アーカイブには映らない   作:ミステイク

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【お詫びと訂正】
本文の地の文に大きな誤りがありました。

・自分が動いて問題を根本から断つ事も考えたが、あまりにも手が足りない。それにストーリーを大きく破綻させる行為は自分の首を絞めることにも繋がりかねない。次に起きる状況が何も読めなくなるという事なのだから。

から以下の文を訂正させて頂きます。
申し訳ありませんでした。


対策委員会編
第一話・青空


 それから二年くらい、というか二年が経過した後、ブルーアーカイブは始まった。

 しかし自分は常に先生、というかこのキヴォトス、学園都市を運営する連邦生徒会の全てを監視している訳ではない。

 なので、始まった理由を察せたのはプロローグの内容を憶えていたからにすぎない。

 

 連邦生徒会長の失踪が始まって数週間が経過し、キヴォトス中では様々な事件異変バカ騒ぎが発生。

 そして停止していたサンクトゥムタワーが再起動した。

 

『あ、あの……マ、マヨイ様……マヨイ様が言っていた場所に、大人の人が入って行きました……』

 

「そうか、ありがとう」

 

『い、いえ! 私なんかお礼を言われるほどでも、あいえ決してマヨイ様を否定してるわけじゃ!』

 

「帰還してくれ」

 

 シャーレの部室を監視させていた人員からの通信を切り、吐息を吐く。

 今頃サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が手に入れている事だろう、正確にはアロナがそうしたのだが。

 

 ブルーアーカイブが始まったことを理解するには十分だ。これからキヴォトスでは様々な事件が起き、それを先生が解決していく。

 

 生徒達の絆と青春、大人の悪辣な策謀によって振り回されながら、時には自業自得で不幸に遭いながらも先生が何とかしていくことだろう。

 

 ━━━━だが、本当にストーリー通りに事が運ぶだろうか?

 

 先生が死ぬ可能性は残されている。プレナパテス、砂狼シロコのテラー化によりキヴォトスが消滅、延いては自分も死ぬ可能性も秘めている。

 シッテムの箱の中身がアロナかプラナでも大分変わる。それだけでも知りたいが、先生以外にアロナの声は聴こえないだろう。

 

 だからこそ、自分が先生の行動を裏から支え、助けることを考えた。

 

 最初に向かう場所、それは間違いなくアビドス━━━━。

 

「というわけで、次も頼みますね?」

 

「ふふふ、任せてください。金さえ貰えればなんでもするのが私達の流儀ですから……」

 

「あっははー! まーた調子に乗ってるー!」

 

「はぁ……」

 

 自分が動いて問題を根本から断つ事も考えたが、あまりにも手が足りない。

 仲間や募った人員を使ってある程度、先生の労力を減らす努力はした。そのせいでストーリーを大きく破綻させ、結果自分の首を絞める事にも繋がるかもしれないが、何が起きるのか読めないのは現実と同じ。

 

 それに脚本全てが丸ごと違う物になった訳ではない。

 

 予定通り先生を主軸に動かし、それを裏からサポートする。

 先生が死にかねない状況に陥る火種があるなら、自分がその火種を消す。

 

 少なくとも対策委員会編は安全に終わらせなければならない、最終編を考えるなら尚更。

 

「じゃあ、皆さん頑張ってください」

 

 面倒くさい事この上ない。

 しかし、色彩に殺される訳にはいかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数週間前、便利屋68へと依頼が来た。

 それは多額の依頼料を条件に出されており、当然それは金欠気味であり食費すらままならない社長のアルにとっては是が非でも受けたいものだった。

 

「凄い額だけど……本当に受けるの? かなりヤバい案件な気がするけど」

 

「数週間の護衛と、戦闘か……食費や光熱費、銃弾費も肩代わりしてくれるみたいだけど……随分と羽振りいいじゃんマヨイちゃん」

 

 依頼書の条件に書かれている内容を見てカヨコは目を丸くし、逆に怪しさすら感じていた。

 しかし相手は便利屋68の常連客であり、アルは当然カヨコも金額が支払われる事への方面では疑っていない。

 

 しかし目が飛び出るほどの大金に社員達は驚きがあったのは確かだ。

 

 その客に馴れ馴れしくムツキが肩をぶつけて言う。

 

「アル社長への信用だと思ってもらえればいいよムツキちゃん。まあお断りしても構いませんが」

 

「……」

 

「アルちゃーん?」

 

 先程まで黙りこくり、固まっていたアルが震える。

 

「ふ、ふふふふ! わかりました。この便利屋68が請けましょう!」

 

 相も変わらず、というか何時ものアウトローフェイスを作ったアルは声を低くして言う。

 長い付き合いのムツキはアルへの信用とかの辺りで乗せられたのだろうと推理したが、面白いので黙っている事にした。

 

 カヨコもそんな二人を見て静かに溜息を吐いた。

 拒否する理由もない、したとしても三対一で結局請ける事になる。

 

 アルはマヨイの言葉であっさりと堕ち、快楽主義のムツキは面白い事には目が無いし、アルの言う事を聞くので同じ。

 最後に気弱な同僚ながら、一番のトラブルメイカーも。

 

「ありがとうございます、殺し屋68」

 

「便利屋ですが!? あとムツキとハルカ、お客さんにくっ付き過ぎよ! 私だってそこまで……ゴニョゴニョ」

 

「す、すみませんアル様! で、でもぉ……え、えへへぇ!」

 

「ハルカちゃん、なんだか犬みたいだね」

 

 蕩けた顔をしてマヨイの膝の上に頭を乗せ、犬のように撫でられているハルカ。

 過去に何があったのか具体的な経緯はカヨコは知らないが、アルとマヨイに助けられたハルカは二人にかなり心酔している。

 

 特にマヨイへの懐き具合は度を超えており、犬耳と尻尾があれば千切れそうなほど振り回していただろう。というか偶にそれを幻視することがある。

 

「じゃあよろしくお願いしますね、殺し屋68さん」

 

「わざと間違えてるでしょ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、便利屋シックスナインの報告ではシャーレの先生は無事。

 施設に囚われていた小鳥遊ホシノをアビドス学園の生徒達と共に救い出し離れたという。

 カイザーPMCの、より正確に言うならば元カイザーPMC理事は本社から全ての罪を擦り付けられ誘拐容疑で解雇、表舞台から去った。

 

 まあ次のイベントでアロハシャツ姿で現れるが、この辺りまで気にせずとも良いだろう。

 セリカ誘拐未遂の件もついでに通報してやろうかと思ったが、追い詰めすぎてもルートに支障が出ると怖いので止めておく。

 

『便利屋さん達のお陰で助かりました、ありがとうございます!』

 

『本当に行っちゃうんですか?』

 

『ううぅ、大丈夫またラーメンでも食べましょう!』

 

『アルちゃんお別れが寂しくて泣いてる!』

 

『セリカちゃんも泣いてます!』

 

『『泣いてないわよ!』』

 

 便利屋68に持たせた通信機越しから聴こえる音声のみの会話だけだが、アビドス生徒達と思った以上に仲良くなってしまったらしい。

 自分の介入のお陰で便利屋68がアビドスに来た目的も全く違い、彼女達と不和を起こす原因が起きず、なんなら数日間アビドスの問題につき合わせた。

 

『ん、またリーダーのファウストと一緒に覆面水着団やろう』

 

『いいね!』

 

『か、考えておく……』

 

 あの伝説の【銀行を襲う】のシーンまで彼女達に付き合っていた。

 当然覆面は着けていたようだが、その際強盗した金はどうしたのだろうか、柴関ラーメンの爆破イベントもなかったので店主の手には渡ることはないだろうが。

 

『あ、それよりも雇い主さんってどんな人かな~』

 

 音声だけだが小鳥遊ホシノが自分について便利屋に聞いている。

 しかし自分がストーリーに大きな破綻があっては行けないため、秘密にするように命令し

 

『それなら会話だけ聴いてるわよ? 状況が分かるように音声だけでもって……』

 

『アル! それ言っちゃダメ!』

 

『あ!?』

 

「……違約金を払ってもらうか」

 

 額の奥に痛みを感じて頭を抱えた。

 絆され過ぎて隠すように言った事まで知られてしまった。

 

『そうなの?』

 

『あ、いやこれは!』

 

『ありました~、多分これが通信機です!』

 

『ちょ! ノノミ!?』

 

 恐らく隠し持っていた通信機をノノミに見つかったのだろう、便利屋社員の焦る声を無視して次々とアビドスの生徒達が話しかけてくる。

 

『あの、便利屋さん達を連れて来てくれてありがとうございました!』

 

『ねえ顔見せなさいよ! 誘拐の件のお礼ってわけじゃないけどラーメン一杯くらいは奢ってあげるから』

 

『ん、会って話したい』

 

『ちょ、シロコ先輩! まだ私が話してる途中━━━━ッブチ』

 

 通信機の電源を切り、会話を閉じる。

 アビドスの生徒からお礼を言われる必要はないからだ、彼女達を気にしてではなく結局は自分が助かりたいからというのが目的にあるのだ。

 

 彼女達に会いに行く理由も、ラーメンを奢られる理由もない。

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