アーカイブには映らない   作:ミステイク

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【お詫びと訂正】
本文の地の文に幾つか誤りがありました。

 プロトコル・アトラハシースはケイとアリスが協力すれば何時でも発動できる状態ではあるが。アリスは勇者になるつもりなので使う気はないだろう。
 その存在はセミナーの生徒会長調月リオ、ヴェリタスの部長明星ヒマリ、ミレニアム幹部や重鎮には情報をロドスCEOとして知ってもらっている。

から以下の文を訂正させて頂きます。
申し訳ありませんでした。


第五話・平和に踊れ

 ミレニアム、ゲーム開発部。

 部長のユズは重苦しい空気の中で口を開いた。

 

「ええっと……皆さん、ゲーム開発部は予算がゼロです、ゲーム作れなくなりました」

 

「「「……はい!?」」」

 

 各々が驚愕に目を向く中、ただ一人、というより一機は何となく理解していたのか。そこまで驚いてはいない。

 

「遂にこの日が来ましたか」

 

 しかし予算ゼロとまでは思わなかったが。

 

「急に何言い出すのユズちゃん!?」

 

「なんで予算がもうないの!? まさかあの冷酷算術妖怪が……」

 

「ううん……この前モモイが、一々買いに行くより一気に買った方が面倒が無くて良いって買い込んで来たお菓子代が思った以上に高くて……」

 

「姉ええええ!! なんで何時もそう計画的じゃないの!!」

 

「うぇー!? 私のせい!? そこまで高いの買ってないよ!?」

 

 ミドリに胸ぐらを掴まれ詰め寄られて涙目になるモモイ。

 一体どれほどの予算を消費したのか、ケイは経費担当をそろそろ作るべきであると内心思う。

 

「それとこの前ミドリがクレーンゲームの景品を取るためにこれくらい使って……」

 

「ピューピュピュピュ〜」

 

「芋おおおお!」

 

「せめて妹って呼んで!」

 

 口笛を吹いて誤魔化していたミドリは、今度は逆にモモイに詰め寄られる。

 流石姉妹、と思うと同時にこの部はそんな事まで経費で落ちるのか。もはや横領と変わらないだろ。

 

「というかミドリは完全に個人じゃん! 私より酷いよね!?」

 

「あれは部室を飾り付けようとしたんだよ!」

 

「じゃあ普通に買いなよ!?」

 

「大変です! パーティ同士で仲間割れが発生しました!」

 

 ギャーギャーと喧しく、桃緑姉妹が喧嘩し始めるがお互い様である。

 

「ユズ、予算ゼロの原因はそれだけですか」

 

「えっと他は……この前買い替えた最新型のPCとエアコンの修理費、それとアクションシーンの構想のために使った弾薬費とか諸々込めたら……」

 

「なるほど……至って当然の結末でしたか」

 

 資金が山ほどあっても使えば無くなる。

 至極当然であり、アホ二人のせいで今後の予算のやり繰りに苦労させられること間違いなしだ。

 

 後でゲーム開発部に新たな経理係を提案するとして、これではゲーム開発が進まない。

 彼女達の思考回路は虫の様に単純であるが、ゲーム開発の能力は決して低くはない。モモイの発想力、ミドリの作画力、ユズのプログラミング技術を合わせれば並大抵の事はできる。

 

 それでも予算が無ければ先に進まない訳だが。

 

「ユウカに相談するのは? 来月の分の部費を前借りしてゲームを……」

 

「「それはダメ!!」」

 

「……理解不能です、このままではまた前の様に廃部通告を宣言されますよ」

 

 モモイとミドリは声を合わせて提案を拒否され、ケイは眉を顰めるが一応理由は聞いておく。

 

「言っても通告されるしなにより!」

 

「何より?」

 

「お菓子の買い過ぎで予算が無くなったなんて絶対に叱られる! 魔王ユウカがまた再臨する!」

 

「……アリス、ユズ、セミナーへ行きましょう。このバカ二人の腎臓を売れば少しは足しになります」

 

 若しくはエンジニア部に人体実験の被験者として売るのが良いか。

 

「ダメですケイ! 仲間を売るなんて勇者ではありません!」

 

「アリス、仲間に断りなく予算を使い切る愚か者まで勇者が守るべきですか? 部の予算に即死呪文を掛け続けるグリブトとプライは大人しく馬車へ入れてアリーノの奴隷にしておくべきです。母も前に同じ事を言っていました」

 

「二人のお母さん怖すぎるんだけど!? というかグリブトとプライって私達!?」

 

「アリーノって誰!? アリスちゃん!?」

 

「……その理屈だと私、ドルネゴにならない?」

 

 ゲーム開発に限らず何かをするには金が必要不可欠だ。

 

「ふ、ふふ! 安心してよケイ。私にはまだ秘策が残ってる!」

 

「もう既に嫌な予感しかしませんが、なんです?」

 

「銀行を襲う!」

 

 ケイはモモイの顔面を殴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『という訳でして、これからゲーム開発部の予算確保の為にバイトを始めたいのです』

 

 という以上の出来事をケイに電話で教えられた。

 

「何がという訳か分からないが、モモイとやらは止めたんだろうな」

 

『はい、闇落ちしかけていたと判断したので光の魔法をかけました。今は静かに眠っています』

 

 それどういう意味なんだ、眠ったって永遠に眠ったんじゃないのか? モモイに「光よ」したって事なのか? 無事なんだろうなお姉ちゃん。

 怪我するのまだ先の話だぞ、なんでもう発生してる。

 

 しかし第二章の展開はやはりかなり変わっているらしい、というより花のパヴァーヌ自体が発生していない。

 テイルズ・サガ・クロニクル2が早期に発売され、ミレニアムプライス特別賞を先生無しで受賞した影響が出ている。

 

 アリスとケイの暴走イベントはないが、ゲーム開発部が先生と対面しないという少し不味い状況となった。

 

「で、何のバイトを始めるんだ?」

 

『短期間、少なくともミレニアムプライスまでに予算を手に入れられるものにしたいのですが、会議も停滞しており。母の意見も貰えないかと』

 

 ゲーム開発に必要な予算が幾らかも知らないのに、そんな相談の答えが出るはずない。

 そもそもゲームを開発するのにそれほどの予算を使うのかも知らなかったほどだ。遊びはしても、作るのとは別なので分からない。

 

「相談ごとであれば、シャーレの先生に掛け合ってみてはどうだ? 生徒達の相談に乗るのがその方の仕事なんだろう」

 

『既にユズが要請し会議に参加してもらっています』

 

「ほう……それは」

 

 心配は杞憂だったようで、先生は既に来ているらしい。

 目的は違うが結果としてゲーム開発部と先生が対面した事実は良い情報だ。

 

「ケイ、タイミングは任せる。アリスとお前について先生と話をするといい」

 

『何故です?』

 

「調月リオや明星ヒマリと同様信用できる。お前もそう思ったら伝えるといい、アリスにもそう言え」

 

 プロトコル・アトラハシースはケイとアリスが協力すれば何時でも発動できる状態ではあるが。アリスは勇者になるつもりなので使う気はないだろう。

 その存在はセミナーの生徒会長調月リオ、ヴェリタスの部長明星ヒマリ、その他伝えておいた方が良い相手には情報をロドスCEOとして知ってもらっている。

 

 この世界のリオは本編と違い、アリスとケイを殺す気などない。リオさえ抑えれば他学園と違い温和なミレニアムはアリスとケイの居場所となり続ける。

 

 念の為に先生にも情報を共有してもらいたい。

 

 アトラハシースは二人を守るための最終兵器であり、光の剣の威力は最終編で絶対に必要になる。

 その際、アリスとケイはとある事情から喪失の危機に遭う。

 

 もしもの保険は用意したが……。

 

「………………………………」

 

『母? どうかされましたか?』

 

「お前たちのことは……伝えなくとも構わないかもな」

 

『え?』

 

 先生と仲良くなったら、先生やキヴォトスの為に二人は命を懸けてウトナピシュティムの本船に搭乗する。

 それ以外の方法を、見つけて世界を救う。

 

 そんなもの、未だに見つかっていないというのに。

 

「……バイトの件は先生に頼め、そんな短期間で金を稼ぐ方法なら私も知りたいというのが私の意見だ」

 

『もっともな意見です』

 

 ━━━━生徒達を信じる。

 

 きっと先生ならこう言うのかもしれない。所詮自分はプレイヤー、外から眺めていたにすぎない。

 正直嫉妬の念すら覚える。こんな高潔な精神性を、先生のような大人な意見を、いくつになっても捻り出せない。

 

 情けない限りだが、自分では借り物の言葉しかケイには言えない。

 

「まあ、だがそうだな……勇者に不可能はない、如何にかなるだろ」

 

『急に不確かな意見になりました。全く、アリスの影響ですね?』

 

 電話越しのケイは不満そうな顔をしているのだろう。

 

「じゃあもう切るぞ、バイト頑張ってな」

 

『はい、母も体調に気を付け「ケイちゃん大変! お姉ちゃんが今度は温泉を掘りに行くとか言い出してる!!」……では失礼します母、アリス! 今度はあなたの光の剣も一緒に━━』

 

 不安になってきたな。




なんだか全然先生が死にに行こうとしないので、あらすじに書いている文を改変しました。
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