いやぁ、自分も昔読専だったころは『忙しくて更新できません』って文面を見る度に、本当に忙しいの? とか、ちょっと書く時間くらいあるでしょ? とか勝手な事を思っていましたが……書けない時って書けないんですね。
一応、ストレス解消も兼ねてのSSなのでストレスにならないようにのんびり書いていく予定ですので今後ともよろしくお願いします。
いつの間にか、SAO2期も終わっちゃいましたし、今後のメディア展開は打ち止めなのかなぁ? (ガーツズ・オブスがOVA化ワンチャンあり? 無理かな?)
そう考えると、ゲームもロストソングが最後かもしれないですね? GGOを題材に作ってくれないかな?
とまぁ、グダグダ書いていますが、本編をどうか楽しんでください。
ー追記ー
作中の中国の交通イメージは作者の聞きかじった知識ですのであしからず。不快に思われたら申し訳ないです。
「思った以上に荷物少なかったな」
ダイシー・カフェを訪れた次の日の朝、一夏は自分の持ち込んだ荷物の少なさに若干呆れを感じていた。
「一時間もせずにすべて直し終えたな」
「あぁ。箒もサンキュー」
「気にするな、同居のよしみだ」
さりげなく、同室ではなく同居というのがミソであった。
それにしても、と箒は思う。服はクローゼットに入れているし、目に見える荷物として増えたのは一夏が自宅から持ってきたノートパソコン位であった。
原因としては、一夏の2年半に及ぶ空白期間の影響が大きい。
以前まで買い揃えていた漫画はすでに続きが何冊も出ており買い揃えるほどの余裕もなく今日まで過ごしてきたためである。
故に持ってきた物に漫画はほとんど含まれていない。精々VRMMO関連の雑誌を数冊程度だが……。
「(ん?)」
だが箒は、棚にヘルメットのような物を見つけた。
「何故部屋に持ってきている?」
不審に思い箒はそのヘルメットを手に取る。一夏は昨日バイクをIS学園とつながっているモノレール駅の学生専用駐輪場に置いて来ている。
だが、ヘルメットはバイクに収納しているはずだ。
そこまで思い、箒はヘルメットにしてはやたら重い事と、小さなランプがチカチカと光っている事に気付いた。
「まさか……」
そこでようやく気が付いた。
「一夏!?」
「な、なんだよ箒……ッ!?」
そして一夏もまた彼女が何を持っているかに気付いた。最初に説明すべきだったかと己の判断を呪った。
「なぜ、これを……ナーヴギアを持っている!!?」
ナーヴギア……最初期の家庭用のVRマシーンであると同時に、人体を破壊できるほどの出力を兼ね揃えた悪魔の機械。
SAO事件後、すべてが回収されSAO生還者の物も一部の例外を除いて回収されているはずであった。
だが、その現物がここにある理由が分からず箒は一夏に詰め寄った。
「お、落ち着けって。別に使ってないし、使う予定もないからさ……」
「当たり前だ! 使うなんて言うようならば木刀で叩きのめしている所だ!!」
「お、おう……(まぁ、≪ザ・シード≫の話し合いの時に使ったけど)」
内心、冷や汗をかきながらそう弁解する一夏。
一方、言いたい事を言い終えた所為か、箒は若干落ち着きを取り戻したようで一夏に対して疑問を投げかけた。
「で? なんでこれを未だに所有している」
「ん~、まぁ、交渉の末かな?」
「なんだそれは?」
「ま、色々あってな」
本来ならば確かに一夏のナーヴギアも回収対象であった。だが、彼は捜査協力を条件にナーヴギアの所持を認めさせていた。(正確には目を瞑ってもらった)
それができたのは、彼がただの攻略組だったのではなくSAOの深淵……茅場との接触が、情報が通常のプレイヤー以上に持っていたからである。
そして、彼がナーヴギアをそこまでして所持していたい理由は……。
「アイツが、もしかしたら帰ってきてくれるかもしれないからな」
そう寂しそうに一夏は言った。疑問は尽きないが、そんな顔をさせたくてその話をしたのではない。だから箒は感じた疑問をぐっと飲み込みナーヴギアを元の場所へと戻した。
「まぁ、使わないというのであればそれでいい」
「あぁ。それは約束する。もう、アミュスフィアもあるしな」
そう言うと一夏は今だ未使用のアミュスフィアを片手に持つ。
「そう言えば、なぜ使わない? 折角千冬さんがくれたというのに」
「ん~、けど千冬姉と約束してたの見たろ?」
その言葉に箒はあの日のやり取りを脳内にて再生させた。確か……。
「『今度は勉強もちゃんとがんばれ』。これって実はSAOに行く前にも言われた事だったんだ」
けど、SAOの時はそれが果たされる事はなかった。だから今度こそと思う。
勉強が通常の学校よりも進んでいる、IS学園と言う高い敷居はあるけど最低の学力は身につけたい。
だから一夏は3週間後に千冬に頼んで個人の学力診断テストを受ける予定である。そのテストで規定点数を取る事こそ一夏が自分に対して課した課題であった。
「3週間後と言えば、クラス代表戦後ではないか」
「まぁ、そうだけどさ」
とは言えなるべく早くALOをしたいがために一夏が自身に課した事でもあった。泣き言は言ってられない。
「そこまでして、VRMMOがしたいのか?」
箒は純粋な疑問であった。SAO生還者の多くはVRMMOに関わる事を拒絶する者が多いという。
だが、一夏を始め、今や友人となった直葉、その兄、他複数の人物達は今もVRMMOに積極的だ。
「ん~、前にも言ったけど俺達はSAOで何かしらの価値を持てた。それにさ……」
先日再会したキリト達、そしてまだ再会出来て無い仲間達を思い浮かべながら一夏は言う。
「早く、仲間に会いたいんだ。それが一番かな?」
そこで一夏はふと考える。そう言えば、また会いたいのは何もSAO時代の仲間だけではないと。
「(そう言えば、鈴の奴……今頃どうしてるんだろう?)」
電話越しでは話す事ができたが、未だに直接再会できてない中学時代の友人の顔を思い浮かべた。
「(アイツさえよければ、今度こそ約束を守りたかったんだけどな……)」
―同時刻・日本某所・国際空港―
「ふ~ん、久しぶりの日本ね」
そこには二本に髪を束ねたツインテールの小柄な少女が、旅行鞄一つを持ちながら悠々と歩いていた。
「は~、それにしてもほぼ時間通りに動けてるわね。やっぱ、中国と違って日本は時間厳守でいいわね~。もう、私って日本感覚で生きてるからほっとしたわ」
そう言いながら、自分の祖国を思い出す。都心はそうでもないが、国家代表候補ともなれば祖国である中国各地に行く時がある。その道中において……。
「なんでウチの国って、あんなに時間にルーズなのかしら? カリカリして文句言っても、『何言ってるの?』って顔されるし、ほんとムカつく!!」
その時の様子を思い出し、思わず顔を顰める少女。だが、次の瞬間には何か思いついたのか、にやけた顔つきになった。
「あ、でも……私とアイツが結婚すれば、私は日本国籍でずっと日本で……」
そこまで思うと、彼女はブンブンと旅行鞄を振り回す。
「なんてなんて、きゃ~~!!!!」
そこまでテンションを上げて、彼女は周りの視線に気付いてしまう。一瞬で顔が別の意味で赤くなってしまい、そそくさとその場を早歩きで去っていく。
「(さ、早くIS学園に行かないと!)」
そう、なぜならもうすぐ彼に会えるのだから。電話越しでは話したが、直接は実に3年ぶりだ。
そんな事を考えながら歩いていると、ロビーにあるテレビが視界に入った。そこには、VRMMOのCMが流れていた。
「(……下らない)」
それを彼女は見下した視線で眺めていた。どうしてあんな事件があったにも拘らず、あんな物がどんどん広まっているのか。
「(あぁ、ムカつく。あの代表候補生を思い出すわ)」
そこでふとある事を思い出す、あぁ違ったなと。
「(”元”中国代表候補生だったわね)」
彼女はそう不敵に笑って見せた。
彼女の名前は鳳鈴音。現・中国代表候補生にして一夏の中学時代の友人。かつて共にSAOプレイを約束した関係であった。(残念ながら、その約束は果たすことは適わなかったが)
そして、中国政府にとっては問題児でもあった。流星のごとくIS操縦者として頭角を見せたかと思えば、急に代表候補生を辞退した存在……。
かと思えば、急に代表候補生になると言い、若干強引にその時決まりかけていた代表候補生候補に戦いを挑み完勝を果たした少女である。
彼女は思い出す。数か月前の代表候補生決定のための試験の事を。
「アンタ、ふざけてんの?」
試合開始直後、鈴は相手の代表候補生候補に行き成りそんな事を言われていた。
「何よ。確かに一度はやめたけど、ちゃんと認められてこの場にいるわよ」
確かに鈴は一度、代表候補生の立場を蹴った。その理由は一夏にあった。
望まぬ中国への帰国。本当はずっと日本にいたかった。次の日もまた会えると信じていた彼がSAOから帰ってこなくなった日からずっと、一日たりとも彼を心配しなかった日はない。
死の前兆に見舞われる一夏を何度も見た。その度に胸が張り裂けそうな恐怖に駆られた。
病室の扉を開けるのがいつも怖かった。もしかしたら、一夏が死んでいるのではないかといつも恐怖して開けていた。
だが、それ以上に自分の知らない所で彼が死んでしまう事が怖かった。
両親が離婚した時、そして自分の帰国が決まった時、彼女は猛反発した。けど、所詮はただの中学生に過ぎなかった。彼女は結局、SAO世界に捕らわれたままの一夏を置いて中国へと帰国した。
どうにかして日本に、彼の傍に戻りたかった。そんな時だ、今まで興味の欠片もなかったISの適性検査でA判定を貰ったのは。
IS学園は一夏の家からも近い。それはつまり、必然的に入院先の病院にも近いという事でもあった。代表候補生になれるとまでは言わないが、それでもIS学園の推薦が貰えるくらいは頑張ろう。そう思って、彼女は頑張った。
だが、予想に反して自分は思った以上に才能があったらしい。僅か数ヶ月で代表候補生候補のなかでも有力な存在になっていた。
しかし、一か月ほど前に彼が目を覚ました。電話がかかってきた時は嬉しかった。涙が溢れた。そして、電話が終わって思ったのは……。
『代表候補生とか、邪魔ね』
であった。代表候補生ともなればある程度身動きも拘束される。一応、IS学園に入学できなかった時用にと調べていた留学生制度もあった。
彼がどの高校に行くかまだ分からないが、正直IS学園に行くよりもその制度を使った方が会いやすいと感じられた。
今までは彼がいつ死んでしまうかわからず、少しでも早く日本に行きたかったためIS学園を狙っていたが、もうその心配もない。
まぁ、自分の知らない所で恋愛フラグを立ててそうだが、あの唐変朴っぷりは自分が何よりも知っている。
留学生制度を使えるのは高校2年からだが、問題無い様にも感じた。
だから彼女は、決まりかけていた代表候補生の地位を蹴った。もう重石ぐらいにしか感じていなかったから。
ところが、あのバカはSAOから帰ってきたばっかりだというのにISを動かしやがった!!
トラブルの女神さまとフラグを立てたのではないかと本気で疑った瞬間であった。
そうなれば一度は蹴った代表候補生の地位が魅力的に感じた。そんな訳で彼女は再び代表候補生候補になったのだ。
正直突っぱねられるかとも思ったが、鈴のポテンシャルは自分が思っている以上に高く評価されていたそうで、ある程度の問題行動に目を瞑ってでも確保したかった人材だったとの事。
故に、政府も二つ返事で承諾した。
そんな訳でぎりぎり代表候補生選抜に出る事ができたのだが……。
「(なんで早速因縁をつけられるのかしらねぇ。ま、逆の立場なら私も同じ事言いそうだけど)」
しかし、一夏の傍に行くからには代表候補生の地位は魅力的だ。このままでもIS学園に行くことは可能だが、どうせなら欲しい立場でもあった。
代表候補生になるからには、一夏の奴だって頼ってくるに決まってるし。何より……。
「(あんな事聞いたからには、絶対に他の奴には譲らない)」
それは数日前に鈴が偶々聞いた内容であった。
『今年の代表候補生は、織斑一夏と同じ学年になりそうだ』
『積極的な接触、可能ならば籠絡してほしい所だ』
ふざけるなと思った。誰がそんな事をさせるか。そんな不純な想いで、一夏に近づく屑は絶対に自分が許さない。鈴はそう思いながらこの戦いに挑んでいた。
もっとも、目の前の彼女がそれを承諾しているとは思っていないが。
「まったく、冗談じゃないわよ。どうして上の連中はこんな奴の我儘を聞くのよ!!」
それについては正直同意するところがあるので言い返さない鈴であった。
自分でも我儘な意見だと思っているから。だが、次の言葉は彼女の神経を逆撫でにするには十分であった。
「嫌な事は本当に続くわね。あんな世界唯一の男性操縦者だか何だか知らないけど、ゲームオタクを口説けなんて馬鹿みたい」
「は?」
今こいつは何て言った? 鈴は怒りで頭が沸騰しそうな思いであった。
「アンタも聞いた? 例の男、例のゲームに捕らわれた連中の一人らしいわ。ほんとばっかみたいよね」
そこにさらに火に油を注ぐ様な事を目の前の女は言い始めていた。
付け加えて言うのであれば、彼女はセシリアの様に認識のすれ違いではなく、亡くなった人数、犠牲者をしっかりと把握しておきながらそんな事を言っているのだ。
「あぁ、そう言えばアンタそのくだらない事件のあった日本で……」
彼女が不機嫌な理由は一夏の件もある。
だがそれに加えて、鈴がその国で暮らしていたのも気に入らない原因の一つであった。
「本当に、やってられ「黙れ、屑」……なんですって?」
もはや鈴は全てを聞く気にはなれなかった。だからこそ、その一言で封殺した。
「アンタは、龍の逆鱗に触れた」
故に潰れろ。
そこから先は一方的な蹂躙であった。同じ訓練機を使用しているはずなのに鬼気迫る鈴になす術もなく相手の少女はズタボロになった。
やりすぎだと注意されたがそんなこと知った事ではない。もし仮に、もう一度同じ状況になったとしてもまた繰り返すと彼女は断言出来ていた。
「けど、まさか手続きの不備で入学が遅れるなんてね……」
彼女は少し昔を思い出した後、そう言いながら嫌な顔をした。
「(だけど、もうすぐ、もうすぐ会える)」
そう、電話越しじゃない。本物の一夏に。
「さあ、待ってなさいよ!!」
彼女は思い人との再会に胸を躍らせながらIS学園に目掛けて歩き出す。
彼女はまだ知らなかった。未だに彼がVRMMOに関わっている事を。
そして、一夏もまた知らなかった。鈴がVRMMOを激しく憎んでいる事を。
この事から、彼らがすれ違いを起こしてしまうのだが、まだどちらもその事に気が付く事ができていなかった。
○俺的設定
・死の前兆
早い話、GGOにてキリトがデスガンとの戦闘の際に過呼吸状態になってたアレの事。
SAO被害者がこう言った状態に陥った際には、高確率でなくなっていたため世間では死の前兆といわれていた。
鈴も何度かこの状態の一夏に遭遇しており、その度にGGO編のアスナの様に彼の手を握っていた。
鈴ちゃん、マジヒロイン。
SAO編の現実世界の描写では彼女こそがヒロイン(笑)。
モッピー脱出したよ! 口うるさいデカ女の魔の手から!!
モッピー満喫するよ! 自由と言う名の青春を!!
……あれ? なんか頭から瓦礫がたくさん……
のわぁー!!?