遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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お待たせしました。
今回も会話パートのみです。
会話を書くのって難しいですね。
それでは、どうぞ。


【第13話 制裁デュエル】

 研遊が二敗した翌日、研遊は何事も無かったかのように一日を過ごしていた。そして、時間は流れて研遊は夜の海岸に居た。その海岸には研遊だけでなく、十代と亮がデュエルしており、研遊と同じように明日香と隼人、そして翔の三人がデュエルの行く末を見守っていた。そして、そのデュエルが終わりへと近づいていた。何故ならば亮が『タイムカプセル』のカード効果で、ある魔法カードを手札に加えた為だった。

 

「(カイザーが『パワー・ボンド』を手札に加えたな。さあ、出て来るぞ。とんでもない三つ首の機械竜が)」

 

 結末を知っている研遊は、ワクワクと胸を躍らせながら昨日自身に止めを刺した機械竜が召喚されるのを今か今かと待っていた。研遊の様子には気付かず、デュエルを観戦していた三人は固唾を飲んで次の展開を見守っていた。そして、自分のターンが回ってきた亮がゆっくりと口を開く。

 

「十代、いよいよ大詰めかな」

「ああ、どうなるかワクワクするぜ!」

「そうだろう、君は持てる力を存分に出し切っている。そんな君に対し俺も全力を出すことが出来た。君のデュエルに敬意を表する」

 

 十代と亮の会話を聞いて、研遊はそっと翔の方へ視線を送った。翔は研遊の視線には気付いていなかったが、その代わり二人の会話を聞いて大事なことに気付いたようで、目を開いて、そしてある決意を固めたような表情を浮かべた。

 

「(翔は大事なことに気付けたみたいだな。それでも暫くしたらまた調子に乗っちゃうんだけどね。でも少なくとも制裁タッグデュエルの時はその気持ちを忘れないし、まあ大丈夫だろ)」

 

 翔の表情を見て、研遊は静かに安堵し誰にも気付かれないように小さく微笑んだ。そして、もうすぐ巨大な機械竜が姿を現すだろうと思い二人のデュエルを観戦しようと視線を戻した時だった。

 

「ああ、そういえばこの俺でも全力を引き出せない相手が昨日いたな。次は全力を引き出せるようなデュエルをしないとな」

 

 亮は悪戯っぽく笑いながら研遊の方へと視線を送った。その言葉を聞いて、この場に居る全員が研遊の方へ視線を向けた。視線を向けられた研遊は、気まずそうに視線を明後日の方へと向け気付かない振りをしたが、

 

「えっ、お兄さんが全力を引き出せなかった?」

「亮があんな顔をするなんて」

「研遊って、やっぱり只者じゃないんだな」

「研遊のやつ、カイザーとデュエルしてたのか!くっそう、そのデュエル見てみたかったぜ!」

 

 それぞれが自身の思いを口にしながら研遊を見ていた。そして、当の研遊はと言うと

 

「(おいぃぃ!何でわざわざそんなこと言うの!?そうだ!忘れてたけどカイザーってちょっと天然入ってるんだった!きっと悪気無く言ったんだろうけどさぁ!)」

 

 冷や汗をかきながら亮の言葉を何とも言えない表情で受け取っていた。

 

「さて、デュエルを続けようか」

 

 亮の言葉に全員がハッとして、戦っている二人に視線を戻した。しかし、完全に戻しているわけでは無く、チラチラと横眼で研遊の方を見てはいたのだが。

 

「(まあ、またデュエルしようって言ったからな。次は負けませんよ、カイザーさん)」

 

 研遊が改めてリベンジを誓ったと同時に、亮が『パワー・ボンド』のカードを発動し巨大な機械竜が十代に止めを刺してデュエルを終えたのだった。デュエルが終わり、全員が和気藹々としている様子を研遊が眺めていた時だった。

 

「あっ、そういえば研遊!昨日、カイザーとデュエルしたって」

「よし!俺はもう帰って寝るわ!じゃあな、十代!いいデュエル見せてくれてありがとな!皆、また明日!(これ以上、原作と違う展開にしてたまるかってんだ!!)」

 

 十代が研遊に昨日起こった事を尋ねようとしたが、研遊は「答える気はない」と言わんばかりに、全員に簡単な挨拶をした後、踵を返し自身の住む寮へと全力で走り出し、その場を後にしたのだった。

 

 

 

その数日後、研遊は十代や翔と一緒に、泣きながら手紙を握り海岸に立っている隼人を見ていた。隼人の方は泣きながらも「何か」を決意した顔をしており、その様子を三人は温かい目で見守っていた。

 

「(昨日の親父さんとのデュエルがあったからこそ、隼人は今後も頑張れるんだよな。ペガサスの会社で働けるまで気張るんだぞ。ただ、それはそれとして頭痛い……)」

 

 昨日のデュエルを十代や翔と一緒に観戦していたのだが、隼人の父親が使用したカードが酒関連のカードばかりだった為か、アルコールの匂いが研遊の所まで届いており、その匂いで研遊は酔ってしまった。幸い、タガが外れて何かをやらかしたという事は無かったが。元々、前世でも酒を呑むことは殆どない人生を送っており、その分アルコールへの耐性も無く、しかも現在は学生の身体という事もあり非常に酔いやすい体質になってしまっていた。つまり研遊は今、早い話が二日酔いに近い状態だった。

 

「(この後、水分補給をしっかりしよう。絶対、成人しても酒は呑まねえ……)」

 

 隼人と同じように「何か」を決意した研遊だった。ただ、決意した内容は天と地ほど離れたものだった。

 

 

 

 制裁デュエルが行われる日が近付き、研遊は十代や翔と一緒にデュエルをしたりデッキを再構築したりとお互いに意見を言い合いながら過ごしていった。

そして、いよいよ制裁デュエルの日が訪れた。三人は「ここで時間まで待つように」と指示があった待機室で自身たちの出番を待っていた。

 

「うう、緊張する……。大丈夫かなぁ。もし、このデュエルで負けたら退学に」

「何言ってんだよ翔。今日まで三人で頑張ってきたじゃないか。これまで通り、楽しいデュエルをしようぜ。それにしても対戦相手って誰なんだろうな」

「何でアニキはそんなに緊張感が無いんすか…」

「まあ、十代がこーゆーヤツなのは今に始まった事じゃないだろ。ただ、さっき十代が言ったとおりだぞ。翔、「楽しいデュエル」をしてくるんだ」

「いや、退学が掛かったデュエルを楽しめって言われても」

 

 研遊の言葉を聞いて、少し戸惑うような表情を浮かべた翔。その表情を見て研遊は少し笑って手を振りながら口を開いた。

 

「ああ、悪い悪い。言葉が足りなかった。楽しいって言っても気楽にやれって意味じゃ無い。相手をリスペクトして全力を出すデュエルをする。お互いに全力を出し合うデュエルは、きっとお互いを成長させる。そんなデュエルが楽しくないわけないだろう?だからそういうデュエルをして来いっていう意味で言ったんだ」

 

 研遊の言葉を聞いて、目を見開いた翔。そして、小さく「リスペクト……」と呟いた。まるで少し前に二人の兄が行っていたデュエルを見た時の感情を思い出したかのように。

 

「研遊くん…どこまで出来るかは分からないけど、僕も頑張ってみるよ!」

 

 力強く宣言したその顔はまだ緊張が残っているようには見えたもの、その瞳には熱い闘志のようなものを映していた。その瞳を見た研遊は、優しく笑いゆっくりと頷いた。そして、壁に掛かっている時計を見て研遊が口を開いた。

 

「さあ、そろそろ時間だ。二人とも行こうか」

「おう!」

「うん!」

 

 力強い返事をした二人に対し、研遊は力強く頷いた。そして、制裁デュエルが行われるフィールドまで三人は歩みを進めた。その道中、研遊はある考え事していた。

 

「(いよいよ、制裁デュエルが始まるな。十代と翔は迷宮兄弟とのデュエルで無事勝利するはず。だから退学の心配はしなくていいだろう。ただ、俺の相手って一体誰なんだ?ホントに見当も付かねえ)」

 

 研遊は自身の対戦相手が一体誰なのか全く思いつかず、少々険しい表情を浮かべていた。それもそのはず。研遊が制裁デュエルをすることは、本来のGXの世界では行われ無かったこと。そのため、対戦相手が誰なのか全く分からないのは当然とも言える。

 

「(まあ、誰が相手でも全力でデュエルをするだけだ。せっかくこの世界に転生したんだ。退学になってたまるか)」

 

 研遊は今一度決意を新たにし、制裁デュエルが行われるフィールドへ足を運ぶのだった。

 

 

 

 

 そして時間が流れ、十代と翔の制裁タッグデュエルは大詰めとなっていた。最後のターン、翔はある魔法カードを発動させた。

 

「手札からマジックカード、『パワー・ボンド』発動!」

「(よし、このデュエル決まったな)」

 

 研遊はフィールドから少し離れた待機場でタッグデュエルを観戦しており、翔が発動した魔法カードを確認し大きく頷いた。そして、十代のフィールドの戦士と翔のフィールドの新たに召喚されたUFO型の機械が融合し、新たなモンスターを生み出した。

 

「『ユーフォロイド・ファイター』で攻撃!フォーチュン・テンペスト!!!」

 

 機械の戦士が放った光線を受けた闇の戦士は、何事も無かったかのように佇んでいたが、その光線は戦士の身体を貫通し、迷宮兄弟へと降り注いだ。そして、兄弟のライフポイントを全て削り取って行った。

 

「やった!!勝ったよアニキ!!研遊くん!!」

 

 自身の攻撃で勝利をつかむことが出来た翔は、二人の顔を交互に見ながら満面の笑みを浮かべる。その表情を見た二人も笑顔を返した。そして、研遊は二人に駆け寄りハイタッチをして口を開いた。

 

「やったな翔!十代もお疲れさん!」

「ああ、二人で勝ち取ったぜ!」

「まさか勝てるなんて…夢みたいッす!」

 

 三人は手を取り合い、それぞれで別の喜びを感じていた。十代は自身の憧れである武藤遊戯とデュエルしたことのある相手とデュエルが出来たこと。翔は退学を免れたことと自身の攻撃で勝利を収めたこと。研遊は迫力と見応えがあるデュエルを間近で観戦できたこと。三者三葉の喜びではあったが、それでも掴んだ勝利を祝っていることは誰の目にも明らかだった。

 

「次は研遊のデュエルだな!絶対勝って来いよ!」

「研遊くん、ファイトっす!!」

 

 十代と翔は、次にデュエルを行う友に対して激励を送った。その言葉を聞いた研遊は笑みを浮かべながら力強く頷く。

 

「ああ、勿論だ!頑張って来るから、ちゃんと見といてくれよ?」

 

 研遊は、スッと握り拳を二人の前に差し出した。十代と翔は顔を見合わせた後コクンと頷き、同じように握り拳を作り研遊の拳にしっかりと合わせた。

 

「じゃあ、俺たちは向こうに行ってるからな!」

「また後でねー!!」

 

 十代はサムズアップをしてフィールドから降りて行った。翔の方もしっかりと研遊に手を振りながら十代の後に続いた。研遊は二人を見送った後、クルリと振り返り相手側のフィールドに視線を送った。しかし、その視線の先にはまだ対戦相手は表れておらず、研遊が首を傾げた時だった。

 

「続いテーワ、セニョール須磨の制裁デュエルを行なうノーネ!」

 

 クロノスの声が全体に響き渡り、会場からは大きな歓声が上がった。

 

「ただーし、対戦相手を発表するのは私で無いノーネ。セニョール須磨の対戦相手を選んだのは倫理委員会ナノーネ!それデーワ、倫理委員会の方、発表をお願いするノーネ!」

 

 クロノスの言葉を聞いていた研遊は、驚きながらクロノスの方へと視線を向けると、クロノスから受けとったであろうマイクを手に持った倫理委員会の女性が立っていた。倫理委員会の女性は、研遊を一瞬睨みつけたかと思うと正面を向き話し始めた。

 

「こちらは倫理委員会だ。これより須磨研遊の制裁デュエルを行なう。なお、そこに居る須磨研遊は、校則を破り尚且つ倫理委員会に反発した。これは大変許されざる行為である!諸君たちも、校則を破り我々に歯向かえばどうなるか。今からそこに居る愚か者が証明してくれるであろう!!」

 

 力強く宣言した後、研遊を見下したように睨みつける倫理委員会。それはこのデュエルで研遊が敗北し退学になる事が決定しているとでも言わんばかりの宣言だった。倫理委員会の言葉を聞いて、会場はざわめき、生徒たちは互いに顔を見合わせ、教員たちも何事かと驚いた表情を浮かべていた。一方、研遊はと言うと

 

「(あらら。よっぽど俺に意見されたのが、気に食わなかったんだな。ただ、一介の生徒に対して流石に言い過ぎじゃねえかな)」

 

 倫理委員会の言葉に、やや呆れ気味の研遊だった。しかし、呆れながらも別の考えが頭を過った。

 

「(ただ、逆に言えば確実に俺を倒せる相手を選んだってことだ。つまり、相当な実力者ってことになると思うけど。一体誰なんだ?)」

 

 研遊が対戦相手の事を再び考え始めると同時に、キィーンとマイクのハウリング音が会場に鳴り響いた。

 

「それでは登場して頂こう!日本チャンピオンの実績を持ち、デュエルキングと戦ったこともあるデュエリスト!インセクター羽蛾!!」

 

 倫理委員会の宣言が終わると同時に、フィールドに上がってきたのは特徴的なメガネと昆虫が描かれている服を着ている男性。その男性の名はインセクター羽蛾。前作の登場人物であり、闇遊戯や城之内といった主人公たちとデュエルを繰り広げたこともある人物だった。そして、現れた人物を見て、研遊は驚き目を見開いていた。

 

「(おいおい。マジかよ、確かに迷宮兄弟も前作の登場人物だけどさ。流石にこの登場は予想外過ぎるぞ)」

 

 研遊が羽蛾の登場に驚いて何も言えずにいると、その表情を見た羽蛾が何を思ったのか、ニヤリと厭らしく笑い口を開いた。

 

「ヒョッヒョッヒョ!学生くん、残念だったなぁ!何をしたのか知らないけど、わざわざこの僕を呼び出したくらいだ。よっぽど君を負かしたいんだねえ!まっ、悪く思わないでくれよ?こっちも仕事なもんでねえ!」

 

 羽蛾は高笑いしながら研遊に言い放った。まるで自分が勝利することが当たり前だと言わんばかりに。羽蛾の言葉を聞いて、研遊が顔をしかめていると後ろの観覧席から学生同士の話声が聞こえてきた。

 

「おい、インセクター羽蛾が出てきたぞ」

「ああ。性格に難ありだが、実力は確かだぞ」

「ダイナソー竜崎やエスパー絽場に並ぶプロデュエリストだからな」

「流石にプロデュエリストには勝てないよな」

 

 話し声を聞きながら研遊は顔をしかめたまま対戦相手である羽蛾に見ると、いまだに腰に手を当て高笑いをしている羽蛾が目に映った。

 

「(この世界では羽蛾とか竜崎はプロになってるのか。だから俺の相手に選ばれたんだな。確かに羽蛾は遊戯や城之内に負けてるけど、追い詰めたことがあるのも事実だ。油断は禁物だ。ただ……)」

 

 研遊は倫理委員会と羽蛾に対して、睨みつけるような視線を送った。倫理委員会はその視線に気付いたのかビクリと肩を震わせ、羽蛾の方は高笑いで視線を上に向けている為か研遊の視線に気付くことはなかった。

 

「(デュエルする前から、勝手に俺が負ける事にしてんじゃねえよ)」

 

 研遊は勝手なことを言う倫理委員会や羽蛾に怒りを覚えていた。元々、理不尽な提案をしてきた倫理委員会に良い感情は持っておらず、嫌悪していた研遊だったが、先程の宣言を聞いて更に嫌悪感が増していた。そして、今目の前に居るデュエリストも自身が勝つという事を微塵も疑っておらず、それだけならばまだしも研遊を完全に格下扱いしていた。勿論、羽蛾からすれば研遊は只の学生と言う事でもあるので、その態度が出てしまうのも仕方が無いと言えば仕方が無いのかもしれない。ただ、その態度を全く隠そうともしない羽蛾にも問題はあるのだが。

 

「すいませんが、折角デュエルアカデミアに入学したんです。まだまだ学生生活を謳歌したいので、勝たせて頂きますよ」

 

 研遊が怒りを込めつつ、羽蛾に向かって静かに言い放った。研遊の言葉に気を悪くしたのか、羽蛾は眉をひそめて口を開いた。

 

「ただの学生が生意気言うじゃないか。そんな奴には僕のインセクトデッキで懲らしめてやる!二度とそんな口がきけないようにな!」

 

 お互いに睨み合いデュエルディスクを構え起動した。会場にいる全ての人が固唾を飲み二人のデュエルの行く末を見守っていた。

 

「「デュエル!!!」」

 

 そして、二人の掛け声とともに、研遊の制裁デュエルが始まった。

 




というわけで、
制裁デュエルの相手は羽蛾でした。
竜崎や絽場、梶木も考えたんですが
恐竜やサイコショッカーは後々出て来るし
梶木はデュエルより漁師をやってるんじゃないかな
と思い羽蛾にしました。
あと、言い訳になりますが
迷宮兄弟と十代達のデュエルですが
ゲートガーディアンは新規のカードが沢山あるので
執筆しようかなとも考えましたが
自分だと面白い展開を書けないだろうと思い断念しました。

最後にお気に入り登録やしおり、感想など
皆さんありがとうございます。
非常にうれしく思っています。
今後も精一杯頑張ります。
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