないあたり知能はあまり高くないようだった。

 

『なんだこいつ!?』

『もう来やがった!あぢぁぁぁ!?』

 

オークらの反応へ意を介さず魔法で燃やし、槍で穿つ。

 

『グベッ!』

『イダァ!?』

『ウギャァァ!!』

 

 

 

『お?お前雌みたいな見てくれで生えてるのか。んじゃケツのあニャグァッ!?』

 

 

皆が突如現れた美しい助っ人に見惚れる。

空を舞い異形を狩るその姿に。

 

『こいつは上玉な女だグォッ!?』

『に、逃げろ!……ギャァァァ!!』

 

 

数体屠ればオークは逃走を試みる者、応戦する者と行動が別れ始めた。

 

「ぶっ倒す!!」

「動くなよ!」

 

オークの内、二体が飛び出し棍棒を振るう。

ルシフェルが躱すとその攻撃は石畳へぶつかり周囲のそれが割れる。

 

「避けるなぁ!オレがひん剥いて抱けねぇだろよぉ!!」

 

「【ノーブル・イグニス】!」

 

呪文を唱え炎を撃ち出す。

 

「アヴァァ!!!ァァァ……」

 

燃焼は豚の悲鳴を晒す。

炎が一瞬でオークを焼き尽くし灰に還った。

 

 

「熱ッ!?テメェ、あ、あへぇ……?」

 

足が止まったもう一体の眉間に刃を突き立て引き抜くと間の抜けた声とともに地へ墜ちた。

 

騒ぐオークはもういない。

だがここから近い場所でまだ誰かの悲鳴が聞こえる。

 

「私は他の方達の所へ向かいます。皆さん今兵士の方々がこちらに来てますので彼らの指示に従って動いてください!」

 

「うぅ……ありがとうございます。」

「おぉ、天使様!」

「天使様、応援しております!!」

 

 

手短に言葉を告げ、また飛翔していく。

それからすぐ兵士らが市民の保護、淫魔撃退のため駆けつけた。

 

 

 

 

オークを屠った場所から移動しあたりを探る。

破壊された建物の形跡は確認できた。 

誰もいない。

人はおろかオークすらいない。

 

さらに飛ぶ。

 

 

やがて黒い陰のような物体が見えた。

黒い物体のもとへ降りて確認をすると__まず見るより先に鉄の臭いがしている。

 

 

血まみれ、しかし大きさ、外観からオークだとわかった。

うつ伏せで倒れているそれは背中からだと傷は少ない。

腹を切られて死んだのだろう。

 

もう既に救援が駆けつけたのでは?と期待の感情が彼女に芽生え、血の跡を辿りながら進む。

その道が正解かのようにわずかに低い悲鳴が聞こえた。

 

戦ってるのはノエイン?それともドゥークロイさん(エルアラド聖騎士団現副団長)か?

郊外だがら流石に無いだろう、と思いながら走る。

 

 

鉄臭い。

 

飛び散った血がチラホラ、オークの死体がさらに一体見つかる。

 

オークの死体は刃物で何度も傷つけられて倒されていた。

傷は刃と切れ味の悪い何か、小さい穴の三種。

死体とすれ違いざまでその傷を見た。

 

 

次に頭をかち割られた死体、両腕と胴体をズタズタにされた死体、どちらもオーク。

 

一人も人が倒れていない。

兵士、または騎士達がきっと戦っている。

みんな無事かもしれない。

だとしても急がないと。

 

 

『いでぇよぉぉ!!』

 

『ふざけやがってチビがぁ!!』

 

声、それも人ではない他種族のような悲鳴と怒声。

他に謎の大きな破裂音が響く。

 

『ガァァァ!!血が!?』

 

『ぐるんじゃねぇ!!ごのっ!』

 

 

人外達の声は覇気を失って怯えが混じってくる。

 

 

『ガハッ!?』

 

『お、おめぇ!来るな、ぐるなぁ!!グヒッ!?』

 

曲がり角を抜けて、ついに彼らはいた。

 

見た、刃が肩に当たり肉を抉る瞬間を。

姿勢を崩したオークの頭に刃物を振り下ろしトドメを刺した。

 

周囲にもう奴らはいない。

 

立っていたのは血まみれの人。

おそらく兵士や騎士じゃない。

 

 

「あ、」

「!」

 

僅かに漏れてしまった声にその人は振り向く。

ルシフェルを見た途端に深く頭を下げた。

 

動揺した気持ちを切り替える。

まずは確認から行う。

 

「……ここで何があったのか教えてください」

 

血まみれの人物は少し考える素振りを見せ答えた。

 

 

「オークが突然現れ街や人をを襲うので狩っておりました。街の皆さんは二十人くらいですが私の家で匿っています」

 

「その行いに感謝します!」

 

声から若い男性だろう。

鎧や兜は身につけてなかった。

鼻から上は包帯を巻いているのか、目元から特徴を把握できない。

 

「とんでもないです。……握られている槍から高名な方とお見受けしますがまだ獣が蔓延る現状、私は下賤な身分でございますがまだ襲われてる民の救助をお願いしても良いでしょうか?」

 

自らを下賤と言ったことが引っかかる、がそんなことを考える暇はない。人手はいつだって足りないのだから。

 

「はい。もとよりそのつもりです。お任せください」

 

「ありがとうございます。私も一旦身支度を整えて向かいます。ご武運を」

 

更に一礼して彼は走った。

 

身なりは私服で武器は剣ではない刃物。

鉈にも見えたがそれは彼が本来、国の防衛に関わらない守るべき臣民の一人なのだとわかってしまう。

彼は再度向かう旨のことを言っていた。

 

勝たないといけない、だから割り切って戦力と数えるのが最善。

 

ルシフェルは不甲斐なさを悔い、今一度気を引き締めて捜索へ出る。

同時にこの場はなんとかしたから先に行けと背を押されたと感じどこか頼もしさも覚えた。

 

 

 

 

捜索中に衝撃音がガンッ、と響く。

ここから近い。

 

上空からも何者がいるかわかった。

 

人の倍はある背丈、オーガだ。

それが見える頃には人の悲鳴が聞こえる。

 

『グハハハハ!効かんぞぉ!』

 

現在、兵士が応戦しているのを確認。

急いで向かう。

 

 

「く、クソが!」

 

兵士数人の振る剣撃がオーガに当たるも効いてない。

オーガはオークよりも屈強な種族のため並の膂力では傷つけるのも難しい。

 

『次はオレサマの番だな〜ウラァ!!』

 

大振りで繰り出される巨腕で横薙ぎの一振り。

 

「させませんっ!!」

 

ルシフェルの援護が間に合い槍で受け止めた。

凄まじい力だが楽園の騎士の力も以て受け止めれば巨腕が止まる。

 

『ヌッ!?』

 

 

「私がこのオーガを引き受けます!皆さんはオークの相手をお願いします!」

 

「わ、わかりました」

 

オーガは兵士達のことを気にもかけずにまじまじとルシフェルを見ている。

まるで品定めでもしているかのように。

 

兵士がオークと戦うために下がったことを確認し巨腕を槍で振り払う。

 

だがオーガはそれでもねっとりとした視線を向けたあと気色悪い笑みを浮かべた。

 

『お前とてもいいな。殺さずに可愛いがってやるぜぇ!』

 

「……浄化させてあげましょう」

 

『ふん、決めたぞ。まずはその口、オレサマのイチモツでしつけてたらぁ!!』

 

オーガが殴りかかろうと近づき拳を落とす。

 

『ウラァ!』

 

 

初撃は外れた。

続く手で一般の兵士では太刀打ちできない怪力を振り回しルシフェルは槍で力をいなし、捌く。

 

 

『かかったなぁ!』

 

 

怪物の巨腕と剛脚を捌く槍をタイミングよく掴み、握る。

エデンズリッターに有効かはともかくオーガの力を相手に人間では振り払えない。

 

『お前なんざコイツがなけりゃただのメスだ!!』

 

対してルシフェルは

 

惜しげもなく即座に槍を手放した。

 

『ふんっ、…は?』

 

槍を取り上げたと思ったオーガ。

視界には一面の炎が覆う。

 

「【ノーブル・イグニス】!!」

 

炎は呪文ともに広がり豪炎となってオーガの身を包んだ。

 

『ゴァァァ!?フザケやがってあ゛ぁぁぁ!!!』

 

「言ったはずですよ。浄化しますと」

 

『許さねぇ、ブッ殺す!!』

 

全身が燃え盛りながらも種族特有の高い生命力で襲いかかる。

 

生命の危機を認識してかオーガの下腹部が怒張しており、見えてしまったルシフェルは不快感が増す。

 

オーガの憤怒はしかし何にも届かず隙が増えただけでただ対処されるだけ。

 

燃え盛る化け物の最後は取り戻した槍で顔を殴られ力尽きた。

死骸は燃えて灰となり塵が飛ぶ。

 

 

オーガは倒した。

聖痕の疼きはまだ許容範囲。

 

市民の悲鳴よりも兵士の雄叫びが多くなり戦況は安定してきている。

 

戦いの夜明けも近い。

 




以下なんちゃってテキスト

ノコギリ鉈
歴史の闇に葬られた名家、アスフォディルの「仕掛け武器」

変形前はノコギリの刃が獣の皮肉のことごとくを裂き
変形後はトドメを刺せる力を秘めた長柄の鉈となる

遥か遠い地で獣狩りを象徴する武器の一つだったが、これはその模造品
贋作なものの出来は悪くない、ノコギリと鉈は獣へ振るえば確かに血が溢れ出るのだから
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