遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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タイトルの通り
二度目のデュエルです。
デュエルを考えるのは難しいです。
温かい目で見ていただけると幸いです。


【第3話 二度目のデュエル】

 

 デュエルフィールドに着くと、万丈目と鬼島と名前も知らない取り巻きの三人がにやにやと笑いながら立っていた。

 

「よく来たじゃないか、ドロップアウトボーイズ。その勇気だけは褒めてやる」

 

 万丈目が三人に向かって笑いながら言い放った。その言葉を聞いて、翔はムッとした表情を、十代は特に気にした様子も見せず、研遊は「はて?」と頸を傾げ、三者三様のリアクションを取っていた。

 

「なあ、この二人には悪いんだけどさ。一応、俺はラーイエローなんだけど」

 

 手を上げて答えた研遊の言葉を聞いて、十代と翔はガクッとズッコケた。

 

「研遊くん、どっちの味方なんすか!」

「いや、ごめんごめん。ついね」

 

 怒った表情を浮かべた翔を見て、アハハと力なく笑う研遊だった。そのやりとりを見て呆れていたのは万丈目だったが、

 

「おい!昼間と同じように無視をするな!」

 

 我慢できなかったのか、鬼島が声を荒げて研遊たちを睨みつけた。

 

「だから無視しているつもりは」

「黙れ!イエローの分際で!」

 

 少しの弁解も許さず、鬼島は研遊の言葉をすぐに遮った。

 

「万丈目さん!こいつの相手は俺にやらせてください」

「ふん、好きにしろ。俺はそこのドロップアウトボーイに用があるんだ」

「ありがとうございます。さあ、早くフィールドに上がれ!」

「いや、俺はお前とデュエルするつもりは無いんだが」

「お前に拒否権なんてある訳ないだろ!さっさと来い!この小石使いが!」

「………あ?」

 

 鬼島が最後に言い放った言葉に、研遊は耳を疑った。鬼島が言った「小石」とは一体何のことを指すのか。ここにいる全ての人間が理解しており、それは研遊のカードたちを明らかに馬鹿にしたものだった。

 

「おい!人の大事なカードに対してそんな言い方はないだろ!」

 

 鬼島の言葉に十代が怒った表情を浮かべる。翔も言葉は発さなかったが、うんうんと頷き抗議の意を表していた。そんな二人の様子を気にする事なく、鬼島は言葉を続ける。

 

「ふん!何が宝石だ!元々のステータスが低い雑魚モンスター達を小石呼ばわりして何が」

「黙れ」

 

 静かに、しかしはっきりと研遊が鋭く言い放った。その言葉に全員が驚き、研遊の方へ視線を向けた。研遊が言った言葉に含まれていた感情。それは純粋な怒り。表情こそ大きく変化している訳ではない。しかし、研遊が激怒している事は火を見る事より明らかだった。

 

「いいよ、デュエルしようか」

 

 先程の意見とは逆の言葉を研遊が鬼島に向かって静かに言った。そして、デュエルディスクを起動し戦闘態勢に入った。

 

「お、おい研遊。大丈夫か?」

 

 先程と全く違う様子の研遊を心配してか、十代が不安そうに尋ねた。

 

「ん、大丈夫だよ。頭は冷静だから」

 

 十代に向かって笑いながら返事をした研遊だった。ただし、その眼は全く笑ってはいなかったが。

 

「十代、そんなことより万丈目とデュエルして来な。あっちも待ってるみたいだぞ」

 

 研遊が指を差した方向に、デュエルディスクを起動させ、腕組みをしている万丈目の姿あった。その姿を確認した十代が「おう」と返事をする。

 

「よし、俺も行って来るぜ!研遊、負けんなよ!」

 

 十代は研遊にサムズアップをして万丈目の方へ走って行った。そしてすぐデュエルが始まった。

 

「はあ、折角二人のデュエルを見に来たのにな」

 

 研遊はため息をつき残念そうな表情を浮かべた。

 

「おい!ぶつぶつ言ってないでこっちもデュエルを」

「黙ってろ。お前と話す事はない」

「っ!」

 

 鬼島の言葉を遮り、残念そうな表情を一瞬で怒りの表情へ変えた研遊だった。その眼は鋭く鬼島を睨んでいて、当の鬼島も「うう」と言葉に詰まっていた。早い話が、鬼島は研遊に恐れを抱いていた。

 

「さっさと始めるぞ。オレのデッキ………いや、仲間たちを侮辱したお前は絶対に許さない」

「ふ、ふん!威勢だけは良いようだな!始めるぞ!」

「「デュエル!」」

 

研遊 LP 4000

鬼島 LP 4000

 

 先行は研遊。デッキから静かにカードを引き手札に加える。

 

「俺は『ジェムナイト・アレキサンド』を召喚」

 

 『ジェムナイト・アレキサンド』 レベル4 ATK1800

 

 フィールドに現れたのは、白い鎧を装備した岩石の騎士。攻撃力は『ジェムナイト』の中では低い方ではないが、このカードの強みは攻撃力ではない。

 

「『ジェムナイト・アレキサンド』をリリースして効果発動。デッキから通常モンスターの『ジェムナイト』を特殊召喚する。こい、『ジェムナイト・クリスタ』!」

 

『ジェムナイト・クリスタ』 レベル7 ATK2450

 

 白い騎士が姿を消したかと思うと、銀の甲冑を装備した水晶の騎士が姿を現した。

 

「いきなり最上級モンスターを呼び寄せただと!」

 

 フィールドに現れたモンスターを見て驚きの声を上げる鬼島だが、その様子には目もくれず研遊は淡々とターンを進める。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 手札から一枚のカードをディスクへセットし研遊はターンを終えた。

 

鬼島 LP 4000

研遊 LP 4000

    手札 四枚

    場  『ジェムナイト・クリスタ』

    伏せ 一枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 鬼島はデッキからカードを引き抜くとニヤリと厭らしく笑う。

 

「ふん。多少はマシな石が出てきたみたいだが、俺のデッキじゃ攻撃力の高いモンスターが居ても何の関係もないんだよ!俺は『起動砦のギア・ゴーレム』を召喚!」

 

 『起動砦のギア・ゴーレム』 レベル4 ATK800

 

 鬼島が召喚したのはDAの試験でも使用されていた刺々しいデザインの機械のモンスター。この世界では主に高い守備力を活かし壁モンスターとして使われる事が多いが、鬼島は守備表示ではなく攻撃表示で召喚した。それが意味することを研遊はすぐに理解した。

 

「(効果を使う気か…)」

「『ギア・ゴーレム』の効果発動!ライフを800支払うことでこのカードはダイレクトアタックが出来る!」

 

 鬼島   LP4000→3200

 

「いくらモンスターを並べようと、直接殴っちまえば問題ねえんだよ!バトルフェイズだ!いけ、『ギア・ゴーレム』!そこのドロップアウトをぶん殴れ!」

 

 鬼島の声を聴いて、機械兵が水晶の騎士を無視して研遊に殴りかかった時だった。

 

「ダメージステップ!速攻魔法発動、『リミッター解除』!!」

 

 『起動砦のギア・ゴーレム』 ATK800→1600

 

 殴りかかった機械兵が淡く光ったかと思うと、研遊の腹を両手で殴った。殴られた研遊は少しだけ体がふらついたが、特に気にする様子もなくただ小さく「ふう」と息をついた。

 

 研遊   LP4000→2400

 

 鬼島が発動したのは、機械族モンスターの命を捧げる代わりに攻撃力を倍増するカード。機械族を使用するデュエリストなら持っていてもおかしくはないが…。

 

「(止めを刺すためじゃなく、ダメージ量を優先してきたか)」

「どうだ!お前がモンスターを並べたところで意味がないのが分かったか!」

「…………」

 

 直接攻撃が決まり興奮した様子の鬼島を、研遊は冷めた目で見ていた。しかし、その様子に気付くわけもなく、ダメージが入り黙っている研遊を見て気分を良くしたのかもうすでに勝ち誇った表情を浮かべていた。

 

「俺はカードを二枚伏せて、ターンエンドだ!そして、『リミッター解除』の効果により、『ギア・ゴーレム』は破壊される」

 

 鬼島の宣言後、機械の兵士は役割を終えたようにばらばらと崩れ、鉄くずに姿を変えたかと思うと直ぐに姿を消していった。

 

研遊 LP 2400

鬼島 LP 3200

    手札 二枚

    場  無し

    伏せ 二枚

 

「俺のターン、ドロー」

 

 自身にターンが回り、先ほどと同じ様にゆっくりとデッキからカードを引いた。

 

「俺は『ジェムナイト・ガネット』を召喚」

 

『ジェムナイト・ガネット』 レベル4 ATK1900

 

 フィールドに現れたのは、右手に炎を宿す赤い騎士。その炎は普段より激しく燃えている様にも見えた。まるで研遊の怒りを表しているかの様に、もしくはその騎士自身も怒っているかの様にも見えた。

 

「バトルフェイズ。『ガネット』で攻撃だ」

 

 赤い騎士は鬼島の方へ駆け出し、自分たちを馬鹿にした相手へと炎を纏った拳を振り上げた時だった。鬼島がニヤリと笑い、伏せていたカードを発動させた。

 

「リバースカードオープン!『攻撃の無力化』!」

 

 鬼島の前に奇妙な空間が広がり、赤い騎士の拳は鬼島に届くことは無かった。そして、そのまま研遊のフィールドへ戻っていく。

 

「『攻撃の無力化』は相手の攻撃に反応するカウンター罠!この効果によりバトルフェイズは終了するぜ!」

 

 得意げな表情で効果を説明する鬼島だが、研遊はと言うと特に驚きもせず、ましてや何も言う事は無いと言わんばかりに鬼島の方へは視線も向けず、自身の手札を見て戦略を考えていた。

 

「俺はこのままターンエンドだ」

 

鬼島 LP 3200

研遊 LP 2400

    手札 四枚

    場  『ジェムナイト・クリスタ』『ジェムナイト・ガネット』

    伏せ 一枚

 

「俺のターン、ドロー!フン、攻撃が通らなくて残念だったなぁ。だがな、これがドロップアウトであるお前達とエリートである俺達との差なんだよ!わかったか、この」

「御託はいいから、早くターンを進めろ。同じような内容ばかりペラペラと。いい加減飽きた」

 

 鬼島の言葉を遮り、心底うんざりした様な表情を浮かべる研遊。それもそのはず。鬼島が口を開いて話す内容はどれも研遊を馬鹿にしたもの。言葉は違えど中身は同じなため、聞いている研遊がうんざりするのも無理はない話だった。しかし、自身の言葉を遮られた当の鬼島はと言うと、顔を真っ赤にしてわなわなと身体を震えさせていた。

 

「こ…この…。ドロップアウトの分際で…。許さないからな!リバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!甦れ、『ギア・ゴーレム』!!」

 

 『起動砦のギア・ゴーレム』 レベル4 ATK800

 

 鬼島のフィールドに先程破壊された機械の兵隊が姿を現した。

 

「そして、俺は速攻魔法『地獄の暴走召喚』発動!このカードは相手フィールドにモンスターが存在し、自身が攻撃力1500以下のモンスターを一体のみ特殊召喚した時に発動できる!その特殊召喚した同名のモンスターを手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚する!来い、『ギア・ゴーレム』達よ!」

 

 鬼島の声に反応するように新しく二体の機械兵が召喚された。

 

「そして、相手は自身のモンスターを一体選び、その同名のモンスターを可能な限り手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚できる。さあ、さっさと小石どもを召喚しろ!」

「…俺のデッキに『ガネット』も『クリスタ』も一体しかいない。よって、俺は特殊召喚できるモンスターはいない」

 

 自身の仲間たちを侮辱され怒りの表情を浮かべる研遊だが、その研遊の表情を見て悔しがっているように見えたのか、若しくは怒っている事に気付いていないのか、鬼島はニヤリと厭らしい表情を浮かべた。

 

「へっ、まあどうせ小石たちを並べたところで意味はないけどな。さっき引いたこのカードで止めを刺してやる!手札から魔法発動!『右手に盾を左手に剣を』!!」

「………へえ、中々面白いカードを使うじゃないか」

 

 鬼島が使用したカードを見て研遊は「ふむ」と頷く。

 

「この効果は知ってるみたいだな。発動時の全フィールドのモンスターの攻撃力と守備力をエンドフェイズ時まで入れ替える!!これにより俺のモンスター達の攻撃力は2200となる!」

 

『起動砦のギア・ゴーレム』×3 ATK800→2200

『ジェムナイト・ガネット』 ATK1900→0

『ジェムナイト・クリスタ』 ATK2450→1950

 

「これでお前のモンスターは雑魚同然!俺のモンスター達で攻撃すればお前の負けだ!いけ、『ギア・ゴーレム』共!その小石たちを粉々に砕いて来い!」

 

 機械の兵隊達が宝石の騎士たちに向かって飛び掛かった時、研遊は静かに伏せていたカードを発動する。

 

「リバースカード、『和睦の使者』発動」

「な、なんだと!」

「『和睦の使者』は戦闘からモンスターを守り、更に戦闘ダメージを0にするトラップだ。これにより、お前の攻撃は意味をなさない。残念だったな」

 

 騎士たちは機械兵の攻撃を受けたものの、何事も無かったかのように立ちずさんでいた。一方の鬼島は決まったと思ったデュエルが決まらず、ギリギリと歯を食いしばっていた。

 

「くそっ!この死に損ないめ!次のターンでブッ倒してやる!俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

研遊 LP 2400

鬼島 LP 3200

    手札 0枚

    場  『起動砦のギア・ゴーレム』×3

    伏せ 一枚

 

「俺のターン、ドロー」

「(ちっ、『和睦の使者』なんて面倒なカード使いやがって。だが、俺が伏せたカードは『重力解除』。攻撃してきた瞬間に発動すれば全てのモンスターの表示形式を変更できる。仮にこのカードを破壊してきたところで、その効果にチェーンすれば『ギア・ゴーレム』を守備表示にして守りを固める事が出来る。貫通効果と攻撃力アップのあの融合モンスターが召喚されても俺のライフは十二分に残る。次のターンで俺の勝利は確定だ)」

 

 先程のターンで止めを刺せなかった鬼島は舌打ちをしたが、次のターンが回ってくれば自身の勝利は揺らぎないものだと信じていた。そう、鬼島は自身が負ける未来など全く想像していなかったのだ。曲がりなりにもオベリスクブルーに所属し、幼い頃には小さな大会ではあったが優勝経験もあり、実際にオベリスクブルーの一年生の中でも上位にランクインしている実力者でもある。だからこそ自分自身が負けることなど想像できるはずもなかった。

 

「………少し助かったな」

 

 研遊が小さく呟いた。小さな声だったが、鬼島の耳にしっかりと入りその意味を考えた。そして、ある結論が浮かび鬼島は再び厭らしく笑った。

 

「なんだ、『和睦の使者』は苦し紛れのカードだったのか?まあ、無理も無いか。所詮、ドロップアウトのお前なんかが俺に勝とうなんざ百年早いんだよ!この小石使いが!」

 

 言い切った後にゲラゲラと笑う鬼島。その様子を見て研遊はゆっくりと口を開いた。

 

「いい加減にしろよ、お前。俺の事を馬鹿にするのは別に構わない。ドロップアウトだろーがなんだろーが好きに呼べばいい。だがな、俺のカード達を。仲間達を。馬鹿にするやつは誰であろうと許しはしない!!」

「うっ…」

 

 研遊は鋭く言い放ち、鬼島を睨んだ。睨まれた鬼島は怯えた様子で自身も気付かぬうちにズズッと後退っていた。しかし、後退ったことでハッとなり何事も無かったかのように取り繕った。

 

「う、うるさい!どうせ、俺の勝ちは決まっているんだ!「助かった」なんて言ってる奴が勝てるわけないだろ!」

「………あぁ。「助かった」の意味をそう捉えたのか。俺が言った「助かった」って意味は、お前がモンスターを三体も特殊召喚してくれたから「助かった」って意味だ」

「な、なんだと!」

 

 鬼島は研遊の言葉を聞いて、驚きに目を見開いた。自身のフィールドのモンスターが増えるならば研遊の言った言葉の意味がわかる。しかし、研遊が言った言葉は「相手の場が増えることが助かった」という鬼島にとっては意味の分からない言葉だった。

 

「い、一体どういうことなんだ!」

「黙って見ていろ。直ぐにわかる」

 

 鬼島にとっては当然の疑問を研遊に問いかけるが、当の研遊は答える気などサラサラ無いと言わんばかりに自身のターンを進める。

 

「俺は手札から『ジェムナイト・フュージョン』を発動!フィールドの『ジェムナイト・ガネット』と手札の『ジェムナイト・オブシディア』を融合する!情熱の石よ、魔除けの石と共に我が手中に勝利をもたらせ!融合召喚!勝利の騎士、『ジェムナイト・ルビーズ』!!」

 

『ジェムナイト・ルビーズ』 レベル6 ATK2500

 

 研遊のフィールドに現れた炎を纏いし赤き騎士。その炎は、まるで研遊の怒りを表しているかの様に激しく燃え盛っていた。

 

「更に手札から捨てられた『オブシディア』の効果発動。墓地からレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する。甦れ、『ジェムナイト・ガネット』!」

 

『ジェムナイト・ガネット』 レベル4 ATK1900

 

 研遊の声に応えるように再び現れた、もう一人の赤き騎士。その視線は鬼島へと向けられており、鋭く睨んでいる様にも見えた。

 

「出たな、貴様のエースが。(だが、そいつの効果を使ったところで意味はないけどな)」

「墓地の『ジェムナイト・フュージョン』の効果発動。『オブシディア』を除外し、手札に加える。再び、『ジェムナイト・フュージョン』を発動!手札の『ジェムナイト・サフィア』と『ジェムナイト・ラズリー』で融合だ!慈愛の石よ、叡智の石と交わり、ここに新たな姿を現せ!融合召喚!気品の騎士、『ジェムナイト・ジルコニア』!」

 

『ジェムナイト・ジルコニア』 レベル8 ATK2900

 

「効果によって墓地へ送られた『ラズリー』の効果発動!墓地に存在する通常モンスターを手札に加える。俺は『サフィア』を手札に戻す!」

「な、何回モンスターを召喚する気だ!!」

「まだだ!『ジェムナイト・フュージョン』の効果で『ラズリー』を除外し手札に戻す!これで最後だ!『ジェムナイト・フュージョン』を発動!手札の『ジェムナイト・ラピス』と『ジェムナイト・サフィア』で融合!知恵の石よ、慈愛の石と共に真実を暴き出せ!融合召喚!真実の女騎士、『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』!!」

 

『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』 レベル5 ATK2400

 

 研遊の最後のモンスターゾーンに姿を見せた藍色の女騎士。その姿は騎士というよりも巫女のようにも見え、優雅に佇んでいた。

 

「そ、そんな…。一ターンでモンスターを五体揃えただと…」

 

 当の鬼島はと言うと、相手のフィールドが瞬く間にモンスターで埋まったことに只々呆然となるのみだった。

 

「(だ、だがいくらモンスターを並べたところで意味はない。『重力解除』を発動すればあいつの攻撃が俺に届く事はない!)」

 

 鬼島は自分を落ち着かせるようにセットしたカードに視線を向けた後、発動するタイミングを逃すまいと研遊の動きに注目した。

 

「よし、行くぞ」

「(き、来たっ!ここだ!)」

 

 研遊の言葉を聞いて攻撃が来ると思い、鬼島はセットしたカードを発動するためデュエルディスクを操作しようとした時だった。

 

「俺は『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』の効果発動!」

「は、はあ!!」

 

 操作しようとした指を止め、鬼島は目を大きく見開いた。それもそのはず。鬼島は研遊が攻撃をする為に、五体ものモンスターを並べたと思っていたため、攻撃を宣言すると思い込んでいた。しかし、研遊が言い放った言葉はモンスターの効果を発動すると言ったもので、自分の思っていた事とは大きく異なっていたため、驚きを隠せずにいた。その様子を見て研遊は何事かと首をかしげていた。

 

「どうした?いきなり声を上げて」

「ど、どうしたもこうしたもあるか!それだけモンスターを並べておいて何故攻撃しない!普通、攻撃するだろ!」

「お前の普通なんて知るか。俺がモンスターを並べたのは攻撃をする為じゃない。『ラピスラズリ』の効果を最大限生かすためだ」

「な、なんだよそれ!どういう意味だよ!」

「黙って見ていろ。それに、もう勝敗はついた。『ジェムナイトレディ・ラピスラズリ』の効果でデッキ又はエクストラ…いや、融合デッキから『ジェムナイト』モンスターを墓地へ送り、フィールド上の特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与える!」

「なっ、なんだとおぉ!」

 

 研遊の言葉を聞いて、たまらず大きな声を上げる鬼島。それもそのはず。この時代のバーンカードはそこまでの火力を持ってはいない。無論、『デス・メテオ』や『火炎地獄』など1000ポイント単位でダメージを与えるカードも確かに存在している。しかし、ダメージ量が多い為か、この世界ではそのカード自体がレアカードとして扱われており所持しているデュエリストはそう多くはなかった。それだけに強力なバーン効果を持つモンスターを所持している研遊に、鬼島は驚きを隠せなかった。

 

「ふ、ふざけるな!なんだ、そのインチキカードは!」

「文句は言い終わったか?さて、ここで問題だ。『ラピスラズリ』の効果でお前が受けるダメージはいくらだ?」

「ば、馬鹿にするな!それくらいの計算は出来る!特殊召喚されたモンスターはお前のモンスター五体と俺の…特殊…召喚した…『ギア・ゴーレム』三体…。お、お前まさか「助かった」っていうのは!」

「ああ、わざわざ三体も特殊召喚してくれてありがとう。おかげで、丁度いいダメージをお前に食らわせられる」

 

 研遊が「助かった」と言った意味を鬼島はようやく理解した。そう。研遊がモンスターを最大で五体並べた所で、鬼島に与えるダメージは2500ポイント。鬼島を倒すには少しダメージが足りない。ただ、あるモンスターを召喚すればそのことを気にする必要はないのだが、研遊は鬼島相手にそのモンスターを出すほどの価値があるとは思っていなかったため、そのモンスターを出さずにどうやって止めを刺そうかと考えていたところに、鬼島が自らモンスターを三体も特殊召喚したため、つい「助かった」と呟いてしまったのだ。

 

「そ、そんな…。俺が………ドロップアウトなんかにぃぃぃぃ!」

「行くぞ!『ラピスラズリ』の効果を改めて発動!デッキから『ジェムナイト・ラズリー』を墓地へ送り、お前に4000ポイントのダメージを与える!!」

 

 女騎士が両掌に光を集め始めたかと思うと、その光は大きな光球へと形を変えた。そして、その光を鬼島に向かって解き放った。

 

「うわああああああ!!!!!!」

 

 

鬼島   LP3200→0

 

 ピーーーーー!!!。無機質な機械音が鳴り響いた。鬼島は膝をつきガックリと項垂れていた。

 

「ふう、スッキリした」

 

 その様子に目もくれず、研遊はふうと息をつき十代と万丈目のデュエルを見ようと、もう一つのデュエルフィールドに目を向けようとした時、視界に明日香の姿が見えたため明日香の方を向くと、口を開け驚いているように見えた。

 

「ん?」

 

 研遊が首をかしげると明日香はハッとしたように軽く咳払いをした後、研遊の方へ向かって来た。

 

「ねえ、貴方やっぱり強いのね」

「へ?いやいやいや、そんなこと無いんじゃない?普通だよ普通」

「だって鬼島君に勝つなんて。彼、結構強いのよ?」

「うそぉ……。人のカードを雑魚だの何だの言うやつが強い訳ないじゃん」

 

 明日香の言葉を聞いて、信じられないという表情を浮かべる研遊だった。そして、自身で言っておきながら、鬼島から言われた言葉を思い出して少し怒りが込み上げてきた研遊だった。

 

「ま、それはいいや。十代と万丈目のデュエルはどうなったかなっと」

「いいやって…。貴方ね」

「俺は元々あの二人のデュエルを見に来たんだよ。あいつとデュエルなんてするつもりなんてなかったし。今どういう状況なんだ?」

「えっと、そうね」

 

 研遊の質問に明日香が答えようとした時だった。少し遠くから足音の様な物が聞こえてきた。研遊と明日香がその音の方を向いた後、お互いに顔を見合わせ頷いた。そして、急いで十代達の方へ駆けていった。

 

「おい、十代!」

「お、研遊じゃないか。デュエルに勝ったのか?」

「そんなこと言ってる場合じゃない!このデュエルはストップだ!ガードマンが来る!」

「は、はあ?」

 

 研遊の言葉に十代は呆けたような表情を浮かべたが、万丈目は驚いた表情を浮かべる。

 

「本来、この時間にデュエルフィールドを使用することは校則で禁止されてるわ。見つかったら、ここに居る全員退学よ!」

 

 明日香の言葉を聞いても中々動こうとしない十代だが、万丈目の方は舌打ちをしてデュエルディスク停止させ、フィールドから降りて行った。

 

「ちっ。命拾いしたな、ドロップアウトボーイ。次はきっちりと貴様を倒してやる。行くぞ、お前ら!」

「は、はい!」

 

 万丈目の言葉を聞いて、項垂れていた鬼島も立ち上がり万丈目について行った。そして、十代の方はと言うと

 

「いーやーだー!俺は動かないー!」

「我儘言うな!これから三年間の中で万丈目とデュエルする機会なんざ、いくらでもあるんだよ!こんなことでその機会を棒に振るな!」

 

 研遊の言葉を聞いてようやく納得したのか、十代はデュエルフィールドから降りた。そして、残った四人はガードマンに見つからないようデュエルフィールドを後にした。その後、十代は明日香に「俺が勝っていた」と言う説明をし終わった後、それぞれの寮へとこっそり帰って行った。

 

「あー。つっかれたーー」

 

 無事に寮にたどり着いた研遊は、部屋着に着替え自室のベッドにゴロンと寝転がった。そして、天井を仰ぎながら先程の事を思い出していた。

 

「くそう、十代と万丈目のデュエルを見るために寮を抜け出したってのに災難だったな。だけど、このカード達を馬鹿にするやつは許すわけにはいかない。あいつから貰った大事なカード達だからな…」

 

 机の上に置いたデッキに視線を送った後、研遊は目を閉じて前世の事をゆっくりと思い出していった。

 

 




とうわけで二度目のデュエルでした。
原作のキャラと全くデュエルをしない
主人公ですが、ちゃんとデュエルさせる
つもりなので今しばらくお待ちください。
そして、お気に入りに登録される方が
少しずつ増えているのがとても嬉しいです。
本当にありがとうございます。
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