遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~ 作:shin.
主人公の前世の話になります。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
そこはとある病室。ベッドに座っている少年とベッド横にある丸椅子に座っている少女。少女の方は沢山のカードを握っており、ベッドに備えられているテーブルにも少年に見せびらかすように多くのカードを広げていた。
「はい、××××!これ、あげる!」
少女は手に持った沢山のカードを少年に渡した。受け取った少年もカードを見て笑みを浮かべていた。
「ありがとう。えーっと、ジェムナイト?へえ、宝石がモチーフなんだ。カッコ良くてキレイだね。そして、融合がテーマなんだね」
「そう。××××は融合のテーマ好きでしょ?」
「だって十代達が出るGXは融合がたくさん出るじゃん。それに、このジェムナイトも十代が使うHEROに少し似ているね。テーマ内に通常モンスターがいるなんて」
「まあ、私もGXなら十代が一番好きかなー。あとは………やっぱりヨハンかな」
少年の話を聞きながら少女の方も自分が好きなキャラクターの名前を挙げていった。
「でもホントにいいの?こんなに沢山」
「いいのいいの。私が欲しかったカード達はこっちだから。デュエルターミナル回しまくったんだけど、中々出なかったのよねー。ほらコレとか!」
少女はカードの束からある一枚を引き抜き、得意げな表情を浮かべる。手に持ったカードは、青いカードで融合モンスターのカードとよく似ていた。
「へえ、儀式モンスターか。そっか、儀式モンスター好きだもんね」
「いいでしょ?それに結構強いのよ、この子達」
少女は最初に抜き取ったカード以外にも、他の儀式モンスターを数枚選び得意げな表情を浮かべながら少年の前に広げながら見せた。
「凄いね、なかなか強力なカード達だ」
「でっしょー!」
少女は自分のことのように喜びの表情を浮かべる。その表情を見て少年も笑顔を見せた。
「だからさ、早く病気を治して一緒にデュエルをしようよ」
少女は先ほどと同じような笑みを浮かべているものの、声が少し小さくなりどことなく元気がないようにも聞こえた。その用を察してか、少年はとても優しい表情を浮かべる。
「もちろんだよ。約束だ」
「絶対だよ!約束なんだから」
そうして二人は指切りをしてお互いに笑いあった。その後は、カードのことやテレビのことなど他愛もない話をしながら過ごしていった。
それから数年の時は過ぎ、少年の病気は決して完治したわけではないが、日常生活を送れるまでは回復していた。そして、少年と少女は成人してもなお一緒に過ごしていた。何かをするにしても何処かへ出かけるときでも、二人は笑い合い幸せを感じていた。もちろん、デュエルモンスターズも続けており、休日にはデュエルをしたりカードを買いに行ったりしていた。
しかし、その幸せは長くは続かなかった。青年の方の病気が再発したのだ。元々、原因が不明だった病気だったこともあり、青年の体は見る見るうちに衰弱していった。それでも二人は笑顔を忘れることはなかった。二人とも、決して無理をして笑顔を作っていたわけではない。青年の方は女性に会えることが嬉しくて。女性の方は青年と過ごせる時間があることが嬉しくて。お互いに悲しむ暇があるくらいなら、お互いの笑顔を見ることが何よりの幸せを感じることができるから。そのことを理解している二人は常に笑顔で幸せを嚙みしめていた。
だが、青年の病気は悪化していく一方だった。声を出すことも難しくなりかつての様に笑いながら話すことも出来なくなっていった。それでも女性は毎日病室へ足を運んだ。そして、自身の話を青年に聞かせていった。青年は、返事はできなかったが、ゆっくりと頷いたり優しいまなざしを向けたりと自分に出来る最大限の相槌を打ちながら耳を傾けた。その空間、その時間は二人をやさしく包み込んでいた。
それから時が過ぎ、青年は息を引き取った………。
研遊が目を覚ましたのは時計の針がちょうど六時を指したところだった。日が昇り始めたところなのか、窓からは薄い光が差し込んでいた。研遊はベッドからから起き上がり、体を伸ばした後、机の上に置いていたデッキを手に取った。
「………君から貰ったこのカード達と一緒にこの世界に来るなんて思ってもいなかったよ。君だったら「私も行きたかった」とか言うのかな」
夢で見た女性は、前世で研遊が一番大切で一番大事にしていた人。その人を置いて、この世界に転生したことを考えると少しの寂しさが胸に生まれた。
「だからこそ、君は向こうで幸せになってくれていると嬉しいな。もう、名前を思い出すことも出来ないけどさ」
研遊は、手に持ったデッキを胸に当て目を閉じて祈るように天を仰いだ。自分どころか相手の名前も思い出せない相手に研遊ができることは祈ることだけだった。だが、その想いは紛れもなく本物。研遊ができる精一杯のことだった。
「俺はこの世界で君から貰ったこのカード達と共に精一杯やってくよ。このカード達を選んでくれてありがとね」
小さく呟いた研遊は部屋着から制服に着替え簡単な身支度を済ませた。ふと窓の外を見ると辺りは明るくなっており、木々たちが風に吹かれて揺れていた。
「さてと、今日から授業が始まるし気合い入れて頑張りますかね。よし、朝飯食べに行きますか」
そうして研遊は朝食を食べに食堂へと向かうため、ドアに手を掛けた時に誰かに呼ばれたような気がして後ろを振り返った。当然、一人部屋のこの部屋に誰かいるはずもなく、研遊は気のせいだと思ったが、ある言葉を思いつき静かに口にした。
「行ってきます」
それは誰に向けて言った言葉なのか、研遊自身も分かっていなかった。しかし、こう言わなければいけないと確信を持っていた研遊は言ったことに満足し扉をパタンと閉めて笑みを浮かべながら食堂へと向かった。
「聞こえたのかな?」
「聞こえたわけじゃないようだ」
「感じ取った………と言ったほうが正しそうだな」
「じゃあ、もしかしたらもうすぐかな」
「ああ、楽しみだな」
主人公の前世の話でした。今回は少し短めでした。
というか、文章力がなく短くしか書けませんでした。
次話も頑張って執筆していますので
応援よろしくお願いします。
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