遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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9話まで来ました。
今回は、変則的なデュエルをしているので
間違い等が目立つかもしれませんが、
もしあったら教えてください。
それでは、どうぞ。


【第9話 修行その一】

 

 授業を終えた研遊は、十代と翔の修行に付き合うため、レッド寮へと向かった。レッド寮へ着いた研遊は辺りを見渡すと、崖の近くに明日香と隼人が立っていた。

 

「よう、お二人さん」

 

 研遊に声をかけられた二人が振り返り、研遊だと気付くと隼人は笑いながら手を振り明日香は申し訳なさそうな表情を浮かべて手を挙げた。

 

「研遊、お疲れ様なんだな」

「須磨くん…。その…私のせいでごめんなさい。退学になるかもしれないなんて」

「あー。気にしなくていいよ。あの時も言ったけど、助けたのは十代達だし。それにどっちかって言うと、文句を言いに行ったからこうなったわけで。ま、ある意味自業自得だよ」

「でも…」

「大丈夫。折角アカデミアに来たんだ。退学になんてならいよ」

 

 それでも謝ろうとする明日香の言葉を遮り、研遊は首を振りながら答えた。

 

「で、今どんな感じ?」

「全く、貴方って人は…。ありがとう」

「今から十代と翔がデュエルしようとしてるところなんだな」

 

 明日香はこれ以上謝ることは無粋だと思い、礼を言ってこの話を終えた。それと同時に隼人が研遊の質問に答え、研遊は「うーん」と口に手を当て何かを考えていた。

 

「研遊、どうかしたんだな?」

「いや、ちょっとね。おーい、二人ともー」

「ん?」

「おっ、研遊じゃないか!来たんだな!」

 

 研遊の声掛けに、翔と研遊は顔を上げて手を振り返した。研遊は崖の下まで降りて、二人に駆け寄って行った。

 

「悪いな、今からデュエルするところだったんだろ」

「それは良いけどさ、どうしたんだ?」

 

 首を傾げながら訊ねる十代に、研遊は二人にある提案をした。

 

「二人とも、よかったらなんだけどさ。三人でデュエルしないか?」

「三人で!?」

「デュエル!?」

 

 研遊の提案に、十代と翔は目を見開き、崖の上にいる二人も驚いている様子だった。

 

「三人でデュエルって」

「なんでっすか!?」

「いや、変則的にはなるけどさ。二人はタッグデュエルをやるだろ?だからタッグデュエルの練習をしたほうが良いと思うんだ。ルールはバトルロイヤルルールだけど、実質二対一って感じかな」

「なるほどなー。それも面白そうだな!」

「ええっ!やるんすか!?」

 

 十代は笑みを浮かべながらコクコクと首を縦に振るが、翔は驚いた後に不安そうな表情を浮かべる。

 

「修行だからな。手加減なしで来なよ?」

「おう!望むところだぜ!」

「えぇ…。なんでアニキはやる気なんすか…」

 

 三人はそれぞれの場所へ移動し、デュエルディスクを構える。その様子を見ていた明日香と隼人は、いまだ驚きを隠せずにいた。

 

「二対一のデュエルって…研遊は何を考えてるんだな。いくら何でも二人相手に勝てるはず無いんだな」

「そうね。須磨くんが風隼先生に勝ったからって、あまりにも不利な状況だわ」

 

 そして、二人の疑問をよそにデュエルが始まろうとしていた。

 

「いくぞ!十代!翔!」

「おう!楽しいデュエルをしようぜ!」

「なんで楽しそうなの、この二人…はあ…」

「「「デュエル!」」」

 

 そして、三人のデュエルが始まった。先行は十代からのスタートである。

 

「行くぜ!俺のターン、ドロー!俺は手札から『E・HERO フェザーマン』を攻撃表示で召喚!」

 

『E・HERO フェザーマン』 レベル3 ATK1000

 

 十代のフィールドに現れた風を操る翼の戦士。鋭い鉤爪を構え、研遊を見つめていた。

 

「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

 研遊 LP4000

 翔  LP4000

 十代 LP4000

 手札 四枚

    場  『E・HERO フェザーマン』

    伏せ 一枚

 

「次は俺のターンだな。俺のターン、ドロー」

 

 研遊は、デッキからカードを引き抜き手札に加える。その手札を見て、研遊は顔をしかめた。

 

「(うーん、これは手札事故だな)」

「(よう、大将。しかめっ面してどうした?)」

 

 研遊の背後に、先程手札に加えたカードの精霊が現れ、浮かない表情をしていた主に尋ねた。

 

「(『ルマリン』か。いや、この手札があんまり良くないなって)」

「(どれどれ…って、『ブリリアント・フュージョン』と『スキャッター・フュージョン』があるぞ。事故どころか最高の手札じゃねえか。ていうか、そのカードは元々抜いてたよな?)」

 

 そう。実は研遊は元々『ブリリアント・フュージョン』や『スキャッター・フュージョン』の二枚はデッキに入れていなかった。その理由は単純。この二枚が、この時代で使用するのはあまりにも強過ぎたからである。その為、研遊はわざとデッキから抜いていた。しかし、先日戦ったギガントとのデュエルでこの二枚を入れていたら、『ジェムナイト・フュージョン』を封じられていたとしても、あそこまで苦戦は強いられなかったはずである。そのことから研遊はこの二枚をデッキに入れることを決めた。勿論、状況に合わせてこの二枚を使うことを決めているため、今この場で使用する気は毛頭ない。しかし、それ故に手札の六枚のうち、二枚が死に札となってしまっていた。

 

「(流石に今使うと修行じゃなくなるからな。この二枚は使わないで戦う)」

「(ほほーう。ま、俺はデュエルを見学させて頂きますかね。がんばれよ、大将)」

 

 黄色の騎士は、そう言うと手を振りながら姿を消した。研遊は少し微笑みターンを進めた。

 

「俺は、モンスターを裏守備表示で召喚。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 しかし、手札が手札なだけにあまり動けるわけもなく、研遊は静かにターンを終えた。

 

 翔  LP4000

 十代 LP4000

 研遊 LP4000

 手札 四枚

    場  裏守備モンスター

    伏せ 一枚

 

「ぼ、僕のターン、ドロー!」

 

 緊張した様子で、カードを引く翔。この中で一番この状況を不思議に思っていたが、仮にも彼はデュエリスト。受けたデュエルは、しっかりやろうと少なくともそう思っていた。

 

「(バトルロイヤルルールでは、全員最初のターンは攻撃できない。僕のターンが終わってから、アニキから攻撃がスタートだ。なら僕が出来ることは、守りを固めることかな)僕は手札から、『ジェット・ロイド』を召喚!」

 

『ジェット・ロイド』 レベル4 DEF1800

 

「(おお!『ビークロイド』だ!やっと生で見れたな。この時代だと、翔の『ビークロイド』、カイザー亮の『サイバー』、クロノス先生の『アンティーク・ギア』。機械族が、かなり優遇されてんだよな)」

 

 翔の場に現れたジェット機をコミカルにしたようなモンスターを見て、研遊は誰にも気づかれないように、一人小さく感動していた。翔は、その様子に全く気付かずターンを進める。

 

「僕は更にカードを一枚伏せて、ターンエンドっす!」

 

 十代 LP4000

 研遊 LP4000

 翔  LP4000

 手札 四枚

    場  『ジェット・ロイド』

    伏せ 一枚

 

 全員のターンが終わり、研遊は次の十代のターンから攻撃が始まることを考え身構えた。そして、三人の初動を見ていた明日香と隼人は、どんなデュエルが行われるのかと固唾を飲んで見守っていた。

 

「よし、こっから攻撃ができるな!俺のターン、ドロー!早速行くぜ!『融合』発動!俺はフィールドの『フェザーマン』と手札の『バーストレディ』で融合召喚!出でよ、マイフェイバリット!『E・HERO フレイム・ウィングマン』!!」

 

『E・HERO フレイム・ウィングマン』 レベル6 ATK2100

 

 十代のフィールドに現れたのは、右手が竜の頭で左肩に翼を生やした戦士。十代を象徴するといっても過言ではないモンスターが出現したことにより、研遊は喜びの声を上げそうになるのをグッと堪えた。その様子に気付くことなく、十代はターンを進める。

 

「そして、『E・HERO スパークマン』も召喚するぜ!」

 

『E・HERO スパークマン』 レベル4 ATK1600

 

 次に現れたのは、黄と青で彩られた光の戦士。腕を組み、敵である研遊に視線を向けていた。

 

「行くぜ!『フレイム・ウィングマン』で研遊のモンスターに攻撃!フレイム・シュート!!」

 

 十代の宣言と同時に、翼の生えた戦士が姿の見えないモンスターに向かって飛び込んできた。そして、戦士の攻撃で姿を現したのは、たくさんの宝石を付けた甲羅を持つ緑色の亀だった。

 

『ジェムタートル』 レベル4 DEF2000

 

「リバースした『ジェムタートル』の効果を発動。デッキから『ジェムナイト・フュージョン』を手札に加える。そして、『フレイム・ウィングマン』が『ジェムタートル』が戦闘で破壊したことで、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えることができるけど、残念ながら『ジェムタートル』の攻撃力は0だ」

「くそ!ダメージを与えられなかった!」

 

 研遊は、モンスターの効果で自身のキーカードを手札に加える。その一方で、十代は効果ダメージを与えることが出来ず悔しそうな表情を浮かべていた。

 

「だけど、『スパークマン』の攻撃が残ってるぜ!行け、『スパークマン』!スパークフラッシュ!」

「その攻撃は通すしかないな」

 

 十代の宣言を聞いた光の戦士が、研遊に向かって光弾を放った。守るすべを持たない研遊は、放たれた光弾をその身に食らいダメージを受けた。

 

 研遊 LP4000→2400

 

「くっそー!まさか、攻撃力0のモンスターだったなんて!」

「悪いな、十代」

「しょうがない。次は決めるぜ。ターンエンドだ!」

 

 研遊 LP2400

 翔  LP4000

 十代 LP4000

 手札 二枚

    場 『E・HERO フレイム・ウィングマン』

      『E・HERO スパークマン』

    伏せ 一枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

 研遊はデッキからカードを引き抜き、今の状況を判断する。

 

「(さてと。多分、十代の伏せカードは防御系のカードだろうけど…。翔の伏せカードは何だ?全然想像がつかねえ。翔って何のトラップを使ってたかな…)」

 

 翔が使用するカードが分からず、研遊は首をひねる。しかし、悩んでも答えが出ないことは分かっているため、仕方ないと考えを改めターンを進める。

 

「俺は手札から『ツインツイスター』を発動。手札を一枚捨てて、フィールドの魔法・罠を二枚まで破壊する!俺が破壊するのは、二人のセットカードだ!」

 

 研遊が宣言すると、二つの小さな竜巻が起こり、セットされたカードに向かって行った。ちなみにコストとして捨てたカードは『ブリリアント・フュージョン』だった。

 

「くそ、『攻撃の無力化』が破壊された!」

「ああ、『魔法の筒』が…」

 

 伏せていた罠を破壊され、十代は悔しそうな表情を浮かべ、翔はがっかりと落ち込んだ様子を見せた。しかし、研遊は破壊されたカードを見て眉をひそめた。

 

「『魔法の筒』か。いや、ちょっと待て。翔、なんで『魔法の筒』を伏せていたんだ?」

「え?」

 

 研遊の疑問に、翔は首を傾げる。何のことかと分からない様子の翔に十代が声をかけた。

 

「『ジェット・ロイド』は、攻撃対象にされたら手札からトラップカードを発動できただろ?」

「あっ、そうか!」

 

 十代の言葉に、研遊が自分に尋ねた理由がようやく分かった様子だが、問いかけた研遊は、こめかみに手をやり少々顔をしかめた。

 

「(マジか。翔って、ここまで酷かったっけ?)」

 

 結論から言えば、『魔法の筒』を伏せていたことは間違いかというと、実際はそうでもなかった。相手が『ジェット・ロイド』の効果を警戒し、先に処理をしてしまえば、翔のフィールドはがら空きになり、大ダメージを受けてしまう。その点から言えば、『魔法の筒』を伏せていたことは悪くはない手ではあった。しかし、先程の翔の様子から判断するにそこまで考えている様子はなく、十代の言葉で『ジェット・ロイド』の効果を思い出した顔を浮かべていた。

 

「翔。こう言ったら悪いけど、『ジェット・ロイド』の効果を考えず、今手札にいたモンスターの中で守備力が一番高いモンスターを出したって感じか?」

「うっ。そ、それは…」

 

 図星を突かれた翔は、目を左右に泳がせる。その様子を見て研遊は小さくため息をついた。

 

「翔。『ジェット・ロイド』を召喚して『魔法の筒』をセットしていたことは、決して悪いことじゃない。理由は後で説明するけど、ちゃんとモンスターの効果を見るんだ」

「そうだぜ、翔。折角、モンスター効果をうまく使わないとデュエルには勝てないぜ」

「やめてよ!いくら二人がデュエルの成績が良いからってお説教は無しだよ!」

 

 研遊と十代の声掛けを拒否するように、翔は反発するように声を荒げて二人に言い放った。

 

「どうしたんだ翔?大きな声出して」

「あっ…ごめん。変だよね。二人は僕の為に言ってくれてるのにこんなこと言うなんて」

 

 十代は驚いて目を丸くしたが、翔はすぐに冷静になり申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 

「いや、こっちこそ悪かったよ。すまん」

「そうだな、ちょっと説教臭かったな。わりぃな、翔」

 

 研遊と十代は翔に謝罪し、翔の方も申し訳なかったといった様子で力なく笑った。

 

「さて、デュエルを続けるぞ。俺は『ジェムレシス』を召喚。召喚に成功したことで、デッキから『ジェムナイト』モンスターを手札に加える。俺が加えるのは『ジェムナイト・オブシディア』だ」

 

 研遊はモンスターを召喚し、融合素材となるカードをデッキから手札に加える。そして、どう動いていくか、手札を見ながら考える。そして、一つ頷きターンを進める。

 

「よし、俺は手札から『ジェムナイト・フュージョン』を発動!今加えた『オブシディア』と『ルマリン』で融合する!」

 

 研遊のフィールドで、電気石の騎士と黒曜石の騎士が向かい合って頷くと天高く昇っていく。

 

「無邪気な石よ、魔除けの石と共に、争いを鎮める光となれ! 融合召喚!奇跡の騎士、『ジェムナイト・プリズムオーラ』!」

 

『ジェムナイト・プリズムオーラ』 レベル7 ATK 2450

 

 現れたのは、剣と盾を備えた水晶の騎士。その姿は、マントを翻し両肩の水晶からは眩い光を放っていた。

 

「おお、見たことない融合モンスターだ!一体どんなモンスターなんだ!」

「うう、強そうなモンスターっす…」

 

 十代は新たに現れたモンスターを見て目を輝かせていたが、反対に翔の表情は曇っていく一方だった。その二人の様子を見て研遊はクスリと笑う。

 

「十代の質問に答える前に、まずはこっちからだな。手札から墓地へ送られた『オブシディア』の効果を発動!墓地のレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する!甦れ、『ルマリン』!」

 

『ジェムナイト・ルマリン』 レベル4 ATK1600

 

「そして、墓地の『ジェムナイト・フュージョン』の効果だ!墓地の『オブシディア』を除外し手札に加える!まだまだ行くぞ、『ジェムナイト・フュージョン』発動!フィールドの『ルマリン』と『ジェムレシス』で融合だ!無邪気な石よ、礫と交わり、ここに新たな姿を現せ!融合召喚!気品の騎士、『ジェムナイト・ジルコニア』!」

 

『ジェムナイト・ジルコニア』 レベル8 ATK2900

 

「『ジェムナイト・フュージョン』の効果で『ルマリン』を除外して手札に加える。さてと。十代、さっきの質問に答えようか。『プリズムオーラ』の効果発動!手札の『ジェムナイト』カードを墓地へ送り、フィールドの表側表示のカードを一枚対象にとって、そのカードを破壊する!」

「カードを破壊する効果を持っていたのか!!」

「手札から『ジェムナイト・フュージョン』を墓地へ送り、俺が破壊するのは『ジェット・ロイド』だ!」

「ええ!?僕のモンスター!?」

 

 驚く翔を他所に、騎士の剣から雷が奔り、ジェット機のモンスターが破壊された。

 

「うう…。研遊くん、ひどいっすよぉ…」

 

 自身のモンスターが破壊されたことで、翔が落ち込み、地面に丸を書いていた。明日香と隼人は落ち込んでいる翔を見て何とも言えない表情を浮かべる。

 

「いや、今の状況で破壊するなら『ジェット・ロイド』一択だろ」

「なんでっすか!いじめっすか!」

「違うわ!『ジェット・ロイド』の効果を警戒したんだよ!相手の手札の情報が全く無いのに下手に『ジェット・ロイド』に攻撃して、トラップを発動されたら元も子もないだろ!」

「な、なるほどっす…」

 

 研遊のとった行動に対して、文句を言った翔だったが、研遊の説明を聞いて納得し大人しくなった。

 

「よし、じゃあバトルフェイズに移行するぞ。まずは『プリズムオーラ』で翔にダイレクトアタック!プリズム・ストラッシュ!」

 

 研遊の声を聞いて、剣を構えた騎士は翔に向かって飛び出していき、そのまま翔を突き刺した。

 

「うわわわわ!!」

 

 翔 LP4000→1550

 

「今度は『ジルコニア』で『フレイム・ウィングマン』に攻撃だ!ジルコニア・インパクト!」

 

 手甲の騎士は研遊の声を聞いて、翼の生えた戦士に狙いを定め、巨大な両腕を振るった。その攻撃に耐えられるはずもなく、翼の戦士は破壊された。

 

「くっ!『フレイム・ウィングマン』!」

 

 十代 LP4000→3200

 

「俺は、これでターンエンドだ」

 

 翔  LP1550

 十代 LP3200

 研遊 LP2400

    手札 一枚

    場  『ジェムナイト・プリズムオーラ』

       『ジェムナイト・ジルコニア』

    伏せ 一枚

 

「はあ、僕のフィールドはガラ空きだよ…。僕のターン、ドロー」

 

 翔は落ち込んだ様子を見せ、ため息をつきながらデッキからカードを引き抜く。そして引いたカードを見て小さく頷き、引いたカードを発動した。

 

「僕は『強欲な壷』を発動!デッキからカードを二枚ドロー!あっ、このカードは!?」

 

 新たに加えた二枚の内の一枚を見て、翔は目を見開いた。

 

「(あの様子だと『パワー・ボンド』を引いたか?)」

「ん?どうしたんだ翔」

 

 原作を知っている研遊は、翔が今手札に加えたカードが、恐らく『パワー・ボンド』だろうという予測がついたが、事情を知らない十代は翔の様子を見て首を傾げるばかりだった。

 

「な、何でもないよ!僕は『融合』を発動!手札の『スチームロイド』と『ジャイロイド』を融合する!研遊くん!僕の融合モンスターでお返しだ!現れよ、『スチームジャイロイド』!」

 

『スチームジャイロイド』 ATK2200

 

 翔のフィールドに現れた、名の通り翼の付いた蒸気機関車のモンスター。ニヤリと笑いながら、研遊のモンスター達に視線を送っていた。

 

「そして、手札から装備魔法『デーモンの斧』を『スチームジャイロイド』に装備する!これにより攻撃力が1000ポイントアップする!」

 

『スチームジャイロイド』 ATK2200→3200

 

「おお、いいモンスター出てきたじゃん!」

「翔のモンスターの攻撃力が、研遊のモンスター達の攻撃力を超えたんだな!」

「フッフッフ!どうだ研遊くん!参ったか!」

 

 十代と隼人は攻撃力が高いモンスターが出てきたことで、笑みを浮かべたりガッツポーズをしたりと、翔に称賛の声を送る。その声を受けた翔は、両手を腰に当て得意げな表情を作り、研遊に向かって言い放った。

 

「そうだな。装備魔法を使ったとはいえ、中々攻撃力が高いモンスターを出してきたな」

 

 当の研遊は、手を口に当て「ふむ」と冷静に頷いただけだった。

 

「そんな余裕そうな顔をしていられるのも今だけだよ!バトル!『スチームジャイロイド』で『ジェムナイト・ジルコニア』に攻撃だ!ハリケーン・スモーク!!」

 

 翔の攻撃宣言を聞いて、汽笛を鳴らしながら煙突から煙を出し、体を回転させると、その風に煙が巻き込まれ騎士に向かって激しく流れていった。騎士は煙を受けて面を食らい、その気流に乗って機関車のモンスターが突進してきたが、堪える暇もなく破壊され、小さな爆風が研遊を襲った。

 

 研遊 LP2400→2100

 

「どうだ!研遊くん!僕のモンスターも強いでしょ!」

 

 研遊にダメージを与えたことで、得意げになっている翔。研遊は、爆風を堪えるため体に力を入れ、更に顔に手を持って行き、顔を守っていた。その手をゆっくりと下ろしながら翔を見つめる。

 

「(なるほど。カイザーが気にしていたのはこれか。確かに、攻撃が決まって気分が良くなるのは分かる。だけど、ここまで天狗になられたら、あまりいい気分じゃないな)」

 

 そう。原作の通りであるならば、このデュエルの後に十代と亮がデュエルを行う。そのデュエルを見て、翔は相手をリスペクトすることに気付く。しかし、そのことにまだ気づいていない翔は、相手をリスペクトすることなく、研遊に只々得意げな表情を浮かべている。そんな翔を見て、研遊は誰にも気づかれないように小さくため息をつく。何故なら、原作での幼少期の翔と同じく、相手に対してリスペクトしていないことは未だしも、相手のセットしていたカードを全く警戒もせず、攻撃をしてきたのだから。

 

「翔。悪いけど、ここでリタイアだ。リバースカード『ブリリアント・スパーク』発動」

「えっ!なんすか、そのカード!?」

「このカードは、自分の『ジェムナイト』モンスターが相手の攻撃または相手の効果で破壊された場合に、破壊されたモンスターを対象として発動できる。その対象に取ったモンスターの元々の攻撃力分ダメージを与える」

「なっ!?ってことは!?」

「今、破壊されたのは『ジルコニア』。つまり2900のダメージだ」

 

 研遊のフィールドに巨大な宝石が現れ、粉々に砕け散り、その欠片たちが翔に向かって飛んで行った。

 

「ちょっ!?う、うわああああああ!?」

 

 翔 LP 1550→0

 

 

 ピーーーー!!!

 

 

 宝石の攻撃を受けて、仰向けに倒れた翔のデュエルディスクから無機質な音が鳴り響き、この場にいる全員に敗北を知らせた。

 

「翔!お前の仇は取ってやるからな!俺のターン、ドロー!」

 

 翔が倒れ、悔しそうな表情でカードを引き抜く十代。翔の方は「死んでないっす」と呟いたが、十代の耳には入らなかったようで、翔に目を向けることなくターンを進める。

 

「俺は『強欲な壷』を発動!デッキからカードを二枚ドローするぜ!」

「(いや、何でみんなそんなに『強欲な壷』引くの?確かに強いカードだけどさ、そんなに引くもんかね?どうしよう、俺もデッキに入れたくなってきた。いやいやいや。只でさえ俺は未来のカードを使ってるんだ。流石に自重しないとな。でもなあ。主人公の二枚ドローほど、怖いものってないんだよなぁ…)」

 

 十代はデッキから新たなカードを二枚引き抜きニヤリと笑う。その様子を見て研遊は、不安と羨望が入り混じったような表情を浮かべた。

 

「俺は手札から『融合回収』を発動!墓地の『融合』と前のターンに融合素材にした『バーストレディ』を手札に加えるぜ!そして、『融合』発動!フィールドの『スパークマン』と手札の『クレイマン』で融合!出でよ、『E・HERO サンダー・ジャイアント』!」

 

『E・HERO サンダー・ジャイアント』 レベル6 ATK2400

 

「そして、『バーストレディ』を召喚だ!」

 

『E・HERO バーストレディ』 レベル3 ATK1200

 

 現れたのは、名の通り巨大な体躯をした雷を操る戦士と炎を操る女戦士。二人の戦士が敵である研遊に視線を向けていた。

 

「あの二体じゃ、研遊のモンスターの攻撃力より低いんだな。十代のヤツ、どうする気なんだな」

「いや、十代はもう須磨くんを倒すカードを持っているのよ」

「え?」

 

 明日香の言葉に、隼人は首を傾げる。そして、十代の相手をしている研遊は、恐らくこのターンで自分は倒されるであろうということを悟ってしまっていた。

 

「さあ、まずは舞台を整えようぜ!フィールド魔法、『スカイスクレイパー』発動!」

 

 十代はデュエルディスクにあるカードをセットし発動させると、沢山の高層ビルが次々と建って行った。そのカードは、十代を象徴しているカードの一つで、研遊もよく知っているカードだった。

 

「これで『E・HERO』は攻撃するとき、相手よりも攻撃力が低かったら、攻撃力が1000ポイントアップするぜ!」

「だけど、その二体で攻撃しても俺のライフポイントは少し残るぜ?」

「へへっ、だからこのカードを使うのさ!魔法カード、『H―ヒートハート』発動!!」

「やっぱり持ってるよな…」

 

 得意げにカードを発動した十代を見て、研遊は苦笑する。研遊は、十代がフィールド魔法だけで終わるはずがないことは分かっていたが、せめてもの抵抗として十代にライフポイントがわずかに残ることを宣言したのだった。

 

「『H―ヒートハート』は自分フィールドのモンスターの攻撃力を500ポイントアップし、貫通効果も与える魔法カードだ!このカードで攻撃力を上げるのは『バーストレディ』だ!」

 

『E・HERO バーストレディ』 ATK1200→1700

 

 女戦士は、新たに炎の力を手に入れ激しく体を燃やしていた。

 

「決まったか。よし!来い、十代!」

「ああ!行くぜえ!『バーストレディ』で研遊のモンスターに攻撃!そして、『バーストレディ』の方が攻撃力は低いため、攻撃力が1000ポイントアップする!!バーストファイアー!!」

 

『E・HERO バーストレディ』 ATK1700→2700

 

 女戦士は、身の丈ほどもある火球を二つ作りだし、結晶の騎士に向かって投げ放った。その炎に抵抗する間もなく、騎士の体は焼かれて爆発した。

 

 研遊 LP2100→1850

 

「これで止めだ!!『サンダー・ジャイアント』でダイレクトアタック!ボルティック・サンダー!!」

 

 雷の戦士が貯めたエネルギーを研遊に向かって放つ。この攻撃で研遊の負けは確定した。

 

「(くっそ。勝てなかったかあ。次は絶対リベンジだな。ああでも……)」

 

 研遊は、その攻撃が当たる直前、絞り出すように誰にも聞こえない声で小さくぽつりと呟いた。

 

「やっぱり悔しいな…」

 

 研遊 LP1850→0

 

 

 ピーーーーーー!!!

 

 

 デュエルディスクの音が鳴り響き、三人のデュエルが終了した。そして、そこにはデュエルに勝利し笑みを浮かべる者。悔しがりつつも勝者に笑みを送る者。最初に負けて賞賛を送れず落ち込む者。そのデュエルを眺めていた者。それぞれが様々な感情を抱き、その場で立ち尽くしていたのだった。




というわけで
バトルロイヤルのデュエルでした。
何回も書き直す羽目になったので
もう絶対書きません。
そして、本来ならば8月までに
投稿する予定でしたが、
間に合いませんでした。ごめんなさい。

そして、お気に入り登録が
90名を超えていました。
大変、ありがたいです。
これからもよろしくお願いします。
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