「ウィッチ、大丈夫か?」
「大丈夫だ」
俺はコードネームウィッチことマドカに確認をとりながら手元にある拳銃の残弾を確認していた。
「中の生体反応は左に3、右に2、だ。俺は左、マドカは右、突入と同時にフラッシュバンとガンビットで制圧する」
「了解」
ハンドサインを送ると同時にガンビットで扉を撃ち抜きフラッシュバンを投げ込む。フラッシュバンの閃光とともに突入、目を覆っている3人に向け拳銃を発砲し、ガンビットで撃ち抜く。
一瞬でカタはついた。
「生体反応無し。制圧完了。ウィッチ、ガンビットはしまっておけ」
「わかってる」
俺は通信を繋ぐ。
「こちらウィザード。制圧完了した」
『了解、こちらも突入する』
仕事はこれで終わりか。
「マドカ、部隊が来る。俺達は引くぞ」
「了解」
俺とマドカはすぐさま、部屋を出て撤退ポイントに到達する。
そこに待っていた車両に乗り込む。
「おつかれさん、ウィザード、ウィッチ」
車両に乗り込めば運転席の男から声がかかる。
「この後は?」
「お前たちは基地に戻って休暇だ。ココ最近働きずめだったからな。それに重要な作戦は今の所無いからな」
「了解した」
俺は車両の後部座席に深く座り込む。
施設からの脱出から既に数年、俺はいわゆる少年兵をしていた。施設で救出したマドカと共に。
あの後脱出したは良いが俺達は実験の為に作られた実験体だ。戸籍どころか身寄りすらない。それからはとにかく生きる為に必死になった。
施設があった森の中をシュバルゼッテを使ってそうそうに抜け出し近くの町にでた。が、そこは日本では無かった。
最初は言葉もまともにわからずにいた。だから誰かに頼る事なんて出来ずに盗みやゴミ漁りで命を繋いだ。
そんな事を数ヶ月していた時に転機は来た。俺達は孤児院に預けられた。
いわゆる慈善事業団体によって生まれたその孤児院で言葉を学びある程度マシな生活をした。
だが、それも一年で終わりを告げた。内戦だ。
俺達がいた国の政府は独裁国家と言われる国で国の独裁を辞めさせるべくレジスタンスが立ち上がり紛争が起こった。
俺達はのいた町も戦場になった。
そして俺達は生きる為に少年兵となった。俺達が所属したのはレジスタンス側。
俺とマドカは元々織斑計画とその兄弟計画によって生まれた強化人間とも言うべき存在。その力をフル活用し戦場で活躍した。
戦場で活躍すればするほど食料は上等になるし少しだが金も手に入れる事が出来た。
そして今ではレジスタンス側の最高戦力のうちに数えられるまでになった。
車両で2時間程進めば基地が見えてきた。
現在レジスタンスが所有している基地のうちの一つで最前線から三つほど離れた場所にある。
基地につけばレジスタンスの幹部に作戦完了報告をして与えられた自室に戻る。任務の為につけていた装備を外してベットに倒れ込む。
そんな俺の上にマドカが覆い被さる。
「どうした。マドカ」
「いつまでこんな事続けるんだろうな」
マドカの言葉に俺は考える。
いつまでか、おそらく紛争が終わるまでだろう。俺達の生まれは実験体、まともな生活など送れるはずもない。織斑一夏と織斑千冬に関しては誰かが手引きしたのだろうな。まったく忌々しい。
それに俺もマドカもまだ子供なのだ。日本で言えば小学生ぐらいか?年齢など知らないからな。誕生日も知らん。
本来ならこんな殺し合いなぞする年齢では無いはずなのだがな。
「さあな、でも生きる為には続けなればならない。それに最近はこちらが押している。そう遠くないだろうさ」
「……そうか」
でも懸念はある。インフィニット・ストラトスあれが世に出れば向こうが使ってくる可能性もあるのだ。
今は紛争で他国に目を向けるなんてことは無くこの国以外の事はわからないから既に世に出てる可能性もあるが、そこは出ていない事を祈ろう。
もしISが出てくるようになれば俺とマドカがISに乗る事になるだろう。
だが出来ればあまり乗せたくない。
いくらIS化した事でデータストームの負担が少なくなり、データストームに対して高い耐性を誇っていても完全に適応している訳でも無いのだ。少しでもリスクは少なくしておきたい。
それにISに乗れば篠ノ之束から目をつけられる可能性は大きい。俺という異物がいる時点でこの世界が俺の知るインフィニット・ストラトスの世界と同じとは限らないが。警戒しておくに越したことはないのだ。
あれこれ考えるだけで嫌になってくる。
こんなクソッタレな世界がもっとクソッタレな思想が蔓延る事になるという事実も今は頭の片隅に追いやり目を閉じる。
今は何も考えたくない。