呪いのガンダムとインフィニット・ストラトス   作:エドアルド

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完成した新たなIS

 

「織斑くんクラス代表おめでとう!」

「「「「「「「おめでとう〜!」」」」」」」

 

 織斑への祝いの言葉と共にクラッカーが鳴り響き紙吹雪と紙テープが空を舞う。

 時刻は夜。夕食後の自由時間である。

 

 彼女らが言った通り一夏がクラス代表になったのを祝うパーティである。『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた大きな紙が壁に張り付けられている。

 クラス代表になったぐらいで大袈裟だとは思うがこういうのは子供の特権という奴だろう。

 

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるねえ」

「ほんとほんと」

「ラッキーだったよねー。同じクラスになれて」

「ほんとほんと」

 

 色んな所で好き放題話しているのは良いのだが明らかにクラスの人数よりも多い。他クラスの子がチラホラと混じっているようだ。

 

「それじゃあ俺は失礼する」

「私も失礼する」

「私も用事あるからごめんね〜」

 

 俺とマドカに続き本音もそう言って食堂の入り口に足を向ける。

 

「整備室だっけ?」

「用事早くに終わったなら来てねー」

「残念だけど用事があるなら仕方ないよね……」

 

 実は今日は既に予定が入ってたがこういう催しに少しだけでも出てクラスメイトとの関係性を良好に保つぐらいはしておきたかった。これから3年間はこのクラスで過ごすなら少しでも居心地は良くしておいた方がいい。だが先約を蔑ろにするのはダメだからな。

 

 食堂から出て向かった整備室で俺たちを迎え入れたのは簪だった。

 

「待ってた」

「待たせてすまないな」

「おまたせかんちゃん」

 

 簪が今整備室で向き合っているISは彼女にあたえられるはずだった『打鉄弐式』──ではなく『ミカエリス』が鎮座していた。

 これは簡単に言えば俺を含むアウロラ国が支援したためた。

 

 本来なら日本代表候補生である彼女への支援は他国であるアウロラがする事はできない。彼女は日本の所属でありアウロラの所属では無いからだ。しかも明確に日本代表候補生という地位まで持っている。

 ならなぜ彼女を支援できたのかと言えば彼女が日本代表候補生を降りて国籍をアウロラへと移す予定の為である。

 

「この子もあと少しで……」

「ああ」

 

 もはや機体自体は完成しておりあとはシステム面を完成するだけであり、今日完成予定だ。

 

「早く終わらそう」

「早くこの子が動く姿も見たいしね〜」

 

 マドカと本音の言葉に同意しつつミカエリスの周りでそれぞれがパソコンやタブレットを手に持って作業を始める。

 

 暫くパソコンとタブレットを叩く音が響いていたが俺は簪に言葉をかけていた。

 

「なぁ、ほんとに良かったのか?」

 

 それはアウロラ国に国籍を移すこととそれに伴って現在俺が隊長を勤めているとある部隊へ入隊する件についての問だった。

 

「うん、後悔が無いかって聞かれると正直わからないけど。少なくとも私は納得して自分で決めた事だから」

「……そうか」

 

 本人が納得しているのなら良いのだがやはり国籍を移すなどの大きな出来事をするのだから心配になる。

 

「前まではね何とかお姉ちゃんに認めて欲しくて頑張ってたんだ。私の家も家だからお姉ちゃんを支えたかったんだけど『あなたは何にもしなくていいの。私が全部してあげるから。だからあなたは無能なままでいなさいな』なんて言われて」

「……それは」

 

 なんというか言わんとする事は察する事は出来るが言葉選びが下手すぎないか?

 

「…………この前のお姉ちゃんの事があってその時に、私の中でのお姉ちゃんへのイメージが変わったの。お姉ちゃんはなんでもできる凄い人っていう昔とは違う姿が実は虚勢だったんだって。織斑先生に怒られて虚さんに叱られて落ち込んでるお姉ちゃんを見てそう思ったの。そうしたらあのお姉ちゃんの言葉への反抗心も不思議と無くなっちゃって、そしたら見える世界が広がったの。今までお姉ちゃんへの反抗心と認めてもらいたい一心でその事しか見えてなかったけど一気に色んな事を見えるようになってあのお姉ちゃんの言葉も言葉選びはともかく、お姉ちゃんなりの不器用な優しさなんじゃないかって気付いたの。そこからかなぁ、将来の事を考え始めたのは…………」

 

 姉との確執があったのか。楯無も暗部の人間、それ相応の苦労と危険が常に付き纏うのだろう、そんな場所に妹を居させたくなくてあの発言をしたと言ったところか。それのせいで姉妹仲が悪くなって逆に簪の反抗心を産む結果になったのは不器用というかなんというか。

 

「最初は今まで通りお姉ちゃんを支える道に行こうかなって思ってたんだけど、なんか癪だったの。お姉ちゃんは虚勢張るし私の気持ちも知らないで私を遠ざけるし。だからこの選択はちょっとした意趣返しも含んでるの」

「まあ、後悔が無いなら良いさ」

 

 正直どんな理由でも俺は構わない。優秀な人材が手に入るのは良い事だ。

 

 

 

 

 

 

「と、これで良し」

「こっちも終わったぞ」

「私も終わったよ〜」

「うん、これで完成」

 

 それから1時間ほどしたからだろうか全員がほぼ同時にその作業を終わらせた。つまるところミカエリスの完成だ。

 

「早速試運転と行きたい所だろうがこんな時間だアリーナは使えないだろうし早く夜飯でも食べるか。まだパーティもしてるだろう」

「ああ、そうだな。2人も来るだろう?」

「もちろんだよ〜」

「1組のパーティーなんでしょ?」

「最初だけ顔を見せて来たが別クラスの人も混じっていたから今更1人増えたところでかわらないだろう」

「……なら、行く」

 

 時間的にまだパーティーをしているだろうという事で4人でパーティーに今から混ざる事とした。簪としてはまだ一夏に少々複雑な気持ちはあるだろうが前よりはマシだろう。

 

 その後参加したパーティーではまあ、可もなく不可もなく美味い料理が食べる事が出来たのでよしとしておく。簪も楽しめていたしな。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 パーティー会場となっているらしい食堂に向かう途中ラーミナさんの歩く背中を見つめる。

 整備室では言わなかったがアウロラへの移籍を決意した理由はもっと別な所にある。言わなかったのは『あなたを好きになったから』なんて言えるわけが無いから。

 

 よく見るアニメのヒロインみたいに助けられたとか救われたとかの劇的な事があった訳じゃない。ただミカエリスを作る時に協力した時にふと彼を目で追っている自分がいた。気付いた時は顔を赤くしてしまったのを覚えている。

 

 好きなところはと言われれば正直困ってしまう。顔が良いのはそうだろう、優しく気遣いもできるし、だがこれと言って好きな箇所はあげられない。

 でも恋してしまった好きになってしまったのは事実だ。

 

 視線をラーミナさんから隣のマドカさんに移す。

 彼の隣にな何時もマドカさんがいる。何時も楽しそうに話している姿を見かける。学内では既に付き合っているのでは無いかという噂がたつほど仲が良い。

 興味本位でその事に聞いた事もあるけど付き合ってないと言っていた。

 

 なら、私がラーミナさんを狙っても良いよね?

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