ポケットモンスター~転生者達の冒険~   作:九戸政景

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第二話 ポケモン達との出会い

「……お、来た来た。おーい、ユウトー! こっちこっちー!」

 

 

 研究所の近くまで来た時、帽子を被った見覚えのある人影が、大きく手を振りながら元気な声で呼び掛けてきた。朝からそんな元気な声を上げているのは、幼馴染みの一人であるレッドだ。

 

 ゲームでの無口なキャラとは違い、普段からとても明るく元気な上、とても面倒見が良い。尚、普段は勉強などは嫌いだが、ポケモンの事となると物覚えも良くなる上、少し熱血な性格に変わる。

 

 ……レッドの服装は、いつも通りポケスペのレッドの服装と同じやつか。

 

 そんな事を考えながらレッドの目の前で止まった後、俺は周囲を見回しながら声を掛けた。

 

 

「……あれ?まだレッドだけしかいないのか?」

「いや、グリーンとアオイはもう中にいるぜ?」

「そっか。じゃあ、今日は本当に俺が最後だったわけか」

「まあ、そうなるな。ところで……」

 

 

 レッドは不思議そうな表情を浮かべると、ルカの事を指差しながら言葉を続けた。

 

 

「その肩のピカチュウはもしかして……?」

「お察しの通り、ルカだよ。さっき走ってくる途中で偶然会ったから、そのまま連れてきたんだよ」

『レッド、久し振りだね!』

「あ、ああ……! 久し振りだな、ルカ!」

『うん!』

 

 

 レッドの嬉しそうな様子にルカも同じように嬉しそうな様子で答えた。因みにレッドがルカの言葉に返事出来たのは、俺がアニポケのニャース宜しく瞬時に通訳しているからだ。

 

 まあ、正直大変だけど、これも通訳役の務めだしな。

 

 俺達が話していると、研究所の扉が音を立てて開いた。

 

 

「……研究所の前で話し声がすると思ったら、やっぱりユウトだったか。レッドより遅いなんて……明日は雨かもしれないな」

「グリーン、流石にそれは言い過ぎじゃないかな?」

 

 

 幼馴染みのグリーンとアオイが話をしながらゆっくりと出てきた。グリーンはいつもこんな調子で話すものの、レッド同様に根は良い奴なため、誰かが落ち込んでいたら直ぐに声を掛けにいく。

 

 そしてそのせいから俺達よりは同年代の女子からの人気は高い。尚、こちらも姿はポケスペのグリーンそのものであり、ゲームでの名台詞であるバイビーもよく使っている。

 

 最後のアオイは、俺達のグループの紅一点だ。ただ初代にもリメイク版などにもアオイなんていた覚えは無いし、スカーレットバイオレットの女主人公とも別のようなので、俺──転生者(イレギュラー)が介入したことで、少しオリジナルの世界とは違う世界になっているのかもしれない。

 

 因みに姿はFRLGの女主人公と同じ……と思いきや、首から綺麗な青い石がはまったペンダントを掛けている。普段から明るいハキハキとした性格をしており、こちらもレッドと同様に面倒見も良いため、俺達が何か言い争った時にはよく仲裁をしてくれる。

 

 ……そういえば声が聞こえたって言ってたけど、俺達はそんなに大きな声で話してはいないのに、研究所の中にまで声が聞こえるものなのか……?

 

 グリーン達の聴力に少々疑問を覚えていると、再び研究所のドアが音を立てながらゆっくりと開き、中から白衣を着た男性──オーキド博士が出てきた。

 

 

「おぉ、ユウトも来たか」

「はい、おはようございます、オーキド博士」

「うんうん、おはよう」

 

 

 オーキド博士はニコニコとしながら返事をした後、俺の肩に乗っているルカに気付くと少し驚いた様子を見せる。

 

 

「ん? もしやそのピカチュウは……?」

「博士のお察しの通り、ルカです」

「おお! やっぱりそうじゃったか! 久しぶりじゃのぉ、ルカ」

『お久しぶりです、オーキド博士。博士もお元気そうで良かったです』

「うんうん、ルカも元気そうで何よりじゃ。トキワの森にフィールドワークをしに行って、様子を見に行ければ良かったんじゃが、少し研究が忙しかったもので、そちらまでは手が回らなくてな……」

 

 

 オーキド博士が申し訳なさそうな表情を浮かべながらルカに話す中、俺は最近の研究所の様子を想起していた。

 

 まあ、確かに最近まで研究所は忙しそうだったから、それに関してはしょうがないと思う。オーキド博士にだって色々と事情があるわけだし。

 

 オーキド博士の様子を見ながらそんな事を考えていると、グリーンはオーキド博士を見ながら楽しそうにニッと笑う。

 

 

「さってと、ルカが元気なのもわかったことだし。早速始めようぜじいさん!」

「……グリーン、少しは落ち着いたらどうじゃ? ポケモン達は逃げたりせんぞ?」

「分かってるけど、待ちきれないんだよ!」

「やれやれ……」

 

 

 グリーンのその様子にオーキド博士が呆れたように小さく息をついていると、アオイが静かに苦笑いを浮かべた。

 

 

「……もう、グリーンったら。まあでも、今回はグリーンの言う通りかも。ルカの姿を見ちゃったら尚更、ね♪」

 

 

 アオイがウインクをしながら同じように楽しそうに言うものの、俺とルカにとっては何の事だかまったく分からなかったため、俺達は揃って不思議そうに顔を見合わせていた。すると、それを見かねたレッドが笑いながら俺達に説明をしてくれた。

 

 

「ほら、前に俺達が初心者用ポケモンとポケモン図鑑について話してた時があっただろ? それを博士が聞いてたらしくてな、俺達に初心者用ポケモンとポケモン図鑑、それにトレーナーカードまで用意してくれたみたいなんだ。

 それで、それが今日届く予定だったから、急遽集まることになったってわけなんだ」

「なるほど……それで昨日の夜にいきなり電話が掛かってきたわけだ」

 

 

 俺は昨夜のグリーンからの電話を思い出し、納得しながらレッドに返事をした。グリーンはよく直前になってから集まる連絡をしてくる事が多いため、今回もいつも通りの事として流していた。しかし、言われてみればあの時はいつもよりテンションが高かったような気もする。

 

 

「なぁなぁ、じいさん。早くポケモン達を見せてくれよ」

 

 

 グリーンがワクワクを隠しきれない様子でオーキド博士に話し掛けると、オーキド博士はふぅと息をついてからそれに答える。

 

 

「そう慌てるな、グリーン。トレーナーになるものとして落ち着きが無いのは感心せんぞ」

「へーい……」

「うむ、よろしい。では皆、研究所へ入ってきてくれ」

 

 

 俺達は揃ってコクンと頷いた後、オーキド博士の後に続いて研究所の中へと入っていった。

 

 

 

 

 久しぶりに入ったオーキド研究所の中はやっぱり広く、アニメで描かれていた通りの光景が広がっていた。

 

 

「やっぱり研究所の中は広いな……もちろん、そのくらい無いと研究なんて出来ないのかも知れないけど」

「確かにな。前に入ったのもたしか……2ヶ月くらい前だっけ?」

「そうそう、そのくらいだったと思うよ。その辺りから博士達が忙しそうだったから」

「だからあんまりじいさんが家に帰って来なかったりもしたけどな」

 

 

 グリーンがオーキド博士をチラッと見ながら言うと、博士は少し申し訳なさそうな様子を見せた。

 

 

「うむ……それについてはすまないと思っとるよ、グリーン。じゃが、今日で研究も一段落したし、少しは生活も落ち着くと思う」

「ふーん……そっか」

「うむ。さて──」

 

 

 オーキド博士は近くに置かれていたテーブルの方へ視線を向けると、少し誇らしそうな表情を浮かべながら言葉を続ける。

 

 

「皆、これが初心者用ポケモン達が入っているモンスターボールとポケモン図鑑、それと皆の分のトレーナーカードじゃ」

 

 

 オーキド博士の視線の先には四人分のポケモン図鑑とトレーナーカードがあり、そしてボールはまだ誰も選んでいないため、もう一つの机の上に綺麗に並べられていた。

 

 

「おー! これがそうなのか!……って、じいさん。ボールが三つしか無いぜ?」

「あー、それなんじゃがな」

 

 

 オーキド博士は少し言いにくそうにしながら、その理由を話し始めた。

 

 

「四人分の初心者用ポケモンを用意したつもりだったんじゃが、何の手違いか三人分しか手に入らなかったんじゃ。もちろん、直ぐにどうにかしようとしたんじゃが、どうしても手に入らなくてのぉ……」

 

 

 オーキド博士が申し訳なさそうな表情を浮かべる中、俺は「なるほど……」と納得顔で頷いた。

 

 ……まあでも、それなら問題は無いな。

 

 

「博士、それなら大丈夫ですよ。俺とルカは旅に出る時は一緒に行こうって約束していたので、俺の分は大丈夫です」

「おぉ、そうか。それならばレッド達が相談して、どのポケモンを連れていくか決めてくれ」

「「はい!」」

「ほーい」

 

 

 揃って返事をすると、レッド達はさっそくモンスターボールの乗っている机に近づき、顔を付き合わせながら相談を始めた。そして俺はその邪魔にならないように壁側の椅子に座り、肩に乗せていたルカを今度は膝へと乗せた。

 

「さてと、俺達はレッド達が決めるまで待ってるか」

『そうだね。それにしても……レッド達はどのポケモンを選ぶのかな?』

「さてな」

 

 

 ルカとそんな会話を交わしながらレッド達の方を見てみると、まだ少しだけ時間が掛かりそうな様子だったため、俺はルカに聞きそびれていた事を訊いてみる事にした。

 

 

「そういえば……どうやってここまで来たんだ?」

『どうやってって……普通に森から出てきて、『トキワシティ』を通って、1番道路もそのまま通ってだよ』

「それでよく、他のトレーナーに捕まらずに来れたな」

『ふふん、あれから僕も成長したからね。途中で勝負を申し込まれたけど、全員倒してきたよ!』

「全員、か……」

 

 

 確かにこの辺のトレーナー達ならあまり強くないだろうし、ルカの強さなら倒せるかもしれないな。“あの技”だってあるわけだし。

 

 ルカと『トキワのもり』で遊んでいた頃に特訓をした技の事を考えながら再びレッド達の方を見てみると、まだどのポケモンにするか迷っている様子で話し合っていた。

 

 ……あっちはまだかかりそうだし、ちょうど良いからルカの情報でも見てみるか。

 

 

「ルカ、せっかくだからちょっと情報を見せてもらうぞ?」

『……ああ、“いつもの”だね?』

「ああ」

 

 

 ルカからの問い掛けに俺は頷きながら答えた。ルカには唯一俺が転生者であることを伝えてあるので、こういう言い方でもすんなりと通じるのは、やはり結構楽だったりする。

 

 

「さてと、どんなものかな……っと」

 

 

 そして俺は、転生特典の『ポケモンのレベルやステータスを簡易的に見ることが出来る能力』を使い、ルカを見てみた。すると──。

 

 

「えーっと、ルカのレベルが……ん? レベル15? それで簡易的なステータスが……素早さが高めだな、それで防御が少し低めと──」

 

 

 あれ……思ってたよりもレベルが高いな。ステータスも平均的なピカチュウのステータスよりは少し高めの数値みたいだし……。

 

 ルカにステータスを見た結果などを話すと、ルカは耳を片方だけ倒しながら顎に手を当てた。

 

 

『うーん……『トキワのもり』でも特訓してたし、さっきも戦ってきたからそれでじゃないかな?』

「かもな。……さてと、アイツらの方は……」

 

 

 レッド達の方に目を向けると、それぞれモンスターボールを一つずつ手にしていており、三人ともとても嬉しそうな様子でモンスターボールを見つめていた。

 

 よし……皆決まったみたいだな。

 

 俺は椅子から立ち上がった後、ルカを再び肩に乗せてからレッド達の方へと歩いていき、嬉しそうにモンスターボールを眺めるレッドに話し掛けた。

 

 

「どうやら決まったみたいだな、レッド」

「あぁ、俺はヒトカゲにしたよ。それでグリーンが……」

「俺はフシギダネだ」

「そして、私がゼニガメだよ」

「そっか」

 

 

 偶然かどうかは分からないが、皆自分の名前と同じような色のポケモンにしたみたいだな。まあ、本人達は満足してるみたいだから良いけど。

 

 そんな事を思いながらレッド達の様子を見ていると、フシギダネが入っているモンスターボールを持ちながらグリーンが少し興奮した様子で声を上げた。

 

 

「さて! これで全員ポケモンを持っていることだし……早速やろうぜ!」

「やるって、何をする気なんだ?」

「そんなの決まってるだろ、バトルだよ! ポケモンバトル!」

『あー……なるほど』

 

 

 グリーンの言葉に俺達は納得しながら頷く。

 

 確かにトレーナーの目と目があったらバトルをするのは暗黙の了解みたいなものだし、間違ってはいないか。

 

 そう思った後、俺はフッと笑いながらレッド達に声を掛けた。

 

 

「まあ、グリーンの案に乗ってみるのもありかもな」

「だな、俺もこいつの力を見てみたいし」

「私もこの子がバトルするの見てみたいかな」

 

 

 どうやらレッドとアオイも乗り気らしく、自分のパートナーポケモンが入ったボールを握る手に力が入っており、波導にもそれがしっかりと表れていた。

 

 さて……俺にとってもこれが初バトルになるわけだし、集中して臨まないとな……!

 

 

「よっし……じゃあ、早速行こうぜ!」

 

 

 そのグリーンの言葉に揃って頷いた後、俺達は研究所のバトルフィールドへと向かった。

 

 

 

 

 バトルフィールドに着いた直後、グリーンがとてもワクワクした様子で声を掛けてきた。

 

 

「皆、準備は良いか?」

「準備は良いけど、バトル相手はどうやって決めるんだ?」

 

 

 すると、グリーンは少し迷ったような表情で頭をポリポリと掻き始めた。

 

 

「あー、そういや決めて無かったな。それじゃあ……俺とアオイ、ユウトとレッドでも良いか?」

「最初だからタイプ相性も関係無いし、俺は良いぜ」

「俺も大丈夫だぜ!」

「私も大丈夫だよ」

「よっし……! なら始めようぜ! それじゃあ、審判は──」

 

 

 すると、オーキド博士がスッと手を上げながらニッと笑った。

「ワシがやろう。お前達のバトルを間近で見てみたいしな」

 

 

 オーキド博士が引き受けてくれるなら安心だな。元ポケモントレーナーだったから、試合後のアドバイスとかも貰えそうだし。

 

 

「サンキュー、じいさん!」

「構わんよ。それでは、最初のバトルはグリーンとアオイじゃな? 二人とも正々堂々としたバトルをするんじゃぞ」

「はい!」

「もちろん!」

「それでは、始めるぞ。バトル、スタートじゃ!」

 

 

 こうしてグリーンVSアオイのポケモンバトルの火蓋が切って落とされた。

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