自室のベッド。二つの大切な写真、その横に飾られたカレンダーには、あちこち丸をつけて予定が組まれている。
アルバイトやら、設備の管理について予定を組んだり、シャーレの当番、勉強、訓練、マユミの手伝い……まあ、その内容は多岐に渡る。かつ、最近は徐々にその頻度も増え始めている。
全体を通して、みんなの生活もかなり安定したものになってきた。ようやくここが、『アリウス分校』が、学校としてまともに成り立ち始めた。稼働し始めた。そんな感じだ。
「そーなると、そろそろトリニティとの交流も……」
ミカとちょくちょくやりとりはしてるけど、あの子はあの子で忙しそうだもんなぁ……一年前までなら、「来ちゃった☆」とか言いながら顔見せに来てたのに。成長は喜ばしい限りだけど、ちょっぴり寂しいかな。
「……ま、今日はいいですかね」
カレンダーに送る視線を、今日の日付に向かって合わせていく。一週、二週と飛ばして、今日。カレンダーには、なんの印もつけられていなかった。
「ふっふっふ……休みだぁ!!」
そう、このカレンダーは予定表。印が付けられていない、それ即ち、今日は何もない素晴らしい一日だという事なのだ。
しかしながら、今日アリウス居住区にいる子はそこまで多くないみたいだし……それに。
「この天気かぁ……」
あいにくの大雨。外に出ることも憚られる様なこの状態じゃ、正直何かをしようって気にもならない。一日中家でのんびり、漫画でも読むのもいいかもしれないな。
いや、それよりは来るべきユズとの再戦に向けて、今一度コンボの精度を上げ……うぅん、いっそ何かお菓子でも作ってみたり……それはミカに今度教えてもらうか。
「ふむ……」
参ったなぁ……やりたいことが多すぎる。明日はどうせバイトがあるし、あまり遅くまで起きてはいられない。休日といえど、時間に追われてしまうことに変わりはないらしい。
「うーん……あ、映画」
そうだ、そういえばアズサがヒフミから借りてきた映画があったか。確か襲撃のペロロジラとかいう内容が予測不可なB級映画……ネットでの評判はそこそこだったはず。
この世界の映画、考えてみれば見たこともなかった。戸棚にポップコーンは余ってたはずだし、それをさらに分けて……デッキは……プラステで代用できた、はずだ。うん、それが良い。
「どれどれ……」
スマホでアプリを使い管理しているゲームの予約を見ても、幸いにしてプラステの欄はまだ空けられている。時間を予約して、善は急げと用意を始めた、瞬間。
「……ん?」
部屋の中に、インターフォンの音が鳴り響いた。
「……誰だ?」
ここアリウス居住区においては、あまりインターフォンが鳴らされる機会は多くない。というのも、訪れる来客と言えばマユミをはじめとした生徒生活支援部くらいのものだからだ。彼女達が来る際は必ず事前に連絡があるため、基本的にはこちらも出迎える準備を整えておく。
だが、今回はなんの連絡もなく、かつその音は俺たちの部屋にのみ鳴り響いている。つまりは、この部屋に用事のある誰かの行動だ。
「先生あたりかな……?」
そうだったら良いなと、おおよそのアタリをつけつつ、警戒は緩めない。備え付けられた通話ボタンを押し、玄関の外へいる相手と対話を図る。
「どちら様でしょうか?」
『っ……!え、えっと……その、私、この部屋にいる人に用があって……』
いや、それは呼び鈴を鳴らした時点で分かりきってるんだけど……というか、この声って確か。
「この部屋には私以外にも五人、人が住んでます。今日はいないので、日を改めてもらうことになりますが……」
『そ、そうなのぉ!?聞いてないよぉ……!そ、その、私が用事あるの、桐花スオウって子なんだけど……』
うん、間違いない。この辿々しい言動。どこかズレた会話。今にも泣き出してしまいそうな声。この子は。
「スオウは私ですよ。今から迎えに行きますね……アシリさん」
『っ……!う、うん!久しぶり、スオウちゃん!』
しかし一体、俺になんの用事だろう?アズサがお世話になったのは知ってるし、それ以外にも色々……本当、アシリにはたくさん助けられた。だからそのうち、会いに行くつもりではあったんだけど。
しかしだからって、こんな大雨の中で来るとは……ちょっと予想外だったかな。今だって雷が鳴ってるのに……あれ、アシリは変身したら電気を使えるんだっけ。じゃあ問題ないか。
「む、っ……!?」
タオルを持ち出してそんなことを考えていると、さして時間もおかず玄関に到着する。
そこにいるのはアシリ……ではなく、黄色い髪が前方向に垂れ下がった、びしょ濡れの妖怪。スカートが足に張り付いて、その輪郭さえも曖昧だ。遠目なら濡れ女に見える。
ここにいるのが俺でなくマユミなら恐怖から銃を撃ち放ったと思う。
「す、スオウちゃぁん……寒いよぉ……!」
「はいはい、今開けますね」
仕方ないなと自動ドアのロックを解除し、アシリがこちらに入って来れるよう招き入れる。ゆらりと、一歩一歩こちらに近づいてくるその様相は、さながら近代のホラー映画を彷彿させた……見たことないけど。多分前世の記憶だ。
「う、うぅ……ずびっ……外、いっぱい雨降ってたよぉ……!」
「傘は……?」
「途中で銃撃戦に巻き込まれて……穴だらけに……」
なるほど、それで……ミレニアムは比較的治安がいいとは言っても、やはりキヴォトス。不運体質らしいアシリには、それらは今日の雨より容赦なく降りかかるらしい。
タオルをアシリの頭にちょっと背伸びして乗せ、軽く拭き始めるも、身長差により少しやりづらい。サオリよりもちょっと大きいんじゃないか、この子。
「ありがと、ありがとねぇ……ふへへ、ふわふわ……」
「このままだと、風邪引いちゃいますね……シャワーくらいなら貸せますよ。体がある程度乾いたら、こっち着いてきてください」
「う、うん……」
色々と聞きたいことはあるが、それよりはまず風邪の対策が最優先だ。アレはできるだけならない方がいい。いや、ちょっとオイシイ思いもできたけど、それよりもいたたまれなさの方が大きかった。
「よ、よしっ!これでオーケーだよぉ!」
そう言ってこちらを向くアシリ。制服が透けている事に気づいていないのか、特に隠そうとする素振りは見せなかった。薄手な服の割に、なんて無防備な。
「まあ、問題なさそうですかね。こっちです」
念の為持ってきておいた予備のタオルをアシリに巻いて、軽く手を引いて歩き始める。
いつの間にやら解いたのか、髪がバラけてちょっと怖さが増していた。本人傷つきそうだから言わないけど。
「うん……よし、誰も使ってないですね。そしたら、服はここに入れてください。あとで回収して……どうしましょうか。後日来る予定があるなら、洗濯してお返ししますけど……」
「あ、う、うん……お願いしても良い……?」
「わかりました。替えの服はこっちに入れておくので、それに着替えてくださいね」
しかし、どうしたものか……アシリに合うサイズの服なんて俺は持ってないし……それをやれば、女児服を着る変態の誕生だ。いや、誰が女児だ。
……まあ、サオリに大人しく服を借りるとしよう。今ならまだ連絡もつくだろうし。
「それじゃあ、着替え終わったら上の部屋に」
「ね、ねぇ、スオウちゃん!」
「……?」
服を取りに部屋へ戻ろうとした矢先、明らかに声量を誤ったアシリの声で引き止められる。
「どうしました?あ、シャンプーとかはそこにあるものを使って」
「そ、そうじゃなくて……え、えっとね?」
アシリは何か強い決意をしたように、顔を赤くしながらすーっと息を吸って。
「わ、私と一緒に!!お風呂、入らない!?」
「……へ?」
「私と一緒にお風呂入らない?」というのは、「私と一緒にお風呂入らない?」という意味だろうか。いや、それ以外に何があるのかという気もするけど。
とにかく、この子何言ってんの?
「ごめんなさい、私妹以外の見知らぬ人とお風呂に入る趣味は今の所持ち合わせてなくて……」
「そっ、それならモーマンタイだよぉ!!だ、だって、私は!!」
アシリはびしょびしょの服のまま、これでもかと慎ましやかな胸を張って。
「私はスオウちゃんの、お姉ちゃんだからね!!」
「は……?」
そんなことを宣うのだ。
何を言っているのか理解できずにしばらく停止していると、アシリは途端に耐えきれなくなったと震え始め。
「ごっ、ごめん!お風呂はまだ早いよねぇ……!わ、私一人で入ってくるねっ!またねっ、スオウちゃんっ!」
「あ、ちょっと……行っちゃいましたか……」
アシリが俺のお姉ちゃん……?いや、ない。絶対にあり得ない。それならキーホルダーを持ったあの子……緑髪のあの子も俺と姉妹であることになるし、血の繋がりを示しているならアシリもまたロイヤルブラッドであるということになる。
あのベアトリーチェが、アシリのことは珍妙な三原色黄色担当くらいにしか認識してないんだ。まずあり得ない。
「……うん。あり得ない……よな……?」
まさか血の繋がりはおろか深い関係性もないのに姉を名乗り始める異常者だなんて、そんなやつがいるはずもなかろうて。多分俺が何か聞き間違えたんだろ。
「……とりあえず、サオリに連絡かな」
何か忘れてる気がするけど、それも気のせいだ。逃避するように、アシリの服を準備し始めた。
◇
洗濯カゴに入れられた制服は、ワイシャツについては洗濯。スカート類については家で洗えないらしいので、仕方なく風通しのいいところで消臭剤を軽くかけ、自然乾燥を待つことにした。
アリウスにいた頃は、こんな便利な道具存在しなかった。科学の進歩って素晴らしい。
「あー、ジメジメしてますねぇ……」
髪が湿気でモッサリしそうになる。朝手入れしたって戻っちゃうんだから、この時期はやってられないよな。
……ミカなら何か知ってそうだし、今度聞いてみるか。
「む」
「あ」
そんなこんなで部屋に戻っている最中、丁度シャワールームから出てきたアシリとばったり出くわした。長い髪は鬱陶しいのか、後ろで団子のようにひとまとめにされていた。
実際、今の俺はこの程度の長さだから俺でも手入れできるんだろうな。ミカとかセイアとか、色々大変そうだ。サオリも最近切ろうか悩んでたし。
「あ、ありがとね、スオウちゃん……おかげさまであったまったぉ……」
「いえ、気にしないでください。部屋をあっためてあるので、冷えないうちに行きましょう」
今度は指差し、向かう方向を示して、そのまま歩いて行こうとした、のだが。
「……何か?」
「う、ううん……せ、せっかくだし、手、繋いでこ……?」
「……」
やはりというべきか、明らかにアシリの様子がおかしい。アズサから聞いてた話だと、自信なさげで、人と話すのも得意じゃなくて、カフェインを摂らせたら絶対にダメで、それと……なんだかんだ自分たちに協力してる、優しい子。そう言っていた。
「ね、ね……?ほら、ちょっとだけだから……ちょびっとだけでいいよぉ……?」
少なくともこんな風に手を狙ってくる変人では断じてない。「変わった人だけど良い人」と「変わった人」には大きな隔たりがあると、今初めて知った。
「……む」
しかしふと、思い至る。そう、アズサの話だ。確かアシリは、雷を極度に怖がっていたと。
正確にはあれは停電した状況下、かつ一人ぼっちにさせられたという恐怖心が大きかったのでは、というのはアズサの話だが、その件がトラウマになって雷を怖がる様になっていてもおかしくない。であれば、これは安心を得ようとする行為に他ならない。
「じゃ、繋ぎましょうか。ほら、こっちです」
「っ……!う、うん!!」
そうして手を繋ぐと、アシリはその顔をパァっと輝かせた。どうやら予想は的中していたらしい。
ありがとうアズサ。可愛い妹のおかげで、お姉ちゃんアシリと上手にコミュニケーションを取れたよ……!
「……お姉ちゃん?なに、してるの……?」
ほざいていると、後ろの方から妹の気配。殺気によく似たそれは。
「し、シオ……?」
シオから発せられたものだと、考えるより先に経験から理解した。
「だぁれ……?その人……」
「この子は甘川アシリ、シオも会ったことがありますよね?」
「え……あ、ぅ……うん……」
アシリが何か言うよりも先に、シオに向けてアシリの詳細について伝える。行動が早かったのがよかったのか、怒りは少しなりを潜めたように見えた。
「……その……あの時は、お世話になったわ。ありがとう……」
「……え?あ、う、うん!気にしなくていいよ、私も私がやりたいことをしただけで……」
「それでも……お礼を言わせてちょうだい」
おお……シオが自分から人にお礼を……ちょっと見ない間に、たくさん成長したんだなぁ。最近は他の分隊長達ともなんとかうまくやってるみたいだし、この調子で他の子とも……と、ちょっと早計かな?
まあとにかく、思ったよりも冷静でいてくれてよかった。
「でも、それはそれとして」
「っ……!?」
と思ったけど、そんなことはないらしい。髪が逆立って、その色に似つかわしい紫色のオーラを強く、ドス黒く放っている。
「私のお姉ちゃんに、手出しして良い理由にはならないわよね……!?」
「ひっ、ひぃん……!?」
うーん、相変わらずな神秘の色、それに出力……あれを全部込めて撃たれたら、俺でもしっかり痛そうだ。怒ってる時、無意識的に出るだけなのが難点だけど。
「ねぇ、どういうこと?なんで妹である私を差し置いて、アナタがお姉ちゃんと手を繋いでるの……?うぅん、それは良いわ……そう、それは良いの…アナタが妹でさえあれば……私以外の妹がいても、イチバンの妹が私ならワタシはそれで良いけど、でもアナタは違うわよね?」
「そ、その……うん、じゃなくて、はい……」
「じゃあアナタはなぁに?どうしてお姉ちゃんとそこで手を繋いでたの?ドコへ向かってたの?ああ、ごめんなさい、脅してるわけじゃないの。怒るのは話を聞いてから……そう、話を聞いてからよ……ハナシ、聞かせて、くれるわよね……?」
とかなんとか考えてたら、そろそろシオが抑え切れなさそうだ。まあ今のシオなら、ちゃんとアシリの事情を説明すれば納得してくれるだろ。くれるよな……?
……できなかったらお説教かな。
「も、モチロン、だよぉ!!」
そんなこんなでアシリに助け舟を出そうとして、けれどもそれは他ならぬ彼女自身によって阻まれた。こちらを見て、震える手でサムズアップ。ナイスガイなポーズで、半泣きで笑ってみせた。
「そ、その!私はね!?」
……そっか。これがアシリ、って子か。アズサが気にいるのもわかるな。
怖くても、涙目でも、それでも自分じゃない誰かを守るために。俺が守りたかった生徒達。まさしくそのものだ。
アシリ。彼女は立派な子だ。十年間もの間姉の生存を信じて、それを打ち砕かれてなお、こうして折れずに……この子はきっと、立派に強く成長する。
「すっ……スオウちゃんのお姉ちゃんだから、何も問題ないよぉ!!」
……なるほど、買い被りだったらしい。何言ってるの?この子何言ってるの?
「お姉ちゃんの、お姉ちゃん……?」
神秘と殺気が急激に収まり、途端に目を丸くしたシオ。混乱しているのが、こちらからでも分かった。
「お姉ちゃんのお姉ちゃんなら、お姉ちゃんであって……妹じゃ、ない……競合率に、作用しないし……でも、姉妹ではあって……だから……」
これじゃあシオが怒るのも無理はない……。
「……そう。なら、問題ないわね。ごめんなさい」
「ちょっと!?」
それで納得するの!?ねぇ、シオ!?お姉ちゃん自分のお姉ちゃんについて一言でも語ったことあったっけ!?
「ふふ、大丈夫だよぉ……!」
「……お姉ちゃん。その私ちょっと寝てくるわ……また、後でね……」
「お、お大事に……」
そんな心の叫びも虚しく、シオは頭から湯気を出して自室へ戻ってしまった。恐らくアシリの発言に、脳の処理能力が限界を超えたんだろう。俺だって限界ギリギリだ。
「……そ、その……さっきのって……?」
「そ、そのままの意味だよぉ……!」
何故かドヤ顔のアシリは、普段とは真逆で、自身満々に口から偽りを紡ぎ続ける。どうにも、先ほどのシャワールームから続くこの戯言は気のせいではなかったらしい。
「……とりあえず、部屋に行きましょうか」
ここでまたおかしな誤解をされてはたまらないと、アシリを引き連れて部屋の扉を潜る。その間も、アシリはしっかりと俺の手を握りしめていた。なんなら掴み方が強すぎて、圧迫感さえあった。俺じゃなかったら痛かったかもしれない。
「とりあえず、そちらへ」
来客用の部屋に招き入れて、用意しておいたお茶とお菓子を差し出す。
「い、いただきます……ふへぇ……」
相当に体が冷えていたのか、とても美味しそうに紅茶を啜っていた。ちなみにこれはミカから勧められたものだ。安物の中では比較的風味がいいらしい。俺には違いがわからなかった。
ロイヤルブラッドといえど、実際の生活の影響で少々ロイヤルさには欠けてしまった様だ。
「……それで、今日は何をしに?」
「んぇ、っ……!ぐ、ごぉ……!?」
「ちょっ!?」
パウンドケーキをモサモサ食べているアシリに話しかけると、突然息を詰まらせた。焦りから呼吸が急激に荒くなり、そのせいで喉に詰まったようだ。
「な、何やってるんですかもー!!ちょっと待っててくださいね、えっと、確か……!」
身長差があっても、椅子に座ってるこの状態なら……!
「ふんっ!」
腕を回して握り拳を作り、それで圧迫する、いわゆるハイムリック法で、グッと食べ物を吐き出させた。
「ぐ、ぐぇえ……!い、痛い……!痛いよぉ……!」
「あ、そう言えばこれ、内臓にちょっとダメージのおそれが……」
「ね、ねぇ。なんでそれわざわざ選んだの?絶対他にやり方あったよねぇ!?」
や、俺だってちょっと焦ってたからさ……でもまあ、ちゃんと吐き出せた様で何よりだ。俺たち生徒へダメージを与え続ける窒息は、意外とシャレにならなかったりする。アリウスでも、『ヘイローを破壊』する手段の一つとして教えられるくらいだ。
「うぅ……で、でもありがとねぇ……そ、それでね?今日来た理由、だったよね……?」
「あ、はい」
紅茶を啜りながらいきなり本題へ戻ろうとするアシリに少々面食らいながらも、改めて座り直し、姿勢を正す。
正直、アシリがここに来るとは思っていなかった。トリニティからミレニアムはそこまで近いわけでもないし、仮にも奉仕活動部部長なわけで。あまり自由気ままに行動ができるわけではないと思ってたのだけど。
「それはね……お姉ちゃんが妹に会いに来るのに、理由がいる……?」
「妹じゃないです……」
またそれかぁ……この子、一体どうしちゃったんだろう。あまり関係の深くない相手の姉を名乗るなんて、控えめに言ってどうかしてると思うんだけど。
「その、一応聞くんですけど、血縁関係はないですよね?」
「あるわけがないよぉ」
「面識もほとんどないですよね?」
「うん、まだねぇ」
なんでこんな平然と答えてるんだろう。
「その、それを踏まえた上で、今なんと?」
「お、お姉ちゃんが妹に会いにくるのに理由はいらないって言ったよぉ……!」
最後の質問は少々苦しかったのか、いつもの様な落ち着きのない喋り方に戻った。やっぱり自分でも無理があると思ってるじゃんか。
「私がいつあなたの妹になりましたか!仮に姉妹だったとして!お姉ちゃんは私の方です!こればっかりは譲りませんよ!」
「わ、私だって譲れないものくらいあるもん!私の方が年上なんだから、私の方がお姉ちゃんだよぉ!!」
「年齢なんて関係ありません!私は!!私がお姉ちゃんだから!!お姉ちゃんなんです!!」
「う、うぅ……!ホンモノには勝てない……!」
フッ……また勝ってしま、待て。ホンモノってどういう意味だ。
「だ、大体っ!いつお姉ちゃんになったかって、そんなの決まってるもん!トリニティとの会合の時!」
「え、えぇ……?」
トリニティとの、会合……?確か、久々に外へ出て……ナギサ達と話し合いをして、ミサキ達と合流した後……マユミの車が……シオが抱きついてきて、そしたら。
───あ、あなたの、お姉ちゃんだよ……!
「あ……」
そういえば、そんな事もあったなぁ。あの時は色々……色々……本当に色々ありすぎたせいで、すっかりそんな頓狂な出来事を忘れていた。
「あっ、あの時さ。スオウちゃん、否定しなかったよねぇ……?」
「う、ぐっ……!」
しょうがないだろ、あの時はなんというか、青天の霹靂というか……!生きてる事自体が奇跡みたいなもので、予想外だったのに、それ以上の情報を処理しろって方が無茶だろ……!
「つまりあなたは私の妹なんだよぉ!!スオウちゃんッ!!」
「なわけないでしょうがっ!!そういうのあれですからね!!人の弱みにつけ込むって言うんですからね!!お姉ちゃんは私の方です!」
互いに一歩も譲らない睨み合い。蒸し暑い部屋の中、肩で息をしながらお互いの目を合わせ続け……なかった。アシリの方が耐えきれなくなって先に目を逸らした。勝った。
「……とにかく!私がアシリさんの妹なんて、絶対に認めませんからね!お姉ちゃんなら大歓迎です!」
「ぬ、ぬぅ……!ま、まあいいよぉ!どうせ時間はたくさんあるもん!認めるまで帰らないから!」
「……その、それについては帰れないの間違いでは……?」
「え……?」
そんな会話をしているうちに、雨足はどんどん強くなっている。もはや傘を持っていたとしても一瞬でずぶ濡れになってしまうほどだ。サオリ達のためにお風呂とあったかいスープを用意してあげよう。
「……ごめんなさい、やることができました。一時、休戦といきましょうか」
「そ、そうだね……仲良くしようねぇ……」
アシリも察してくれたのか、ひとまずはおとなしくなった。でもまだ体がウズウズしてるあたり、隙あらば俺を妹にしようとしてくるはず。断じて、油断を許す状況ではない。
「す、スオウちゃん、これから何するの……?」
「サオリ達が体を冷やして帰ってくると思うので、スープを作ります。余れば夕飯に回せますからね」
「わ、私も手伝うよぉ!」
アシリがここぞとばかりにビッと手を挙げ、そして逃すまいと肩をしっかり掴んできた。いや、掴んできたつもりなんだろうなと思った。ちょっとその気になれば振り解けてしまえそうだ。
「アシリさん、料理できるんですか?」
「ま、マユミちゃんも、サユリちゃんもね……?放っておくと、碌なもの食べないの……マユミちゃんは特に、その傾向が顕著で……自然と、キヴォトス戦隊の料理担当みたいになってたんだよぉ……」
ああ……マユミ、エナジードリンクやゼリー飲料が好きだもんな……ちょくちょく冷凍庫から取り出してる料理は、アシリが作り置きしたものだったりするんだろうか。
最初の頃、もっとちゃんと食べろってマユミに言われたけど……あの子については、絶対人のこと言えない気がする。
しかしなるほど、料理担当か。
「イエローはカレー大好き腹ペコキャラって相場が決まってますからね」
「ね、ねぇ!!何そのイメージ!!私知らないんだけど!?」
俺に言われてもなぁ。抗議の声を聞き流しながら、台所へ向かった。
◇
冷蔵庫を開いて、中身を見る。ニンジンジャガイモタマネギ、三種の神器は揃い踏み。あとは買い置きの卵と、昨日のあまりのウィンナーが少々……乾燥コンソメキューブがあるから、充分にスープは作れそうだ。
しかし、だ。
「どうしたものですかね……」
体を冷やしてくるわけだし、気休め程度でも生姜やお肉を入れておきたい。それを思うと、ベストなのは鶏肉団子……しかし、コンソメに合うかと言われると……。
「何に悩んでるの?」
「む、アシリさん」
うぅん……ここは第三者の意見が欲しいかな。
「いえ、スープを作ることは決まっているのですが……コンソメスープと鶏肉団子、どちらにしたものかと……」
「うーん……疲れてる時はあんまりガッツリしたものは食べにくいし、個人的にはコンソメスープかな……」
「しかし、それだけだと……」
「ちょっとだけなら、コンソメスープにも生姜は合うよぉ。クセが強いから、ピリ辛風味に仕立てようねぇ」
む、なるほど……試したことがなかったけど、そういうのもあるのか。コンソメと生姜……人はかなり選びそうだなぁ。
「サッと飲めるように、野菜は細かく切ろう……?そしたら、火も通りやすいし、きっとすぐに作れるよぉ」
「ふむ……」
予想以上に的確なアドバイスだ。アシリの料理は、レシピ通りなだけじゃない。状況によって変化、適応させる事も可能なんだ。
まずいな。これは非常にまずい。いや料理がじゃない。というか、それはむしろうまいと思う。映画のお供に飲ませてもらおう。
「ふっふっふーん……ど、どぉ……?私も中々お姉ちゃんだよ……?」
「ぐぬぬ……!」
間違いない。アシリはお姉ちゃん力を高めようとしにきている。同じく姉ムーブをする俺だからこそ、その意図が手に取るようにわかる。
料理ができる、つまり相手の体を形作る、手助けをする、よって私お姉ちゃん。アシリはこの論法に持っていこうとするはずだ、であれば。
「ありがとうございます、アシリさん。流石ですね」
「っ……!」
素直に相手の凄さを認め、一歩引き下がる。そしてそこで「流石」という表現を使うことにより、相手への賞賛を重ねることを忘れない……!
一歩間違えれば妹にされてしまいそうな発言だが、俺は十年近くお姉ちゃんを務めてきたんだ。今更この程度の見極め、誤るはずもない。
「それじゃあアシリさん、ちょっとだけ手伝ってもらえますか?」
さらに、追い討ちだ。
「なっ、何を……?」
「野菜をどんどん切っていくので、それをまとめて欲しいのと……鍋やお皿の準備をして欲しいなぁって」
「……!」
料理の手伝いを頼む。そう、あくまで料理の
一方、アシリ。それを阻止すべく手伝いを断る、これは果たしてお姉ちゃんらしい行為であると言えるのか?答えは断じて『否』である。つまりどう転んでも自らのお姉ちゃん力を相対的に下げる、デッドロック状態。詰みというやつだ。
そこらのお姉ちゃんとは年季が違うのだよ、年季が。
「そ、そっかぁ……それじゃあ……手を切らない様に、気をつけてねぇ……?」
ふふ、弱い、あまりに弱い返しだ。この程度の返答であれば、このまま順当に俺がお姉ちゃんへ返り咲ける。
「もし難しいところがあったら、私が代わるから……!」
「なっ……!」
だが、アシリとてそう甘くはないらしい。苗字は甘川なのに。危ないところは自分が代わる、つまりこれは暗に調理技術は自分の方が上であると、姉としての威厳を見せつけているわけだ。一筋縄では行かないらしい。
「ぬぬぬ……!」
水面下で小さくはじまったお姉ちゃん対決。スープ料理を一品作るという短い期間では、勝負が動く事もなく平行線。そのまま特に戦況が変わる事もなく、料理は終わりを迎えた。
◇
「さて……こんなもんですかね」
鍋いっぱいに張ったスープ。満足げに見回して、エプロンを取り外す。そのまま台所を出て、向かうは来客室……ではなく、ゲーム部屋。
「ね、ねぇ……どこ向かってるの……?」
「ゲーム機が置いてある部屋です。この後映画を見ようと思ってて、予約してあって……よければアシリさんも、一緒にどうですか?」
「う、うーん……な、なんの映画を見るの……?」
なんだっけかな……確かヒフミに許可を得てアズサを通し借りてあった、あのキモ鳥、じゃなかった、ペロロのデカい方が出てくる……あ、思い出した。
「『襲撃のペロロジラ〜封じられしフレンズ〜』って作品です。モモグループが主導して作った映画らしいですよ」
「ぺ、ペロロジラ!?」
「わっ!?」
アシリが突然顔を近づけて、大きな声を出す。少し心臓に悪いからやめて欲しい。
「あ、ご、ごめんね……って、そうじゃなくて!!それ、すっごいレア物の映画だよぉ!!」
「そ、そうなんですか?」
ヒフミに頼んだら、普通に又貸しも許可してくれたけど……?あ、でも期限付きだったな。
「かなり古い映画だよぉ!!もう今は廃盤になってて、しかもその大半が大規模な抗争に巻き込まれて破損!!一説ではペロロジラ関係のグッズは流通しないジンクスがあるとか言われてるんだから!!」
「へ、へぇ……」
ヒフミ、一体どこでそんなものを……いや、よそう。世の中知らない方がいい事もあるんだ。ファウストの正体とか。
「じゃ、じゃあ一緒に」
「見よう!すぐ見よう、今見よう!!」
アシリのこの食いつきっぷり……アズサや最近モモフレに興味を持ち始めてるミサキを誘えば、こんな感じに……?よし、今度試してみよう。
「あ、ありました。これです、これ」
ゲーム部屋にあらかじめ保管しておいたDVDを取り出して、パッケージをアシリに見せてみる。
「わ、わぁ……!すごいよ、これ本物だよぉ……うぅ……!」
「な、泣くほど?」
これ、ひょっとするとトンデモナイ代物だったりするのか?アズサ曰く、できるだけ人目のつかないところで保管したいからと、ヒフミに託されたとの事だったけど……どれ。
「えーっと……襲撃のペロロジラ、と……っ……!?」
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん……!?桁三つは間違えてるんじゃないのか!?プレミア価格でもこうはならないだろ!
……ああ、興味本位で調べるんじゃなかった。このDVD一枚で、いったい何ヶ月分の食費が浮くと……いやそれより、俺のバイト代が数ヶ月分……ただのDVD、だよな……?実は古代の財宝への手がかりとか、そんな事ないよな?
「す、スオウちゃん……?見ないの……?」
「んぇっ?は、はい!見ます、見ますよ!早速、始めましょうか!」
ヒフミ、よくこれをアズサに預けたな……それだけ信用されてるってことか。我が妹のことながら、嬉しい限りだね。
「じゃ、スオウちゃんこっち!ほらっ!」
「……いや、おかしくないですか?クッション二つあったじゃないですか」
ディスクを入れ終えて準備を整えると、なぜかクッションを二つまとめて座ったアシリが、自らの膝の上を叩いていた。こっちへ来いと、そう言葉にしながら。
「じゃあ、私はこっちで」
部屋の隅から新しいクッションを引っ張り出して、モニターの前に、アシリからちょっと離れて座る。横から蚊の鳴くような声が聞こえてきた気がするけど、多分気のせいだ。
「ポップコーン食べますか?」
「あ、う、ううん……私、ポップコーン苦手なんだよねぇ……歯の間に詰まる感じが……」
「むぅ……そうですか」
仕方なくさらにあけた塩バター味のポップコーンを、音を鳴らさない様に慎重に食べ始める。本当はキャラメル味が良かったけど、家にあるのはこれだけだった。まあ、致し方あるまいて。
「……あ、そ、そうだ。スオウちゃんがあーんってしてくれるなら」
「はいあーん!」
「ぷぇっ!?……あ、おいしい……」
くだらないことを言い始めたアシリにポップコーンを弾き飛ばして、映画の画面に集中しようとして。
───俺って側から見たらあんな感じなのか?
……余計な思考が頭を掠めた。
今日のアシリの言動。というか、姉を名乗るというただ一点のみだけれども、それは俺が普段やっている行為に他ならない。
ひょっとすると普段の俺は周りから見れば、あんな変な感じというか、ある意味では気持ち悪いというべきか、控えめに言っておかしなやつに見えるのか……?
……いや、大丈夫。俺と妹達の間には確かな信頼関係と積み重ねがある。何より私お姉ちゃん。よし、問題ないな。
「はぁ……」
落ち込み気味な思考を泥に捨てて、映画の内容へ集中する。その内容はと言えば、まあ比較的ありきたりな展開だった。封印から解き放たれたペロロジラがモモフレの住む町にやってきて、動くだけでも甚大な被害を出してしまう。
そんなペロロジラが首都圏に到達するよりも前に打ち倒すべく、モモフレ達が立ち上がる……という、まあ登場人物に目を瞑ればさして珍しくもないB級パニックホラーと言える。登場人物がノイズすぎるけど。
「うぅ……ピンキーパカぁ……」
アシリはというと、ペロロジラの光線により酷い重傷を負ったピンキーパカを見て号泣していた。イマイチついていけない……と、いうのも。
「……あの、これどういう世界観なんです?」
ファンシーな生き物がいる割に、ダメージ描写はやけにリアル。所々シリアスな展開も挟んでくるけど、ペロロの顔のせいでほとんどシュールギャグにしか見えない。
「え……これはねぇ……所謂マルチバース形式で、このモモフレ達も、たくさん存在するモモフレの世界の住人の一部に過ぎないんだよぉ……」
「……なるほど」
よく分からん。けど、映像はいいな。とても古い映画とは思えないクオリティだ……いや、キヴォトスの技術力なら或いは……多少古い程度だと、俺の前世の世界の技術力よりも、よっぽど発展してたのかもしれないな。なんというか、この世界の歴史の一端に触れた気分だ。
「ぺ、ペロロはかせが出てきたよぉ……!これで少しは状況もマシに」
「いや犯人こいつですよね?絶対こいつですよね!?顔がペロロジラそっくりですよ!?」
「そ、そんなことないよぉ!トサカの部分の角度とか、尾羽とか……!か、金型だって違うんだよ!ペロロさんだって別人でしょ!?」
「……わかりません。私には全部同じくに見えます……」
……いや待て、これはチャンスだ。モモフレンズの話になるとなんとなくうまく反応できずに、語る相手が少ないという寂しい思いをさせている現状。それを打破するためにも、これを気にキャラクターの判別だけでも……!
「あ、ダークペロロが登場したよぉ!」
「やってられるか!!」
ダメだ、ただでさえよくわかんねぇのにまた増えやがった!!なんだこいつ!どいつもこいつも同じような顔しやがって!
「あ、Dr.ニコライが協力してくれるって……こ、これで百人力……!」
「わからない……私には何もワカラナイ……」
ただ、一つだけわかったことはある。この映画は……廃盤になって当然だと。
◇
計二時間にもわたるモモフレ映画の鑑賞会は、ようやく終わりを迎える。最後の方はペロロジラが宇宙的恐怖と合体してコズミックペロロジラになってたし……なんというかもう、よく分からん。なんなんだアレ。
「お、面白かったねぇ……」
ただアシリとしては、存外に高評価だったらしく。ホクホクとした様子で、たくさんの感想や気づき、考察を書き留めていた。あの手帳はぜひ後で見せてもらいたいものだ。
「……まあでも、戦闘シーンは見てて面白かったですね」
メカペロロジラをペロロとダークペロロが協力して動かすところは本当に素晴らしかった。マユミあたりに見せたら、相当喜ぶんじゃないだろうか。
「で、でしょでしょ!?多分この映画には、一見すると気楽に生きてるモモフレ達も必死に今を生きてるんだってメッセージ性があって……!そ、それでね、それでね!」
「はいはい、一つずつ聞きますからね……」
……しかしなるほど、メッセージ性。確かにファンシーな彼?彼女?……生物達に似つかわしくない妙なリアリティは、そういった監督の意図を感じ取ることができた。
そう考えると、あの映画も案外。……いや、やっぱ宇宙的恐怖は蛇足だったな。絶対アレはいらなかった。
「……でも、一番は。終盤でピンキーパカが立ち直ってくれたのは、嬉しかったなぁ……」
「……ピンキー、パカ……」
「……うん。この子」
アシリは今日、カバンを持ってきていない。けれどもいつものように、ボロボロのストラップ。それだけはしっかりと、銃の一端に結び付けられていた。
十年前、あの日に見えた、見えてしまった。あの子の銃についていたものと、同じ。
「……」
この子は、まだ知らないのだろう。自らの姉の最期も。アリウスの内乱で、当時何が起こっていたのかも。この子の姉が、普段学校でどんなことをしてたのか、だとか。この子の知らないこの子の姉の話は、たくさん、たくさんあるんだと思う。
「アシリさ」
「雨」
それを想うと、居ても立っても居られなくて。口を開いたら、それはアシリに遮られた。
「そろそろ、止んだかな?」
作り上げられた、貼り付けたような。痛ましい笑顔だった。耐えることに、忘れることに慣れた人間がする笑顔だった。俺と同じ、笑顔だった。
「……外、見てみましょうか」
何も言えなかったし、言える気もしなかった。この子が頑張って笑顔を作って。明るく在ろうとして、前を向こうとして。それなのに過去を語るだなんて、そんな酷いことないよ、って。そう思ってしまったから。
「……うーん。やっぱり、変わんないよねぇ」
雨は勢いを強めていた。天気予報によれば、明日の朝まで勢いは衰えず、しばらくは雨模様が続くようだ。傘を網杓子のようにされたアシリにとっては、あまり良いニュースとは言えないだろう。
何せ、帰りの交通手段がないと来たものだ。いや、正確にはマユミを頼れば泊めてもらえるんだろうけど。
「……あのさ、スオウちゃん。お願いがあるんだぁ……」
「お願い、ですか?」
少し落ち着いたのか、アシリは目線を俺の元まで下ろして。
「……その、今日、さ……泊めて、くれないかなぁって……」
「……へ?」
そんな、虚をつくような言葉を言い放った。
更新、遅れてしまい申し訳ございません……言い訳になりますが、本当に忙しかったです……毎日始発と終電で行き来していました……
お詫びにはならないかもしれませんが、以前描いたスオウちゃんのイラストがあります。よければお納めください……先生シャツスオウちゃんです。
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