遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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初のデュエルシーンです。
読み辛かったらごめんなさい。


【第1話 デュエルアカデミア入学試験】

 

 研遊がフィールドへ到着すると試験官であるデュエルアカデミアの教師がデュエルディスクを構え立っていた。

 

「受験番号○○!須磨研遊です!よろしくお願いします!」

 

 自身の番号と名前を発表した後、研遊は頭を下げた。

 

「うむ、元気のいい受験生だ。私は今日の試験を担当する風隼という。この試験は勝ち負けも大事だが、負けても戦術等できちんと評価される。全力でぶつかって来なさい!」

「わかりました!では、全力で勝ちに行きます!」

 

 研遊はデッキケースからデッキを取り出し、デュエルディスクにセットした。それと同時にディスクが起動する。同じ様に風隼もディスクを起動した。

 

「その心意気や良し!では行くぞ!」

「「デュエル!!」」

 

 研遊 LP 4000

 風隼 LP 4000

 

「先行は受験生からだ。さあ、カードを引きなさい」

「わかりました。では、遠慮なく。俺のターン!ドロー!」

 

 研遊は今ドローしたカードと手札を見て、最善の動きを考える。

 

「俺はモンスターを裏守備表示で召喚!これでターンエンドです!」

 

 風隼 LP 4000

 研遊 LP 4000

    手札 五枚

    場  裏守備モンスター

    伏せ なし

 

「おや、手札があまり良くなかったのかな?」

 

 研遊の動きを見て、風隼は少しからかう様に尋ねた。

 

「いやぁ、先ずは準備段階ってところですかね」

 

 風隼の問いかけに頬を掻きながらアハハと笑いながら答えたが、

 

「(いやいやいや、手札事故りすぎだろ!このデッキはあの魔法が来ねえと始まらねえって言うのに!このモンスターが来てくれなかったら悲惨な目に合ってたぜ)」

 

 と、セットしたモンスターに目を向けた。そう、研遊は内心とても焦っていたがそれを表情に出さない様に必死に取り繕っていた。

 

「うむ、じゃあ私もフィールドを整えようかな。私のターン、ドロー!」

 

 風隼にターンが移り、デッキから勢いよくカードを引いた。そして、手札からある一枚を選びディスクへセットしてターンを進める。

 

「まずは『トレード・イン』を発動!手札の『ダーク・ホルス・ドラゴン』を捨て、デッキから二枚ドロー!そして『終末の騎士』を攻撃表示で召喚!」

 

 『終末の騎士』 レベル4 ATK1400

 

 風隼のフィールドに、ボロボロの布を纏った黒い鎧の騎士が姿を現した。

 

「『終末の騎士』の効果発動!このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから闇属性モンスターを一体墓地へ送ることができる!私は『ダーク・クリエイター』を墓地へ送る!」

 

 召喚された黒い騎士の効果が発動し、デッキからカードが墓地へ送られる。その一連の流れを見て研遊は風隼のデッキを考えていた。

 

「(『終末の騎士』に『ダーク・クリエイター』と『ダーク・ホルス・ドラゴン』か。多分だけど、風隼先生のデッキは闇属性を中心としたデッキか。怖いなぁ、闇属性って強いカード多すぎなんだよなぁ。もし、光属性も入っていて【カオス】とかだったら泣きたくなるんだけど)」

 

 勝手に考察して勝手に悲しくなっている研遊だった。そんな研遊の様子に気付かず、風隼はターンを進める。

 

「更に私は、手札の『ダーク・パーシアス』を墓地へ送り、手札から『ダーク・グレファー』を特殊召喚!」

 

 『ダーク・グレファー』 レベル4 ATK1700

 

 不気味に笑いながら闇に落ちた戦士が風隼のフィールドに召喚された。

 

「『ダーク・グレファー』に装備魔法『ビッグバン・シュート』を発動だ!これにより、『ダーク・グレファー』の攻撃力は400ポイントアップし、貫通効果を得る!」

「なっ!?」

 

 力を得た戦士が、体が怪しく光りさらに不気味に笑っていた。

 

 『ダーク・グレファー』 ATK1700→2100

 

「おお、さすが風隼先生だ」

「あっという間にモンスターを二体並べたぞ」

「あの受験生、太刀打ちできるのか?」

「やはりセニョール風隼は素晴らしいノーネ」

 

 風隼はモンスターたちを駆使して流れるように墓地を肥やして行った。そのプレイングを見て他の生徒や講師は称賛を送っていたが、研遊は少し冷汗をかいていた。

 

「(これで風隼先生のデッキが【闇属性】なのは、ほぼ確定だな。でもさ、この先生強すぎませんか?他の試験の先生は『レッグル』とか『起動砦のギア・ゴーレム』とか使ってたよ?そんな先生たちと比べてレベルが違う気がする)」

 

 研遊は受験番号を呼ばれるまでの間、もとい前世の記憶を思い出すまでの間に他の受験生のデュエルを参考になればと思い見学していた。しかし、風隼のデュエルは他の試験講師と比べても実力が頭一つ抜けていた。

 

「(だからって諦めるわけじゃないけどね!)」

 

 冷汗をかきつつも強い相手と戦えることを嬉しく思う研遊だった。まるで登山家が高い山を登る時に恐怖を覚えると同時に期待に胸を膨らませるような。そんな感情を抱いていた。

 

「バトルフェイズに入る!『ダーク・グレファー』でセットモンスターに攻撃だ!」

 

 風隼の攻撃宣言を聞いて、闇の戦士が剣を振りかぶりセットモンスターへと向かってきた。

 

「くっ!」

 

『ジェムタートル』 DEF2000

 

 研遊のフィールドに姿を見せたのは、宝石の甲羅を持つ緑色の亀だった。その亀は攻撃されたことに驚き、身体を甲羅に引っ込めて身を守ったが、手に持った剣で切り倒された。そして、その斬撃は研遊まで届いていた。

 

 研遊 LP4000→3900

 

「先制ダメージは頂いたぞ」

 

 自身の言葉を聞いて少しはうろたえるかと思った風早だが、当の研遊はニッと笑う。

 

「これで終わりじゃないですよ」

「何?」

「『ジェムタートル』はリバースモンスターなんですよ」

「リバースモンスターだって!?」

 

 研遊の言葉に風隼は驚く。それもそのはず。リバースモンスターは名の通り、裏から表に反転した時に効果を発動するモンスターだ。効果を発動するまで時間が掛かる事がネックではあるが。ともかく、その効果のトリガーを引いてしまったことに風隼は顔をしかめた。

 

「『ジェムタートル』の効果発動。デッキから『ジェムナイト・フュージョン』を手札に加える!」

 

 研遊はデッキから一枚の魔法カードを引き抜いた。そう、研遊のデッキはこのカードが来ない事には始まらない。始まりのカードを手にすることができた研遊は得意げな顔を浮かべる。

 

「『ジェムナイト・フュージョン』?聞いたことがないカードだが、名前からして君は融合使いなのか」

「まあ、そうですね」

「ふむ、どんな融合モンスターが出てくるのか楽しみだね。それはさておき、まだ『終末の騎士』の攻撃が残っている。行け、『終末の騎士』!プレイヤーにダイレクトアタックだ!」

 

 先程の戦士と同じように、手に持った剣を構えて研遊に向かって剣を振るった。

 

「ぐうっ!」

 

 騎士の攻撃に抵抗する手段がない研遊はその斬撃をそのまま受ける。

 

 研遊 LP3900→2500

 

「私はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 モンスターの攻撃が終わり、風隼は自身のターンを終えた。

 

 研遊 LP 2500

 風隼 LP 4000

    手札 一枚

    場  『ダーク・グレファー』『終末の騎士』

    伏せ 一枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

 風隼のターン終了を確認し、研遊はデッキからカードを引く。

 

「さぁ、どんなモンスターがでてくるのかな?」

 

 研遊が今手札に持っている自分の知り得ない融合カードでどんなモンスターが出てくるのかを期待している様だった。しかし、その姿はある種の油断とも取れる姿でもあった。つまり研遊は

 

「(うーん。こう言っちゃ悪いけど………嘗められてるな)」

 

 そう。早い話が嘗められているのである。ただ、それがしょうがない事も研遊は頭では理解していた。研遊が他の受験生たちのデュエルを観ていた時も三沢のように勝利を掴んだ生徒はそう多くも無かった。さらに、先程見せた研遊のプレイングも守備モンスターを出しただけ終わっているのだ。これで「嘗めるな」というのも無理な話である。

 

「(だからこそ、隙はある。そこを突く!)さあ、早速行きますよ?まずは『ジェムレシス』を攻撃表示で召喚!」

 

 『ジェムレシス』 レベル4 ATK1700

 

 研遊のフィールドにアルマジロに似た岩石のモンスターが姿を現した。

 

「『ジェムレシス』の効果発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから『ジェムナイト』モンスターを手札に加える!俺が手札に加えるのは『ジェムナイト・ルマリン』!」

 

 『ジェムレシス』の効果で加えたのは電気石の名を持つモンスター。その名の通り、地属性ながらも雷族という少し変わったモンスターである。

 

「ほう、モンスターをサーチする効果を持つのか。しかし、通常モンスターで、かつ攻撃力も少々物足りないんじゃないのかな?」

 

 手札に加えたモンスターを見て、風隼は少し首を傾げた。

 

「まあまあ、そう慌てないでくださいよ。俺はここで魔法カードの『ジェムナイト・フュージョン』を発動!」

 

 先程加えた始まりのカードを研遊はディスクにセットし発動した。そして、研遊のデュエルが本当の意味で動き出したのだ。

 

「俺は手札の『ジェムナイト・エメラル』とフィールドの『ジェムレシス』で融合!幸運の石よ。礫と交わり、ここに新たな姿を現せ!融合召喚!気品の騎士、『ジェムナイト・ジルコニア』!」

 

 『ジェムナイト・ジルコニア』 レベル8 ATK2900

 

 フィールドに現れたのは、両腕に巨大な宝石の手甲を装備したモンスター。その姿は攻撃のみを追求し、全てを粉砕するかのごとく構えていた。

 

「いきなり攻撃力2900か。中々とんでもないモンスターが出てきたじゃないか」

 

 研遊が召喚したモンスターを見て、風隼は少し驚く。それもそのはず。下級のモンスターを出したのかと思うと、次に自身のモンスターの攻撃力を簡単に超えるモンスターを出してきたのだ。風隼は油断していただけに面食らったのである。

 

「先生、まだ終わりじゃないですよ」

「なんだって?」

 

 風隼の疑問の声に、研遊は悪戯が成功した子供のようにニヤリと笑う。

 

「俺は墓地に存在する『ジェムナイト・フュージョン』の効果を発動する!」

「墓地から魔法を発動するだと!」

 

 研遊の声に風隼だけでなく、他の受験生やギャラリーがざわつく。

 

「(この時代には墓地から発動する効果って結構少ないからなぁ。こういう反応になるのも無理は無いか)『ジェムナイト・フュージョン』は墓地の『ジェムナイト』モンスターを除外する事で、手札に加えることができる!『ジェムナイト・エメラル』を除外して手札に戻す!」

 

 再び、始まりのカードを手札に戻す研遊。そう、これこそが【ジェムナイト】の強み。自身が戦線から離れても、次の戦士たちへとバトンを繋ぐ。その絆を信じながら戦う戦士たちを研遊は気に入っているのだ。

 

「(ただ、手札消費が激しいのが難点なんだけどね)さあ、デュエルを続けますよ。手札に戻した『ジェムナイト・フュージョン』を再び発動!手札の『ジェムナイト・ルマリン』と『ジェムナイト・アイオーラ』で融合!無邪気な石よ、導きの石と共に磨き上げ、さらなる輝きを照らし出せ!融合召喚!友情の騎士、『ジェムナイト・パーズ』!」

 

 『ジェムナイト・パーズ』 レベル6 ATK1800

 

 次に現れたのは黄色い鎧を纏う騎士。その両手には短剣を逆手に持ち、目の前にいる敵を切り裂こうと構えているようにも見えた。

 

「いや、恐れ入ったよ。墓地から魔法を発動することもだが、連続で融合召喚をしてくるとは」

 

 風隼は研遊の一連のプレイングを見て、口元に手を持っていきフムと頷く。

 

「失礼な話だが、私は君を少々見くびっていた。だが、こんなプレイングをされてはその認識はあまりにも失礼だ。謝罪させてもらうよ」

 

 風隼は研遊に向かって頭を下げた。その謝罪を見て研遊は驚き目を見開いた。

 

「いやいやいや、頭を上げて下さい!それに、まだデュエルは終わってないんですから!」

 

 両手を振りながら焦る表情を浮かべる研遊だった。

 

「でも、それは俺を評価してくれたってことですよね。ありがとうございます」

 

 研遊も風隼と同じように頭を下げた。実際、研遊も自分のプレイングを評価されたのだ。これで喜ばないという方が無理な話である。

 

「ふむ、ではデュエルを続けようか」

「はい、改めてよろしくお願いします!」

 

 研遊も風隼も顔を上げて、お互いに笑みを浮かべる。

 

「では、バトルフェイズに入ります。『ジェムナイト・ジルコニア』で『ダーク・グレファー』に攻撃!ジルコニア・インパクト!」

 

 研遊の攻撃宣言と共に、気品の騎士が巨大な腕を振りかぶり闇に落ちた戦士に向かって振り下ろした。戦士は剣を構え防御の体勢に入ったが、堪え切れるわけもなく粉砕された。

 

 風隼 LP4000→3200

 

「次に『ジェムナイト・パーズ』で『終末の騎士』に攻撃!トパーズ・スラッシュ!」

 

 両手に短剣を持った騎士が走り出し、黒い騎士を十字に切り裂くと同時に爆発した。

 

 風隼 LP3200→2800

 

「モンスター達が全滅か」

 

 ガラ空きになったフィールドを見て、風隼は少々顔をしかめた。

 

「これで終わりじゃないですよ?『ジェムナイト・パーズ』の効果発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分ダメージを与える!」

「なんだと!」

 

 驚きの声を上げる風隼の頭上に小さな雷雲が出現する。その雲から一筋の雷が風隼に向かって落ちていった。

 

 風隼 LP2800→1400

 

「実質、ダイレクトアタックと変わらないじゃないか」

 

 風隼は予想もしなかったダメージに苦笑する。その様子を見て研遊は得意げな顔をする。

 

「先生、『ジェムナイト・パーズ』はバトルフェイズ中に二回攻撃が出来るんです」

「なっ!」

「行け、『ジェムナイト・パーズ』!ダイレクトアタックだ!」

 

 先程と同じように敵に向かって走り出した。これでデュエルが終わったと思ったギャラリーどれ程いるだろうか。少なくとも受験生の殆どが研遊の勝利だと感じていた。しかし、風隼の実力を知っている講師達や在学生はそうは思っていなかった。ただし、ここまでライフポイントを減らされるとも思ってはいなかったのだが。

 

「その攻撃は防がせてもらう!リバースカードオープン!『ガードブロック』!この戦闘で発生するダメージを0にして、デッキからカードを一枚ドローする!」

 

 伏せていた罠を発動した風隼の前に薄い色をした壁が現れた。騎士の短剣はその壁に弾かれ追撃をすることが不可能となり、研遊のフィールドへ戻って行った。

 

「やっぱり防いできますよね」

 

 追撃に失敗した研遊だが、特に慌てた様子は見せず只々落ち着いていた。

 

「その攻撃で勝てるとは思わなかったのかい?」

 

 罠が発動されたにもかかわらず、落ち着いている様子の研遊を不思議に思い尋ねた。

 

「いや、寧ろ止めてくると思っていましたよ。リバースカードを伏せて何もしないなんて考えられませんし。それに『ジェムレシス』や『ジルコニア』の召喚に反応しなかったので、効果無効や召喚無効ではないなと。そして、『ジルコニア』の攻撃にも反応がなかったので多分ダイレクトアタックに反応する罠なんだろうなと思いました」

「私に罠を使わせるために攻撃をしたと」

「まあ、そんな感じです」

「ふむ、素晴らしい考察だ」

「ありがとうございます」

 

 風隼の評価に研遊は頭を下げる。

 

「メインフェイズ2で俺はカードを一枚セットしてターンエンドです」

 

 風隼 LP 1400

 研遊 LP 2500

    手札 二枚

    場  『ジェムナイト・ジルコニア』『ジェムナイト・パーズ』

    伏せ 一枚

 

「私のターン、ドロー。さて、私のモンスターが全滅したわけだが、本当の試験はここからだ」

 

 風隼が研遊に向かってニヤリと笑う。その笑みに対して研遊はグッと構える。

 

「私は手札から『死者転生』を発動。手札の『ダーク・ヒーロー ゾンパイア』をコストに墓地のモンスター『ダーク・クリエイタ―』を手札に加える」

 

 風隼が手札に加えたモンスターはある条件を満たす事で召喚することができるモンスターである。そして、その条件を揃えたのは

 

「(あ、まずい。『ダーク・クリエイター』出てくるわ)」

 

 皮肉にも研遊が先程の攻撃で揃えてしまっていた。

 

「『ダーク・クリエイター』は自分フィールド上にモンスターが存在せず、自身の墓地に闇属性モンスターが五体以上存在する時、特殊召喚できる!こい、『ダーク・クリエイタ―』!!」

 

 『ダーク・クリエイター』 レベル8 ATK2300

 

 黒い雷と共に現れたのは、創造の名を持つモンスター。そのモンスターは名の通り、モンスターを創造する。

 

「『ダーク・クリエイタ―』の効果発動!一ターンに一度、墓地の闇属性モンスターを除外する事で墓地の闇属性モンスターを特殊召喚する!私は『終末の騎士』を除外する!出でよ、我がデッキのエース、『ダーク・ホルス・ドラゴン』!!」

 

 『ダーク・ホルス・ドラゴン』 レベル8 ATK3000

 

 風隼のフィールドに黒い炎が燃え上がり、その中から現れたのは天空の名を持つ黑き竜だった。その竜は隼のようにも見える姿で、しかしその目は鋭く研遊を睨んでいるようにも見えた。

 

「最上級モンスターがいきなり二体も………」

 

 目の前に現れた黒き竜と創造神を見て研遊は息をのんだ。

 

「(風隼先生のターンの終わりに、墓地には既に三体の闇属性モンスターがいた。自分フィールドのモンスターが破壊されることで『ダーク・クリエイター』の召喚条件を満たした。モンスターが破壊されても次の手をしっかり構えていた証拠だ。『死者転生』も最初から握ってたみたいだし。掌の上で踊らされちゃった感じだな)」

 

 研遊は悔しそうな表情を浮かべ、今の状況を分析した。自身が招いた結果とはいえ、今の状況を素早く把握し、自分に出来る事を考えていた。

 

「バトルフェイズだ!『ダーク・クリエイタ―』で『ジェムナイト・パーズ』に攻撃!ブラック・ボルト!」

 

 創造神が黄色の騎士に向かって黒い雷を発生させた。騎士は耐え切れず、その姿は炭となり消えていった。

 

 研遊 LP2500➝2000

 

「次は『ダーク・ホルス・ドラゴン』で『ジェムナイト・ジルコニア』に攻撃!デスパレード・フレイム!」

 

 隼の竜が黒い火球を残った騎士に向かって吹き付ける。騎士は自慢の手甲で守りの態勢をとったが炎に焼かれ爆発した。

 

 研遊 LP2000➝1900

 

「風隼先生、流石だぜ」

「あの受験生、終わったな」

「風隼先生を相手に頑張った方じゃないか」

 

 今の状況を見て他の受験生や講師たちは風隼の勝ちは揺るぎ無い物だと思っていた。しかし、当の風隼は状況的には有利に立っているにもかかわらず、険しい表情をしていた。

 

「(私の場には最上級モンスターが二体。それに対して須磨くんのフィールドは伏せカードを一枚残しているのみ。手札は二枚残っているが、状況的には私の方が有利のはず。その筈なのに)」

 

 風隼は二体のモンスターに視線を送り、次に研遊の顔を見る。

 

「(なぜ彼は笑っているのかな)」

 

 そう、研遊は笑っていたのだ。それは大型のモンスターが二体も並んでいるからなのか。それともこの状況をどうやって打破するかを考えているからなのか。いや、むしろ両方なのかもしれない。何故なら

 

「(俺のモンスター達は一瞬で全滅か………。だけど、ここから巻き返したらメッチャ凄くないか?俺のデッキには風隼先生を倒す可能性がまだまだ沢山ある。ああ、考えるだけでワクワクする。やっぱりデュエルって楽しいなぁ!)」

 

 研遊がこの状況でもデュエルを楽しんでいたからである。自身が追い込まれた状況でもこのデュエル自体は、研遊にとって楽しい時間なのである。勿論、試験であるということも忘れている訳では無いのだが。

 

「(須磨くんは、この試験を楽しんでいるようだね。不謹慎………とは言い難いな。何故なら本来のデュエリストというのは、今の須磨くんのような者の事を言うはずだ。どんな時にも楽しむ心を忘れず、相手と意気投合し成長する。これがデュエルの素晴らしさだ。そんな当たり前のことを私も少し忘れていた気がするよ)」

 

 風隼は研遊の笑顔を見て、フッと笑みを浮かべる。その様子に研遊は不思議に思い少し首を傾げた。分かっていない様子の研遊を見て風隼は「何でもないよ」と手を上げて応えた。

 

「さて、私はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 研遊 LP 1900

 風隼 LP 1400

    手札 0枚

    場  『ダーク・ホルス・ドラゴン』『ダーク・クリエイター』

    伏せ 一枚

 

「(多分、これがラストターンだ。このドローで勝敗が決まる。頼むぞ、俺のデッキ!)」

 

 研遊は自身のデッキをじっと見た後、目を閉じ深呼吸をする。そして、目を見開きデッキに手を添えた。

 

「俺のタァァァン、ドローーー!」

 

 弧を描くようにカードを引き、その加えたカードを見てニヤリと笑う。

 

「よし、じゃあ行きます!まず俺は墓地の『ジェムナイト・フュージョン』の効果発動!『ジェムナイト・アイオーラ』を除外し、手札に加えます。そして、そのまま『ジェムナイト・フュージョン』を発動!手札の『ジェムナイト・ガネット』と『ジェムナイト・サフィア』で融合!情熱の石よ、慈愛の石と共に我が手中に勝利をもたらせ!融合召喚!勝利の騎士、『ジェムナイト・ルビーズ』!!」

 

 『ジェムナイト・ルビーズ』 レベル6 ATK2500

 

 研遊の場に現れたのは、身の丈ほどもある斧を構えた騎士。その紅い姿は炎を身に纏っている様で、身体の至る所から小さな炎が噴き出していた。

 

「そのモンスターが君の切り札なのかい?」

「はい、このモンスターが俺のデッキのエースです!」

「ふむ。ひと先ず、『ダーク・ホルス・ドラゴン』の効果を発動させてもらう。相手がメインフェイズに魔法カードを発動した時、墓地のレベル4・闇属性モンスターを特殊召喚できる。私は『ダーク・グレファー』を攻撃表示で召喚する!」

 

 『ダーク・グレファー』 レベル4 ATK1700

 

 先程倒した闇の戦士が再び不気味に笑いながら現れた。召喚を終えた後、風隼は今の状況を考えた。

 

「(私が伏せているカードは『炸裂装甲』。『ダーク・グレファー』を攻撃表示で出して攻撃を誘っているが、これまでの須磨くんのプレイングでこんなあからさまな罠に飛び込んでくるとは、考えにくい。ただ、疑問なのは攻撃力が2500のモンスターを召喚した点だ。確かに『ダーク・グレファー』や『ダーク・クリエイター』に勝っている攻撃力だが、このデュエルで決着をつけれるモンスターでは無いはず………)」

 

 一考する風隼の様子を知ってか知らずか、研遊はターンを進める。

 

「流石にその伏せカードは怖いので破壊させてもらいます。リバースカードオープン!『サンダー・ブレイク』!」

「なんだと!」

「手札の『ジェムナイト・オブシディア』を捨て、先生の伏せカードを対象に効果発動!対象に取ったカードを破壊します!」

 

 研遊の宣言と共に。風隼のフィールドに伏せられていた罠は発動する事なく破壊された。

 

「『炸裂装甲』が!やはり破壊してきたか。しかし、破壊した所で………」

「この瞬間、手札から捨てられた『ジェムナイト・オブシディア』の効果発動!」

「くっ!そっちが狙いか!」

「ええ!『オブシディア』が手札から捨てられた場合、レベル4以下の通常モンスターを特殊召喚します!甦れ、『ジェムナイト・ガネット』!」

 

 『ジェムナイト・ガネット』 レベル4 ATK1900

 

 新しく現れたのは右手に炎を宿した柘榴石の騎士。先程現れた赤い騎士によく似た姿をしていた。

 

「コストによって手札から送られても効果が発動するモンスターか。しかし、そのモンスターを召喚したとて、総攻撃を仕掛けても私のライフには届かないぞ」

「いいえ。このターンで俺の勝利は決まりました!『ジェムナイト・ルビーズ』の効果発動!自分フィールドの『ジェム』モンスターをリリースする事でリリースしたモンスターの攻撃力分、『ルビーズ』の攻撃力をアップします!」

 

 二体のモンスターが向き合って頷くと、柘榴石の騎士の体が赤い光へと姿を変えて、残った騎士の手に構えられた斧へと吸収されていった。すべての光を吸収した斧は、同じ様に赤く輝いていた。

 

 『ジェムナイト・ルビーズ』 ATK2500→4400

 

「攻撃力4400だと!」

 

 自身の予想を上回る攻撃力を持つモンスターになったことに風隼は驚きを隠せなかった。また、自身の敗北を悟った瞬間でもあった。

 

「(どのモンスターを攻撃されても私のライフは0。私の負けだ。しかし、彼の様な子が我が学園に来てくれることは大変喜ばしい事だ。先程の三沢くんと言い、来年は優秀な生徒がたくさんいるようだ)」

「行きますよ、『ジェムナイト・ルビーズ』で、先生の『ダーク・ホルス・ドラゴン』に攻撃!」

「えっ?」

「え?」

 

 研遊が選んだ攻撃対象を聞いて、物思いに耽っていた風隼は驚きの声を上げ、その声につられて研遊も驚き首を傾げた。

 

「何故、わざわざ『ダーク・ホルス・ドラゴン』を選んだんだい?」

 

 実際、『ダーク・ホルス・ドラゴン』を選ぶのも決して間違った選択肢ではない。先程風隼が思った通り、どのモンスターを選んでも風隼のライフポイントは0になるからである。ただ、今回は『ダーク・ホルス・ドラゴン』よりも攻撃力が低いモンスターが二体も並んでおり、他のデュエリストなら攻撃力が低い方を狙うことが多いため、風隼が疑問に思っても無理はない話だった。

 

「だって『ダーク・ホルス・ドラゴン』が風隼先生のエースなんですよね?」

「ああ、そうだよ(このモンスターを出して負けたことなど無かったんだがね)」

「せっかくお互いのエースが出ているんだから、エース同士の戦いの方が熱いじゃないですか!その戦いで決着を付けたいじゃないですか!」

「なっ!?」

 

 ぐっと握り拳を前に出した研遊の言葉を聞いて更に驚いた風隼だった。研遊の表情はキラキラと輝いており、エース同士の戦いを今か今かと楽しみにしている様子だった。その様子を見て風隼はポカンと口を開け呆気に取られていたが、

 

「くっ、くくく。あっはっはっはっは!!!」

 

 堪え切れず大きな声で笑い出した。その様子を見て研遊だけでなく他のギャラリーも何事かと驚いていた。

 

「(全く。本当に須磨くんはデュエルを楽しんでいるんだね。エース同士で決着を付けたいだなんて。その時点で君はデュエリストとして合格だよ。そして、この試験もね)」

 

 ひとしきり笑った風隼はフウと一息ついた。そして、ニヤリと笑いながら研遊の方を向いた。

 

「いや、すまなかったね。それでは須磨くん、決着を付けようか。かかって来たまえ!」

「あ、はい!改めて行かせていただきます!『ジェムナイト・ルビーズ』で『ダーク・ホルス・ドラゴン』に攻撃!ルビー・ブレイクダウン!!」

 

 赤い騎士が斧を振り上げ、隼の竜に向かって走り出した。斧を向けられた竜はとっさに黒い火球を騎士に向かって放つが、当の騎士はその炎に少しも怯んだ様子も見せず駆けていた。そして、勢いよく飛びあがり竜に向かって赤く光る斧を振り下ろした。その一撃を受けて、隼の竜は爆発した。

 

「ぐっ、おおおおおおおお!!!!」

 

 ピーーーーー。その爆風を受けると同時に風隼のデュエルディスクから無機質な音が鳴り響いた。その音はデュエルを終了させる音。そして、敗者が決まった音でもあった。

 

 風隼 LP1400➝0

 

「やったぁぁ!勝ったぁぁ!」

 

 研遊は試験だということを忘れて飛び上がっていた。他の受験生たちや講師たち等のギャラリーは研遊が勝利したことではザワザワしていたが、研遊は気付く様子も見せず只々勝利を喜んでいた。そんな様子を見て風隼はフッと笑みを浮かべた。

 

「須磨研遊くん!」

「あ。は、はい!」

 

 名前を呼ばれた事で今が試験の真っ最中だったことを思い出し、研遊は姿勢を正した。

 

「この試験デュエル、実に見事だった。試験の結果は楽しみにしていなさい」

「はい、ありがとうございました!それでは失礼します」

「(まあ、君の合格は間違いないと思うけどね)」

 

 研遊は深く頭を下げた後、クルリと踵を返し試験会場から退場した。その背中を見ながら風隼は研遊の合格が確実なものであることを理解していた。

 

「(さて、次の試験に移ろうかな)こちら風隼。次の受験生のアナウンスをお願いします」

 

 風隼は襟元に付けたマイクに向かって指示を促した。すぐに次の受験番号が呼ばれ、緊張した様子の受験生が入ってきた。

 

「よ、よろしくお願いします!」

「うむ、よろしく」

 

 風隼は気持ちを新たにし、受験生とのデュエルを続けていった。

 

 

 そうして時間は流れて行き、

 

「じゃあ先生に教えてやるぜ。HEROにはHEROに相応しい戦う舞台って物があるんだ!フィールド魔法!『スカイスクレイパー』!!」

 

 十代がクロノスとデュエルを行い、終盤に差し掛かっていた。

 

「(うおおおおお!!来た来た来たぁぁ!行けぇ、十代!)」

 

 結末を知っている研遊は十代とクロノスがフィールドに出て来た時点でテンションが上がりっ放しになっており、終盤ともなればよりそのテンションが更に上がってしまうのも無理のない話であった。

 

「(決着がついたな。この戦い、好き過ぎて何回も見直したもんなぁ。生で見ることが感無量だ)」

 

 研遊は心の中で合掌をした。そして、研遊の視線の先には勝利した事に無邪気に喜ぶ十代が映っていた。そして、全ての試験が終了した。

 

「(さて、試験も無事に終わったし帰るか)」

 

 研遊は身支度を整えて、自宅へと帰った。家にはまだ誰も帰っておらず、研遊は制服から部屋着へと着替えゴロンとベッドに寝転がった。

 

「多分、試験は合格した。来年からⅮAか。楽しみだなあ」

 研遊はこれからの事を考え、期待に胸を膨らませながらゆっくりと眠りについて行った。

 

 

 

 研遊たちが試験を行っていた同時刻。別の試験会場でデュエルが行われていた。

 

「行くよ。××××でダイレクトアタック!!」

「ぐわあああああ!!!」

 

 ピーーーーーーー!!!

 無機質な音が鳴り響き、とあるデュエルの決着がついた。

 

「あーあ。DAの試験だと思ったら、ノース校だったなんて。これじゃあ、十代達と会うのは全然先の話じゃん」

 

 勝利したというのに全く喜んでおらず、むしろガッカリしたという雰囲気を隠そうともしていなかった。しかし、その様子を咎めようとする者は一人もおらず、先程行われたデュエルに只々驚いている者たちばかりであった。

 

「ま、いっか。これも何かの縁だよね。十代達に会えるまで武者修行だと思って頑張りますか。さー、帰ろ帰ろ。」

 

 ぐっと背伸びをして、その試験会場を後にした。その口調は合格することが分かっているかのような言い方だった。結果として合格したことは間違いなかったわけではあるが。

 

「な、何だったんだ。あのモンスター達は」

「あんな奴に勝てる奴なんているのか?」

「来年はとんでもない奴がくるぞ」

 

 その者が立ち去った後も、講師たちや生徒たちはザワザワと騒ぎ、しばらく収まる気配を見せなかった。

 

 

 この世界に二つの何かが落ちてきた。それがどういう結果をもたらすのか、誰も知る由などなかった。ただ、そのことによって皆が知る結末にたどり着く事はないであろうという事だった。今、皆が知っている様で少し違う物語が幕を上げた。

 

 遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~

 




いかがでしたでしょうか?
もっと良いコンボや戦い方も
あったと思いますが
私にはこれが限界でした。
これから頑張っていくのでよろしくお願いします。
因みに私は、融合テーマでは『ジェムナイト』が
一番好きです。
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