織斑一夏はSAO生還者   作:明月誠

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さて、いよいよセシリア戦も終盤です。
俺の考えた、最強スキル(笑)も設定に出ますが、まぁおまけ程度に考えて下さったら幸いです。

と、言いますか……突っ込まないでね!? フリじゃないよ!! 考察は止めてね!!?

と、あらかじめ表記しておきます。真面目に考察されても、答えられないと言いますか……そう、作者にとっても未知のスキルなんです(汗



第十三話・重なる世界

「零落白夜、それがかつて織斑教官が使っていた単一仕様能力だ」

 

ある一室で、眼帯の銀髪の少女・チンクはチナツにそう話を切り出した。

 

「だから、リアル情報を安易に言うなよ」

 

「堅い事を言うな。ここは私達しかいない、ギルドホームではないか」

「いや、そうだけどさ」

「そう、二人だけだ! 二人っきりだぞ!!」

「なんで何度も言うんだよ?」

「(……アスナ、二人っきりをアピールしてもチナツは無反応だぞ……)」

 

アインクラッド、第32層・サマワン。ここには、二人だけのギルド・サマーラビッツのギルドホームがあった。とは言え、二人きりのためそんなに大きくなく、実質二人のアインクラッドでの家と言う感じであった。

ぶっちゃけると、同棲だ。これで付き合ってないとか、イッピーは(略)

 

「さて、話を戻すぞ。教官は、この能力を雪片と共に駆使して世界の頂点まで登り詰めた」

 

その言葉に、チナツは自分の腰に下げてある剣を見つめる。姉が使っていた武器と同じ銘を持つ剣を。

 

「零落白夜の能力は、ざっくり言えば自身のシールドエネルギーを対価に相手のシールドエネルギーを切り払う能力だ」

「それって、ようは……」

「そう、奇しくもその能力は、お前が手にいれたユニークスキル・薄命剣に酷似している」

 

薄命剣。それが、つい数日前チナツが手にいれたエクストラスキル……おそらくは、チナツしか持っていないであろうユニークスキルであった。

 

「分かってるって、チンク。もう使ったりはしないからさ……。な、泣かせちまったし」

「な、泣いてないぞ、馬鹿者!!」

「いや、思いっきり泣いてたぜ?」

 

薄命剣の能力は、攻撃対象の防御・耐性の完全無効攻撃である。その攻撃力は、あまりに強力でボス相手であろうと明白にHPを減らすことができていた。だが、同時に攻撃を発動した瞬間自身のHPも減少すると言う弱点も存在していた。

ボスモンスターはほとんどがプレイヤーよりも高いHPを持っている。そんなモンスターとチキンレースをした場合勝つのは当然モンスターである。

ならば、継続回復効果を自身に付加すれば、防御力を上げればなどと思ってしまうのだが、このスキル発動時にはあらゆる状態変化は無効化されてしまう。HPを回復させたくば、一度下がりスキルを解除しなくてはならなかった。

つまり、自分のHPを気にしつつ、どんな攻撃も回避しなくてならないという、ピーキーなスキルであった。“薄命”剣などという、不吉な名前も納得だ。

だが、チナツは危機感よりもその能力に酔ってしまっていた。

自分だけの特殊な力、強さ。それを見せびらかすかのように、知人たちを誘いクエストボスへと立ち向かった。

 

たしかに、チナツは活躍した。ボスのHPの5割を削るという快挙を達した。だが、戦闘終了後待っていたのは仲間たちの称賛ではなかった。それどころか、キリトに思いっきり殴られた。『何を考えているんだ!』と。

どうして、自分を認めてくれない!!

チナツは、殴られた意味が理解できずその場を去り一人迷宮区へと挑んだ。一人で、その層のフロアボスを倒せばきっと認めてくれると信じて。だが、待っていたのは死を覚悟する瞬間であった。それを救ったのは、チンクであった。

泣かれた、思い切り泣かれた。そして、何度も言ってくれた。『無事でよかった』と。

その時気が付いた。自分がどれだけ、軽率な事をしたのか。どうして、キリトは自分を殴ったのかと。それに気が付くと、彼は何度も何度も謝った。

……またキリトに殴られて、おまけにアスナにビンタをくらったが。

 

「違う。私は、確かにお前がいなくなるのが怖かった」

 

だが、と言って彼女は話を続けた。

 

「それは、=(イコール)もうあのスキルを使うな、ではない」

 

確かに、死をも恐れず逆上せあがったチナツは、いつ本当に死んでしまうか恐ろしかった。だが、それでも姉と酷似しているそのスキルをチナツが手に入れたのはどこか運命のように感じていた。

 

「織斑教官は、公式戦に置いて不戦敗を除けば無敗を誇っていた。その意味が分かるか?」

 

それはつまり、その諸刃の剣ともいえる能力を駆使しながら一度たりともシールドエネルギー全損をしなかったという事。

 

「チナツ。確かに今のお前に、そのスキルは危険だ。だからこそ……お前も、教官を誇りに思うなら、尊敬するのなら、いずれ護りたいと願うのなら」

 

例え、そのスキルがSAO限定の能力であったとしても。

 

―強くなれ、チナツ。そのスキルを使っていても、私が安心して共に戦えるように。誰よりも、キリトよりも強く―

 

 

 

 

 

一夏は、自身の武器・雪片弐型と単一仕様能力・零落白夜の情報を確認しながら、かつてアインクラッドであった会話を思い出していた。

 

「(こんな事ってあるんだな)」

 

若干作為めいたものを感じると言えば事実だが、それでも何か運命的なものを感じていた。あの、アインクラッドでだけ許された武器が、能力が今自分の手に握られている事に一夏は言いようのない安心感であふれていた。

 

「(不思議だ。雪片の形なんてほとんど共通点がないのに、名前が分かった瞬間・アインクラッドの雪片が帰ってきたかのように感じてしまう)」

 

不思議な気分であった。今まで感じていた仮想世界でのギャップが一気に吹っ飛んだ気分であった。まるで、あの頃のSAO攻略組・チナツに戻ったような気分だった。この現実世界である。

 

「(なにが、『勝てるとは思ってない』『実力を認めさせる』だ。いつの間に俺はそんな弱気になったんだ)」

 

気が付けば、そんなことまで考え始めていた。彼の気分は高揚状態となっており、瞳には先ほどまでの実力を認める程度の健闘目的のそれではなかった。

 

「(戦うからには勝つ。そうじゃなきゃ、強い奴だなんて言えない)」

 

一夏は雪片を握りしめながら考える。かつての最大の仲間を。

 

「(そうだよな、チンク)」

 

彼は、力強い瞳をしたままセシリアを見上げた。その強い瞳に思わず彼女はたじろく。

 

「オルコット!!」

「な、なんですの?」

「やっぱり、ハンデくれ!!」

 

そして、勝つと誓った瞬間、とんでもなく情けないと言うか、卑怯と言うか、卑屈と言うか、そんな事を言い始めた。

 

「……はい?」

 

その言葉に、思わず呆けてしまうセシリア。セシリアは聞けば否定するであろうが、すでに内心一夏の実力を半場認めている。自身のビットを4機撃破したその腕をマグレと言うのは、自分の腕もマグレで潰される程度である事になるからかもしれないが。

 

「ふ、ふざけてますの!? そんなの断じて認められませんわ!!」

「別にいいじゃんか。何もお前に制約をつけたいとか言う訳じゃないんだからさ」

「なら、どうしたいと言うのですの?」

「オペレーター」

「は?」

「だから、オペレーター。一人欲しいんだ。駄目か?」

 

それぐらいならば、別にかまわなかった。しかし、それには問題もある。

 

「そ、その程度なら構いませんが、今は試合中でしてよ? すぐに用意できますの?」

「おう。調度いいのが今ピットのモニターで試合見てるし」

「なら、早くしてくれません事。あなたの事情にいつまでも付き合う気はございませんから」

「あぁ、悪いな」

 

そして、一夏は未だにピットの発射口付近から自分を見つめる箒を見た。

 

「箒ぃーッ!! 箒ぃいい!! ほうきぃいい!!! ちょっといいかぁッ!!!」

「大声出さずに、プライベートチャンネルで通信しなさいな!!」

 

恥ずかしげもなく、大きな声を出す一夏に思わずセシリアは一喝したのであった。

 

 

 

 

 

「あのバカ、なにをやっている」

 

千冬は弟の奇怪な動きにため息を吐いて呆れていていた。

 

『システムコール・プライベートチャンネル!!……やっぱ駄目か』

 

画面越しでは、一夏がプライベートチャンネルとやらをしようと四苦八苦していていた。その行動があまりにも滑稽であった。

 

「篠ノ之」

「なんですか?」

 

顔を真っ赤にして俯く箒に千冬が話しかける。

 

「後で二・三発殴って良いから、こちらに来い。此方からチャンネルを開く」

「はい」

「(さらっと、とんでもない事を話してますッ!?)」

 

でも内心、仕方ないなぁと思う真耶であった。

 

「何の用だ、一夏」

『お、繋がった。って、なんか怒ってないか?』

「あとでな」

『なにが!?』

 

怒り心頭の箒を不審に思い質問するが、何か含みのある切り替えしに思わず危機感を感じてしまう一夏であった。

 

「まぁ、いい。それで何の用だ」

『さらっと流すなよ。後が怖いんだが』

「それで何の用だ」

『繰り返し!? NPCかお前は!?』

「いいから早く言え。オルコットも不本意だが待たせているのであろう」

『あぁ、そうだけどさ。んじゃぁ、言うけど俺のオペレーターをしてくれないか?』

「そ、そう言って私を選んでくれるのは嬉しいが……」

 

その言葉に、箒は嬉しくも思いつつも、しっかりと答えれなかった。

 

『心配しなくても、そんなに難しい事を頼むわけじゃないさ』

 

彼は、零落白夜の特性を話し始める。

 

『白式の零落白夜の能力は、簡単に言えば自分のシールドエネルギーを犠牲に相手のシールドエネルギーを切り裂く能力だ。必然的に、エネルギー消費が半端じゃない』 

 

本来ならば、自分のエネルギー残量を逐一確認しながら戦闘を行わなくてはならない。だが、今の一夏はISを本格的に動かして日も短い。故に一夏は、急速に減るエネルギーを自分が確認しながら戦うのが困難であると考え始めたのだ。

そこで一夏は、エネルギー残量の定期的な報告をオペレーターとして箒にしてもらうように頼んでいた。

 

『だから、頼めるか。箒』

「わ、私でなくても、千冬さんや山田先生が……」

『流石に教師に頼むわけにはいかないだろ』

「そ、そうだな……」

 

その言葉に、箒は若干落ち込んだ。結局は、この場に自分しかいなかったから一夏はオペレーターを自分の頼んだのだと。

 

『ま、仮に千冬ねぇ達ができても、箒に頼むけどな』

「え?」

 

だが、一夏のその言葉に箒はドキッとした。ついでに千冬はグサリと傷ついた。

 

『この一週間、俺を支えてくれたのは箒とミーナさんだ。そして、一人ぼっちでIS学園に来てた俺を助けてくれたのは箒だ』

「わ、私は何も……」

『したさ。いてくれた、それだけですげぇ心強かったぜ』

 

だからこそ、箒に頼みたい。一夏はそう締めくくった。

 

「……分かった。山田先生、席を借りてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい。いいですよ?」

「ありがとうございます」

 

今までモニター前に座っていた、真耶に椅子を譲ってもらい箒は画面に映る一夏の情報へと意識を集中させる。一夏があれほどまでに自分を買ってくれたのだ。ならば、せめてしっかりと与えられた任を果たしたかった。

 

「報告頻度はどうする?」

『30%切るまで10刻み、その後5刻み。んで、10以下になったら1刻み……』

 

一夏と箒は詳細を簡潔に決めていく。そんな中、千冬はある疑念を出す。

 

「(何故、零落白夜の特性をそこまで理解している?)」

 

単純に調べた? だが、それにしてはまるで懐かしい物を扱うような雰囲気だ。そうだというのであれば一体どこで? そこまでいけば、千冬は嫌でも答えを出してしまう。

 

「(私の知らない2年半で何を経験したのだ、一夏……)」

 

自分なりに折り合いをつけた筈のSAO。しかし、未だにその世界で何があったのか聞けない自分がいた。千冬はそんな自分の弱さを少し感じていた。

 

『よし、じゃぁ試合再開といくか』

 

いつの間にか、一夏達は話し合いを終え試合再開へと話を持っていっていた。一夏は、再びセシリアへと視線をやる。

 

『何度も悪いな、オルコット。正直助かるよ』

『ふん、別に構いませんことよ。“色々やっても結局敗北”という事実は変わりません事ですし』

『そうか? 結構善戦していると思うんだけどな?』

『あ、あんなの! 素人的な考えに意表を突かれたにすぎませんわ!! 所詮猿知恵という事をこれから思い知らせて差し上げましてよ!!』

 

その言葉とともに、セシリアはレーザーライフルを構える。そして、一夏はエネルギーブレードへと変わった雪片を構える。

 

『そうか、なら俺は……俺達は、信念を見せる!! いくぜ、箒!!』

「あぁ、任せろ一夏!!」

 

そして、今度こそ本当に第二ラウンドが幕を上げた。

 

 

 

 

 

「どうしましたの!? 避けることしかできませんの!!」

「くそッ!」

 

再開した闘いは、一夏の防戦一方であった。理由は先ほどまでとは状況が違ったからだ。

 

「(機動戦になると、やっぱり俺の方が不利か!!)」

 

理由は先ほどまでと違い、セシリアがビット攻撃ができないのが理由にあった。一見この言葉だけを聞くと一夏が有利に感じてしまうがビット操作をしないという事はセシリア自身が一夏を追って動き回れることを意味していた。

結論から言えば、一夏にとっては4機のビットから追われるよりもセシリア自身が追ってくる方が脅威になりえた。

ビットよりも複雑な動きをセシリアは行っており、例えるのであれば、ラジコンを動かすよりも生身の人間のほうが複雑に動けるのと同義である。

さらに言うのであればこの状況は必然でもあった。ISの単純な起動時間をセシリアは軽く300時間を超えているのに対し、一夏は精々10時間程度である。もっと言うのであれば、セシリアのIS適正ランクはAであるのに対し、一夏はB判定を貰っていた。

以上の条件から、純粋な機動戦に発展した今、一夏が不利なのは明確であったのだ。

 

「(オルコット自身が動くだけで、こんなに不利に……。予測線が見えてるのに避けきれ……ッ!?)」

「そこですわ!!」

「くそ!!」

 

左足を狙われ、一夏は咄嗟に足を上げそれを避ける。

そして、理解した。先ほど避けれたのは、セシリアが静止した位置から撃ち出すスナイパーではなかったため。機動戦に置いて、弱点と思っていた正確射撃は強力な武器であったのだ。

その事実は、一夏の顔を歪ませるには十分であった。

 

「(はっきり言って、俺が勝つ確率が最も高かった瞬間は一次移行の瞬間だったんだよな)」

 

思い出すのは、ビットをすべて切り払って、セシリアに突貫した先ほどの瞬間であった。

あの時、もし自分がミサイルの存在を知っていたら、もしくは勝利を確信して油断さえしなければあの時に勝敗は決していたかもしれなかった。

だが、時は不可逆である。

 

「ちょこまかと!!」

 

今度は、背後から右肩を狙われ、急いで体を反転して避ける。

 

「(違う、この一撃じゃない。俺が待っているのは!!)」

 

無論、一夏も無策ではない。セシリアのある一撃を狙っていた。問題があるとすれば……。

 

『残りシールドエネルギー30%を切ったぞ、一夏!!』

「時間がないか!!」

 

すでにシールドエネルギーは3分の1を切っていた。零落白夜を発動したままではエネルギー消費が激しく、かと言って任意で発動をオン・オフできるほど一夏はまだ白式を使いこなせてはいなかった。

 

「くらいなさい!!」

「しまっ!」

『一夏ッ!? シールドエネルギー残り16%!! もう後がないぞ!!』

 

一夏の脇腹目掛けてレーザーライフルが放たれ、それが若干ではあったが掠ってしまい、一夏の体制は崩れてしまった。箒が悲痛な声を上げながらも、努めて自分の人を果たそうとしていた。

だが、次の瞬間一夏の顔面まで、赤いラインが張られた。崩れた体制から、躱すことは恐らく不可能。セシリアは勝利を確信して言葉を放った。

 

「ジ・エンド……ですわ!!」

 

対する一夏も確信していた。この一撃は、来ると分かっていても避けれない、避けきれないと。

 

「(この一撃は―――)」

 

だが、だが!!

 

「(この一撃を!!)」

 

彼はずっと待っていた!!

 

「うぉおおお!!!」

 

一夏はそのまま、体をほんの少し反らし、雪片をライン上へと持ってくる!!

零落白夜の発動したエネルギーブレードとなった雪片に、レーザーが着弾した!!一夏はその衝撃を耐えながら、セシリア目掛けて突進した。

片手剣スキル・ヴォーパルストライク。

かつての戦友、キリトが得意としていたソードスキルの一つ。一夏はこの技で勝負をかけたのだ。

 

「ッ!! そんな武器で私のレーザーを!!」

「切り裂くさ!!」

 

手から伝わる衝撃は尋常ではない。試合用にリミッターが本当についているのかと疑ってしまうくらいだ。だが、それでも、負けられない。負けれないのだ。

 

「(確かに、お前は国の威信を背負っているのかもしれない!! だけど俺だって背負っているんだ!!)」

 

かつて、SAOで共に戦った仲間、どんな時でも自分を突き放さなかった相棒、そしてこのIS学園で再会した、あるいは出会った人々。そして、自分を心配つつも理解しようとしていくれた千冬。

この右手にある剣にはそう言った人たちの想いが詰まっているのだ。

だから、だから―――。

 

「うぉおおおおおおおおおお!!!」

 

レーザーくらい切り裂けないでなんとする!!

 

「そん……なっ!!?」

「届いたぞ、オルコット!!」

 

レーザーを切り裂いた先にはライフルを構えたままのセシリアがいた。一夏は、突進した勢いを殺すことなく彼女の構えるレーザーライフルを切り裂いた!!

 

「わ、私のスターライトをッ!! このッ!! インターセプター!!」

 

だが、セシリアも代表候補生。焦りながらも自信の近接武器であるショートブレードを取り出し一夏目掛けて斬りかかる。

 

「はぁ!!」

 

しかし、近接戦では一夏が有利であった。一瞬にしてセシリアのショートブレードを弾き返す。

 

「ハァアアッ!!!」

「きゃぁあああああッ!!?」

 

一閃、また一閃と一夏の攻撃がクリーンヒットする。その結果にセシリアはぞっとするものを感じていた。

 

「(たった数撃くらっただけですのよ!? どうして、こんなにシールドエネルギーが減ってますの!!?)」

 

それは、一夏の零落白夜の特性を知らなかったゆえの恐怖。自爆覚悟で残されたミサイルを一夏に放てば勝機がまだあったかもしれないが、既にセシリアの精神は恐慌状態にあり、まともに思考はできなくなっていた。

 

『残り、10、9、8!! 一夏、決めろ!!!』

「あぁぁぁああああ!!!」

 

すでにシールドエネルギーは残り僅か。だが、この一撃が決まれば、タッチの差で一夏が勝つ。一夏もそれを感じながら、セシリアに向かって最後の一撃を放とうとした。

 

「い、いやぁあああああ!!?」

 

そして、次の瞬間試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

『試合終了・エネルギー残量0!! WIN!!!』

 

 

―セシリア・オルコット!!―

 

 

そのアリーナシステムの試合終了と、勝利者の宣言に対し誰もが呆然とした。見てみるとそこには……。

 

「俺の、負けだな……オルコット」

「え?」

 

最後の攻撃を、彼女の脇腹スレスレで外してしまった一夏の姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

○俺的設定その2

・ユニークスキル・薄命剣

能力は、作中に書いてある通り自身のHPを対価に敵の防御力・耐性を完全無視した超攻撃的諸刃のスキル。

その特異性のためか、スキルは通常攻撃を含む常時発動か、ソードスキル限定の限定発動の二種類を任意で選択することができた。

また、このスキルを使用している最中はあらゆる状態変化が無効化される。それはデメリットであり、メリットでもあった。

現にチナツはこの効果によって、75層でヒースクリフのマスター権限による麻痺を無効化して、キリトのサポートを行っている。

しかし、彼にとってはこのスキルよりも姉と同じ剣を持っている事の方が重要であった。そのため76層に上がって雪片がシステムトラブルでノイズ化してもそれを使い続けようとして、リズベットに思いっきり殴られた経験がある。




モッピー一つ理解したよ。モッピーホーム(仮)に勝手に入られると腹が立つけど、それ以外なら寛容な心で許せるって事を。
モッピー何でも知ってるよ。これから手始めに呼び出すのは、ユイユイって事を。

ちょっと、待っててな……。

……モッピー何も知らないよ、どうやったらここに人を呼び出せるのかって事を。(泣)

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