ダンジョンで修行するのは間違っていない   作:カユ

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次回は軽くなると言いましたが嘘でした。
勝手にそうなっちゃったんです…


第二話  今後のこと

起きる。

古びた石でできているであろう天井が目に入る。

周りを見れば天井だけでなく石の壁に石の床、石の机に石の椅子という、ほぼほぼ石のまるで牢獄みたいな部屋だ。

ドアとさっきまで寝ていたベッドだけは石造りではなかった。

 

ふとコツコツと足音がドアの方からしてくる。

 

 

「ふむ、起きたみたいだな。ちょうど夕食しようと思っていたところだ。着いてこい」

 

 

部屋に入ってきたのはとても質素な服を着て、長い黒髪を後ろで結んだ偉丈夫の男だった。彼は詳しい説明もなしにまた出て行こうとする。

しかし今まで見たことがないような美貌だ。彼と比べれば村一番のイケメンと持て囃されていた刀弥でさえも遠く及ばないような…

刀弥って誰だ?

 

 

「ゔぐっ!」

 

 

急に頭を締め付けるような痛みが襲う。それは一瞬ではあったが強烈すぎた。

 

 

「むっ?大丈夫か、幼子よ!?」

 

 

部屋を出て行こうとしていた男がその黒い瞳を見開き慌てて走りよってくる。

 

 

「いえ…大丈夫です。それよりもここは何処でしょうか?」

 

「いや、今の苦しみようは全然大丈夫そうではなかったが…」

 

「本当に大丈夫です。物凄く痛かったですけど、もう痛くありません」

 

「そうか…あまり無理はせずとも良いぞ?あー、ここが何処かという問いに対する答えだがな。ちょうど猪を狩ってきてな?今から昼飯にしようと思っていたのだ。幼子も2日ほど眠っていたのだからお腹が空いてよう?それからというのはどうだ?」

 

 

確かに言われてみるとお腹が空いている。というか認識した瞬間猛烈な空腹感がきた。

 

 

「はい、ご相伴に預かります」

 

「いやそんなに畏まらなくても良いのだが…」

 

「いえ、神様に不敬があってはいけないので」

 

 

そう言った瞬間、男性おそらく神様は目を細め笑った。

 

 

「ほう?なぜそう思った?」

 

「御身から溢れ出る神威を感じたまででございます」

 

 

すると神様はきょとんとした目をし笑った。

 

 

「わっはっはっはっ!!!!!(わたし)は今まで影が薄いだの、もっと剣以外の事にも積極性を持てだの言われたことはあったが、神威が溢れ出ていると言われたのは初めてだ!お前は良い眼を持っているじゃないか!特別に(わたし)の特製スルメもご馳走してやろう!」

 

 

神様が大笑いしながら出ていくので、慌てて着いていく。

 

 

 

廊下も同じく一面石であったが着いて行った先の部屋は木製の暖かい雰囲気の部屋だった。中央に囲炉裏がありその上では、鍋がグツグツと肉と野菜を煮込んでいる。壁には達筆な字で【剣術無双】と書かれた掛け軸が掛けられている。

 

 

 

 

 

「さて、飯も食い終わったことだし、自己紹介としようじゃないか。(わたし)の名前はフツヌシ、剣神をやっている者だ!お前の名は何という?」

 

「わたしの名前は…トウドウ・飛鳥です。来月七歳になるはず…だったと思います」

 

「良い名である。それにしても、七歳というのは(わたし)の知識ではそんなに落ち着いていないし流暢な敬語も話さないはずなのだがな?いや、答えられないのなら答えずともよいのだが」

 

 

思い出そうとする。覚えているのは森の中を走り回る自分。それを追いかけてくる一匹の豚人(オーク)。そしてそれを一刀に斬り捨てた鮮やかな太刀筋、それだけだ。家族や友人の顔と思い出の全てが抜け落ちている。確かに大切なものだったはずなのに、深い喪失感だけが残る。

 

 

「すいません。わたしも…思い出せないのです。思い出せるのは名前と、年齢だけで…」

 

「記憶喪失…か…。覚えていないのなら仕方がない」

 

 

フツヌシ様は痛ましそうに僕を見て頭を撫でて言う。

 

 

(わたし)は時々旅をしていてな。偶々村に寄りかかって見たら村はオークに襲われていたのだ。慌てて生き残りがいないかオークどもを斬りながら村中を回ったが誰もいなくてな。全滅かと諦めていたところに森の方からオークの雄叫びが聞こえて急いで駆けつけたというわけだ」

 

 

フツヌシ様はそう当時の状況を語る。その瞳には後悔の念が宿っている。

 

 

「もう少し早く着けばと思うが、今は悔やんでも仕方なし…か。とりあえず飛鳥の今後を決めなければいけない。そこで提案だが、(わたし)の友神にタケミカヅチという武神がおるのだ。ソイツはお前のような身寄りを無くした子供を引き取り育てていてな。神の中でも飛び抜けた神格者だ。そこなら友人だってできよう。教えを請えば力だって身につくだろう。どうだ?」

 

 

フツヌシ様はそう提案してくる。わざわざ自分の為にここまでしてくれるフツヌシ様が言うのだ。その神様はいわゆる善神という御方なのだろう。武神でもあるようだし、力も身につくかもしれない。友人は…あまり分からないが。

それでも…

 

 

「フツヌシ様に剣を教えて貰えることはできないでしょうか?助けてもらった挙句図々しいことを言っているのは分かっています!ですがどうか!!」

 

 

そう言い土下座をする。何故かは分からないが人に無理を頼む時はこうするのだと記憶にある。無理だというのを分かっていても頼み込む。それほど魅了されてしまったのだ。あの剣の美しさに、あらゆる抵抗を無視するその理不尽さに。記憶もそれに伴う感情も失った自分に残っているのは、無力だった自分を救ったあの一刀だけなのだ。

 

 

「やめよ!やめよ!幼子に土下座させるなど(わたし)の罪悪感がすごい!」

 

「ですが!」

 

「分かった、分かった!お前を弟子にしてやる!面倒も見てやろう!だから土下座を止めるのだ!」

 

 

その言葉に顔をあげる。そしてフツヌシ様は土下座をやめた自分に安堵するかのように一息つき宥めるように言った。

 

 

「とりあえずお前を弟子にすることは了解した。が、もう幼子にとっては夜も遅い。お前はもう寝るのだ。色々なことは明日決めるぞ?」

 

「はい!」

 




これオラリア行くの後3話ぐらいはかかりそうだな(白目

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