ある日研究室の休憩所で英気を養っている俺達にとあるニュースが舞い込んで来た。
『ここで臨時ニュースです。ISの男性操縦者が発見されました』
「「「「「「「「「ブッ!?」」」」」」」」」
休憩室で談笑しながらコーヒーやココアなどを飲んでいた面々はテレビからのニュースに思わず口に含んでいたものを吹き出す。
そして全員が俺に向かって目を向けてくるが、俺は首を横に振る。
確かに俺はISに乗れるがそれを国外には発表していない。問題が多すぎるからな。
ならばと今度は束に目を向けるが、束も首を横に振る。
「知らないよ!?」
これ以上は情報が足りないと全員がテレビに視線を移す。
『発見された男性の名前は織斑一夏』
「いっくん!?」
その名前に反応したのは束だった。そして全員がまた束を見る。
「えっと、ブリュンヒルデの織斑千冬ているよね。私はちーちゃんて呼んでるんだけど、昔からの付き合いでその弟がいっくんなんだよ。でもなんで乗れるかはわからない」
そのまま俺達はテレビに視線を移し暫く固まった。
ISの男性操縦者が現れたという報せは世界中を駆け巡った。そして他にもいるのでは?という考えからどこの国でも男性に対する一斉検査が行われた。
もちろんアウロラも例外では無い。
「……意思は変わらないんだね?」
「ええ、それにこれはチャンスです。私を囮に計画の邪魔者を炙り出すにはうってつけです」
俺はアウロラの首相であるバレナル・マーシナルのそう告げた。
「……はあ。君はまだ若いしレジスタンスの頃は誰よりも活躍した。そんな君を再び危険な場所に送るのはやりたくないんだが、無駄なんだろうね。
こちらでも最大限バックアップはしよう、無理はしてくれるな」
「ええ、もちろん。命は大事にしますよ」
「ならば君の存在を公表しIS学園へ入学させる」
「了承しました」
この日俺の存在が世間に公開される事になった。
そして俺はIS学園に来ていた。
と言っても今回はISの入学試験を形式だけでも受ける為に来ている。例えこの試験で良くない成績でも落とされる事は無い。
そういう約定があるからな。
「お前が二人目の男性操縦者のラーミナ・アドステラか?」
「ああ」
俺が待機しているとやって来たのは織斑千冬だった。
「そうか、私は織斑千冬。今回の試験官の一人だ。お前を担当する試験官は、試験会場での顔合わせになる。質問は?」
「無い。案内してくれ」
織斑千冬の説明に言葉を返し、その後をついて行く。
これが世界最強にしてプロジェクトモザイカの成功例か、確かにこれは究極の人間……とは言わないが凄まじいな。
織斑千冬を解析した左目からの情報にそう思う。
どうなってんだこの筋繊維の密度と強度、えげつねぇ。まぁ、俺も似たようなものだけど。後、天然で頭と肉体が凄まじい束はやっぱりおかしいと感じるな。
「ここだ。アドステラは専用機を持っていたな。それを展開してここで待っていてくれ」
いつの間にか到着していたのは実技試験会場の入口の文字が書かれた扉の前だった。
「わかりました」
そう言って入口をくぐると中央にはカタパルトがありその先は外に続いている。
とりあえずシュバルゼッテを展開する。整備はアウロラで済ませているが念の為各種機能やシステムをチェックしていく。
そんな時シュバルゼッテに通信が入る。
『はろはろ〜束さんだよ!』
「急にどうした束」
通信相手は束だった。
『これから頑張るラーくんに応援をておもってね。と言ってもぉラーくんが負けるなんて思わないけどねぇ。それとマーちゃんの方は試験官潰して終わったよ』
「そうか、ありがとよ」
『じゃあ後は頑張ってねぇ』
短い通信で束との通信も切れる。
束もここ数年でだいぶまるくなったなぁ。
マドカの方も順調のようだな。
『織斑だ。カタパルトについてくれ』
次は織斑千冬からの連絡だ。準備ができたようだな。
俺はカタパルトに乗りシュバルゼッテとコネクトする。
『カタパルトとISの接続完了』
「いつでもいける」
『了解した。カタパルト射出!』
合図とともにカタパルトが動きだし試験会場のアリーナへと飛び出す。
既に試験官は居るようで上空で待機していた。相手のISはラファール・リヴァイブで試験官は山田真耶、元日本代表候補か。
『試験官の山田真耶です。よろしくお願いします』
「ラーミナ・アドステラです。よろしくお願いします」
山田真耶から通信が来たためそれに返す。
『それではこれからISの実技試験を行う。始め!!』
織斑千冬からの開始の合図とともに戦いの火蓋が切られる。