「その呼び方やめろよ、迅」
俺は思わず顔をしかめる。迅は、1個上の先輩で、ボーダーという怪しげな組織に所属していて、何度断わっても懲りずにボーダーへ勧誘してくる。彼はいつもヘラヘラとした笑みを浮かべているから、何を考えているのか分からない。
「んで、俺を探してたのか?」
「ああ、そうだよ」
迅は俺の隣に並ぶと、いきなり肩を組んできた。
「うわ、何だよ急に」
「まあまあ、それより、今から暇か?」
「あー、一応…」
俺が答えると、迅はニヤリと笑った。
「よし、じゃあ今からラーメン食いに行こう!」
迅は俺の返事を待たずに歩き出した。相変わらず勝手な奴だ。俺はため息をつきながら後を追った。
迅に連れられて、近所のラーメン屋にやって来た。店内に入ると、テーブル席に案内される。
「さてと、何にしようかな〜」
メニューを見ながら悩む迅を横目に見ながら、俺は水を飲む。
「よし、決めた!」
迅は勢い良く手を挙げると、店員を呼んだ。注文を終えると、再び沈黙が流れる。俺は水を飲みながら、店内を見回す。
客の入りはそこそこで、若いカップルやサラリーマンなどが多く見られた。皆楽しそうに食事をしている。
やがて料理が運ばれてきて、俺達は食べ始めた。迅は夢中で麺を啜っている。俺も箸を手に取ると、野菜炒めを口に運んだ。
「そういえばさ、お前って何でボーダーには入らないの?」
突然、迅が質問を投げかけてきた。俺は少し考えてから答える。
「興味ないし、異世界がどうとか何か怪しげじゃん?」
「異世界じゃなくて
「入らない」
「ほら、先っぽだけでもさ」
「入らない」
「大丈夫だって、怖くないから」
「いや、入らない。てか、何でそんな勧誘してくるわけ?」
「うーん、ワカがボーダーに入ってくれると大勢の人が救われるから?」
「何で疑問形?」
「まあ、そこは気にしないでよ。俺の
俺は改めて、迅の
「でもさ、やっぱり勿体ないよ。だってお前って頭良いし、運動神経も良いし、強力な副作用あるし、おまけに男前じゃん」
「最後のは余計だ」
俺が反論すると、迅はニヤニヤと笑う。こいつとは中学入学後からの付き合いだが、未だに何を考えているのか分からない。普通、年下に呼び捨てされてタメ口きかれたらムカつくよな?
「まあ、そういう訳だから、考えてみてくれ」
迅はそれだけ言うと、再びラーメンを啜り始めた。俺も箸を動かし始めるが、頭の中ではさっきの迅の言葉がグルグルと回っていた。
翌日、俺は放課後に職員室に来ていた。担任の先生から呼び出されていたのだ。
「若槻、お前は進路希望調査票を白紙で提出したな」
先生は険しい表情で言う。俺は素直に頷いた。
「その通ーりです」
すると、先生は更に険しい表情になった。
「何で白紙なんだ? 行きたい高校とか、何かやりたいことはないのか?」
「いやぁ、特にありません」
俺は即答する。すると、先生は呆れたようにため息をついた。
「お前なあ…まだ2年とはいえ、そんな考えで将来どうする気だ?」
「別に、何でも良いですよ」
俺が言うと、先生は呆れ果てたような顔をした。そして、深いため息をつくと、諭すように語り始めた。
「いいか、若いうちは色々なことに挑戦して、様々な経験を積むことが大切なんだ。確かに、将来やりたいことが見つかるまでは、無難に過ごすのも良いだろう。だが、それだと後で後悔することになるかもしれないぞ」
「はあ…」
俺は気のない返事をする。正直言って、先生の話はどうでもよかった。ただ、早くこの会話を終わらせたかった。
「お前は成績優秀なんだから、とりあえずは進学を視野に入れて考えなさい。わかったな?」
「はーい、センセ」
俺は適当に返事をすると、職員室を後にした。帰り道、俺は迅に言われたことを思い出していた。
『ボーダーに入らない?』
そんなことを考えていたら、いつの間にか家に着いていた。
「ただいまー」
家には当然のように誰も居ない。俺の“ただいま”に返事なんてなく、家の中に虚しく響くだけだった。まあ、別に寂しいとは思わないけど。俺は自室に戻ると、制服のままベッドに寝転がった。そして、ぼんやりと天井を見上げる。
(ボーダーか……)
迅は俺に「ボーダーに入らないか?」と聞いてきたが、正直言ってピンと来なかった。
確かに、迅の言うようにトリオンという特殊な能力があることは、俺自身が有する
その翌日、現実感の無い話が現実味を帯びる大事件が起きた。
迅悠一(現時点では中3)
実力派セクハラエリートになる前。
学校ですれ違った時に、若槻がボーダーに入ることで結果多くの命が救われる可能性を未来視で見てから、若槻を見つけてはボーダーに勧誘している。
1年以上の付き合い。
ヒロインについて(真木理佐は確定です) ※参考にさせてもらいますが、結果が反映されるとは限りません。
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純愛こそ至高 (真木理佐)
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面食いの末路が見える… (香取葉子)
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小南が泣く (小南桐絵)
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でろでろに甘やかされる (三上歌歩)
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全て背負ってこそ……漢だ