ポケットモンスター~転生者達の冒険~   作:九戸政景

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第十二話 特訓バトル! 激闘と会得

「ユウト、ちょっと特訓に付き合ってくれないか?」

 

 

 トキワのもりを抜けた翌日、俺達がポケモンセンターのベンチで話していた時に、レッドが急にそんな事を言い出した。

 

 

「それは別に良いけど、誰々でやるんだ?」

「フレイとルカで頼む。ジム戦前に『メタルクロー』を使えるようにしたいんだ」

 

 

 なるほどな……そうだ、ちょうど良い機会だから、フレイのステータスチェックをしてみるか。

 

 

「了解。でもその前にフレイを出してもらって良いか?」

「ん、了解。フレイ、出てきてくれ」

 

 

 レッドがボールからフレイを出すと、フレイはいつものように尻尾の炎をメラメラと燃やしながらワクワクした様子で話しかけてきた。

 

 

『バトルか!? バトルなのか!?』

「フレイ、残念だけどバトルじゃなくその前のちょっとした健康診断だよ」

「健康診断……?」

『健康診断……?』

 

 

 レッドとフレイの言葉がハモったのに少し苦笑しながら俺は頷く。

 

 

「そう。まあすぐに終わるから、少しだけじっとしていてくれるか?」

『分かったぜ!』

 

 

 俺は特典の一つである『ポケモン達のステータスやレベルを一目で確認できる能力』でフレイを視た。

 

 

「ふむふむ……なるほどな」

「何か分かったのか?」

「そうだな……至って健康で良い感じだな。それにもしかしたら『メタルクロー』がもう使えるかもな」

 

 

 レッド用に言うならこうだが、正しくはこうげきとすばやさが特に高く、ぼうぎょに少し難があり、使える技の中には既に『メタルクロー』が入っていた。レベルは昨日から1増えて15に上がっていた。昨日の夜に少しいなくなっていたからその時に自主練でもしていたのかもな。

 

 

 ……レッドにこんな風に詳細を言えたら良いんだけど、レッドには転生者だってことは明かしてないから、そこは仕方が無いとするか。

 

 

「後はそうだな……フレイは『ほのおのキバ』とかの物理的な攻撃が強いから、そこを重点的に伸ばしてくのが良いかもな」

「なるほどな……」

「でも『ひのこ』とかみたいな技も牽制とかに使えるから、それらも少しずつ伸ばしていくと良いかもな」

「ん、了解。ありがとな、ユウト」

『サンキューな、ユウト!』

「どういたしまして」

 

 

 フレイのステータスチェックを終えて、俺は今回の結果をメモ帳に書き留めた。

 

 

 こういう風に記録にしておけば、これからの育成に役立つかもしれないし、このデータは大事にしないとな。

 

 

 俺がメモを書き終えたと同時に、レッドが声をかけてきた。

 

 

「よっし、フレイの事をもっと知るために早速特訓しようぜ、ユウト!」

「了解。それじゃあルカ、フレイの特訓の相手として頑張っていくぞ」

『うん!』

 

 

 俺達はベンチから立ち上がり、ポケモンセンターの裏にあるバトルフィールドに向かった。

 

 

 

 

「それじゃあ始めるぞ。使用ポケモンは一体、どちらかが戦闘不能になった時点で特訓は終了にする。それで良いか?」

「ああ!」

『へへっ、俺達は簡単には倒せないぜ! だからこそ本気で来な!』

「ほう? その言葉に嘘偽りは無いよな?」

『無いよね?』

「俺はフレイと同じ気持ちだ! だからこそ全力で来てくれて構わないぜ!」

『俺達の本気を見せてやるぜ!』

「……オッケー。なら本気で行くぞ、ルカ!」

『あいあいさー!』

 

 

 そして俺達の特訓バトルが幕を開けた。

 

 

 

 

「フレイ、まずは『ひのこ』だ!」

『あいよ!』

「ルカ、『ひのこ』を避けながら至近距離まで近付いて『アイアンテール』だ!」

『うん!』

 

 

 フレイから放たれる『ひのこ』を、ルカは右へ左へと避けながらフレイへと迫っていく。

 

 

「くっ……フレイ、『アイアンテール』を『メタルクロー』で受け止めろ!」

『了解だ!』

 

 

 レッドの指示でフレイが『メタルクロー』を使おうとするが、まだ上手く使えないようで、途中で技が解けてしまった。

 

 

『ちっ!』

「フレイ、もう一回『メタルクロー』だ!」

 

 

 レッドがもう一度指示を出すが、再び『メタルクロー』が途中で解けてしまった。その間に、目の前まで迫っていたルカがフレイに『アイアンテール』を繰り出す。

 

 

『そー……れっ!』

『ぐあっ……!』

 

 

『アイアンテール』を受けたフレイは少しだけ後ろへと飛ばされたが、すぐに体勢を立て直し地面に着地した。

 

 

『くそっ! 何で出来ねぇんだよ!』

「フレイ、落ち着け!」

 

 

 技が決まらないことでフレイの中に焦りと苛立ちの感情が高まっているようだ。

 

 

 ……少しだけアドバイスしてみるか。

 

 

「なあ、フレ──」

「フレイ、一旦落ち着いてくれ……」

 

 

 俺が話し掛けようとした時、レッドがフレイに近づいていき、フレイの事を抱き締めた。

 

 

『レッド……?』

「フレイ。お前なら絶対に出来る、『メタルクロー』を成功させられるって俺は信じてる。だから頼む、一回落ち着いてくれ」

『レッド……』

 

 

 レッドは優しい口調でフレイに語りかける。そしてそれによりフレイもどうやら落ち着いたようで、それを確認すると、レッドはフレイの目を真っ直ぐに見ながらニッと笑った。

 

 

「フレイ、絶対に『メタルクロー』を成功させるぞ。そしてユウト達も倒すぞ!」

『へっ、当然だ!』

 

 

 レッドとフレイは笑い合うと、お互いの拳を軽くぶつけ合った。

 

 

 良い光景ではあるんだけど……何なんだろうな、このレッド達の主人公っぽい感じは。

 

 

 そんな事を思っている内に、レッドはフレイから離れ、元の位置へと戻り始めていた。

 

 

「中断しちゃってゴメンな、ユウト」

「別に良いさ、ポケモンとトレーナーのふれあいも必要だからな。まあ公式戦とかでやらなければ誰も文句は言わないよ」

「分かった、それじゃあ再開しようぜ」

「了解!」

 

 

 そして、特訓バトルを再開した後、俺は気持ちを切り替えながらルカに指示を出した。

 

 

「ルカ、フレイに向けて『でんきショック』だ!」

『りょーかい!』

「フレイ、『でんきショック』に『ひのこ』をぶつけてくれ!」

『了解だ!』

 

 

 ルカが放った『でんきショック』へとフレイが『ひのこ』をぶつけると、お互いの攻撃が相殺され、黄色と赤の光がその場に降り注いだ。

 

 

「まさか最初のバトルで俺達がやった事をやってくるとはな」

『だね』

「へへっ、俺達だって成長してるんだよ!」

『レッドの言う通りだ! なめてかかると本当にやけどするぜ?』

 

 

 ……フレイに何となく上手い事言われた気がしたけど、今は気にしない事にしよう。

 

 

「なら接近戦だ! ルカ、フレイの近くまで近付いてからの『アイアンテール』だ!」

『おっけー!』

 

 

 俺の指示を受けてルカがフレイに向けて走り出す。その様子を見ながらレッドは落ち着いた様子でフレイに指示を出した。

 

 

「フレイ、落ち着いてルカの動きをよく見るんだ」

『おう!』

 

 

 フレイはまばたきもせずに、迫ってくるルカの動きを見続けた。そして、ルカがフレイの目の前まで迫り、『アイアンテール』をフレイに叩きつけようとしたその瞬間、レッドが指示を出した。

 

 

「……っ! 今だフレイ、『メタルクロー』!」

『おう!』

 

 

 ルカの『アイアンテール』が決まったと思った時、フレイの『メタルクロー』がルカの『アイアンテール』を掴み、そのまま受け止めた。

 

 

「何っ!?」

『えっ!?』

 

 

 俺とルカはおもわず驚きの声を漏らした。

 

 

 まさか成功させつつ、受け止められるとはな……。

 

 

「フレイ! そのままルカを前の方へ投げろ!」

『了解だ! そぉ……らよっ!』

 

 

 フレイはルカの尻尾を持ちながら自分の腕を動かし、ルカを前方へ投げ飛ばした。

 

 

『うわわっ!』

「ルカ! 体勢を立て直すんだ!」

『うんっ!』

 

 

 俺の指示ですぐにルカは体勢を立て直して地面に着地した。

 

 

「ルカ、大丈夫か?」

『うん、大丈夫。それよりもビックリしたよ』

「だな。まさか成功させつつ受け止められるとはな」

 

 

 これは……面白くなってきたじゃないか……!

 

 

『楽しそうだね、ユウト』

「そりゃあな。ここまでの展開は想定してなかったからな、わくわくが止まらないぜ!」

『ふふっ、そうだね。僕もわくわくしてきたよ!』

 

 

 ルカも楽しそうな顔になっているが、こういう時こそ落ち着いていかないとな。

 

 

 俺は気合いを入れ直し、ルカに指示を出した。

 

 

「ルカ、もう一回フレイに向かって『アイアンテール』だ!」

『うんっ!』

 

 

 再びルカがフレイに向けて走り出すと、レッドは大声でフレイに指示を出した。

 

 

「フレイ、こっちも近付いて『メタルクロー』だ!」

『あいよ!』

 

 

 指示に従ってフレイもルカへと向けて走り出し、バトルフィールドの中央付近でその距離が縮まると、二匹はほぼ同時に技を繰り出した。

 

 

『これで……どうだぁっ!』

『食らい、やがれぇっ!』

 

 

 二匹の攻撃がほぼ同じ威力でぶつかり合ったため、その衝撃で二匹は後方に吹き飛ばされた。

 

 

『くぅっ!』

『ちっ!』

 

 

 二匹はお互いに体勢を立て直したが、ルカよりも微かに早くフレイが着地をしたため、レッドがすかさずフレイに対して指示を出した。

 

 

「よし、フレイ! もう一回『メタルクロー』だ!」

『任せとけ!』

 

 

 レッドの指示でフレイがルカに向けて『メタルクロー』を繰り出す。

 

 

「ルカ、着地からの『アイアンテール』で『メタルクロー』を弾いてくれ!」

『りょーかい!』

 

 

 ルカが着地をした後に、『アイアンテール』で次々繰り出される『メタルクロー』を弾いていく。

 

 

 ……さて、そろそろやるか……!

 

 

「ルカ、フルパワーで『アイアンテール』!」

『了解したよ!』

 

 

 ルカは力を込めて『アイアンテール』をフレイに繰り出す。それを受けたフレイは吹き飛ばされかけたが、両足で何とか持ちこたえた。

 

 

『ちっ!』

「フレイ! 大丈夫か!」

『ああ、こんなもん余裕だ……!』

 

 

 レッドからの声に対してフレイは強気に振る舞っているが、声に疲れの色が見えている。

 

 ふむ……一旦止めるか?

 

 

「レッド、フレイ。フレイがキツそうだが、まだ特訓を続けるか?」

「ユウト……フレイ、お前はどうしたい?」

『決まってる……まだ終わるわけ無いだろ! こんなの疲れの内に入るか!』

「フレイ……分かった、それなら俺も付き合うぜ! ユウト、もう少しだけ頼む」

「わかった。でも、無理はするなよ」

 

 

 俺は帽子を被り直し、ルカに指示を出した。

 

 

「ルカ、フレイの足元めがけて連続で『でんきショック』!」

『うん!』

 

 

 ルカから放たれる『でんきショック』をフレイは後ろに跳びながら避けていく。

 

 

 ……よし、そこだ……!

 

 

「ルカ、フレイの着地のタイミングに合わせて、『ボルテッカー』だ!」

『あいあいさー!』

 

 

 フレイが着地した瞬間、片足立ちになったタイミングを見計らい、ルカが『ボルテッカー』でフレイへと走っていく。

 

 

「なっ!? フレイ、避けてくれ!」

『避けたくてもこの体勢じゃ……!』

 

 

 レッドが慌てて指示を出すが、フレイは着地したばかりのためバランスを取るのに精一杯だった。

 

 

『これで終わりだぁー!!』

『ぐっ……! ぐあぁー!!』

「フレイ!」

 

 

 ルカの『ボルテッカー』をまともに受けたフレイは、その衝撃で後方に吹き飛ばされた。

 

 

「フレイ、大丈夫か!?」

『もう……無理、だ……』

「フレイ!」

 

 

 そのままフレイが前に倒れこみ、瀕死状態になっているのを確認した後、俺は勝てた事に安堵しながらレッドに声をかけた。

 

 

「フレイ戦闘不能、だな」

「ふぅ……だな。へへっ、やっぱりユウトは強いな!」

「今回は中々危なかったけどな」

 

 

 俺達は笑い合いながらお互いのポケモン達へと近付いた。

 

 

「お疲れ様、ルカ。ダメージとかは大丈夫か?」

『うん、大丈夫』

「なら良かったよ。ほら肩に乗りな」

『うん、それじゃあ失礼して……』

 

 

 ルカを肩に乗せた後、俺達はレッド達の方へと近付いた。

 

 

「レッド、フレイは大丈夫そうか?」

「何とかな……フレイ、お疲れ様だったな。特訓とはいえ、よく頑張ってくれたよ」

『へっ、当然だ……俺達が頂点を取るんだ、だから特訓とはいえ手を抜くわけがねぇよ……!』

「フレイ……」

 

 

 レッドは一度言葉を切った後、嬉しそうに笑い始めた。

 

 

「ははっ! そうだよな、俺達が頂点を取るんだもんな。それなら特訓も全力で行かなきゃな!」

『おうよ!』

 

 

 レッドとフレイはお互いの手を取ると、固く握手を交わす。

 

 

「これからもよろしくな、フレイ!」

『おう!』

 

 

 それをルカと一緒に一緒に見ていると、ルカはどこか嬉しそうに話しかけてきた。

 

 

『レッドとフレイ、もっと仲良くなったみたいだね』

「だな。これは俺達も負けてられないな」

『ふふっ、そうだね。僕達ももっと頑張っていこうね!』

「おう!」

 

 

 何だかこの特訓バトルで俺とルカの絆、そしてレッドとフレイの絆が更に深まった気がするな。やっぱり、こうやってお互いの気持ちを通じ合わせるのはすごく重要な事なんだな。

 

 

 俺がそんな事を考えていると、レッドが俺に話し掛けてきた。

 

「なあ、ユウト。まだ時間はあるよな?」

「そうだな……今は大体午後の2時くらいか」

「それならもっと特訓しようぜ! フィルやライト達も混ぜてさ!」

「だな。それじゃあ……出てきてくれ、ルーグ」

「こっちもだ!フィル、ライト!」

 

 

 そして俺達は、全員で特訓を始めた。

 

 

 

 

「……ん? 彼らは……」

 

 

 ジムに帰る途中、ポケモンセンターの近くを通ると、バトルフィールドにいる二組のポケモントレーナーを見かけた。漏れ聞こえてくる話から察するにさっきまでバトルをしていたらしく、それに興味を持った俺はトレーナー達のポケモンに注目した。

 

 

「なるほどな……あのピカチュウとヒトカゲ、それに他のポケモン達もとてもよく育てられているようだな。ふふ、これはジム戦をする時が楽しみだ」

 

 

 彼らとのバトルを想像し、ワクワクしながら呟いた後、再びジムに向けて歩き始めた。

 

 

「待っているよ、チャレンジャー達」

 

 

 俺の口からふとそんな言葉が溢れた。俺はそれに少し苦笑しながら、そして彼らとのジム戦に思いを馳せつつ、ニビジムに続く道を歩いていった。

 

 

 

 

「さて……今日はここまでにして、明日に備えて休もう」

「だな。それにしても驚いたな」

「そうだな。バトル中にいきなりフィルが進化した時には、俺の負けフラグが立ったかと思ったよ」

 

 

 特訓開始から数時間後の夕方、俺はその時の事を思い出しながら苦笑いを浮かべた。

 

 

 アニメだとバトル中の進化は勝ちの確率が高いからな。

 

 

 俺がそんな事を考えていると、レッドが少し楽しそうに笑いながら両手を頭の後ろに当てた。

 

 

「ついに明日がジム戦か……今からワクワクしてくるぜ!」

「気持ちはわかるけど少し落ち着け。今からそんなテンションでいると明日に響くぞ」

「了解了解。よし、それじゃあポケモンセンターに戻るか!」

「おう!」

『おー!』

『おうよ!』

 

 

 俺は肩にルカを乗せたまま、レッドとフレイと共にポケモンセンターに向かった。レッドに対してさっきはああ言ったものの、俺自身もジム戦へのわくわくが沸き上がっていた。

 

 前世でやっていたゲームとは違うアニポケのようなジム戦、それに対して俺がどのようにやっていったら良いか。それについてはまだ分からないけど、ルカ達とならどんな展開でも乗り越えていける、俺はルカ達と歩きながらそう感じていた。

 

 

 ユウト達の手持ち

 

 ユウト

 ・ルカ(ピカチュウ)……LV.18

 ・ルーグ(ポッポ)……LV.17

 

 レッド

 ・フレイ(ヒトカゲ)……LV. 15

 ・フィル(トランセル)……LV.9

 ・ライト(ピカチュウ)……LV.10

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