呪術廻戦11巻より引用
前章で触れた魂の質量について考えてみる。魂に質量があるとは、風の噂で聞いたような気もするが、他ならぬ魂そのものを扱う真人の術式説明でもある。質量と書くとなんとなく触れられそうだが、特殊な目あるいは術式などの感覚を持たぬと、知ることすら難しそうだ。そこで、とある魂Aという、一般的な物質のようなモデルを扱うこととする。
この魂Aは、くっついたり、ちぎれたり、また動いたり止まったりと様々な性質を持っているとする。くっつく時や、ちぎれる時に、一般的な物質では何かエネルギーが必要だとされる。そこで魂Aが用いるエネルギーこそ魂の質量と呼ばれるものではなかろうか。原作中において、魂の質量と魂から生まれる呪力は、少し違うようなものと見受けられるようだ。言うなれば魂の存在そのもののエネルギーと言ってもいいかもしれない。その質量をある程度変換することで呪力として漏出する。というメカニズムは前章にて考察した。
作中六眼の保持者は、その類まれなる呪力効率によって呪力切れがないことについても答えが出そうだ。すなわち魂の質量から無駄なく呪力に変え、そして無駄なく術式に流すことでロスを抑える。そうすると自己の呪力回復量と使用量が釣り合い、あたかも呪力切れがないように見えるのだ。ここで、じゃあ魂の質量はどう保たれるのか?という疑問も新たに出てくるが、それについては魂の生まれ方そのものに言及せねばなるまい。
そも魂とは何ぞや?ということだが、これについては作中の解説が待たれるところだ。しかし、今までの情報から分かることもまたある。質量がある。知覚することで触れられる。無機物にすら宿る。形を変える。肉体を変える…などである。通常触れることも知覚することもできないが、確かにあると考えるしかない。ひとつ重要なことは、魂のみでは現実で存在していないことだ。無機物も、動物、人間は物質自体に魂が宿っているようである。では呪霊はどうか。物質的な体は持たずとも、呪力で構成する体が存在するのである。呪霊自体にも魂はあり、なおかつ呪力で構成している実体に宿っているようなのである。真人は魂を変化させることで実体を変化させるが、魂のみでの攻撃や干渉を行った描写はない。言うなれば、触れられる実体である呪力体と、そこに刻まれた術式のみで戦闘を行っている。魂エネルギー波などといった面白そうなものを出してこないことから、魂の質量を物理的な質量や運動エネルギーに変え、変化した肉体をぶつける。といった爆弾のような使い方を好むようだ。
つまり、どうやら魂のみで存在するものはなく、またその逆もなさそうである。
空想するに、肉体や物質、呪力体が現実にあり、どうやら別の位置か次元に魂があるのであろう。それらは相互に干渉しあい、時にはエネルギーをやり取りしているようだ。また、真人の術式から推し量るに、魂同士の相互作用によって質量は増減するようでもある。魂は対となる実体に作用し、時には他魂とも作用する性質がありえる。または、魂自体は特殊な構造をしており、その構造からエネルギーを取り出したり、その構造が変質変形することで生命と無生物を分けているのかもしれない。
魂が呪力で構成し、そこに宿ることで呪霊として生まれ、一方物質を生成し、そこに宿る無機物他生命体などと、差異は見られる。魂が物質を生成することは、突飛な話かもしれないが、反転術式という前例がある。欠損部位の生成においては実体そのものを生み出しているようである。呪力を2倍消費して行うためその効率は悪く、魂の観点からは呪霊や呪力体の方がコスパが良さそうにも見える。その上呪力回復においては他魂から注がれる呪力である。
ここで、魂が先か肉体が先か?という問について考えてみるが、答えは上手くは出なさそうである。魂が呪力を用いて実体を産み始めたとするか、実体の存在が魂を産み始めたのか。その始まりは確認しようもない。しかし、天与呪縛の例は面白いものである。持ちうる呪力を持たない、という縛りが肉体を強靭なものに変えている。魂から変換されうる呪力の代わりに、何らかのエネルギーが肉体を強化しているのかもしれない。この例は突然変異であるとされ、魂が存在しないわけではないだろうが、何らかのヒントが隠されているのかもしれない。あるいは、肉体も魂も別個に存在し、その場その場で役割を果たしながら共存する関係性であるともいえる。この場合、ある時は無機物の魂、ある時は人間の魂と、移り変わる物質と共に魂も宿を変えながら、あたかも一体化するように見えるだけなのだ。
魂は実体や他魂に作用しなければ認識できず、無機物にさえ宿る。作中において魂のみで存在しうるものは確認できていないが、強いて言えば漏瑚の最期であろうか。呪力体を失った呪霊達と会話するあのシーンは、まさに魂のみの会話だったかもしれない。
※結局呪力切れがない五条先生についてはよく分かりませんでした。多分燃費良すぎて糖分補給するだけで済んでるんじゃないですかね。