さしすの七夕   作:かりん2022

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中編

 午前の授業が終わると、徐に夜蛾先生は告げた。

 

「授業が終わったら、傑は教務室に来るように」

「ウケるww」

「始末書頑張れよwww」

 

 私は、呼び出しを受けてしまった。悟と硝子は完全に面白がっている。

 まあ、真夜中に警報鳴らしちゃったしな……。仕方ないか。

 覚悟を決めて教務室に行くと、思いの外心配された。

 

「傑、何か悩みはないか。寝ぼけていたとはいえ、呪詛師とは何事だ」

「違うんです、先生」

 

 私は、悟や硝子に話していた事を話した。

 

「ふむ……悟」

 

ドアに向かって呼びかけると、心配していたらしい悟と硝子が顔を出した。

 

「どう思う?」

「呪力に乱れはねーよ」

「そうか……。ただの夢であればいいが、気になるな……」

「なんだよ、夜蛾セン」

「おそらくそのうちわかる」

 

 なんだか気になる話の切り方をして、思い出せる限りの事を話すように言われた。

 と言っても、話せることなんて殆どないんだけど。

 

 それから、任務に出る。

 久々に、廃墟で3人揃っての任務である。

 

「でもさ。夏油って強いじゃん?」

「なんだい? 藪から棒だね」

「いや、夏油が呪詛師になったら、始末に行かされるの、間違いなく悟だよなーって」

「傑、絶対呪詛師になるなよ!」

「ならないよ! なりたいわけないじゃないか!」

 

 そうやってお喋りしながら任務をこなし、帰りに3人で浴衣を買う。

 

 帰った所で、それぞれ部屋で浴衣に着替え、いざ、お祭りに出陣!

 

「すぐる! 金魚掬いやろうぜ!」

「それ、飼えるの? 悟」

「食堂の所に水槽置いて、みんなで育てればなんとか?」

「うっわ他力本願!」

「いいじゃん。私も世話するよ。夏油もするよね?」

「仕方ないね」

 

 それから、いっぱい金魚を掬ってストップを掛けたり。

 皆んなで、わたあめを食べたり。

 焼きそばやりんご飴を食べたり。

 射的をしたり。型抜きをしたり。

 

 楽しい時間を過ごす事ができた。

 悟の浴衣は格好良かったし、硝子の浴衣は可愛かったし。

 食べ物は美味しくて、楽しいことをいっぱいした。

 この時、私は心から笑えていたと思う。

 でも、心のどこかで、気づいてもいた。これの終わりは必ず来ると。

 帰り道、呪専までの道を車で揺られていると、その時が来たことを私は悟った。

 

「あれ? 傑! 泣いてんの!?」

「あ、ほんとだ」

 

 ボロボロと涙が溢れるのを手のひらで受け止める。

 

「悟。硝子。帰りたくない。帰りたくないよ……」

「傑?」

 

 わかる。7月7日、24時。それが、シンデレラの鐘の鳴る時間。

 

「傑!」

「悟。硝子。私の事、止めてくれないか。〇〇村、そして〇〇村。美々子と菜々子、利久を助けてほしい」

 

 そうして、悟と硝子をぎゅっと抱きしめる。

 

 ああ、時計の針が。24時を指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、私を覆う短冊が全て弾けて、7月8日になった。

 私は、呆然としたままで森の中で仰向けで倒れていた。

 呪霊は消えていた。逃げられてしまったようだ。全く歯が立たなかったともいう。

 

「……儚い夢だったな。だけど、いい夢だった」

 

 そうして、私は帰路についた。

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