アンケートはやっぱり純愛派と漢派(ハーレム)で割れる感じですね……どないしよ
ボーダーは怪しげな組織ではなかったらしい。病院内のテレビの速報では、 謎の黒い穴や白い化け物に警戒するよう呼びかけている。どうやらボーダーに所属する隊員たちが白い化け物達を撃退しているようだ。
こんな時でも母さんからの連絡はない。母さんは生きているだろうか? それとも……そんな事を考えて、俺は不安になる。真木ちゃんの家族や友達の安否も気になるところだ。
病院の個室で、彼女と二人きりで過ごしていると、俺の携帯が鳴った。画面を見ると、知らない番号からだ。
俺は病室を出て、人気のない所まで足早に移動すると通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『若槻亮介君? 私、君のお母さんと同じ仕事場の者なんだけど、お母さんとは合流できた?』
「え、は?どういう事ですか!?」
俺は思わず叫んでしまう。俺の声を聞いて、相手は驚いたようだった。
『もしかして、まだ会えてないの!?』
「はい……母さんは生きてるんですか!?」
俺が聞くと、相手の女性は黙り込んだ。そして、しばらく間を置いてから言う。
『落ち着いて聞いて欲しいんだけど……』
その言葉に、俺の心臓がドクンと跳ね上がる。嫌な予感がする。
『若槻さんは、君が家に1人でいるんじゃないかって確かめに向かったきり戻ってこないの』
その言葉を聞いた瞬間、俺の目の前が真っ暗になった気がした。全身から力が抜けていくような感覚に襲われる。
普段から顔を合わせないし、当然俺が今日図書館に行くことも知らない。図書館にいたから、携帯の電源はオフにしてた。
『まだ、死んだって決まったわけじゃないわ。ただ、連絡が取れなくて……』
俺はその言葉を聞いても、何も答えることが出来なかった。ただただ、呆然とするしかなかった。
「母さん……何でこんな時に俺を気にかけるんだよ…」
俺はその場にしゃがみ込んで、涙を流した。この話を聞いても何も出来ない、自分の無力さに腹が立つ。
『……若槻さんは、君の事自慢の子供だってよく言ってたわ』
は? 母さんが? 俺の事を自慢?
俺の顔も見たく無いほどに嫌っているんじゃないのか?
『ただ、自分には母親の資格なんてないとか、何も与えてあげられないとも言ってたわね』
……なんだよそれ、意味わかんねぇよ。
『ごめんなさい、私にはこれ以上の事は分からないの』
電話の向こうの女性は申し訳無さそうに言う。
「……いえ、大丈夫です。わざわざ連絡ありがとうございます」
俺は何とか声を絞り出す。これ以上、彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。
「すみません、もう切りますね」
俺はそう言って、通話終了のボタンを押した。そして、携帯をポケットにしまう。そのまま壁に寄りかかって、天井を見上げた。
(何で母さんが……)
母さんは身を危険にさらすのを厭わぬ程に、俺を思ってくれていた……そういうことなのか。
(こんな事になってから知るなんて…)
1週間後、後に第一次大規模侵攻といわれる事件はボーダーや救助隊などの尽力もあり終息した。公開された行方不明者リストの中には母さんの名前があった。
……その更に3日後、瓦礫等の撤去作業が進められる最中、俺の住む家が崩落した瓦礫の下から母さんの遺体が見つかった。
その知らせを聞いて、俺は泣いた。母さんが死んだ悲しみ、自分が生き残った罪悪感。様々な感情が入り交じって、もう訳が分からない。
俺が避難所である病院を出る頃には、すっかり事態は落ち着きを取り戻していた。ボーダーの活躍や政府の尽力により、街は多少復興し、近界民に対する警戒も少し緩んだ。
学校では、友人達は俺の無事を喜んでくれた。俺は素直に感謝を述べて、彼らと笑いあった。
だが、俺の心にはぽっかりと穴が空いてしまったように、何かが欠けていた。その穴を埋める術が……俺には分からなかった。
◇◇◇◇◇
学校終わりに河川敷の土手で、ボーッと川を眺めていると、背後から声をかけられた。
「……ワカ、元気してる?」
振り返ると、そこには迅の姿があった。
「迅、久しぶりだな」
「あぁ、久しぶり。その様子だと身体の方は大丈夫そうだね」
迅は笑顔で言うが……顔がやつれてる。自分も辛い中、どうやら俺の心配をして来てくれたようだ。
「俺は大丈夫さ。ただ……」
俺がそう言うと、迅の表情が曇る。そして、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「……ごめん、助けられなくて」
迅は申し訳なさそうに言う。俺は、迅が謝ることじゃないと言いたかったが、上手く言葉が出てこなかった。
「……いや、あれは俺の責任なんだ」
俺は、なんとか声を絞り出して答える。もっと母さんとしっかりした関係を築けていれば…。すると、迅は首を横に振った。
「違うよ、俺がもっと未来視をしっかり使えてれば、あんなことにはならなかったんだ」
迅は自分を責めるように言う。俺は、それを否定しようとしたが、上手く言葉が出てこなかった。
「俺がもっと……しっかりしてれば……」
迅はそう言って、俯いたまま黙り込んでしまった。俺もそれ以上何も言うことが出来なかった。
しばらく沈黙が続いた後、迅が口を開く。
「俺さ、人を助ける為にボーダーに入ったんだ」
迅は唐突にそんなことを言い出した。俺は黙って続きを促す。
「だから…もう二度と後悔はしたくないんだ」
迅は、真っ直ぐに俺の目を見て言う。その目は真剣そのもので、強い意志を感じた。
「ワカ……ボーダーに入って一緒に戦って欲しい。ワカが入ってくれれば、この先の未来できっと多くの命を救える」
迅は真剣な眼差しで俺を見つめる。
「俺には、戦う理由なんてねえよ……」
俺は言い淀む。迅は、更に言葉を続けた。
「ワカが戦いたくないのは分かるよ、でもさ、今はそういう状況なんだよ」
迅はそう言って悲しそうに笑う。確かに、今の三門市は危険に晒されているし、近界民から街を守る力が必要だ。だが、俺が戦う理由なんて……
「俺は、母さんが死んでから何か欠けてしまったんだ。戦うことなんて……」
俺はそこで言葉を切る。迅は何も言わずに俺を見ていた。しばらく沈黙が続いた後、迅は再び口を開く。
「……ワカの気持ちは分かるよ、俺も大侵攻で母さんが亡くなったから。でも、このまま何もしないよりは、少しでもできることをやった方が良いと思うんだ」
迅は、俺を諭すように言う。俺は俯いて考える。確かに、迅の言うことも一理あるのかもしれない……。
「ワカが嫌なら無理強いはしないよ、たださ……」
迅はそう言って言葉を区切ると、再び俺の方を向く。そして、俺の手を両手で握って言った。
「俺は、ワカと一緒に戦いたい」
迅は真剣な眼差しで俺を見る。その瞳からは強い意志を感じた。俺はしばらく考え込んだ後、覚悟を決めたように顔を上げた。
「はぁ……分かった、ボーダーに入って戦うよ。こんな俺でも、何かを守れるっていうならさ」
俺がそう言うと、迅は嬉しそうに笑った。
「ありがとう、ワカ!一緒に頑張ろうな!」
迅はそう言って俺の手を握る手に力を込めた。俺もそれに応えるように握り返す。こうして、俺はボーダーに入隊することになったのだった。
ヒロインについて(真木理佐は確定です) ※参考にさせてもらいますが、結果が反映されるとは限りません。
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面食いの末路が見える… (香取葉子)
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全て背負ってこそ……漢だ