百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる   作:レンガチェッカー

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第5話

 

尻を狙われてからおよそ三日経ったある日、一通の手紙が届いた。

 

送り主はエルアラド聖王国の王女様。

 

屋敷の使用人?イルヴィナと中身を読む。

 

内容は淫魔討伐にあたり活躍したことへの礼をしたいとの文面を確認できた。

名前バラしたもんだから住所まで割れちゃうと。

 

王族に嘘つくなんてできないし仕方ないね。

不敬ぞ不敬。

 

「さて、どうしたものかな?」

 

「デートですか?顔もスタイルも知らないお相手さんとなんて」

 

「デートではない。なぜなら王女様はホの字の相手が既にいらっしゃる。」

 

「ほうほう、そのお相手は?」

 

口は災いの元などという言葉がある以上答えない方がいいだろう。

イルヴィナはいい子だけど頭のネジはちょっと緩めなので。

騎士団のムチムチお姉さんとイチャイチャしてるとかちょっと言っちゃいけない相手である。

同性でもイケるクチらしいし。

 

「身分の高い人さ」

 

「まぁそうですよね。ご主人さまは不安定収入、パッとしない身長、まぁまぁの学力ですし。イルヴィナちゃんは気にしませんが」

 

「おっふ」

 

事実を並べられただけなのに心が痛え……

稼ぐときは稼ぐぞ……誰もいない家のもういない家族の脛を齧って。

 

「ぐ…とりあえず礼を言ったるので聖都まで馬車寄越すから乗ってこいやってことよ」

 

「お礼でしたらこの手紙だけでもいいんじゃないですか?」

 

「セシリィ殿下は誰にだって親切にしてくれるんだよ。例え宗教的にアウトなことを言った一族でもな」

 

アスフォディル家はかつてやらかしたアフォのせいで実質お家取り壊しになった。

肝心のアフォは今この国にはいないが生きてやがる。

 

「へー。やっぱりデートという線は「ない」さいですか」

 

どんだけデートにしたいんだ。

 

「行かなきゃならないんだろうけど行きたくない」

 

「まるで〇〇〇〇みたいですね。イカないといけないのにイキたくないなんて」

 

「はいはい。一週間後にするらしいが他にも戦った兵士も表彰されるだろうし備えるだけ備えるか」

 

 

________________

 

一週間後

 

聖王国最大の都市、聖都の王城にて淫魔討伐で労う集会が開催された。

 

参加者はなんと王女殿下とエルアラド聖騎士団団長と豪華な人達(二人)と記録係、見張りの兵士数名だ。

なんでやねん。

 

血税を国民一人のために削るか?

せめて他の兵士への労いは?

 

 

「本日はこの場に来ていただきありがとうございます」

 

謁見タイムが始まった。

玉座の前に立つ王女へ全力で平服の姿勢を取り服従してるアピールをする。

 

「はっ!」

 

なるべく視線を合わせず下を見ることで王女殿下のナイスバディを見ないように注意を払う。

邪気退散、煩悩退散。

 

入った瞬間に騎士団長がなんか不機嫌な様子なので全力で下向きへつらいをしてやり過ごす。

 

本当はこの時間なんかキャッキャウフフする時間だったのかもしれない。

申し訳ない。

 

「城へ招待した理由は事前届けた文に記載しているとおりです」

 

「はっ!このような場へお呼びしていただき感涙にむせぶ思いでございます」

 

「でしたらこの場を設けた甲斐がありました。面を上げてください」

 

王女殿下を見てはいけない。

あのナイスバディが目に映した暁には首がなくなるぞ。

 

見るなら王女殿下の少し上あたりキラキラな金髪でも見ればいいのかな。

 

「はっ!」

 

兼ねて乳を恐れ給え。恐れ給え。

見たら死刑、見たら極刑。

 

耐えた、耐えたぞ、耐えてみせたぞ……

 

「シグルド・アスフォディル。過去に神の教えに背く罪を冒した一族に連なる者、その罪を流した血と汗を以て赦しとしアスフォディルに対し名家としての再興を認めます」

 

「!?……はっ!」

 

名を聞かれた時点で素性を知られることはわかっていたがそうなるか!

なぜ?

 

だが駄目だ。

それでは振り切れない、傷があるからこそできる縁だってある。

 

痛みを知るからづけづけ心に入れる相手がこの国にはいるのだから。

彼らとも組まないとケダモノやゼノバイドは退けるのは困難だ。

 

「殿下、殿下は我が一族が背負った罪の償いができた、とおっしゃりましたがその点で一つ伝えたいことがございますので申し上げてもよろしいでしょうか?」

 

言い終えた途端、殺気が身に伝わる。

寒気に近い感覚が前方から襲う。

 

犯人は聖騎士団団長、ノエインだな?

セシリィの前で采配に絶対だから無駄口を叩くなと伝えたいのか?

できない。

それはできない相談だ。

全てを振り切るためには歪んだ理不尽な罪が必要なときもある。

とりあえず言い訳の体は……アイツがいたな。

 

 

「許可します」

『殿下!』

 

小さい声でノエインが止めようとするが手振りでセシリィが制す。

 

「……ありがとうございます王女殿下。我が一族で直系はこのシグルド・アスフォディルただ一人です。しかしアスフォディルに連なる者が自分以外にもう一人、我が一族が崩壊した元凶、神を愚弄する罪人が今もどこかでのうのうと生きております。彼奴の命を以て償いとしない限りアスフォディルに明日はありません。願わくば試練を課していただくことはできませんでしょうか!」

 

どうなる?

まず神がいたとしてもわざわざお家一つに神託なぞ下すものか?

もとよりお家取り壊しだって最初から政治、教会の思惑だろう。

罪の許しは心優しい王女様の采配だとしても。

神がたった一人の人間から否定された程度で神罰など下すほど情け容赦ないなんてありえない。

 

そしたらゼノバイド教団のメンツなぞとうに冷たい土に埋まってるはずだ。

 

「どなたか教えてくれますか?」

 

「ゾズマという男です。定かではありませんが処刑されたあとにまだ生きていると情報を耳にしました」

 

「……なに?」

 

セシリィよりも先にノエインが反応を示す。

 

「性質は姑息で悪辣。神の御業で死を免れるなどありえない人間です」

 

「……」

 

セシリィは思考する。

罪の赦しと処刑されてなおどこかで生きているらしいゾズマについてを。

 

罪の救済は彼が望まず、それが一時的であれば方法はある。

アスフォディルの人間が王女の言葉に耳を傾けなかったのでその罰を王女直々に執り行うとすれば神命という言葉を使わずに赦しを保留可能。

罰は形式上、期間を開けて直々の叱責でいい。

開けた期間で試練なるものを達成後、再度赦しの言葉を伝える。

 

彼の意見を尊重したいセシリィはこれを採用する。

 

問題はゾズマなる男。

 

アスフォディルは神の存在を否定した。

シグルド曰くその元凶、奇跡など起きない。

 

確定ではないが本当なら大罪人を野放しにしていることになる。

裁判、投獄、処刑に関わった部署の調査を依頼しなくてはいけない。

 

ただ既に処刑は終わっている。

証言だけで依頼を出せるか、また処刑された以外の記録が残っているだろうか?

 

「_わかりました。しかし神託はまだ届いておりません。仮にシグルド・アスフォディル、貴方には王族としての私の言葉を受け入れなかったその罪、一度期間を開けて刑を下します。刑罰は情状酌量の余地を考慮し短時間の叱責形式を予定し、執行は元死刑囚ゾズマの生死判明、死亡確定後とします」

 

「ははぁーっ!」

 

 

劣化シグルドは既にゾズマの行方は把握している。

やつはそろそろ悪事に身を乗り出す。

 

その時に自分が現場へたどり着いているかは疑問であるが。




どうでもいいテキスト

シグルドの散弾銃

エルアラド聖王国には僅かしかない私製銃の一種

金属の散弾を射出する関係上、対象が動く場合にも当てやすい

狩人シグルドがまだ無名だった頃によく使用していた散弾銃で、火力は乏しく獲物を仕留める火力はなかった
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