「ここも久しぶりだな……」
「だな。何だか俺達四人とルカで遊んでた頃が本当に昔な気すらしてくるな」
『僕的にはちょっと出掛けてきたくらいに感じるけどね』
ポケモンセンターで腹ごしらえを済ませた俺達は、2番道路を抜けてトキワのもりまで来ていた。
「ここを抜ければニビシティだから、今日中に抜けてしまおうか」
「でも出来るのか? 昔よりもうっそうとしてるから、迷うんじゃないか?」
「レッド、俺達にはルカが付いてるんだぞ? トキワのもりはルカの庭みたいな物だから、ルカに案内してもらえばすぐに抜けられるぞ」
『えっへん!』
「それもそうか。あ、それならさ。少しだけ森の中を探検してみないか? 野生のポケモン達とも出会えるしさ」
「そうだな。それじゃあ少しだけブラついてみるか」
レッドからの提案に乗り、俺達はトキワのもりを探検することにした。
「2番道路もそうだったけど、トキワのもりにもトレーナーが多いな」
俺達は道中で勝負を仕掛けてきたむしとりしょうねん達を容赦なく倒しながら進んでいた。
「殆どが虫タイプ使いだったけどな」
「まあここには虫タイプが多いからな」
『僕達ピカチュウ以外は虫ポケモンしかいないしね』
俺達がそんな事を話していた時、近くの草むらから物音がした。
「……何だろうな?」
「ちょっと波導で調べてみるか……」
俺は波導を使い草むらの中を探り、波導の主の正体を確かめた。
「この感じは……どうやらキャタピーみたいだな。ただ、波導の感じからすると少し弱ってるみたいだ」
「それなら早く助けてやらないと!」
「そうだな」
俺達は物音がした草むらの中を覗いた。すると、そこには傷ついたキャタピーが横たわっていた。
『……あ! このキャタピーは!』
「知り合いか?」
『うん。トキワのもりに住んでた時にいつも一緒に遊んでたんだ』
「なるほどな。とりあえず手持ちのきずぐすりで……」
俺はバッグから『きずぐすり』を出し、キャタピーの治療をした。すると、キャタピーの目が少しずつ開き始めた。
『……ここは?』
『どうやら気が付いたみたいだね、フィル』
『……もしかしてルカ?』
『うん! そうだよ!』
『そっか……ルカがいるなら安心かな……?』
「安心って……何があったんだ?」
フィルに対して問いかけると、フィルは少し警戒した様子を見せた。
『ルカ……この人達は?』
『こっちは僕のトレーナーで、名前はユウト。それで隣がレッド、僕とユウトの友達だよ』
『そうなんだ……それなら何とかなるかもしれない……』
「何とかなるって……いったい何があったんだ?」
フィルの言葉に疑問を覚えながら訊くと、フィルは体を起こしながら話してくれた。
『……さっきトキワのもりに変な人達が来たんだ』
『変な人達?』
『うん、後ろに文字が書いてある黒い服の人達だったよ』
「後ろに文字が書いてある黒い服……もしかしてこんな感じじゃなかったか?」
俺は『R』の文字を地面に書いて、それをキャタピーに見せた。
『……あ、それだよ! その文字がその人達の服に書いてあったんだ!』
「ユウト、心当たりがあるのか?」
「ちょっとな。ただ、そうなると少しマズいな……ちょっと波導を使って辺りを探ってみるか」
俺は波導を使い、トキワのもり全体を探った。すると、少し離れたところに人間の波導が二つ、ポケモンの波導が三つある事が分かった。
この二つの人間の波導はロケット団として、三つのポケモンの波導は一体何なんだ……?
俺が疑問に思っていると、何かに気づいたルカがフィルに質問をした。
『……あれ? ねぇ、フィル。ライトはどうしたの?』
「ルカ、ライトって?」
『僕とフィルの友達で、僕と同じピカチュウだよ』
「なるほどな……待てよ、さっきの波導をもう一回確かめてみるか」
ルカ達の話を聞いて俺はもう一度波導を確認する。すると、さっきから感じていた波導の内、ピカチュウの波導が少し弱くなっていることに気付いた。
「……そのライトってやつ、今ピンチかもしれない」
「え? それって、まさか……!」
「とにかく説明は後だ。急いで向かわないと本当にマズい事になる! レッド、フィルを頼む」
「あ、ああ。了解」
レッドがフィルを抱えたのを確認して、俺達は急いでその波導を感じた場所へと向かった。
「へへ……やっと追い詰めたぜ?」
「大人しく捕まった方が身のためだぞ?」
『誰がお前達なんかに従うか!』
俺は人間達に向かってそう言ったが、人間達は俺の言っている事が分からないようで、不思議そうに顔を見合わせた。
「うーん……何言ってるかさっぱりだな」
「ああ。……だが、まあ良いだろう。俺達の任務はこのトキワのもりに棲む強いポケモンを捕まえる事だ。さっさと終わらせるとしよう」
そして人間達はボールを出し、それを放り投げた。すると中からコラッタが出てきた。
『あー……バトルしなきゃねーのか、全くもって面倒くせぇ……』
『そう言うな、これも任務だからな』
「さあ。行ってこい、コラッタ!」
「あのピカチュウを弱らせてくるんだ!」
人間達の声に応え、コラッタ達が俺に襲い掛かってきた。
「いた! あそこだ!」
走り始めてから数分後、俺達の目の前には黒い服を来た二人組と二匹のコラッタ、そして傷ついたピカチュウがいた。
「……ん? 何だ、ガキか」
「そのようだな」
黒い服の二人組は走ってきた俺達に気付いたらしく、そんな声が聞こえてきた。
「どうする? ガキくらいなら適当にあしらっても良い気がするけど」
「いや、ガキといえども我々の姿を見られては逃がしてはおけないだろう」
「なら、話は簡単だな」
俺達が二人組のところに辿り着くと同時に二人はこっちに体を向けると、俺達に話し掛けてきた。
「なあ、お前ら。お前らはポケモントレーナーだよなぁ?」
「……それがどうしたんだ?ロケット団」
「へぇ……俺達の事を知ってるのか。ならロケット団について、詳しく説明しなくても良さそうだなぁ」
ロケット団員Aが感心したように言う。
「ユウト、こいつら何者なんだ?」
「こいつらはロケット団、簡単に言えば人のポケモンを盗む悪いやつらだよ」
「まあ正しく言うなら、ポケモンの力による世界征服の達成を目的とした団体だけどな」
「おい、あまり喋りすぎるな」
「平気だよ。こいつらが誰かにしゃべったところで誰も本気にしないだろ」
「はぁ……全く。まあ良い、とりあえずこのガキ共のポケモンも頂くとしよう」
「了解! さあ出番だぜ、お前ら!」
ロケット団員達はコラッタ達に声をかけ、バトルの体勢を取った。
「しょうがないか。レッド、お前は倒れてるライトを頼む。こいつらは俺が引き受ける」
「ユウト1人なんて無茶だ! 俺も……!」
「傷付いてるやつをそのままにしておけない。急いで治療すれば何とかなるかもしれないんだ。だから頼む、頼めるのはお前しかいないんだ」
「ユウト……わかった。でも治療が終わったら、俺も戦わせてもらうからな!」
「ああ、了解した」
俺の返事を聞くと、レッドはフィルと共にライトの方へと走っていった。そしてそれを見届けてから、俺はボールを取り出し、それを前へと投げた。
「出てきてくれ、ルーグ!」
ルーグはボールから出て来ると、俺の顔を見ながら静かな声で話し掛けてきた。
『どうやら出番のようだな』
「ああ、俺達でこいつらを倒そう! 行くぞ、ルカ! ルーグ!」
『うん!』
『承知した!』
そして俺達の負けられないポケモンバトルが始まった。