九「戻るの?」白「戻らん」   作:けし

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渋谷事変がスタートしてるのにこっちはまだ青が棲んでますね……。赤くならないようにしたいところ。
別に1年ズの時代まで流れを書く必要ないと思いますけどね。物語じゃなくてもっと掻い摘んでいく感じで。

さしすのやってた遊びは人や地域によって文言が違うかもしれませんが、僕はこうでした笑。

──さあどうなる!ウチのオリ主!


九「認知して?」白「──は?」

 

「夏油」

「何だい硝子?」

「ん」

 

 そういって差し出されたのは、2つ内側がくっつけられた彼女の拳。親指を上にして向けられたソレが意味することは──。

 

「フッ、やろうか」

「まけねーよ?」

 

 悟がトイレで席を外した暇な時間。教室で時間を潰すのには苦心するから丁度いい。

 

「20からでいい?」

「いいよ」

 

 私も硝子と同じように拳を合わせて構えた。

 

「じゃあ私からな」

 

 何が来る、どう動かす。まずは様子見からか。そんな思考が脳内を飛び交い、弾ける。そしてその瞬間、答えは決まった──! 

 

「せーの、10」

 

 私は両手指を全て開いていた。硝子は一本たりとも動かさない。つまり──。

 

「フッ」

「やるね硝子」

 

 先制された。さすが硝子だ。この手の遊びは大概こなしてきたつもりだが、どうやらまだまだ甘かったようだ。

 

「なぁなぁ、それなに?」

「──知らないのか悟」

「かー、これだからボンボンは」

 

『俺だけがわからねーことやるなよ!』とはいつものこと。硝子と私が一般家庭出身で、悟だけが術師の家系──それも五条家の坊っちゃんなのだ。今でこそマシになったが、当初は価値観、特に金銭感覚の差にびっくりしていたものだ。『コンビニ行こうぜ!』と笑う悟に、成長を感じてしまう。

 私が硝子とやる遊びもそうだ。その殆どは普通の小学校に通ってれば見たりやったりするもので、高校生にもなって『それなに?』と聞くものでもないはずだ。

 

「で、どーやるの?」

「1カートン」

「ぼったくり過ぎる……」

 

 硝子のタバコへの熱は冷めることを知らないらしい。悟や私が相手だからいいけども、果たしてなぜこんかリトルヤニカスが生まれ「おいクズ?」はいすみません。

 

「……まあいい。で? 天下の五条悟様がこんな庶民のお遊びに参加したいって?」

「……なあ傑、硝子なんか機嫌悪い?」

「もしかしてそういう日なのかもしれない」

 

 ヒソヒソと話をすれば、硝子はいい笑顔でメスを向けて来た。何故か私たちは彼女に勝てないのだ。世界七不思議に比肩する謎だ。

 

「クズじゃ美少女に勝てねーんだよ」

「「えぇ………」」

「どこ否定したいか言ってみろ。場合によってはバラす」

 

 そのメスで首を掻っ切るジェスチャーをする硝子。これは勝てないねハハハ。

 ──悟も私も、彼女の才能が凄いものだと理解しているからこそ対等に見ている。その才能(反転術式)は悟も体得したが、彼女は他者に施せる。──やはり置いて行かれているのは私だ。

 

「怖えーよ! ……つか、話戻すけど何の遊びだったんだよ」

 

 その後、そのゲームの勝ち負けでマウントをとる五条家当主様の姿があったとかなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近働きすぎかもしらん」

「隈ひっどいねwwww」

「ブーメラン乙」

「おかげさまでね。殴っていい?」

「洒落にならんからやめろ。術式使うだろ容赦なく」

 

 はぁぁぁ、とお互いに深いため息をついて酒を煽る。その傍らで任務報告書の確認欄にサインを書いていく。酷い面になったものだと2人して笑った。高専時代もあちこち飛ばされて疲れはしていたが、やはり若さは偉大である。アラサーともなるとしんどいなぁと心から思う。

 とはいえ、俺の場合は学校教員(物理担当)なのに対して九十九は呪術師だ。一つどころに止まってデスクワークと授業するのと、あちこちに飛んで1級以上を祓い続けるのと。果たしてどっちが大変だろう。尤も九十九の任務は俺が夜蛾さんを通して押し付けたものではあるけれど。このサインもそのせいで斡旋扱いにされたから確認しなきゃいけなくなったのだ。こんなもん(フォーマット)だったっけ? という疑問は酒に溶けた。

 

「夏油くんの調子は?」

「隈取れて安定して来たとは聞いた。上層部の面見てみたい」

「見た瞬間殴り飛ばしそうだからやめとくよ」

 

 曲がりなりにも御三家当主である五条悟には手が出しづらいからと、一般上がりの最強に手を出した結果がコレだ。さぞかし愉快な顔してんだろう。見れないのは残念である。

 そんなことを考えながらニヤニヤしていると、九十九が妙に真剣そうな、しかし何かを堪えてそうな顔でこっちをみた。

 

「……なんだよ」

「いや、ちょっと頼みがあってさ」

 

 ──違和感。

 

「おいで」

「は?」

 

 トコトコと、2人の幼い少女。ブロンドと黒髪。見た目はそれほど似てないかもしれないが、雰囲気は同じ。ブロンドの子は首からおもちゃのカメラをかけていて、黒髪の子はぬいぐるみを持っていた。

 

 ──違和感。

 

「真白に押し付けられた任務の1つでね。ど辺境のど田舎で祓ってきたんだが、そこの奴らが座敷牢に押し込んでたんだよ」

「──なるほど。()()()からか?」

「正解。どうやら術式もあるらしい。あとで五条くんにでもみてもらおうかなって」

「それならなんでここ(俺の家)に連れてきたん?」

 

 ──警鐘。

 

「いや、この子たちの後見人になってくれないかなって」

「なんで」

「君以外に適任がいなかった。まともで、道理を教えられる人間で、強い人。私も責任はとる」

「──そうかい。随分信用してんのな、俺のこと」

 

 こうして会話をするようになったのも10年近くぶりだというのに。酒の席なのもあるのか、少し嬉しいとすら思えてしまう、誰かに信じられてるということの心地よさ。

 

「じゃ、了承したってことで」

「ああ、それでいいよ」

「よしじゃあ双子ちゃん、自己紹介しよう!」

 

 ──逃げろ。

 

 直感の叫びが、酒のせいで届かない。

 

「枷場菜々子です」

「枷場美々子です」

「如月真白です、宜しくね」

 

 ──そこは地獄だぞ。

 

「美々子、この人が──」

「うん、菜々子。この人が──」

『パパだ!』

 

「──────は?」

 

 一瞬で晴れた思考が、止まる。

 

「シャァッ!! ……っと、やったねナナちゃん、ミミちゃん♪」

「うん、やったよママ!」

「ありがとうママ」

「よしよし、いい子だ!」

 

「──────は?」

 

 俺が父親? アイツが母親? パパ? ママ? 

 

 存在しない記憶──、家の中を走り回る2人の子供。クリスマスにサンタに扮してプレゼントした小さいぬいぐるみとカメラ。ケーキにろうそく。フーと吹き消す2人の子供。酒を飲みながら見守る金髪と白髪の男女──。

 

「真白?」

「──はっ!?」

 

 な、何だ今の映像。まるでそういう世界があったかのような……。ちょっとヤバい絵面じゃあなかったか? 

 だが、それはそれとして……。

 

「嵌めやがったな……!」

「所謂『認知して☆』って奴だよ。いやーやってみたかったんだコレ! ハハハハハッ!」

「この女……」

 

 憎らしさと呆れを込めて九十九を見ると、その目にはオマエが悪いと言わんばかりだった。

 見上げても空などなく、天井とそこに燦然と輝く取り替えたばかりの電灯。ため息にしても大きい息を吐き、残ったビールを一息に煽った。

 

「分かった、分かったよ。夜蛾さんに知られたらなんて言われるか」

「さて、あの人なら何て言うかな?」

 

 墓を建てる用意をするか、などと自分の人生設計が狂ってきたことを自覚しつつ、もう一本のビールを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





拗らせたり重かったり、でも初心だったり。恋愛クソザコだったらいいな九十九由基。

ミミナナの任務では流石に九十九もキレて、非術師を殺める代わりにガルダ蹴っ飛ばして山一つ消し飛ばしてきてます。

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