生まれ変わったら三つ子の末っ子だった、、、 作:ただの村人
お母さんが初ドラマデビューを果たしてから一ヶ月。その間お母さんはというと、ドラマの撮影を結構な頻度で撮りに行っていて、漸く今日がオンエアーの日みたい。
「さ! オンエアーだよ! けっこう撮ったからね」
「ママの演技楽しみ!」
今はリビングのテレビの前に左から、お母さん、お姉ちゃん、私、お兄ちゃんと並んでいて、もうすぐで始まるお母さん出演の学園ドラマが待ち遠しい気持ちでいっぱいになっている。
ニュースが数分流れてニュースキャスターが終わりの言葉を口にすれば、いよいよドラマが始まった。
撮影の現場に何度か私たちも同行していたから一度生で見てはいるんだけど、それでもお母さんの演技を楽しみにしている自分がいたりする。
「あっこのシーンだ!」
お姉ちゃんがテレビに指をさす。
ドラマも中盤に入り、丁度教室の場面に移り変わったところ。可愛すぎる演技派女優がアップで映された後に、お母さんがドアから教室の中に入ってくる。
「あっママ!!」
「もっと大きく映せ!!」
両隣にいるお姉ちゃんとお兄ちゃんはテレビに向かってヤジを飛ばしていた。かくいう私も、何も思わなかったわけではない。
お母さんのシーンの時だけカメラ引きすぎじゃない?
でも、お母さんのシーンはここだけじゃない筈だから、次のシーンがどうなってるかだね。
そして、ドラマはいよいよ終盤になりその後お母さんが再登場するわけでもなくそのままEDが流れた。
「え?」
これだけなの?
私の記憶が正しければ、お母さんはさっきのワンシーン以外にも結構な数撮ってたと思うんだけど。
お姉ちゃん、お兄ちゃんも同じことを考えていたみたいで、愚痴をこぼしていた。
「えっこれだけ!?」
「ワンシーンちょびっとじゃん!!」
驚くお姉ちゃんとお兄ちゃん。
お母さんの方にチラッと目をやると、どこかしょんぼりしてる様子だった。……可哀想。
「私えんぎヘタだったのかなぁ」
「そんなことないよっ」
お母さんは演技がヘタだったのかな?と落ち込んだ様子で、お姉ちゃんがそんなことないと慰めていた。
私もお母さんの演技は悪くなかっと思うし、何でほとんどのシーンがカットされてるのか検討がつかなかった。
「お母さん元気出して?」
「ありがとう、ヒスイ」
あまりにもお母さんが可哀想に見えたので、座っているお母さんに背伸びをして頭を撫でてあげたらお礼を言われた。
早く元気になって欲しいなぁ。
そういえばだけど、お兄ちゃんって何処に行ったのかな?と辺りを探してみたら、お兄ちゃんは私たちから少し離れた場所で背中を向けて、誰かと電話をしていた。
「ちょっと監督! アイ全然使ってないじゃん!」
お姉ちゃんがお母さんを慰めている間に、お兄ちゃんの側までそっと近寄ってみると、どうやら監督に連絡をとっているみたいだった。
何でお兄ちゃんが監督さんの連絡先持っているんだろう。気になったけど、今はお兄ちゃんたちの会話を聞くのを優先させた。
なんか、盗み聞きしてるみたいで……してるんだけども。悪いことしてる気分になってくる。でも、わざわざ監督に電話掛けたってことは何か交渉するのかもしれないし、気になるじゃん!
「じゃあどうして!!……何それ、納得いかない」
電話の音量が小さいから、監督さんが何を話してるか聞き取る事ができないけど、内容的にお母さんの演技は問題なかったとかかな?
……お兄ちゃんも納得いかないって言ってるし、今回のお母さんのシーンが結構削られてたのは上の判断だったりして。
「えっマジで!」
私がお兄ちゃんの話している言葉から内容を推測していると、突然お兄ちゃんが大きい声を出した。
びっくりした……。
何か予想外のことでも起きたのかな?
――数分監督と話し合いをしていたお兄ちゃんがひと段落ついたのか、耳から携帯を離して通話の終了ボタンを押した。
「ところでヒスイ、さっきからそこで何やってんだよ」
「ん? 普通に気になっただけだよ?」
お兄ちゃんは私がいることに気づいていたらしく、通話が終わると同時に振り返ったと思ったら、ジト目でこちらをみてきた。
「だからって、盗み聞きはよくないぞ」
「ご……ごめんなさい……」
ジト目のままのお兄ちゃんに正論を言われてしまった……。
私が完全に悪いから反論とかは何もないけど、それでも怒られるのはちょっと悲しいなぁ。
「別に怒ってないから、そんなに落ち込むなって」
「ほんと?」
「ほんとだから!」
どうやら感情が顔にも出てたらしく、お兄ちゃんはどこか慌てた様子で近寄ってくる。
怒ってないって言う人って大体怒ってると思うんだけど、ほんとかな?
気になったので、ほんとなのか確認したらほんと!ってお兄ちゃんが言ったので私もほんとだと思うことにした。
後慰める為なのか、頭を撫でてくれたのがちょっと嬉しかった。お兄ちゃんが頭を撫でてくれるの、実はこれが初めてだったりする。
「それで、何が気になったんだ?」
「監督さんと電話してたみたいだったから……」
「あー、それな」
頭を数分間撫でられて、気持ちも落ち着いてきた頃にお兄ちゃんから何が気になったのか聞かれたので、素直に監督との電話の内容だと伝える。
お兄ちゃんからの説明を聞くと、やっぱり、今回のお母さんの出演シーンが大幅カットされてたのは、大手事務所の顔が可愛すぎる演技派女優よりもお母さんの方が可愛く映ってしまったかららしく、演技とかの問題ではなかったみたい。
出演時間というものは事務所間のパワーバランスに影響されやすいみたいで、監督からは事故にあったと思えとの事らしい。
「それはお母さんが可哀想」
「だから、俺も納得は出来ないって伝えたんだ、そしたら俺が出るのを条件にアイの出演も約束してくれるそうだ」
「そうなんだぁ」
監督もお母さんの件に関しては何処か思う事があったらしく、お兄ちゃんが出演する交換条件の元お母さんの出演も急遽決めてくれるそうだ。
へぇ、お兄ちゃんが出演ねぇ。
……出演? お兄ちゃんが?
「……お兄ちゃん映画出るの!?」
「だからそう言ってるだろ……」
「頑張ってね!」
お兄ちゃん、表情を余り変えずにスラスラと説明するから気付かなかったけど、お兄ちゃんも映画に出るんだ。
お兄ちゃんに頑張って!とエールを送ったけど、本当は出たくないのか、嬉しさと困惑の混じったような表情をしていた。
◇ ◇ ◇
お兄ちゃんの映画が出演が決定したと言うことで、今日はその撮影の為に現場へと向かっているんだけど。
映画の内容は自分の顔に自信のない女性が山奥の怪しい病院で整形をするというものらしい。
ミヤコさんの運転で揺られること数十分。
現場に着いた私たちを監督さんが出迎えにきてくれた。
「よくきたな、早熟ベイビー」
そう言ってお兄ちゃんの頭をワシワシと雑に撫でる監督。早熟ベイビー?ってあだ名、一体どんな経緯で付けられたのかな?
……大体の予想は付くんだけどね。どうせお兄ちゃんの事だから、監督を目の前にめちゃくちゃ喋ったとかだろうなぁ。
暫くジト目でお兄ちゃんの方見てたら、目を逸らされた。絶対図星だ!
「それで、そこの二人は?」
「俺の妹たちですよ」
監督がお兄ちゃんの頭を撫でるのをやめ、私たちの方へと目線を移した後、お兄ちゃんにこいつらは?と問いかける。
私たちは今回の映画に出演すると言うことはなく、着いてきたのは単純に家に誰もいないからだ。そうなると育児をする人間がいない為、ミヤコさんが仕方なく私たちを連れてきたんだけど。
――監督、こちらをジロジロみるのやめてもらえませんかね?強面の顔で見られると、少し……大分怖いんですけど。
「お前名前は?」
「わ、わたし?」
「そう、お前だ、お前の名前だ」
「
こちらをジッと見つめた後、監督が名前を聞いてきたので少し怯えながらも答えた。
「そうか、それでそっちのお前は?」
「
「……いや、何もねぇよ」
私が名前を答えた後に今度はお姉ちゃんの名前を聞いた監督。
私たちの名前を聞いた監督は特別に何か私たちにあれこれ言うこともなく、現場まで案内するから着いてこいとの一言だけ。
一体何だったのか分からないまま、私たちは監督の案内の元現場へと向かった。
投稿が遅れすみません。
今思えば、愛久愛海と瑠美衣と緋珠依って星野家の名前のインパクトが凄いことになってる。
また次回もお願い致します!