遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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お待たせしました。
主人公の3回目のデュエルです。
かなり長くなってしまったので
ルールミスがあったら申し訳ありません。


【第6話 闇のデュエル】

 

 

「「デュエル!!」」

 

 二人の掛け声により、デュエルがスタートする。

 

「先行は俺だ!俺のターン、ドロー!」

 

 研遊は勢いよくカードを引き、今加えたカードと手札を見て戦術を考える。

 

「(くそっ!早くタイタンを追わないといけないのに!いや、焦ってもしょうがない。ある意味、原作通りだ。だから十代たちや明日香は無事なのは間違いない。さっさとこいつを倒してすぐに向かう!よし、手札は………って、はあ!?)」

 

 ギガントを倒すため、戦略を考えようと手札を改めて確認した時だった。

 

「(なんで、『プリズマン』が手札に来てんだ!!)」

 

 手札の中に翔から貰った『プリズマン』が存在しており、研遊は目を疑った。そして、自身のデッキに『プリズマン』が入っている理由を導き出した。

 

「(そうだった!昨日、カードを貰ってそのままデッキに入れっぱなしにしてたんだった!)」

 

 そう。研遊がこのカードを貰ったのはつい先日のことだった。そして、デッキに入れるつもりはなかったのだが、研遊がカードを受け取った際に、翔が「デッキに入れてくれるよね?」といった表情を見せたため、仕方なくデッキに入れたのだった。その後、後でカードをデッキから抜こうと思っていたのだが、十代達が怪談の件について話していたため、デッキから抜くのを忘れていたのである。

 

「(ヤバい…。これは完全に俺のミスだ。幸いなのは、手札は悪すぎるわけじゃないってところかな)」

 手札を改めて確認し、ホッと胸をなでおろす研遊だった。

 

「フフフ、どうした?さっさと私を倒すんじゃなかったのか?それとも、闇のデュエルに恐れをなしたのか?」

 

 手札を凝視した後、なかなか動こうとしない研遊を、揶揄うように尋ねるギガントの声を聞いて、研遊は今の状況を思い出しギガントを見据えた。

 

「(そうだ、今はこいつを早く倒さないと!)行くぞ、俺は『ジェムナイト・フュージョン』を発動!手札の『ジェムナイト・アイオーラ』と『ジェムナイト・オブシディア』で融合!導きの石よ、魔除けの石と交わり、ここに新たな姿を現せ!融合召喚!気品の騎士、『ジェムナイト・ジルコニア』!」

 

『ジェムナイト・ジルコニア』 レベル8 ATK2900

 

「更に手札から墓地へ送られた『オブシディア』の効果発動!この効果により墓地にいるレベル4以下の通常モンスター一体を特殊召喚する!『アイオーラ』はデュアルモンスター。つまり、墓地では通常モンスターとして扱うため特殊召喚できる!こい、『アイオーラ』!!」

 

『ジェムナイト・アイオーラ』 レベル4 DEF2000

 

 現れたのは巨大な手甲を装備した騎士と水色の騎士。手甲の騎士は敵にその腕を敵に振るうため。水色の騎士は両腕を交差し敵から我が主を守るため。二人の騎士の姿は、研遊には指一本触れさせまいとしているようにも見えた。

 

「そして、墓地に存在する『ジェムナイト・フュージョン』の効果発動!墓地の『オブシディア』を除外し手札に加える!俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

 ギガント LP 4000

 研遊   LP 4000

      手札 三枚

      場  『ジェムナイト・ジルコニア』『ジェムナイト・アイオーラ』

      伏せ 一枚

 

「私のターン、ドロー。ふむ。中々の攻撃力を持つモンスターだ。だが、あまり意味はないがね。『ブラックホール』発動!フィールドのモンスターをすべて破壊する!」

「なっ!?」

 

 研遊が驚いたと同時に、フィールドに大きな黒い穴が現れ、二人の騎士は飲み込まれまいと抵抗していたが、敵うはずもなく黒い穴に吸い込まれて姿を消した。

 

「くそっ!だが、俺のモンスターが破壊されたことでこのカードを発動することが出来る!リバースカード発動!『ブリリアント・スパーク』!」

 

 研遊のフィールドに一枚の罠が表になったかと思うと、その姿をカードから巨大な宝石へと姿を変えた。

 

「自分フィールドの『ジェムナイト』モンスターが相手の攻撃または相手の効果で破壊された場合、破壊された『ジェムナイト』一体を対象にとって発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分、相手にダメージを与える!」

「なに!そんな効果が!」

「俺が対象に取るのは『ジルコニア』!2900のダメージを食らえ!」

 

 その巨大な宝石は、研遊の声と同時に粉々に砕けてギガントに向かって降り注いだ。

 

「ぐおおおお!!!」

 

 ギガント  LP4000→1100

 

 ギガントは予想していなかったダメージを受けて片膝をついた。

 

「フ、フフフ。中々やってくれるじゃないか」

「(な、なんだこの違和感。ギガントのヤツ、本当にダメージを受けたような………)」

 

 ギガントは、ふらつきながらも立ち上がりゆっくりと笑っていた。その様子を見て研遊は首をかしげる。まるで、鋭い宝石が体に当たり痛みを感じているかのように見えた。

 

「(まさか、本当に闇のデュエルだっていうのか…?)」

「さて。予想外なダメージを貰ってしまったが、私のターンを進めよう」

「くっ!」

 

 ギガントの声を聞いて、研遊は自身の疑問を振り払い目の前の敵を見据えた。

 

「私は『マンジュ・ゴッド』を召喚!」

 

『マンジュ・ゴット』 レベル4 ATK1400

 

 ギガントのフィールドに現れた無数の手を持つ異形の天使。その天使が念仏を唱え始める。

 

「『マンジュ・ゴット』の効果発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから儀式モンスターまたは儀式魔法を一枚手札に加える!私が手札に加えるのは『ゼラの儀式』!そして、今加えた『ゼラの儀式』を発動!フィールドの『マンジュ・ゴッド』と手札の『デーモン・ソルジャー』を生贄に捧げる!出でよ、悪に落ちた異形の悪魔、『ゼラ』!!」

 

『ゼラ』 レベル8 ATK2800

 

 現れたのは鋭い鉤爪を持つ悪魔。前世の姿であろう戦士の面影は微塵も無く、ただただ不気味に大きな口でニヤリと笑っていた。

 

「儀式モンスターか。それに攻撃力2800…」

 

 出現した悪魔を見て、研遊は表情をしかめる。今の研遊のフィールドに、その悪魔からの攻撃を守るすべはなく、2800の攻撃が通ることが確定しているからである。

 

「フフフ、行くぞ。『ゼラ』よ、ヤツを切り刻め!ダイレクトアタックだ!」

 

 ギガントの攻撃宣言を受けて、雄叫びを上げながら研遊に向かって走り出してきた。

 

「(この攻撃を受けてもライフは残る。次のターンで何かドローできればいいんだけど)」

 

 向かってくる悪魔に対してはあまり意識を向けず、次のターンのことを研遊が考えていた時だった。

 

「駄目だ!避けろ研遊!」

「えっ」

 

 どこからか聞こえてきた声に研遊はハッとして顔を上げると、目の前で悪魔が腕を振りかぶり、研遊を切り裂こうとしていた。

 

「うおっ!」

 

 研遊はその爪を避けようと右に飛んだ。辛うじて体に当たることは無かったが、完全には避けきれず、その爪は研遊の左足に三つの切り傷を作った。そして、研遊はそのまま倒れてしまった。

 

「いっっっってぇぇぇ!!!!」

 

 研遊 LP4000→1200

 

「な、なんで!ソリッドビジョンで怪我をするんだ!」

 

 研遊は左足の痛みを堪えながら立ち上がり、ギガントに向かって叫んだ。その左足は今も血を流しており、先程の攻撃で出来た傷だということが嫌でも理解できた。その様子を見てギガントは先ほどよりも大きな声で笑っていた。

 

「フフフフフフフフフ!何を驚く!言っただろう!これは闇のゲームだと!攻撃を受ければ、リアルなダメージを受けるのは当然じゃないか!!」

「なっ!」

 

 ギガントは両腕を広げ、心底愉快そうに言い放った。当の研遊は信じられないと目を丸くし驚きを隠せなかった。

 

「(そんな…。実際、タイタンはただのペテン師だ。だからこいつも同じだと思っていたのに。本当に闇のデュエリストなのか!?)」

 

 確かに遊戯王GXの物語でも闇のデュエルは出てくる。しかし、そのデュエルやデュエリストの話はもう少し先の話である。だからこそ、このデュエリストが闇のゲームを行うなど、にわかには信じがたいことだった。だが、研遊がいくら否定したくとも左足に痛みと傷があるため信じざるを得ない状況でもあった。

 

「さて、私はカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 研遊   LP 1200

 ギガント LP 1100

      手札 一枚

      場  『ゼラ』

      伏せ 一枚

 

 ギガントはターンエンドを宣言したが、その言葉を聞いても研遊は立ったままでデッキからカードを引こうとはしなかった。

 

「どうした?お前にターンだぞ?それとも闇のゲームに恐れを抱いたか?」

「そ、そんなわけないだろ!」

「戦う気がないならサレンダーしてくれないかな?」

「誰がサレンダーするか!行くぞ!俺のターン、ドロー!」

 

 ギガントの言葉にハッとした研遊は、デッキからカードを引いた。

 

「(とりあえず、今はあいつを倒すことに専念しないと!)俺は『ジェムレシス』を召喚!召喚時の効果で『ジェムナイト』モンスターである『ガネット』を手札に!」

 

 研遊は、自らを鼓舞するようにモンスターを召喚し、更にモンスターを手札に加える。実際、ギガントの言ったとおり、研遊は恐怖心を抱いていた。しかし、それも無理のない話。ペテン師であると思っていた相手が闇のゲームを宣言し、更に攻撃で左足にダメージを受けるのだ。先程の罠でダメージを受けていたギガントもよく見れば服のあちこちに穴や破けた痕あり、ダメージが現実の物となっていることの証明でもあった。

 

「こんなデュエルさっさと終わらせる!俺は『ジェムナイト・フュージョン』を発動!俺は手札の」

「おっと!その魔法はもう発動させない!カウンタートラップ!『封魔の呪印』!」

「な、そのカードは!!」

 

 研遊はギガントが発動したカードを見て驚愕の表情を浮かべる。その表所を見てギガントはフフフと怪しく笑う。

 

「このカードは手札の魔法を捨てて、相手が発動した魔法を無効にし、破壊する。私は手札から『サイクロン』を捨てて『ジェムナイト・フュージョン』を無効にして破壊だ!更に、この効果で破壊された魔法カードは、このデュエル中発動できない!」

 

 ギガントが発動したカードは、研遊のキーカードをまさに封殺してしまうカード。研遊は歯を食いしばりながら自身のキーカードを墓地へ送る。

 

「(くそ!『ジェムナイト・フュージョン』が封じられた。一応、デッキにはまだ融合のカードはあるけどそう都合よく引けるかどうか…)俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 ギガント LP 1100

 研遊   LP 1200

      手札 二枚

      場  『ジェムレシス』

      伏せ 一枚

 

「私のターン、ドロー。フフフ。自分のキーカードを封じられた気分はいかがかな?」

「くっ」

「フフフ。悔しそうだねぇ。まあ、その表情を見るのもこのターンで終わりかな?私は『強欲な壷』を発動。デッキからカードを二枚ドローする。そして、『儀式の下準備』!デッキから儀式カードを手札に加え、その儀式カードに記された儀式モンスターをデッキまたは墓地から手札に加える!私はデッキから『闇の支配者の契約』を手札に加え、このカードに記された『闇の支配者―ゾーク』を手札に加える!」

「なっ!『ゾーク』だと!」

「フフフ。いいねえ!君の!悔しがる顔は!驚いた顔は!それを見られただけでも、ここに来た甲斐があるというものだよ!私は儀式魔法、『闇の支配者の契約』を発動!フィールドの『ゼラ』を生贄に捧げる!この世を暗黒に染め上げ降臨せよ!『闇の支配者―ゾーク』!!!」

 

 ギガントのフィールドにいる悪魔は、青白い炎に包まれて叫ぶ間もなく消えていった。そして、その炎からは静かにたたずむ別の悪魔が姿を現した。

 

『闇の支配者―ゾーク』 レベル8 ATK2700

 

「フフフ。その反応を見るにこのカードの効果は知っているようだな。『ゾーク』の効果発動!」

 

 ギガントが叫ぶと、どこからともなく1から6までの数字が書かれた球体がギガントの頭上に現れた。

 

「『ゾーク』は一ターンに一度、サイコロを一回振り出た目の数字の効果を適用する!今回はサイコロの代わりにこのルーレットを採用する。さあ、回れルーレットよ!」

 

 ギガントの声と同時に頭上にある球体達がグルグルと回り出す。

 

「(『ゾーク』は1・2が出ると相手モンスターをすべて破壊。3・4・5は一体破壊。6は自壊。俺が助かる確率は六分の一。だが、いくら何でも確率が低すぎる。正直、運に頼るしかないなんて情けねえ………)」

 

 研遊はルーレットを見ながら冷や汗をかく。そして、回っていた球体がゆっくりと止まっていき、出た数字は………。

 

「フフフフフフフ!1だな!この効果により、君のフィールドのモンスターをすべて破壊する!まあ、一体しかいないからあまり関係はないがね。やれ、『ゾーク』!!」

 

 ギガントが宣言すると悪魔の眼が赤く光り、光線が発射される。研遊のフィールドのモンスターはその光線に爆発した。

 

「ぐっ!」

 

 土煙が舞い上がり、研遊は顔をしかめる。その土煙が収まると、当然だが研遊のフィールドにはモンスターはおらず、更に表情を険しくしていった。

 

「フフフ。これでフィニッシュかな?いけぇ!『ゾーク』よ、ダイレクトアタックだ!!」

 

 悪魔の前に、闇の球体が生まれバチバチと音を立てていた。悪魔はその球体を研遊に向かって解き放った。

 

「やられてたまるか!!リバースカード、『和睦の使者』!!」

 

 研遊を守るように薄い壁が目の前に現れた。闇の球体はその壁に阻まれ、遠くの方へ飛んで行った。

 

「おっと。残念だな、止めは刺せなかったか」

 

 ギガントは残念そうにフフフと笑う。しかし、その声に含まれていた感情は余裕。自身が負けることなど全く考えていないことがその声音に含まれていた。

 

「(あ、危なかった。『和睦の使者』がなければ負けていた。このゲームに負けていたらどうなるのか想像もできないからな)」

 

 一方、研遊は安堵の表情を浮かべる。それもそのはず。先程の攻撃で実際に怪我を負い、もしライフが尽きてしまうとどうなるのか想像できなかった。ひとまず、目の前の危機を躱すことはできたが、問題は次の自分のターンだった。

 

「さて、私はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 研遊   LP 1200

 ギガント LP 1100

      手札 0枚

      場  『闇の支配者―ゾーク』

      伏せ 一枚

 

「俺のターン」

 

 研遊は自分のターンを宣言し、デッキへと手を伸ばす。しかし、その手はデッキからカードを引こうとはせずデッキの上で停止していた。

 

「(このターンが、多分ラストターンだ。今の手札で俺ができることはない。だからこのドローに掛かっている)」

 

 研遊はこのターンがカギだと分かっていた。だからこそ、もし起死回生のカードを引けなかったら。このターンで負けてしまったら。次々と起こる負の自問自答が止まらずにいた。歯を食いしばり、頭を下げたその時だった。

 

「諦めるな!」

「っ!」

 

 ハッとして顔を上げた研遊に聞こえてきた声は、先ほど「避けろ」と言った声と同じだった。しかし、周りも見渡しても人影はなく、今この場にいるのは研遊とギガントだけだった。

 

「(さっきの声、力強かったな…。いや、そうだ。何諦めてんだ俺は。このデュエルが闇のデュエルだろうが何だろうが関係ない。俺は、このデッキを!信じて戦うだけだ!)」

 

 研遊は目を閉じ深く息を吸う。そして、目を見開きデッキに手を伸ばす。

 

「行くぞ!俺のターン!!!ドロォォォォ!!!!」

 

 研遊はデッキから弧を描くようにカードを引き抜き、引いたカードを見て驚きの表情を浮かべた。

 

「(このカードは!よし、まだ希望はある!)俺は、『ジェムナイト・ガネット』を召喚!」

 

『ジェムナイト・ガネット』 レベル4 ATK1900

 

 現れたのは、研遊が前のターンに加えた柘榴石の騎士。その騎士は研遊の方を向いてコクンと頷く。その様子はまるで研遊が諦めていないことを再確認したかのように。若しくは「それでこそお前だ」と伝えているようにも見えた。

 

「(なんだ、こいつの顔は。さっきまで、その表情には悔しさ・焦り・絶望。負の感情が入り混じっていたというのに。何故それが吹っ切れた顔をしている。何故、その眼に闘志を宿している!)」

 

 一方、ギガントは研遊が自身を見据えていることに疑問と驚きを隠せなかった。自分のターンが回って来てもドローしようとはせず、表情も曇らせていたはずだった。しかし、急に顔を上げ一呼吸置いたかと思うと、叫びながらカードを引いた。そして今、研遊は新たにモンスターを召喚し、勝利を掴もうとしていた。

 

「(くそ!アイツ……いや、アイツらか!こいつの眼に!表情に!気持ちに!希望とやらを与えたのは!)」

 

 ギガントはギリッと歯を食いしばり睨みつけていた。その視線は研遊ではなく、何故か今召喚された騎士に向けられていたが。怒りにも似た感情を現したギガントだが、研遊に悟られないよう、あくまでも余裕を崩さないように研遊に尋ねる。

 

「フフフ。今更、そんなモンスターを召喚したところで、私の『ゾーク』に勝てはしないだろう?」

「ああ、この状況じゃ勝てないな。だけど、俺は自分のデッキを信じる!俺は手札から『馬の骨の対価』を発動!自分フィールドの効果モンスター以外の表側表示モンスター一体を墓地へ送り、デッキからカードを二枚ドローする!俺は『ガネット』を墓地へ送る!」

 

 赤い騎士は、自身の姿を無数の小さな光に変えて、研遊のデッキに集まっていった。

 

「行くぞ!俺はデッキからカードを二枚ドロー!!」

 

 研遊は、引いた二枚のカードを確認し、二つの笑みを浮かべた。まずはニヤリと勝利を確信した得意げな笑み。そして、デッキというもう一つの仲間に感謝をする優しい笑み。ギガントは、その様子を見て不思議に思ったが、研遊はギガントに構う事無くターンを進める。そして、今加えた内の一枚のカードを発動する。

 

「俺は『吸光融合』を発動!このカードは一ターンに一度しか使えず、このカードを使用するターンは『ジェムナイト』モンスターしか特殊召喚できないが、その制約はこのデッキでは関係ない!俺は『吸光融合』の効果で『ジェムナイト・クォーツ』を手札に加える!」

「今更モンスターをサーチしたところで何の意味がある!もうお前は召喚権も使用し、キーカードである『ジェムナイト・フュージョン』も封じているだろう!」

「慌てなさんなって。『ジェムナイト』の融合する方法は何も『ジェムナイト・フュージョン』だけじゃないんだよ!」

「何っ!?」

「『吸光融合』は只のサーチカードじゃない!モンスターを手札に加えた後、『ジェムナイト』融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを手札・フィールドから除外し、融合召喚を行う!」

「なっ!サーチだけでなく融合も行うだと!?」

 

 研遊の言葉に、ギガントは驚きの声を上げる。研遊は二枚の手札を除外し融合召喚を行った。

 

「俺は手札の『クォーツ』と『プリズマン』を除外する!調和の石よ、輝く礫の光を浴びて、暗黒を照らせ!融合召喚!解放の女騎士、『ジェムナイト・セラフィ』!」

 

『ジェムナイト・セラフィ』 レベル5 ATK2300

 

 現れたのは光り輝く女騎士。輝くその身で研遊を守るように立ちずさんでいた。

 

「そして、除外された『クォーツ』の効果発動!このカードが融合召喚の素材となり墓地へ送られた場合、または除外された場合に発動する!墓地に存在する自身以外の『ジェムナイト』モンスターを手札に加えることが出来る!俺は『ガネット』を手札に加える!そして、『セラフィ』の永続効果!このカードがフィールドに存在する限り、通常召喚権に加えて一度だけ、自分メインフェイズにモンスターを通常召喚ができる!俺は『ガネット』を再び召喚だ!」

 

『ジェムナイト・ガネット』 レベル4 ATK1900

 

 再び現れた赤い騎士。先に召喚された女騎士と並び、攻撃の構えをとっていた。

 

「フ、フフフフフフ!!いや、お見事だよ!あの場面からモンスターを二体も増やすとは恐れ入った!だが!しかし!攻撃力も足りていないモンスターを並べたところで一体何の意味があるというのだ!」

 

 ギガントは、研遊のフィールドに現れた二体の騎士を見て大声を上げる。実際、その二体のモンスターはギガントが召喚している悪魔に敵う力を有しているわけではない。ましてや、仮に壁として騎士たちを出していたとしても、悪魔の力で吹き飛ばされる可能性も決して低くはなかった。しかし、ギガントの考えを知ってか知らずか、研遊はニッと笑みを浮かべた。

 

「いや、意味はあるさ。俺は自分のフィールドに二体の『ジェムナイト』を召喚しなきゃいけなかったんだよ」

 

 そして、研遊は最後の手札を発動する。自身の勝利を仲間たちと掴むために。

 

「俺は手札から『パーティカル・フュージョン』を発動する!」

「何っ!?別の融合魔法だと!?」

「自分フィールドのモンスターのみを融合素材として墓地へ送り、『ジェムナイト』融合モンスターを融合召喚する!『ガネット』と『セラフィ』を融合!」

 

 二人の騎士は頷き合い、空高く舞い上がった。

 

「情熱の石よ、解放の石と共に、ここに豊かな実りを生み出せ!融合召喚!繁栄の騎士、『ジェムナイト・マディラ』!」

 

『ジェムナイト・マディラ』 レベル7 ATK2200

 

 現れたのは、大剣を持った赤き騎士。その剣と両腕は、溶岩が流れているかのように赤く燃えていた。ギガントは、新しく表れた騎士に一瞬面食らったが、その騎士の攻撃力を見てニヤリと笑った。

 

「フフフ、攻撃力2200。なんだ、さっきの融合モンスターよりも攻撃が低いじゃないか。フィールドのみのモンスターを使用する魔法など手間が掛かるだけで」

「召喚して終わりなわけないだろ。『パーティカル・フュージョン』の効果はまだ続いている。『パーティカル・フュージョン』の効果で融合召喚に成功した時、墓地のこのカードを除外することで融合召喚に使用した『ジェムナイト』モンスター一体を対象として発動する!その融合モンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、対象に取ったモンスターの攻撃力分アップする!」

「攻撃力をアップするだと!?」

「俺が対象に取るのは、勿論『セラフィ』だ!よって『マディラ』の攻撃力は2300ポイントアップする!」

 

『ジェムナイト・マディラ』 レベル7 ATK2200→4500

 

「こ、攻撃力4500!?」

「これで止めだ!いけぇ、『マディラ』!『ゾーク』に攻撃だ!」

 

 研遊の宣言を受けて、赤い騎士は手に持った大剣を大きく振りかぶり、その剣で敵を切り裂こうと悪魔に向かって突進していった。その様子を見て、ギガントはニヤリと笑う。

 

「フフフ!バカめ!何も考えずに突進してきたな!リバースカード発動!『聖なるバリア ‐ミラーフォース‐』!!相手の攻撃宣言時に発動し、相手フィールドの攻撃表示モンスターをすべて破壊する!」

 

 ギガントが、設置していた罠を発動するため、デュエルディスクのスイッチを起動する。

 

「フフフフフフ!!砕け散れぇ!宝石の騎士よ!!」

「それはどうかな?」

「………な、何故だ!何故、トラップが発動しない!?」

 

 ギガントは高らかに笑っていたが、いつまで経っても、自身の罠が発動する気配が無いことに疑問と驚きを口にした。その疑問に答えるため、研遊はニヤリと笑う

 

「『マディラ』の効果だ!このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動することが出来ない!!」

「ば、馬鹿なぁぁぁ!!!!」

「これで終わりだぁぁ!マディラ・ブレイク!!」

 

 大きく振りかぶった溶岩の大剣を悪魔に向かって振り下ろした。悪魔は抵抗もせず、切られたかと思うと、すぐにその体は爆発し、その爆風に巻き込まれギガントが後ろの方へ吹き飛ばされた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁあぁ!!!!」

 

 ギガント LP1100→0

 

 ピーーーー!!!!ギガントのデュエルディスクからデュエルの終わりを告げる音が聞こえた。闇のデュエルに勝利したのは、宝石の融合使い。須磨研遊だった。

 




いかがでしたでしょうか。
正直、デュエルの内容を
考えるのが大変で何回か書き直しました。

次回も執筆中ですので
今しばらくお待ちください。
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