遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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お久しぶりの投稿です。
待って下さっている方が
居るのかは分かりませんが
第10話です。それではどうぞ。


【第10話 反省会、そして…】

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

 デュエルの後、十代は一頻りに喜び研遊に向かっていつものセリフとポーズを決めた。笑顔を向けられた研遊は、悔しい感情がないわけではなったが、原作のキャラクターである十代とデュエルが出来たことが嬉しいことには変わりはなかったため、頷きながら笑みを浮かべる。

 

「ああ、俺も楽しかった。次は負けないからな」

「おお!望むところだぜ!」

「さてと、じゃあ反省会といきますか。翔、大丈夫か?」

「う、うん」

 

 翔は落ち込んだ表情で座りこんでいたが、研遊に声を掛けられ立ち上がり、顔を上げる。

 

「よし。とりあえず、俺が気になったところを言う。その次に、十代と翔も気になった所とかがあれば遠慮なく言ってくれ」

 

 研遊の発言に、十代と翔は「わかった」と頷く。

 

「まずは、十代だな。俺が気になったのは『フェザーマン』を攻撃表示で召喚した点だな。今回はバトルロイヤルだし、本番もタッグデュエルで全員が最初のターンは攻撃できないから問題は無いんだけど、普段からそういう場面も見るから、ちょっと気を付けた方がいいと思うぞ。勿論、さっきみたいに『攻撃の無力化』とか罠を仕掛けているからワザと攻撃表示にしてたのかもだけど、もし破壊されたり無効化されたりした場合、ダメージを受ける可能性もあるからな。後は丸投げになって悪いけど、もしかしたら明日香と隼人が気になった所があるかも知れないから、そっちにも聞いてみてくれ。俺とは違う意見が聞けるかもしれん」

 

 研遊は、崖の上にいる明日香と隼人の方へ指をさした。指をさされた当の二人は、「何事だ?」と首を傾げていたが、十代は二人を見て頷いた。

 

「おう、わかった。あとで聞いてみるぜ。研遊も、ありがとな」

 

 あまりアドバイスが出来なかったかなと思い、申し訳なさそうな表情を浮かべる研遊を、気にするなと言わんばかりに頷く十代だった。

 

「そして翔。『ジェット・ロイド』の件は、さっきデュエルで説明した通りだ。効果が効果なだけに、伏せカードが無くても攻撃するときに罠を発動されるかもしれないから、真っ先に破壊対象になってしまう。その点に気を付けるんだ」

「うう、はいっす…」

 

 研遊の言葉を聞いて、翔はさらに落ち込んだ表情を浮かべ下を向いた。

 

「そして、こういうことはあまり言いたくないんだけどさ。翔は、もう少しデュエルをする相手の気持ちを考えた方がいい」

「えっ!」

 

 翔は驚きの声を上げ、思わず研遊の顔を見た。その顔は怒っているわけではなく、どこか少し悲しそうに見える、そんな表情だった。

 

「『スチームジャイロイド』を召喚した時、翔はどんな気持ちだった?」

「え、ええっと……」

「エースモンスターを召喚出来て嬉しい気持ちはわかる。俺だって『ジェムナイト』の融合モンスターを出せたら嬉しいし、十代だって『フレイム・ウィングマン』を召喚した時は嬉しそうな表情を浮かべていた。でもな、だからと言って相手を煽るようなことを言って良い訳じゃない」

「あっ……」

 

 研遊の言葉を聞いて、翔は自身の言ったセリフを思い出し、何かに気付いたようだった。

 

「翔。もう過ぎたことだから、今は気にしていない。次から気を付けるんだ」

「う、うん………」

 

 翔は視線を落としながら頷いた。それは誰の眼にも落ち込んでいることが分かる様子だった。

 

「翔。そういえばなんだけど最後のターン、何を引いたんだ?ちょっと見せてくれよ」

「あっ、ちょっと」

 

 十代は翔の静止を聞かず、持っていたカードを手に取り、カードテキストを確認した。

 

「あっ、『パワー・ボンド』!どうしてこのカードを使わなかったんだ?このカードを使って出したモンスターの攻撃力は倍になって、強力なモンスターを召喚できたのに」

「やっちゃダメなんだ!そのカードはお兄さんに封印されたカードなんだ!」

 

 十代の言葉を遮り、自身のカードを取り返した翔は泣きそうな表情をしていた。

 

「やっぱり…僕なんかがアニキとタッグを組むなんて無理なんだよ!!」

「翔!!」

「………」

 

 研遊と十代に背を向け、翔は逃げ出すように走り出していった。十代は名前を呼んだが、研遊はジッとその背中を見つめていた。

 

 崖の上では、明日香と隼人が走り出した翔を見て驚いた表情を浮かべた。その後、隼人は「翔!」と名前を叫んだ後、翔の後を追って走り出していった。走り出した隼人を見送った後、明日香は崖の下に残った二人に視線を送り、一つ頷くと崖の下へとゆっくり降りて行った。

 

 残された十代と研遊は、翔の走って行った方向を見ていたが、十代は海の方へと視線を変えた。その様子につられ、研遊も海の方へと視線を向けた時、降りてきた明日香が視界に入り、右手を挙げて応えた。明日香も笑いながら右手を挙げたが、十代が普段とは違う表情をしていることに気付き、声をかけた。

 

「いつもは楽しそうにデュエルをしている貴方が、なんだか冴えない顔ね」

 

 明日香の言葉に答えるように、十代はゆっくりと口を開く。

 

「だってさ、デュエルって楽しいはずだろ?なのにさ、翔のデュエルはなんだか辛そうなんだ。それに翔のヤツ、『パワー・ボンド』なんて強いカード持ってるのに“お兄さんに封印されてる”とか言って使おうとしなかったんだぜ」

「っ!!」

 

 十代の言葉に、明日香は驚いた表情を浮かべる。明日香が驚いた理由を研遊は知っているため、特にリアクションは見せなかったが、十代はその表情を見て首を傾げる。

 

「なんだよ?」

「翔くんには本当のお兄さんがいるの。しかも、この学園にね」

「っ!そうだったのか」

 

 どことなく表情を曇らせながら話す明日香をよそに、次は十代が驚きの表情を浮かべた。

 

「知らなかったの!?三年のオベリスクブルーのトップ、丸藤亮。他の生徒たちは彼のことをデュエルアカデミアの帝王、カイザーと呼んでいるわ」

「カイザー……。一体、翔とその兄貴の間に何があったんだ……」

 

 ポツリと呟いた十代は、そのまま海原を眺める。その十代をやや不安そうな表情で見つめる明日香だったが、その二人の様子を見て研遊はというと、

 

「(あー。そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だぞ。だって明日香の目の前にいるのは……遊城十代なんだからな)」

 

 心で呟きニヤリと笑っていた。その証拠に十代の表情はすぐに笑顔へと変わった。

 

「よっしゃ!その兄貴とデュエルしてみりゃ分かるってもんさ!」

「十代!?あなた聞いてたの!?丸藤亮は三年の……」

 

 いいことを思い付いたと言わんばかりに、十代は悪戯っぽく笑う。その表情を見て、明日香は目を丸くした。

 

「オベリスクブルーのトップでカイザーって呼ばれてるんだろ?やっと面白くなってきたぜ!!」

「十代、貴方って人は………面白過ぎる」

 

 拳を握り笑顔を見せる十代に、明日香はやや呆れたように笑うが、その表情はとても穏やかなものだった。

 

「よーっし!待ってろよ、カイザー!!!」

 

 握りこぶしを高く上げ、声高らかに宣言をする十代だった。

 

「(うん。これぞ、初期の遊城十代って感じだな。懐かしいやら嬉しいやら色んな感情が出てくるな)」

 

 その十代を見て、研遊はうんうんと頷いていた。

 

「さてと、十代。俺は先に寮に戻るぜ」

 

 十代と明日香のやり取りを見ていた研遊は、十代に手を振りながらその場を去ろうとした。

 

「おう!修行に付き合ってくれてありがとな、研遊!」

「こちらこそ。あぁ、そうだ。明日香、一つお願いがあるんだが」

「何かしら?」

「もしよかったら、さっきのデュエルで気付いた事とかあったら十代に教えてあげて」

「わかったわ」

 

 それくらいならと、明日香が頷き、研遊もつられてうんと頷く。

 

「それじゃあ、またな。十代、次は負けねえからな」

「おう、俺だって負けねえぞ!」

 

 十代は、研遊の言葉に笑いながらサムズアップをしながら答えた。研遊も笑いながら二人に手を振りその場を後にした。

 

 寮へ向かう研遊は、その道中で先程のデュエルのことを考えていた。

 

「(正直、今の十代になら勝てるかなと思ったんだけどな。流石に引きのお化けには勝てなかったか)」

 

 最後の攻撃を受けた瞬間を思い出し、研遊は苦笑する。その様子が気になったのか、先程のデュエルで姿を見せた騎士が、同じように顕現し、研遊に声をかけた。

 

「よう、大将。浮かない顔してんな」

「ああ、『ルマリン』か。さっきのデュエルを思い出してな。手加減ってわけじゃないけどさ。あの二枚の内、どっちかでも使ってたら結果は違っていたのかなって」

 

 研遊は、先程のデュエルで『ブリリアント・フュージョン』や『スキャッター・フュージョン』を使用しなかったことを呟いた。勿論、自分自身で使用しないことを決めたデュエルだったため、言い訳がましいことも頭では理解していた。それでも、もし使っていたらと、未練がましく思う自分自身がいることも事実であり、それ故に研遊は何とも言えない表情を浮かべていたのだ。

 

「まあ、負けちまったことは事実だ。大将もそこは分かってんだろ?十代だってすぐに強くなる。大将の全力と戦う日が来るのもそう遠くはないさ」

「『ルマリン』……。ああ、そうだな。ありがとう」

 

 軽い調子だが、研遊のことを励ます言葉をかける騎士。その言葉を聞いて、研遊は笑みを浮かべた。

 

 

「さぁてと、寮に帰ったら一休みしてデッキでも見直すかな。俺の対戦相手が誰なのか、全然予想もつかないし」

 

 すっきりした表情を浮かべた研遊は、再び寮に向かって歩き出した。その足取りは、先程よりも軽く感じていた。

 

「そうだ。折角だし、気分転換がてら海沿いを歩きながら帰るか」

 

 研遊は足の向きを少し変えて、海の方へと歩き出した。やや遠回りになると分かっていながらも、今の清々しい気分のまま寮へ帰るのは勿体ないように感じていた。しばらく歩くと、崖の向こうに青い海が広がり、優しい潮風が研遊の頬を撫でた。

 

「風が心地いいな………」

「いい風が吹いていますね、マスター」

「うおっ、ビックリしたぁ。『サフィア』か」

 

 周りに人気もなくゆっくりと景色を眺めていた研遊だったが、不意に聞こえた声に驚きの声を上げた。しかし、半透明で現れた騎士の姿を確認し、ふぅと胸を撫で下ろした。

 

「驚かせてしまいましたか!?申し訳ありません!!」

「いいよ。いい風が吹いてるもんな」

 

 驚いた研遊の姿を見て、慌てて頭を下げる蒼玉の騎士。その様子を見て、研遊は優しく笑う。研遊が笑ったことを確認し、騎士の方も顔を上げ、海を見つめた。

 

「ええ、やはり海はいいですね。心が洗われるようです」

「そうか。『サフィア』の融合先は『アクアマリナ』。つまり、アクアマリン。アクアマリンはラテン語の海の水を語源に持っていたんだっけか」

 

 両手を広げ風を受けながら海を眺める騎士。その様子を見ながら研遊は呟きながら一人頷く。

 

「折角だ。『サフィア』も一緒に歩こうか」

「おお、ありがたい申し出です!ぜひとも、ご一緒させて下さい!」

 

 騎士の方は右手を胸に添えて軽く頭を下げた。そして、二人は他愛ない話をしながら海沿いを歩き寮へと向かった。

 

「ん?あそこにいるのは…」

 

 騎士との会話を楽しんでいた研遊だが、ふと視線の先に崖の上に立っている人影が見えたため、目を凝らした。しかし、さすがに遠すぎたので誰が立っているのかは分からず、近づいて確かめることにした。その人影との距離が段々と縮まり、改めて目を凝らすと制服を着ており、その制服の形状はオベリスクブルーの制服で間違いないようだった。

 

「(オベリスクブルーの制服だな。いやでも、あの色合いはもしかして…)」

 

 その人影との距離が近づくにつれ、研遊の疑問は確信へと変わっていった。

 

「あ、あんたは……」

「うん?ああ、お前は入学試験で風隼教諭と戦っていた」

 

 その人影は研遊の発した声に気付き、海に向けていた視線を研遊の方へと移した。そして、研遊が入学試験で風隼と戦っている人物だということを思い出した様子だった。その人影は、このデュエルアカデミアで最強かつ帝王と呼ばれている男。その名は丸藤亮。またの名を…

 

「カイザー…亮…」

「お前も散歩か?ここは良い風が吹く。俺も偶にだが気分転換がてらに出歩くことがある」

 

 亮は海の方を見ながらフッと小さく笑う。その様子を見て研遊は少し驚いた表情を浮かべる。

 

「(へえ、カイザーも散歩したりすることがあるんだな。そうか、この時期ってまだ吹雪が何処に居るのか分かっていないし、明日香と情報交換してるんだっけ。親友の心配したり学業に追われたり、そりゃ気分転換したくなる時だってあるか)」

 

 海を見つめる亮の横顔を見ながら研遊は小さく頷き一人納得していた。

 

「なぁ、気分転換ってんなら俺とデュエルしないか?」

「なんだと?」

 

 研遊の提案に聞き、目を丸くして驚きの表情を浮かべる帝王。それもそのはず。亮はカイザーと呼ばれ始めてから、デュエルを挑まれる回数は自身の入学当初と比べ、驚くほどに減っていた。ただ、その理由は当然とも言える。今の学生達が『カイザー亮』を目標にはすれど、勝てると思っている者は殆どいない。つまり、勝てるわけがないと思っている相手に対して勝負を挑む者はいないということ。そんな中、一人の新入生から勝負を挑まれたというのは、亮にとっては驚きでしかなかった。しかし、勝負を挑まれた亮よりも驚いている人物がいた。それは………

 

「(んん!?今、俺なんつった!?)」

 

 そう。研遊自体が自分の言い放った言葉に驚いていた。表情こそ笑みを浮かべているものの、内心驚きを隠せず只々困惑するばかりであった。どうしたものかと、一人焦っていると。

 

「クッ、クックック。アッハッハッハ!!」

 

 勝負を挑まれた当の本人が大声で笑いだし、その様子を見て研遊は、ポカンと口を開けて目を丸くしていた。

 

「そうか、気分転換にデュエルか。そういう考えは忘れてしまっていたな」

 

 亮は一頻り笑い終わった後、「ふう」と一息つき笑みを浮かべたまま研遊の方を向いた。

 

「さて、気分転換に付き合ってくれるんだろう?一試合、お願いしようか」

 

 亮はデュエルディスクを取り出し、腕に装着しながら研遊と距離を取った。ある程度まで離れた後、研遊の方を向きデュエルディスクを構えた。

 

「さあやろうか、一年生。名前は…」

「あ、須磨です。須磨研遊と言います」

「研遊か。いい名だな。さあ、ディスクを構えろ」

「は、はい(いやいやいや!!何この展開!?原作にないんだけど!?)」

 

 今の自分の置かれている状況が全く呑み込めていない研遊だが、自分が言い放ってしまった言葉の責任を取るべくディスクを構えた。

 

「行くぞ、研遊」

「よ、よろしくお願いします(ええーい、もうこうなりゃヤケだ!)」

 

「「デュエル!!」」

 

 学園の帝王と呼ばれる男と宝石の融合使いと呼ばれる男の決闘が始まった。

 




はい。というわけで
カイザーとデュエルになりました。
いや、かなり無理矢理ですね。
今回の話はとても短いですが、
デュエルまで書くと流石に
長くなりすぎるだろうなと思ってので
ここで区切りました。
デュエルシーンは今しばらくお待ちください。
次回はもっと早く投稿します。
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