遊戯王デュエルモンスターズGX ~新たな道を作る者たち~   作:shin.

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お待たせしました。
第7話です。
タイトルを考えるのが難しいです。
それではどうぞ。


【第7話 デュエルを終えて】

 

 

「ぐっ……。はぁはぁ……」

 

 研遊は、息を荒くしながら暫く立っていたが、疲労や左足の痛みもあり、立ち続けることは叶わず片膝を付いた。それでも、倒れないように右手で体を支えながら爆風に巻き込まれたギガントを見ていた。ギガントは仰向けに倒れたまま、動こうとはしなかったが、腹部が上下したり手の指先が少しだけ動いたりしていることが視認できたため、生きていることは間違いないようで、研遊は胸を撫で下ろした。

 

「(生きてはいるみたいだな。丁度いい。聞きたい事がいくつかある。答えてもらわねえと)」

 

 研遊が体に力を入れ、立ち上がろうとした時だった。

 

「フ、フフフ。いやぁ参ったよ。まさか、負けるとは思わなかった」

 

 ギガントが、仰向けのまま笑いながら喋り出した。研遊は驚きつつも、ギガントの動きに警戒した。

 

「フフフ。そんなに怖がらなくても良い。今日の私は、もう動けそうにない」

 

 ギガントは仰向けのまま、右手を挙げ左右に振った。その様子は「もう戦う意思はない」と言っているようにも見えた。

 

「戦う意思がないなら、それはそれでいい。だが、俺の質問に答えてもらうぞ」

「フフフ。いいのかな?そんなことに時間を割いて。早くタイタンを止めに行かなくていいのか?」

「(そうだ!早く幽霊寮に行かないと!でも、こいつのことも気になるし、何より足が……。くそっ、どうする……)」

 

 研遊は、ギガントの言葉にハッとして幽霊寮のことを思い出す。ギガントが何者なのか。何故闇のゲームを行えたのか。聞きたいことは山ほどあった。しかし、ギガントと言う通り十代達のことも心配していたため、幽霊寮の方へ向かおうと思っていたが、左足の傷が痛み、ゆっくり歩くことなら未だしも走って向かうことなど出来ないように思えた。

 

「フフフ。まあ、楽しませてもらった礼だ。受け取れ」

 

 ギガントは上半身を起こし、デッキからカードを二枚抜き取り、その内の一枚を研遊に向かって放った。研遊は投げられたカードを取ろうと手を前に出したが、そのカードが研遊に向かう途中で赤い液体の入ったガラスの瓶へと姿を変えた。

 

「危なっ!……何だこれ?」

 

 その瓶をどうにか掴むことが出来た研遊は、手に持った瓶をまじまじと見ていた。

 

「その液体を足に掛けてみろ。安心しろ、毒じゃない」

 

 研遊は疑ったが、四の五の言っていられないと判断し瓶のフタを外し、液体を足に掛けた。傷口からジュウッと音が鳴り、煙が上がった。研遊は鋭い痛みを感じて顔をしかめたが、すぐにその痛みは引き煙が晴れると血は止まっており、傷が跡形もなく消えていた。

 

「なっ!これって!」

「フフフ。『レッド・ポーション』のカードだ。楽しませてくれた礼だと言っただろう」

「またなんか懐かしいカードだな」

「フフフ。さて、私はこの辺でお開きにさせてもらう」

 

 ギガントはふらつきながらも立ち上がる。その手には研遊が持っていた瓶と同じものを持っており、蓋を開けグイっと飲み干した。そして、研遊に背を向けて歩き出した。

 

「ま、待て!まだ聞きたいことが!」

「フフフ。焦らずともまた会うことになる。今はあちらへ行け」

 

 ギガントは立ち止まり片手を上げ、幽霊寮の方へ指を差した。研遊は双方を交互に見てどうするか悩んでいたが、その様子を気にすることなく歩き始めた。

 

「また会おう。宝石を従えし融合使いよ」

 

 最後にそう呟いてギガントは闇の中へと姿を消した。研遊は苦虫を嚙み潰したような顔を浮かべたが、幽霊寮の方へと走り出した。

 

 研遊が幽霊寮に入り、地下の方へ潜っていくと、デュエルフィールドへと辿り着いた。そこでは十代とタイタンがデュエルしており、翔と隼人がその行く末を見守っていた。

 

「翔!隼人!」

「あ、研遊君!」

「な、なんで研遊がここにいるんだな!」

 

 研遊は二人の名前を呼びながら駆け寄り、名前を呼ばれた二人は驚いて振り返ると見知った顔であったため、少しだけ安心したような顔を見せた。

 

「二人とも、今どんな状況だ!」

「えっと、今アニキがタイタンに向かってペテン師だって」

 

 研遊の問いかけに、翔が答えて隼人がうんうんと頷く。翔の言葉を聞いて、研遊は小さく舌打ちをする。

 

「(じゃあ、もう直ぐ闇の世界に行って、改めてタイタンとデュエルするのか。明日は委員会のやつらが来る。念のため、タイタンがいた証拠を撮っとくか)」

 

 研遊はパッドを起動し、十代とタイタンのデュエルを写真に収めた時だった。タイタンが煙幕を張り十代がタイタンを追いかけると、周囲の石像が光りデュエルフィールドにウジャトの眼が浮かび上がった。

 

「な、なんだ!」

「おおおお!」

「うおおお!」

 

 研遊を除く十代たちが驚いていると、十代とタイタンが闇の世界へと巻き込まれていった。

 

「アニキ―!!」

「翔、大丈夫だ。多分、十代は無事に戻ってくるさ」

 

 研遊の声を聞いても、焦った表情を浮かべる翔と隼人だったが、自分たちに出来ることは無いと思ったのか、渋々頷いた。

 

「さて、少し休もうか。ちょっと疲れててさ」

「ていうか、研遊君はどうしてここにいるんすか」

「そういえばそうなんだな」

 

 研遊はその場に腰を下ろし休憩しようとすると、翔と隼人が当然の疑問を研遊に問いかけた。

 

「あー。いや、ちょっと寝付けなくてな。少し散歩してたら、ここにたどり着いて、中に入ったら十代と誰かがデュエルしてたからさ。どんな状況なんだろうなって」

 

 十代達に会った時のことを考えておらず、適当な言い訳をした研遊だったが、当の二人は「なるほど」と頷き、納得した様子だった。

 

 しばらくすると闇の世界に亀裂が入り、その亀裂から十代が出てきた。十代が出てきたことを確認した三人は十代の元へと駆け寄った。

 

「十代!」

「アニキ!」

「クリクリー」

「あれ?なんで研遊がここに?」

 

 立ち上がった十代は三人の顔を見て、特に研遊の顔が増えていることに疑問を口にした。

 

「いや、まあそれはいいだろ。ていうか今…(『ハネクリボー』の声が聞こえた?)」

 

 研遊は、十代の問いかけに答えると同時に、新たな疑問に対して首を傾げた。デュエルモンスターの精霊である『ハネクリボー』が十代と共に居ることは、研遊はもちろん知っていた。ただ、これまで十代と話している時に『ハネクリボー』の声や姿、それどころか気配さえも感じたことは無かった。だからこそ、研遊は精霊たちを見ることが出来ないと思い、ひそかに肩を落としていた。しかし、今日初めて『ハネクリボー』の声を聞くことが出来たため、今後は精霊たちの声が聞こえるようになるかもしれないと、研遊は一人静かに頷いた。そして、闇の世界が縮小しながら強い風が吹き始めた。

 

「伏せろ!」

 

 隼人の声に皆が床に伏せた。十代は明日香が飛ばされないように、明日香が眠る棺桶を必死に抑えていた。そして、闇の世界はすぐに弾けて、紙吹雪の様なものをまき散らかせながら消滅した。

 

「おお、今度はまるでタネが分からねえ!」

 

 十代は立ち上がり、その様子を見て拍手をしていた。その様子を見ていた研遊は、やや呆れつつも「この時の十代はこんな感じだった」と、懐かしくなり小さな笑みを浮かべた。

 

「さっ、早くこんなところから出ようぜ」

「おう、そうだな」

 

 研遊の言葉に三人は頷き、十代が明日香を背負い外へと向かった。外に出て近くの切り株に明日香を座らせ、しばらくして明日香が目を覚ました。

 

「貴方たち、何でここに!って須磨くんまで!」

「あー。俺のことは気にすんな。それより、十代。天上院に渡すもんがあるだろ」

「そうそう。明日香これなんだけどさ」

 

 明日香の関心が自分に移らないように、研遊は十代に声をかけた。声をかけられた十代は思い出したように一枚のカードと写真を明日香に手渡した。十代と明日香が話していると東の空から日が昇り始めた。

 

「もうこんな時間だ!早く寮に戻らないと!じゃあな!明日香、研遊!」

 

 言い終わると同時に十代は走り出し、翔と隼人もその後に続いた。

 

「じゃあ、俺も寮に帰るわ」

「ええ。須磨くんもありがとう」

「いや、実際に俺は何もしてないよ。礼ならあいつ等にしてやってくれ。じゃあな」

 

 研遊は明日香に向かって手を挙げた後、ラーイエローの寮へと走り出した。そして、寮に着いた研遊は、こっそりと自室へと入っていった。自室に着いた研遊は椅子に座り、体をぐっと伸ばした後、一息ついて時間を確認した

 

「さてと。軽くシャワーでも浴びてから朝飯に行くか」

「そうだな」

「倒れたりもしたから、泥も付いているしな」

「大将、ささっと浴びてきな」

「お兄ちゃん、足は大丈夫?」

「なんにせよ、無事で何よりだ」

「確かにズボンの裾はボロボロだけど、足はもう痛くも何ともないぞ。今は五体満足って感じだな。……って、ちょっと待て!!!」

 

 研遊の言葉に返ってきたのは五つの声。その内のいくつかは森の中やデュエル中に聞いた声だった。自分以外誰もいないはずの部屋から聞こえてきた声に驚き、研遊は後ろを振り返った。そして、振り返った研遊は、更に驚き固まった。

 

「あれ?大将、俺たちの声聞こえてるぜ」

「元々、研遊は森の中で俺たちの声を断片的にでも聞こえていたんだ。今聞こえたとしてもあまり不思議ではない」

「じゃあ、これからお兄ちゃんともっとお話しできるの?」

「いや、どうやら研遊殿は声どころか、姿も見えている様子だ」

「本当か!見えているのかマスター!」

 

 振り返った研遊が見たのは、よく知っている五人の人物たちだった。いや、人物と言っていいのか。少なくとも人ではないのは確かだった。まず、その五人の体が薄く透けており、体の向こう側の壁や扉が見えていた。そして、その人物たちというのが、

 

「『ガネット』!『サフィア』!『ルマリン』!『ラピス』!『クリスタ』!」

 

 そう。研遊のデッキを昔から支えてくれていた『ジェムナイト』のモンスター達が研遊を見ていたのだった。

 




というわけでいっぱい出てきた
ジェムナイト達でした。

次回も現在執筆中ですので
今しばらくお待ちください。
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