ポケットモンスター~転生者達の冒険~   作:九戸政景

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第8話

「ほう?」

『へえ?』

『えええー!?』

 

 

 兄貴分ポッポの言葉に驚いたのはバドだけだった。

 

 まあ、それはそうだろうな。この様子だと、恐らくそんな素振りすら見せてなかったろうし。

 

 

『実はな、ユウトから旅に出ると聞いた時に思ったのだ。俺はこのマサラタウンやトキワシティの辺りしか見たことがないと』

 

 

 兄貴分ポッポは少し遠い目をしながら語り出す。

 

『当然このカントー地方には様々な街や物が存在している。それを見ずにこのまま生きていくのはあまりにも勿体無い、そう感じたのだ』

「なるほどな……」

『確かにそうかもね』

 

 

 兄貴分ポッポの話を聞いた俺は、ある事を聞く事にした。

 

 

「お前の気持ちは分かった。でも、お前がいなくなった後の事は良いのか?」

『それに関してはバドが適任だと考えている』

「それなら問題無いな」

『そうだね』

『いやいや! 問題ありっすよ!?』

 

 

 バドはそう言うと、兄貴分ポッポの方へ向き直る。

 

 

『兄貴、俺には無理っすよ! 兄貴みたいな実力も無いし!』

 

 

 そんなバドの様子を見て、兄貴分ポッポが口を開く。

 

 

『……バド、お前は一つだけ勘違いしているぞ』

『勘違い……っすか?』

『お前は今、俺のような実力は無いと言ったな』

『言いましたけど……?』

 

 

 バドが不思議そうにする中、兄貴分ポッポは真剣な顔で話を続けた。

 

 

『お前は今まで俺と共に行動をして来た。その間に様々な事にも巻き込まれてきた』

『確かにありましたね……スピアーの群れに追いかけられたり、雨の中を必死に飛び続けたり……』

『俺と共にそんな経験をして来たお前に実力が無いなんて事は絶対に無い。俺はいつもそう思っている』

『兄貴……』

『それにお前だからこそ頼みたいんだ。お前にしかこの辺のポッポの群れを任せることが出来ない。お前のように色々なやつを惹き付けられるやつにしかな』

 

 

 バドは兄貴分ポッポの言葉を聞き、少し考えているようだった。そして兄貴分ポッポの方へ向き直ると、さっきまでとは違った様子で胸を張りながら答えた。

 

 

『分かりました。兄貴が留守の間、俺が皆を纏めてみせます!』

『バド……すまないな、俺のわがままを聞いてもらって』

『へへっ、構わないっすよ。俺の方こそ今まで兄貴に頼りきりでしたからね、今回はそれを変える良い機会にしてみせますよ!』

 

 

 そのバドの顔はこれからに対してのやる気で輝いているように見えた。兄貴分ポッポもそれを感じ取ったらしく、安心したような顔になると、俺の方へと体を向けた。

 

 

『これで俺も安心して旅立つ事が出来そうだ』

「だな。俺もちょっと安心したよ、バドがこんなにも成長してたことが分かったわけだから」

『ふっ、そうだな』

「さってと、じゃあこれからもよろしくな。えーと……」

『そういえば名乗った事が無かったな。俺の名はルーグだ』

「ルーグ、だな。分かった、それじゃあ改めて……これからもよろしくな、ルーグ」

『よろしくね、ルーグ!』

『ああ、こちらこそよろしく頼む。ユウト、ルカ』

 

 

 こうして俺の手持ちにポッポのルーグが加わった。

 

 

 もっともまだボールは無いんだけどな……まあ、それは後々で良いか。

 

 

「よし、それじゃあとりあえず博士の研究所に行くか。幼馴染み達を待たせてるし」

『承知した。ではな、バド』

『はい! ユウトの兄貴、ルカの旦那。兄貴の事、よろしくお願いします!』

「ああ、任せとけ! それじゃあな、バド!」

『頑張ってねー』

 

 

 バドとの別れを交わし、俺達はオーキド博士の研究所へと向かった。

 

 

 

 

「お、来た来た! おーい、ユウトー! ルカー! こっちだこっちー!」

 

 

 数分後、研究所の近くまで来た俺達を見つけたレッドが大声で俺達に呼び掛ける。

 

 

「アイツは本当に元気だな……」

『レッドらしいと言えば、レッドらしいけどね』

『元気すぎるのも時には困るのだがな』

 

 

 レッドの元気の良さに苦笑しながら、俺達はレッドの所まで歩いていった。

 

 

「お待たせ、グリーンとアオイは?」

「二人なら研究所の中だ。そういえばそのポッポは……? さっきのやつとは違うみたいだけど……」

「バドの兄貴分でルーグだ。俺達の旅の新しい仲間だよ」

「そっか、よろしくな、ルーグ」

『ああ、よろしく頼む』

 

 

 ルーグとレッドの挨拶を終えて、俺達は研究所の中へと入った。

 

 

 

 

 

「遅かったな、ユウト」

「グリーン、そういうことは言わないの。お疲れ様、ユウト」

 

 

 入ってすぐにグリーンとアオイが声を掛けてきた。

 

 

 どうやら無事に荷物は渡せたようだな。

 

 その事に安心感を覚えていると、オーキド博士がにこりと笑いながら話しかけてきた。

 

 

「おお、ユウト。今回は助かったぞ、ありがとうな」

「構いませんよ、オーキド博士。博士には今回の旅の手助けをしてもらったわけですから、これくらいは当然です。そういえば、荷物は何だったんですか?」

「特注品のモンスターボールじゃよ。研究に使えると思って、注文してたんじゃよ」

 

 

 オーキド博士は微笑みながら答えた後、いつも使っている机に近づく。

 

 

「後は、君達に渡したいものがあってな」

 

 

 そして、オーキド博士は机の引き出しを開けると、何かを取り出し、それを持ちながら俺達に近づいてきた。

 

 

「今回のお礼じゃ、一人に五個ずつモンスターボールをあげよう。ユウトにはルカ用も含めて六個じゃがな」

 

 

 俺達は博士からモンスターボールを受け取った。

 

 

「ありがとうございます、オーキド博士。それじゃあ早速……」

 

 

 俺はルカとルーグにモンスターボールを近づける。

 

 

「ルカ、ルーグ。モンスターボールに触れてくれないか?」

『りょーかい』

『了解した』

 

 ルカ達がモンスターボールに触れると、ルカたちの姿がボールの中へと吸い込まれる。

 

 カタッ、カタッ、カタッ……カチッ!

 

 そんな音を立ててルカ達がそれぞれのボールに登録された事に安心感を覚えた後、俺はルカ達のモンスターボールを拾い上げ、ボールのスイッチを押す。

 

 

「出てきてくれ、ルカ、ルーグ」

 

 

 ポンッという音がした後、光の中からルカ達が出てくる。

 

『これで良いんだよね、ユウト?』

「ああ、大丈夫だよ」

『これがモンスターボールの中か……意外と快適だったな』

「そういえばそうらしいな」

 

 

 俺達がそんな事を話していると、オーキド博士は俺達を見回しながら声をかけてきた。

 

 

「さて、ユウト達はこれからまたトキワシティに戻るのか?」

「そのつもりです」

「そうか、頑張るんじゃぞ。そういえばグリーン、さっきナナミが来ての。一度家に寄るように言っておったぞ?」

「姉貴が? はぁ……仕方ねえ、ちょっと寄ってくか。ユウト達はどうする?」

「俺達もついてこうかな」

「だな。どうせならまた皆でトキワシティに行きたいとこだし」

「ナナミさんにも挨拶しておきたいしね」

「わかった。それじゃ、行こうぜ」

 

 

 俺達は博士に一言挨拶をした後、オーキド研究所を出て、グリーンの家へと向かった。

 

 

 

 

「姉貴ー、いるかー?」

「あ、来た来た。ユウト君とレッド君、それにアオイちゃんも一緒だったのね?」

 

 

 ナナミさんが部屋から出てきながら訊いてくるのに対して俺は頷きながら答えた。

 

 

「はい、どうせならまた皆でトキワシティに行こうと思って、グリーンに着いてきたんです」

「それにグリーン宛の用事が何か気になったので」

「ふふっ、なるほどね。実はね、ちょっと渡しとくものがあったのよ」

 

 

 そう言うとナナミさんは、部屋の棚から何かを持ってきた。

 

 

「はい、タウンマップ。ポケギアにもマップ機能はあるけど、いざという時にはこっちに頼ることにもなると思ったから」

 

 

 確かにポケギアが使えない時が無いとも限らないから、持っておいて損はないかもな。

 

 

「ユウト君達の分もあるから、一枚ずつ持っていって良いわよ」

「「「ありがとうございます」」」

「サンキュ、姉貴」

「どういたしまして。それじゃ皆、旅を楽しんで来なさい」

「「「はい!」」」

「ほーい」

 

 

 ナナミさんからタウンマップを受け取り、俺達は再びトキワシティへと向かった。

 

 

 

 

「トキワシティに到着っと」

 

 

 マサラタウンを出て数十分後、俺達は再びトキワシティに到着した。

 

 

「もう日も暮れてきてるな」

「今日は色々あったしな」

「今日はもうポケモンセンターに行くことにした方が良さそうだな」

「そうだね」

 

 

 俺達は満場一致で、ポケモンセンターに行く事にした。

 

 

 今日は本当に色々な事があったから、疲れたな……ゆっくり寝て、明日に備えるか。

 

 心地よい疲れを感じながらそんな事を考えつつ俺はレッド達と一緒にポケモンセンターに向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 翌日、朝食を済ませた俺達は、ポケモンセンターの入り口に集まっていた。

 

 

「さて、皆はこれからどうするんだ?」

「俺はこの辺のポケモンを捕まえつつ、トレーナーとバトルでもするかな」

「私もそんな感じかな」

「了解。レッドは?」

「俺も一応そのつもり……かな?」

「分かった、それじゃあここで一旦お別れだな」

 

 

 俺はそう言うと、片手を前に出す。その後、レッド、グリーン、アオイの順に手を重ねていく。

 

「皆、気をつけて旅しろよ?」

「言われずとも」

「次会う時は全員がライバルだからな」

「うん、楽しみにしてるよ」

 

 

 アオイの言葉を最後に、俺達は手を戻した。

 

 

「よし、それじゃあ俺は出発するぜ、バイビー」

「私も行くね。ユウト、レッド、グリーン、元気でね!」

 

 そう言うと、グリーンとアオイはそれぞれの道へと進んでいった。

 

 

「さてと。ルカ、俺達も……」

「ユウト、ちょっと良いか?」

 

 

 出発しようとした時、レッドが声を掛けてきた。

 

「どうした?」

 

 

 俺が首を傾げながら聞くと、レッドは一度深呼吸をしてから俺の目を真っ直ぐに見ながら静かに口を開いた。

 

 

「俺と一緒に旅をしてくれないか?」

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