百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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27話

淫魔を討伐してその後、聖都や郊外に進軍してきた輩を倒したとして王城を中心に盛り上がった。

 

今回の襲撃事件に尽力したとして功労者の一人に自分の名前が出てくる。

しかし悲しいかな、主役級の活躍をした魔女はいない。

姿を変えて前線で戦ったというのにである。

 

魔女曰く、当の狩人(シルヴェール)はシグルドに雇われた傭兵ということにした。しかし個人的な理由からシルヴェールという人物はあの戦いにいなかったことにしてくれと騎士たちに頼んだ__とのこと。……それでいいのかな?

 

 

わかってるが空虚な気持ちになる。

割り切れない思いというものだ。

 

あと本物のシルヴェールから何かお問い合わせが来たらどう答えたものか。

いや〜知らなかったですぅ〜本当にいなかったのです〜?といってもすんなり受け入れてはくれないだろうし。最悪勝手に調査しそう。秘密を暴くのは時計住みの誰かさんもだめっていってた。

 

 

それと自分への街のみんなからの評価は恐れを知らず獣のような狩人(当人らは褒めてるつもり)と頑張った中では散々。

 

ヤーナム的な所作に問題があるのだろうと原因はヤーナムに丸投げする。

 

あら不思議、なんと溜飲の下がることか。

 

 

 

家の中とはいえ馬鹿な振り返りはここでやめよう。

ここからは高すぎる壁、あとストレスとの持久戦だ。

 

現在政治に深く関わることができない状況だ。

モノホンなシグルドは救国の賢者として最低限政治の舵切りに手を出せたが自分は賢者(笑)である。

この調子じゃそもそもテーブルにすらつけない。

 

魔司教ルドルフ攻略戦は手っ取り早くかつ安定した戦力が欲しいセシリィノエイン組とルドルフ絶対倒すという目的が合致したため出撃できた。

 

しかし今回の目標は他国と手を組むこと、これだと利害の一致どころか身分的や立場で口出しできる可能性は低い。

 

命を賭ける覚悟はできてる。

問題放置で滅亡だから後がないメンタル無敵状況なだけなのだが。

 

どうやって政治に関わるか……うーん……

 

 

『ご主人さまー!ニワトリちゃんの所に卵がっ!』

 

敷地の庭からイルヴィナの声が聞こえる。

声色には嬉しさがはっきり伝わってきた。

 

マジ?ニワトリが、本当に?

 

「え、ホント!?」

 

『大マジです!』

 

「これで自給自足がちょびっとだけできるぞ!」

 

『やりましたね!食費ちょっと浮きますよ!』

 

 

「あははは!」

『えへへっ!』

 

 

 

早速家を出て庭へ向かう。

行き先はさして広くない庭にあるニワトリ小屋。

 

その中を見る。

どれがガーリック1世ちゃん(イルヴィナ命名)か知らないけど……あった、たかが一個、されど一個。

でも確かに卵はあった。

 

てんやわんやでイルヴィナと喜びを分かち合う。

 

 

ニワトリもこちらが勝手に決めただけだが役割を果たしてくれている。

なら、自分とてそうでなくてはならない。

 

 

例えなにがあっても、例え信じてくれた者から蔑まれたとしても突き進まねば。

__だからノエインさんには少々腹を括って欲しいな☆

せめて一蓮托生くらいには、はははっ!

よくもあの姉妹様を押し付けてくれてたんだから一緒に地獄へ来てくれ。なに、心配しなくても地獄行きのチケットはきっと二人分でもタダでくれるさ。

王女様には申し訳無さが勝つので地獄は回避して、どうぞ。

 

 

 

✕✕✕✕✕✕✕✕

 

聖騎士団宿舎にて

 

 

聖騎士団の団長、ノエインは書類仕事に追われていた。朝早くからぶっ通しで署名のサインと承認のスタンプを繰り返す。不手際がないか内容を確認してその上で、だ。

 

戦後即デスクワークデスマーチという環境。しかし、彼女は意外と元気そうである。

誰も(みんなとはいってない)が傷つかずに聖騎士団の優良問題児×2を護衛兼仮の部下として押し付けることができた。だから今が大変なのに変わりないとしても精神状態は悪くない。

 

腕っぷしと見てくれだけは文句なしの部下だからちょっとくらい頭や思考回路が不器用でも許してくれると自分に思い聞かせればあまりの心の軽さになんとも思わなくなれる。

 

 

(数日前からずっと紙束と向き合ってるが__)

 

仮眠で一眠りすればあれよあれよと書類が増えていく。

補佐を使い予め問題のある書類を弾いても最後は自分で見直すため時間がかかるのに戦後処理で嵩む。

 

ただでさえ穢らわしい化け物が襲撃してくるトラブルがあるのに内政に目を向ければため息しか出ない聖騎士団の資金繰り、コウモリもびっくりのどっちつかずな貴族、他にも様々。そんなストレス過重な職場でも懸命に作業をこなす。

 

 

 

 

『失礼します団長!手紙が来てました!シグルド小隊長から団長宛です』

 

ドアの先から声がした。部下の騎士だ。

 

「わかった。今行く」

 

椅子から立ち上がり部下の持っている手紙を受け取った。質素な横広い封筒、それ以外印象はない。

 

差出人は部下の言ったようシグルドから私宛だった。

 

(さて、どんな手酷い呪詛が綴られてるものか__)

 

内容をクレームの類いと思い少し躊躇いながら封を開けて中身を取り出す。

 

中身は二つの手紙。

一つは予算申請の申請書でルンシャット、シャンシャット関連の経費などについて。丁寧に用途と金額を記載した書類であった。

もう一つを開く。

 

「………」

 

ノエインの表情は二通目を目にした途端、険しくなる。

別に悪口や呪詛、他に酷いことが書かれていたわけではない。それぐらいであれば笑い飛ばせるからだ。

 

シグルドが手紙で伝えたい要点をまとめると『他国との国交について一計ある』。つまるところ政治に口出しをしようとしている。

 

記載内容としてはなぜ過去に国交を結ぼうとしたガルベリア皇国に断られたのか、具体的な国交樹立までの行動案があった。

 

(一応表立って公開してる情報だがそれでもよく集めたものだな。内容も一部かなり際どい。動向をある程度詳しく知ってるとなれば、ブンドゥスにでも見られたらあの手この手で監獄行きだな……奴にとってシグルドが活躍するせいで出し抜かれるのが恐ろしい故に)

 

 

 

シグルドからの手紙を読み終えて再び書類作業へ戻りデスマーチを再開。

彼に対するノエインの答えは保留だ。

単純に自分の判断だけでは手に負えない、体調の芳しくない王に代わって政務をこなすセシリィ王女へ報告して決める他ない。

 

ただシグルドの意見を通すとなれば彼の立場も聖騎士では疑問がある。

騎士は防衛を担うのであるからそれ以外は基本いらない。

 

それよりも権力がある王女に近い立場で意見をさせる必要が出てくる。

自分の配下として所属する彼の提案を賛同する立ち位置よりも王女側に立つ彼を支持する方が体では自然な決議になるだろう。

 

 

(近年体勢が大きく変わったガルベリア、増える魔の連中を相手取るには組まなねばならない。……そうだな)

 

ここで一つ案を思いついた。

シグルド・アスフォディルの素性を洗い出す過程で知り得たそこそこの技術開発の功績と数回の戦闘で挙げた武勲を利用して賢者に仕立て上げてしまおうと。御輿作りである。

 

聖教会所属の人間にも彼の使命を聞かせればおいそれ反対できない。

身内の中で神を否定した異端がまだどこかで生きているから抹殺する、彼が耳にした噂の真相はどうあれ実に信心深い使命だ。

 

(何にせよ話はあの姉妹から聴いておくか、ブンドゥスらにも整合性があるようには最低限見せなくてはいけないものだしな)

 

事情と思惑の確認がまず何より必要なのだから。

決して部下を押し付けたことを申し訳なく思ってるわけではない。二人とも優秀である。

それはもう団長にも余る程には。

 

 

 

 

 

その日の夜、仕事を済ませたノエインは小さな光を灯して返信の手紙を本人宛ではないが書いていた。

 

話半分だが一応シャット姉妹経由で聞くこと、つまり姉妹への命令書を送ったのだ。

 

 

 

 

時は経ちシグルド宅。

命令書が姉妹のもとへ届いた。

 

 

「「………」」

 

宛先がシグルド宅だがヌヴォール家、姉妹の家名を指定している送付物を開くルンシャットとシャンシャット。ならばまず開けるのは二人である。

 

「__シャン、大変だわ」

「えぇそうですね。これは、」

 

「逢引!」

「恋文!」

 

「「すなわち寝取られ!!」」

 

誰もいないところに視線を向ける。当然誰もいない。

 

「まさかノエイン様が仕掛けにくるとは!」

「他人の狙った人が欲しいなんて聖騎士団は何を教えてるのでしょうねお姉様!既に3等分ですのに!」

 

 

 

「……と、冗談はここまでにして早速取り掛かりましょうお姉様。」

 

「とりかかるって?…シャン?」

 

スッと表情を無にしてシグルドの部屋へとスタスタ歩く妹のシャンシャット。それを追いかける姉のルンシャット。

 

「いえシグルド隊長(臨時)への聞き取りです。なにせこの指令書ですから」

 

「そ、そうだったわね。聞き取りね……」

 

そしてシグルドへの尋問のため、二人はこれから準備を始めるのだ。

とりあえずシグルドを寝たままベットから連れ出すことにした。

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