「おはよう吟一くん。ちょっとエッチな漫画を隠すなら机の引き出しの二重底は定番過ぎる。こういう時はあえてベタにベッドの下か、そもそも電子版を買うのを推奨するよ。基本こそ真髄、ってやつさ」
自分の部屋のベットで目を覚ますと、悪夢の擬人化と表現したら悪夢に失礼なくらいタチの悪い怨霊……と表現するのも怨霊に失礼なので『ラスボス候補(原作者in)』としか表現出来ない存在が目の前にいた。
汚鳥レア。
この作品世界において『七不思議』と呼ばれる上位存在の一角であり、『消失』を司る神に近しい存在。加えて何故か『キズガミの縁魔』の作者である虎落逸軌を名乗り、更には主人公であるクモリを殺害したと口にしている。属性が多いんだよボケが。
「まず、俺はあんたをなんて呼べばいいんだ?」
「そうだねぇ。君が
「じゃあ
「やめろ! 本名地味で嫌いなんだよ! レア、肉体の名前である汚鳥レアで頼む。私も、君が前世で何者だったとしても、今の君を吟一くんと呼ぶから」
佐藤樹。
漫画家である虎落逸軌の本名。これに対してこの反応ということは、彼は本当に虎落逸軌本人なのだろう。
「まったく……。まぁさっさと本題に入ろう。数日前、私がクモリを殺した時のことなんだけど」
「ホント待ってくれ。そんな説明不足っぷりでよく漫画家が務まったな?」
「面白くない説明パートタラタラ描くの嫌いなんだよ」
ぶー、と頬をふくらませて講義の意を示すレア。
めちゃくちゃに面が良いので許してしまいたくなるが、中身は漫画家のおっさん。
「あんたの話を信じるとして、だ。俺は仮にもクモリとは……友達だったんだぞ。あんたが何者であろうと、その友達を殺しましたってやつと、仲良く話が出来ると思ってるのか?」
「なになに、もしかして私に仇討ちとかしたい感じ? 別にいいけど、殴られそうになったら正当防衛するからね?」
「殺す、って素直に言えよ」
「そんな発禁モノの安い脅し、この私が使えるかっての」
そう言ってヘラヘラ笑っているが、恐らくレアは俺が彼女を殺そうとすれば間違いなくやる。
確かに彼女は虎落逸軌という男の記憶を持っている可能性は高い。
だが、本来汚鳥レアの精神構造は人間のものでは無い。いや、人間では
原作における汚鳥レアは、キャラクターであると同時に一種の舞台装置。
神格を身に宿し、崩壊する肉体と精神を『七不思議』という枠に収めることによって自我の大半と『七不思議』のルールに逆らえなくなる制約によってこの世界に存在できている。
もしも、その設定を彼女に当て嵌めるなら。
たとえ俺と同じように虎落逸軌という男がこの世界に転生し、汚鳥レアの肉体に収まったとしても、精神が耐えられない可能性が高い。
「まぁ吟一くんの疑問には順に答えていくよ。終わった時にはきっと私への怒りも無くなっているはずだから、それまで間違っても私を殴るなんてことしちゃダメだぜ?」
「今、心の中を読んだのか?」
「顔に出てるだけ。まずは、私の状況を説明しようじゃないか」
レアは俺の机の上からノートとペンを持ってきて、その上に図を描き始める。
「この世界は間違いなく私が前世で描いていた漫画『キズガミの縁魔』の世界だ。固有名詞、人物名、歴史。設定こそしていたが描写はしていなかった部分まで私の記憶にあった通りだからね」
「それずるくね?」
俺なんて慣れるまではどこに潜んでいるかも分からない怪異に怯えてたのに、こいつは原作者知識とか言うあまりに強力すぎるチートで全部解決し、ついでに最強キャラの力も持ってるなんて。
「それでやることが主人公殺して原作改変? 下手くそな二次創作かよ」
「私だって今めちゃくちゃ困ってるから助けを求めてるんだからな? あと二次創作はライン超えなきゃ個人の自由って私は認めてたからそういう言い方良くないぞ」
「はいはい。じゃ、なんであんたは汚鳥レアになってるのに正気を保ってるんだ?」
「それは私はこの世界に生まれた時から汚鳥レアだったのではなく、彼女が『神』に見初められて精神に異常をきたし、『汚鳥レア』となったタイミングでこの肉体に入った。だから本来のレアにあった、自由意志を持った行動が出来ないというデメリットも踏み倒している」
「二次創作か〜?」
原作者だからって原作知識を万全に使いこなして、最強キャラの体をノーデメリットで獲得はさすがに原作者のやることじゃない。どう考えても二次創作者がやることなんだよ。
「
「作品への敬意がない行動はたとえ作者であろうとも批判されて仕方の無いものだろ! いくら原作者だからって作品は原作者だけのものじゃねぇんだぞ!」
「原作者のものです〜! 権利的に私のものですけど〜?」
「謝れ! 編集と出版社と広報の皆さんに原作ぶち壊してごめんなさいって謝れ!」
「ギィー! 正論! いやだぁ〜、非を認めたくない〜!」
そこそこ内心尊敬していた人間の、あまりに情けないムーブについ熱くなってしまったがギリギリ手は出てない。手を出したら、マジで殺されるかもしれないからね。
「……さて、冗談はこのくらいにして」
「冗談で済むかはお前が決めることじゃないんだよ」
「極論、ここまでの話は君にとってどうでもいい。漫画なら読み飛ばすこと間違い無しの説明パート、だろ?」
「さっき自分でそういうの嫌いって言ってなかった?」
「いずれ必要になるから今話しただけだよ。戦闘中に用語解説とか入るのテンポ悪くて嫌いなの」
「夢を作る側の人間のくせにさっきから嫌いなものの話ばっかするのやめない?」
「好きな物の話するのは、結構疲れるの」
そんなこんなで、くだらない話をしているうちにノートに図が描き終わったようだった。
レアがノートに描いていた図は、デフォルメされた女の子数人が、これまたデフォルメされたクモリを囲むように描かれている。原作者だけあって絵が上手くてわかりやすいのが少し腹立つ。
「さて、原作11巻で説明があった通りだが……」
「原作そこまで読んでないんだけど」
「は?」
「誰でも原作全部読んでる前提で話すの、めちゃくちゃ仕草悪いぞ」
「君物理攻撃禁じられてるからって好き放題言ってない? 性格悪いぞそう言うの」
むしろ一発ぶん殴りたい気持ちを上手く抑えてる方だと感心して欲しいくらいなのだが。
しかし本物のカスにはやはり負けるというか、さほど気にしている様子もなくレアはすぐにケロッとした表情で図の説明に戻っていく。
「『キズガミ』では、主人公であるクモリを中心として人間関係の……所謂『呪い』だね。この渦が出来ているんだ」
ページを捲ると、そこにはクモリを囲んだ女の子達が矢印で円環を成す図が描かれている。
「彼女達は全員何らかの理由で主人公であるクモリを
「待て、今話し飛んだぞ」
「飛んでねぇよ。原作読め」
なんでクモリがヒロイン達から殺意を向けられている前提で話が進むんだよ。
クモリ自身も、そうそう人から殺意を向けられるような人間じゃないし何より、図に示されているヒロインの一人……俺達の共通の幼なじみである泡白乙葉。
「乙葉の事なら原作云々以前に、幼なじみとして知っている。アイツがクモリを殺したいと考えるなんて……」
「考えてないだろうね。少なくとも、私が描いた泡白乙葉はそんなキャラクターではない。でも、ヒロイン達が抱く殺意こそが、この作品において最も重要な要素なんだよ」
赤いペンでレアはヒロイン達を循環させる矢印を塗り潰して、それから青いペンでクモリに向けてそれぞれから矢印を伸ばす。
「この作品のヒロインは、大なり小なり独占欲を持ち、自分以外がクモリという人間を手に入れることに忌避感を覚える人間性を持っているんだ。だから、無意識にしろ全員が、クモリに近づく外敵への『殺意』。そしてクモリ本人への独占欲の混じった『殺意』。これを持ち合わせ、これで相手を呪っている」
「呪っている……?」
「ネタバレは嫌だから名前出さないけど、病弱ヒロインがいるんだよ。アレ、このヒロインの殺意ループで受けた呪いの影響。内臓機能と筋肉の弱化だね」
俺の友人を中心にして出来た呪いでワンチャン人が死にかけてるんだけど?
え、『キズガミ』ってそんなドロドロした作品だったの? 主人公を取り合ってヒロイン同士が殺し合う漫画って少年誌的にセーフなのか?
「他にも不幸体質、妙に嫌われている、あとは思っていることを口に出せない。そういうのもこの呪いの輪に組み込まれているヒロイン達に起きている現象だね」
「乙葉のアレ、呪いのせいなの!? ツンデレとかじゃなくて!?」
「あんなベタかつ相手を傷つけるようなことしか言わないツンデレが昨今いるわけないだろ。アニメじゃあるまいし」
「似たようなもんだろ。いや、マジか……」
原作読んでる時もやたら言葉が鋭いと思ってたし、こっち来てからもなんでこんな素直じゃないんだろうな……と、優しさを感じ取れるくらい親密な仲だからこそ思えていたが、知らない人からすれば乙葉のツンデレ、めちゃくちゃ言葉が鋭くて泣きそうになるからな。
「しかしこれが悪いことばかりでもないんだよね。見ての通りヒロイン達は互いを呪い合い、結果として呪いが循環しているんだ」
「つまり、何が起きるんだ?」
「各ヒロインは受けきれない分の呪いを、この循環に流す。そうなると常に一定量の未定着の呪いが、エネルギーとしてこの循環を巡っているんだよ。そして、『殺意』のラインを通ってそれを向けられているクモリの元にもね。このエネルギーは攻撃にも防御にも転用可能。そしてエネルギーも愛憎の無限機関により供給され続ける」
原作でもクモリは妙に悪霊からの攻撃に対して頑丈だったり、大量の呪力を保有している描写があったけれど……それってそう言うことなのかよ。
「つまり、その無限機関がクモリの強さの由来の一つであり、これがある限りは並大抵の事じゃ死なないと?」
「そうだね。ちなみに私はこれを勝手に
「乙女の純情で無限機関作ってんじゃねぇよカス」
女の子の気持ちの弄び方の最悪さを競う大会があったら優勝できるレベルのゲスな永久機関に、さすがに手が出そうになったがそんなことしたら俺の上半身と下半身が泣き別れする羽目になるかもしれない。ここはぐっとこらえる。
「じゃあおかしいのは、それがあるのにクモリが死んだことなのか?」
「無限と言っても一度に出力できる量には限界がある。それを上回ればクモリだって殺せるよ。実際私が殺したし」
「なぁ、お前さっきから俺の事おちょくってるわけじゃないんだよな?」
「説明だよ。だいたい、私だって自分の漫画の主人公を殺したいもんか。向こうが私を利用しようとして、私は『七不思議』として対応した。向こうがミスったから命を奪った。そこに私の意思は介在しない」
サラッと無限のエネルギーを持つクモリを殺害している辺り、やはりスペックは原作最強格のキャラなんだろうが、こいつの話をどこまで信じていいものか。
そのレベルの強さを持つレアが、俺を騙す為にこんな話をする理由は思いつかない。
だが、こいつはこいつの言葉を信じるなら原作者として圧倒的な知識を保有している。俺が考えつかないだけで、俺を利用して得する方法があるのかもしれない。
そもそも、個人的感情としていけ好かない。
本当に彼女が原作通りの汚鳥レアの性質を持つなら、確かに『七不思議』のルールに則った戦いは意思でどうにかなる問題ではない。
だが、俺はレアのことがこの短い会話でめちゃくちゃ嫌いだと理解したし、そもそも友人を殺した相手を快く思えることは無い。
こいつが『七不思議』のレアでもあるならば、追い出す手段は幾らでもある。
さて、どうするか……と、思考を巡らせようとした時。
ピンポーン、とやや間抜けな音が我が家に響きわたる。
チャイムが押された音。来客の合図。
「話は後だ。客が来たから出る」
「どうせ宅配便とかでしょ? いってらっしゃーい」
案外素直に引き下がったレアに少し驚きつつも、こいつのことを一旦少しでも考えないようにしようと大きく息を吐きながら、玄関へと向かう。
その途中で玄関を移すモニターに目を向ける。
そこに映っているのは泡白乙葉。先程レアに話された『殺意』の話で少しギョッとしてしまうが、そんなわけないと振り払う。
「どうした乙葉。わざわざ家を尋ねてくるなんて」
「これ落としたでしょ? 別に学校ででも良かったけれど、吟一が困ってたら私がスッキリしないし」
そう言って、乙葉は俺にハンカチを手渡してきた。
確かにそれは見覚えがある俺のハンカチだった。なんで特に飾り気のない紺色のそれが何故俺のだとわかったのかは分からないが、きっと落としたところを見ていたのだろう。
「家、結構離れてるのに悪いな。お茶くらいなら出すけどどうだ?」
「遠慮しておく……と言いたいところだけど、今日は暑いし一杯頂いてくわ」
乙葉が俺の家を訪れることは珍しくはなかった。
それこそ、うちには乙葉専用のコップがあるし、乙葉の家にも俺やクモリ専用のコップがある。それくらいに親密な仲であり、家の中に乙葉を招くことなんて何も特別なことでは無い。
「──────あれ?」
なのに、乙葉を家に招き入れて、彼女に背を向けた瞬間。強烈な寒気が背筋に走った。
何もおかしいことなんてないのに、汗が滝のように額から湧き出てくる。ちょうどさっき返してもらったハンカチで額を拭おうと、それを入れたポケットに手を突っ込んだところで俺はその寒気の正体に近しいものに気がついた。
ポケットの中に、ハンカチが二枚ある。
全く同じデザインの二枚。つまり、俺は今日ハンカチを落としてなんか居なかった。使ったのも、男性用トイレの中で手を拭く時くらいだったはずだ。
じゃあ、このハンカチはなんだ?
乙葉が俺のハンカチと言って差し出してきた、乙葉に今日見せていない、なのに全く同じデザインのハンカチは。
「招き入れてくれてありがとう。これで条件は満たした」
振り向くとそこには、当然ながら乙葉が居た。
身の丈ほどの大鎌を構え、振り被れば壁や天井に当たってしまいそうなそれが、壁や天井をすり抜けていて、そして俺を切り裂かんと振り下ろされるようとしている。
「断ち去れ──────慚愧ノ玻璃」
紡がれる名と共に、乙葉の掌から紫色の炎が吹き出して、まるで鎧のように彼女の体を包み込む。
質問や意見は許さない。
言い訳なんてしない。
そんな彼女の意志を示すかのように、全く躊躇いのない刃。
「やれやれ、貸一だぞ? ───
切り裂かれる、そう思っていたのに。
いつの間にか俺は数歩後ろに下がった場所に立っていて、一瞬前まで俺の立っていた場所に鎌が振り下ろされて、床を傷つけることなくその刃がすり抜けるのを目の当たりにしていた。
「迂闊じゃないかな吟一くん。この世界は、既に原作のルートなんて完全に崩壊している。誰が敵で誰が味方かも分からないのに、簡単に相手を住居に招き入れるなんて」
乙葉から距離取ろうとして後ろに下がり、足がもつれて転びそうになった俺を支えるようにして、レアが現れる。
「おい、アレなんだよ!?」
「『キズガミ』。と言っても、作品の略称の方じゃなくてね? この作品のメイン要素。──────バトルの主軸となる、固有の異能の力。一巻で出てきただろう?」
キズガミ。
この世界で悪霊や怪異に対抗する為の力は、呪術やら陰陽術やらと沢山あるが元を辿れば全てこの力に由来する。
人間の精神の形を武器や防具、或いは式神の形でこの世界に顕現させ、自身の精神の在り方でこの世界の法則を歪める『異能』を出力する為の媒体。
強力無比で変幻自在。
キズガミの使い方が勝負を決めるのが『キズガミの縁魔』という作品のバトルだ。
もちろんそんなことくらい俺だって知っている。俺が聞きたいのは───。
「なんで乙葉がキズガミを使って、しかも俺を襲ってるんだよ!」
乙葉は原作では霊感こそあれど退魔師の類ではなかったはずだ。
あくまで日常パートでのヒロイン。泡白乙葉は直接戦闘するような子どころか、悪霊や怪異の存在を知らない側の人間なのに。
「言っただろ、既に原作は崩壊している。本来なら原作に関わらない君が、主人公と友人になったように。他のキャラクターにも変異があると考えて然るべき。……そして、私が君に助けを求めた理由でもある」
血のように赤く輝く乙葉の瞳が俺を見据えている。
正気じゃない、とまでは断言できないが明らかに普段と様子が違う。乙葉の姿をした悪霊だと言われた方がまだ信じられる。
「
信じたくない、が信じるしかない。
今こうして、幼なじみが異能の力を宿して俺を殺しに来ている時点で最早理由を考えている暇なんてなく、対処するしかない。
「わかった、信じるよ! それで、俺は何をすればいい」
「それを、今から一緒に考えようかなぁって、思っててぇ……」
「は?」
レアの顔を見る。
青ざめていて、気まずそうに俺から目をそらすその仕草は、悪い意味で嘘なんて吐いているようには見えない。
つまり、ここからノープラン。
異能の力なんてない友人Aである俺が、キズガミを駆使する乙葉を倒せってことなのか?
「ちなみに、乙葉は設定で合気道を嗜んでるんだけど君は?」
「小中陸上部、高校帰宅部だが?」
「OK、今その特技を活かすときだ」
勝ち目なんて万に一つもない。
戦いなんて呼べるほど高尚なものでもない、そんなあまりに情けない鬼ごっこが始まった。
《汚鳥レア》
家族構成:--
『キズガミ』における最強キャラの一角。
『七不思議』とはこの世界観においてルールを守る側ではなく、ルールを敷く側の存在。存在が大きすぎるが故に自身を『七不思議』というルールの中に閉じ込めることでこの世界に存在が確定する。
『キズガミ』原作者の虎落逸軌を名乗っているが、正体は不明。
《
種別:設定用語
ヒロイン同士の呪いあいによって発生した呪いの澱。命名は虎落がエゴサ中に見つけた単語からであり、作中の正式な用語ではない。
この作品のヒロインはほぼ全員が、ほかの女への殺意とクモリへの殺意、二つの殺意を合わせ持っている。他の女への殺意は強い呪いとなり、他者を侵食する。しかしまともに受けると自身も行動不能になるそれを彼女達は受け流すことで、彼女達の呪い合いの円環には常に一定量誰にも定着していない呪いのエネルギーが存在する。
そのエネルギーを、自分に向けられた殺意のラインを通してクモリは使用することが出来る。純粋無垢で憎悪に満ちたエネルギーの使い道は多岐にわたり、この機関の存在がクモリの強さの原因の一つであった。
クモリが死亡したことにより円環が崩壊。
呪いと殺意の行き先が不安定になり、溢れ出した未定着の呪いによって各ヒロインは精神に変調をきたしている。
《キズガミ》
種別:作中用語
『キズガミ』における異能要素。
陰陽術、呪術、巫術、魔術等この世界では怪異に対抗する術は様々あるが、全て言語の違い程度で本質的には同じであり、その本質こそが精神の力。キズガミとは、その精神を直接形にして出力する技。
式神や武器の形で現れ、精神の形であるが故に霊的なものでは無い攻撃は効かない。そして特筆すべきは、その人間の精神で世界に影響を与える『異能』を宿していることである。
炎を拭いたり、瞬間移動をしたり、ある程度本人の精神の在り方で能力は決まるものの、本人の精神であるが故にカスタマイズも可能。
要は特殊能力付きの武器や防具や式神。
ただし、精神の形そのものであるためキズガミを破壊されたり、捕縛、改造されたりすることは致命のリスクを伴う為大抵の退魔師は切り札にしている。
名前の由来は、精神を形にするという魔術的行為には『自傷』によって自己の存在を捉える行為が簡単であり、傷口から沸き立つ神、キズガミと呼ばれるようになった。