「おはよう〜!!束さんだよ☆」
「てめぇ、帰れっつったはずだぞ。無理やり叩き出されてぇのか」
篠ノ之束との邂逅から一日たった朝、俺の気分は急降下した。
「嫌だなぁ。ラーくんと束さんの仲じゃないかぁ〜」
「てめぇホントに叩き出されてぇ見てぇだな」
コイツ変わってねえのか?あ゛あ゛?
「おちゃらけはここまでにして。……昨日はごめんなさい」
…………はぁ
「で?」
「私は決めた。ISをインフィニット・ストラトスを宇宙まで飛ばす。
それが私に出来るせめてもの償いだから。兵器としてのあの子達を解放するのは難しいかもしれない、ううんたぶん無理だ。それでも私はあの子達をあの無限に広がる空まで羽ばたかせて見せる」
及第点か……
昨日の言葉が無駄にならなくてすんだわけだな。
「そうか。好きにしろ」
「うん!それじゃあ束さんは失礼するよ!色々やらなきゃ行けない事ができたし」
そう言って部屋から出ていこうとする束だが俺は引き止める。
「待て」
「なに?」
今のコイツなら問題無いかもな。優秀な研究者を引き込むチャンスでもある。
「お前の願い叶えられるって言ったらどうする?」
「……出来るの?」
期待が込められたその言葉に俺は頷く。
「着いてこい」
そして俺は篠ノ之束を連れて部屋を出た。
俺が束を連れてきたのは紛争で更地になり再建する為に整備している場所のひとつだった。
表向きはな。
「ここは?」
「いいから着いてこい」
様々な工事資材が置かれた場所を通り抜け一つの地下通路への入口を開ける。
そして降りていく。
そして長い通路を歩けばドアがある。
そこで指紋認証に網膜スキャンなどのセキュリティを通り抜けて進む。
「こっから先は無重力だ気をつけろ」
「え?無重力?」
疑問もあるだろうが今はいちいち説明してたらキリがない。
「おおう、ホントに無重力だ」
扉から更に進みもう1つ扉を抜ければ目に飛び込んできたのは管制室のような場所だった。
「主任!」
俺達が入ってくると同時にこちらによってくる女性が一人。
ここの研究員の1人、ダチエラだ。
「おはようございます!そちらの方は?」
「ああ、こいつは見学だ。もしかしたらここの仲間になるかもしれないからな」
そう言って束に目を向ければ目を見開いて止まっていた。
「何、あれ……」
束の目に映るのはガラスの向こうの巨大なロボット。
「あれがお前の願いを叶えられる可能性の一つ。ISとはまた違った宇宙へのアプローチの形。MS、モビルスーツだ。ようこそアウロラ宇宙科学研究室、モビルスーツプロジェクトへ」
モビルスーツ、それはとある宇宙で作られた人型の巨大ロボット。
その用途は様々、工事にも使われれば戦争にも使われる。種類も多種多様、宇宙空間、重力圏、水中、様々な場所を想定し作られた科学の結晶。
俺がこれを作り始めたのには訳がある。今のこの世界を壊すためだ。
ISの登場より女尊男卑というクソッタレな思想が世界中に蔓延ったこの世界を少しでもまともな世界に作り直す為。
ISを最強の兵器の座から引きづり下ろす鬼札。
それがモビルスーツプロジェクト。
現段階ではモビルスーツを作ることは不可能。資源の問題や人手の問題もあるが1番は技術の問題。
実物もデータもあるがこの世界にとってはオーバーテクノロジーたるそれを解析し実用化させる。
それがモビルスーツプロジェクトに求められる事だ。
故に必要なのは少しでも優秀な科学者だ。だが今の世界でこれを世に出してしまえばISがあれば優位に立てる世界中の女性そして女性権利団体、ISにより甘い汁を啜ってるいるIS委員会のヤツらに邪魔をされるのは目に見えている。
故にこうして秘密裏に研究をしている。
本来なら世界中の科学者を集めたいがホントに目障りだよ女性権利団体は。
まあ、国の方でも対策をできるだけ推し進めているから国内には女性権利団体も存在していない。
そこは救いだな。
「まあ、そういう訳だ」
俺は研究所の各所を案内しながら概要を束にを説明した。
「で?どうする?」
「どうする?断れるわけないじゃん!こんな夢みたいな場所!!」
そう言って束は目を輝かせている。
だろうな。束の夢である宇宙への進出を真面目に研究してるところだ。
「なら決まりだな。改めてようこそプロジェクトモビルスーツへ。
宇宙への翼を手に入れようか」