ポケットモンスター~転生者達の冒険~   作:九戸政景

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第十五話 レッドVSタケシ! 燃え盛る闘志の炎 前編

 俺はモンスターボールを一つ手に取ってから、それを前の方へと投げた。

 

 

「行ってきてくれ、フレイ!」

「カゲ! カゲカゲ!」

 

 

 よし、今日もフレイの調子は良いみたいだ。

 

 フレイの様子を見たタケシさんもそう思ったのか

 ほうと言ってから俺に話しかけてきた。

 

 

「君のヒトカゲはとても元気なようだね」

「はい! フレイも俺もは元気なのが取り柄ですから!」

「カゲカ! カゲカゲカー?」

「元気なのは良いことだからね。さて……こっちもポケモンを出そう。行ってきてくれ、イシツブテ!」

「ラッシャイ!」

 

 

 イシツブテか……。

 

 イシツブテが両腕を広げながらやる気満々な様子を見せる中、俺は図鑑を取りだし、イシツブテの項目を確認した。

 

 

『イシツブテ がんせきポケモン

 まるくて もちやすいので つかんで あいてに なげて ぶつける イシツブテ がっせんが できる。』

 

 イシツブテ合戦……何だか危なそうだな……。

 

 その光景を想像して苦笑いを浮かべていると、タケシさんが声を掛けてきた。

 

「レッド君、先攻をどうぞ」

「それなら遠慮なく行きます。フレイ、メタルクローだ!」

「カゲカ!」

 

 

 俺の指示でフレイがイシツブテに近づき、メタルクローで攻撃を仕掛ける。特訓で会得した鋼タイプの技。これならいけるはずだと思っていた時だった。

 

 

「ほう、鋼タイプの技か。それなら……イシツブテ、『まるくなる』だ!」

「ラッシャイ!」

 

 

 フレイのメタルクローが当たる瞬間に、イシツブテが腕をたたみ体を丸めた。そしてフレイのメタルクローが当たったが、イシツブテは少し顔をしかめた後に何事も無かったかのように、再び俺達の方を向いた。

 

 

「嘘だろ……弱点のはずなのにあんまり効いてないのか……?」

「カゲ……」

 

 

 俺達が呆然としていると、タケシさんはニッと笑った。

 

 

「『まるくなる』はポケモンの物理的な防御力を上げる技だ。そう簡単にはこのイシツブテを倒させるわけにはいかないんでね」

「防御力を上げる技……その事を考えていなかった……!」

 

 

 フレイの『メタルクロー』はユウトが言うには''ポケモンの物理的な攻撃力を上げてくれる事がある技''だ。だが『まるくなる』はポケモンの物理的な防御力を上げる技、つまりあっちは確実に防御力を上げて、こっちが与えられるダメージを減らしてくるのだ。

 

 

「その可能性まで考えてなかった……!」

「カゲ……」

 

 

 どうしたら良いんだ……? このままじゃ削りきれずにこっちがやられてしまう……。

 

 

「考えている暇は無いぞ、レッド君。イシツブテ、『いわおとし』だ!」

「ラッシャイ!」

 

 

 タケシさんの指示でイシツブテが近くにあった岩を上へと投げ上げ、その岩がフレイ目掛けて落ちてくる。

 

 

「カゲカ、カゲカゲ!」

「……っ! フレイ、岩に向かって『ひのこ』だ!」

「カゲ!」

 

 

 フレイが上を見上げ、岩に向かって『ひのこ』を放つ。最初こそ効果が無かったが、当てている内に岩は細かくなっていき、フレイの近くまで来た瞬間に砕け散った。

 

 

「ゴメン……フレイ。余所見をしちゃってて……」

「カゲ、カゲカゲカ!」

 

 バトルに集中しろ、不思議とフレイがそう言っている気がした。ユウトと違って俺にはフレイ達の言葉はわからないのに。

 

 ……そうだよな、俺の指示とフレイの力があってバトルが成立するんだ。俺が弱気になってバトルに集中せずにいたら、それこそ勝てるものも勝てなくなる。

 

 

「フレイ、ありがとな。今ので眼が覚めたよ」

「カゲ……カゲカ」

 

 フレイの声は少し呆れた感じだったけれど、その顔はやる気に満ち溢れていた。

 

 それなら俺もそれに応えなきゃな!

 

 そう考えた時、俺の脳裏にある考えが浮かんだ。

 

 よし、これなら行けるかもしれない……!

 

「フレイ、動き回りながらイシツブテに向かって『ひのこ』だ!」

「カゲ!」

 

 

 俺の指示でフレイがイシツブテに『ひのこ』を放ちながら、バトルフィールド中を駆け回る。

 

 

「何を考えているかは分からないが、それだけでは勝てないぞ! イシツブテ、『まるくなる』だ!」

「ラッシャイ!」

 

 

 イシツブテはまるくなるで守りながら様子を見ている様だけど、俺の狙いは接近戦だけじゃない……!

 

 

「フレイ、そのまま『ひのこ』を頼む!」

「カゲ!」

 

 

 フレイは俺の指示に従い、ひたすら『ひのこ』を撃ち続けた。そしてそれから少し経った時、イシツブテに変化が生じた。

 

 

「ラッ……シャイ……!」

 

 

 イシツブテが呻き声を上げた瞬間に、イシツブテの体が炎に包まれた。

 

 

「ラアァッ!」

「イシツブテ……!? これは……まさか!」

「その通りです。イシツブテは『ひのこ』を受けたことで、やけど状態になったんです!」

「カゲ!」

 

 俺が考えた方法……それは物理的な防御力を上げられるなら、物理的な攻撃ではない『ひのこ』とその攻撃で起きる事のあるやけど状態の二つで攻めること! これならいくら物理的な防御力を上げられても関係無いからな。

 

 

「それにやけど状態は物理的な攻撃力を下げてしまう特徴があります。これでイシツブテの攻撃は全部威力が下がります!」

「くっ……! 相手からの攻撃にばかり注意していたことが裏目に出たのか……!」

「ラッ……シャイ……」

 

 

 これなら俺達にもまだ勝つ見込みはある。たとえまだ耐えられたとしてもやけどのダメージが入るから、こっちがやられる前に倒すことが出来る!

 

 

「フレイ、このまま行くぞ!『 メタルクロー』!」

「カゲー!」

 

 

 フレイがイシツブテに近づき『メタルクロー』を繰り出す。

 

 

「ラッ……!(ぐっ……!)」

「くっ、イシツブテ!」

 

 

 フレイの『メタルクロー』を受けたイシツブテは少しだけ後ろに飛ばされ、起き上がろうとしたが、

 

 

「ラッ……シャイ……」

「イシツブテ!」

 

 

 そのまま倒れ込み、戦闘不能になった。

 

 

「イシツブテ、戦闘不能。ヒトカゲの勝ち!」

 

 

 審判の人がイシツブテの様子を見た後に俺達の方に旗を振りながら大きな声を上げた。

 

 

 俺はそれを聞くと、フレイに声をかけた。

 

 

「フレイ、お疲れ様。まだ行けそうか?」

「カゲ!」

「まだ行けるって顔だな。分かった、引き続き頼むぞ!」

「カゲ!」

 

 俺達が頷き合っている間にタケシさんはボールを取りだし、イシツブテをボールへと戻した。

 

 

「お疲れ様、イシツブテ。ゆっくり休んでくれ」

 

 

 イシツブテが入ったボールに向かって言った後に俺達の方へ向くと優しく微笑んだ。

 

 

「まさかこんな風にイシツブテを突破されるとはね。でもコイツはそう簡単には行かないよ。行ってきてくれ、イワーク!」

 

 

 タケシさんがボールから出したのはとても大きな岩で出来た蛇のポケモンだった。

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