必ず勝つ。そう宣言した直後、別世界のスオウは姿を消す。
「ぶがわるい」
ムカつくことに、あの変態バージョン2には今の自信では勝てる保証がない。ふざけた見た目の割に、油断できない相手だ。
そう判断したが故に、逃亡。目指すは、舟の外。外部から名もなき神々の王女、あるいは動力を破壊する。
「どこへ行くんですか?」
「っ……!?」
その判断は、決して間違いではなかった。そう、本来であれば。
「砂狼シロコの能力を桐花スオウ、白洲アズサのデバイスに同期。サポートを」
「ん……逃がさ、ない……!」
「アヌビス……!」
黒い穴から現れる、不定形の白いロープ。半エネルギー体、自身の操るソレによく似た縄は、自分の足を縛り付けていた。
「寂しいじゃないですか、さっきまであーんなに必死に私を追っかけてたのに」
切断を。そう思った直後には、真後ろまで白スーツの変態が迫ってきている。
先程までは顔が見えなくとも、アズサだと断じることができた。しかし、今は違う。
「アズサ、加速!」
「わかってる!」
かわいい妹の中に、変態の気配が混ざっている。故に、あれは白洲アズサ
僅かに戻った理性で、理屈はわからないまでも今何が起こっているのか、その大体をスオウは理解した。
「よっしゃ次!」
『TRINITY!!!』
『お任せだよっ!!』
「喰らえ電撃!!ビリビリパンチ!!」
だが理解したとて、それがなんだ。そう突き付けるように撃ち放たれる拳。無意識に防御しようと変形させた恐怖を突き抜けて、電撃が体を痺れさせる。
いくら頑丈でも、いくら化け物じみていても、体を動かす仕組みは同じ。電撃で一瞬、動きは止まる。先の戦いでの経験を、アシリは確かに記憶していた。
「まだまだ!!」
『MILLENNIUM!!!』
『アーハッハァ!!私の頭脳が導き出したパーフェクトな答えよ!!スオウさん!!』
「はい!」
だがそれは、スオウとて同じこと。
『ダメだ、避けろ』
「っ……!」
体が動かない。だったら、具現化した恐怖で外から動かしてやればいい。
予想外の一撃は、セイアの静止によってかろうじて避けられた。
「っぶね……!」
『油断大敵だ。今の君たちは、確かにあれよりも強い。だがそれは、頭を回せばの話。追い詰めれば追い詰めるほど彼女は』
「ごめん、今は聞いてる余裕がない」
『……』
お構いなしに、身体中から生やした銃火器で追撃。しかしその多くは、空色と紅色のバリアによって阻まれてしまった。
『アロナパワーで守ります!』
「低出力の攻撃であれば私たちで排除可能です。対処しようとせず、反撃に移ってください」
「りょ、了解!」
体が勝手に銃弾を防ごうとしていた。普段の訓練ゆえのやりにくさを感じながらも、スオウはアズサに合図をして弾丸の中を潜り抜ける。
シッテムの箱が二つ分。ほとんど無敵だが、無敵ではない。温存するに越したことはないと、スピードが落ちない最低限で銃弾を避けた。
「つーかまーえっ」
再度距離を詰め、拳を構える。別世界のスオウが対応するよりも先に、その手がスオウに届こうとして。
「ぼんっ」
「っ……!?」
彼女が展開していた銃の一部が、何の前触れもなく爆ぜた。
「っ……!アズサ、ちょっと痛いですよ!なんかあったら変身解除してお姉ちゃんに」
「いいから!集中!」
共有された思考の中でこんな会話をしながらも、警戒はさらに保つ。相手が
その予想は正しく、連鎖的に起こる爆発の数々。重ねるようにして、恐怖によって再現された戒野ミサキのロケットランチャー。
「あ、あれはちょっとやばいかも」
『私がやるわ!スオウさん!アズサ!照準を合わせて!』
「こ、こう?」
言われるがままに、視界に表示された十字の照準を、手を使って迫り来る爆弾に合わせる。
『かんっぺきよ!凍りなさいッ!!』
その直後、手からナニカが発射され。そして一瞬で、全ての爆弾は凍りついた。
「……あ、あれどうなって」
『科学よ!アズサ!』
「ああ!」
爆風に身を隠し、別世界のシロコが開いたゲートを介して背後に移動。そこには先程までと変わらない桐花スオウの姿があり。
『嫌な予感がする。あれは罠だね』
「抜け目ないですね……」
『らしいといえばらしいだろう』
では、本体はどこか?言われるよりも先に、別世界のアロナが場所を特定しそのおおよそを指し示す。
「っと、先生達の方からやりに行きましたか」
『あー、あはは……なんか、逆に可哀想になって来るね。それは』
『同意見だよ。だが、急げ。彼女達だけではどれだけ持つかわからない』
「スオウ、翼も使って走ったほうが早い。降りよう」
「妹の頼みとあらば!」
今のスオウは、爆弾での加速を戦術に組み込まない。それはアズサを傷つけるからだ。しかしその分の加速を補うのが翼、そしてサユリの炎。より正確には、ガスの噴射。
『GEHENA!!!』
「……せー、のっ」
シッテムの箱によって強化された彼女達の肉体にそれらが乗って、二人は何よりも早く、地に降りたとうとするアトラ・ハシースの箱舟の何倍もの速さで加速して。
「ドンッ!!」
「が、はっ……!?」
蹴り上げた音と衝撃が響くよりも先に、別世界のスオウを蹴り飛ばしてみせた。
「……っ!?」
そして音が到達した少し後で、その場にいたサオリは何が起こったのか理解する。
「とんでもない速さだな……アズサ、スオウ」
「サオリ!それにシロコも!先生にみんな!無事でしたか!」
「……ん。おかげさまで」
今この舟に乗り込み、そしてナラム・シンの玉座まで到達した戦力の全ては、先生の元へ集っている。
今のスオウ達に危機が訪れるとするなら、それは先生達から崩されること。あるいは、個々に分断され撃破されること。であれば、戦力は一箇所に集中するに限る。
その三人を主力として筆頭に、余裕綽々でやってきた別世界のスオウ相手に時間稼ぎ程度ならかろうじて可能である。
「……シロコちゃん?」
「ん?どうかした?ホシノ先輩」
サオリに続いてシロコの名を出されたことに違和感、というよりも危機感。
かわいいうちの子が姉なる者の毒牙にかけられたのでは、と心配して声をかけてみるも、振り向いたのはこの世界のシロコの方。今は棚に上げて、後で小一時間問い詰めることにした。もちろんスオウの方を。
「よっしゃ、そしたら続き行ってみましょうか!ここは任せます!」
「“うん。私も、できる限りはサポートするね”」
「はい!」
そんなことは露知らず、足をスクワットの要領でグッと縮めるスオウとアズサ。その足が震え出して直後、彼女達の目の前でナニカが爆ぜ。
「“っ……!?”」
アトラ・ハシースの箱舟そのものが大きく傾き、下方向へ加速した。即座にアリスとケイが対応したため、その事実を知るものはいない。
しかし、戦いのステージが違う。そのことを、先生は本能で思い知らされた。
「が……ぅ……」
一方、別世界の桐花スオウ。ナラム・シンの玉座の壁にめり込みながら、彼女は回復を図っていた。
まだ肋骨の骨折が治っていない。油断していたとはいえ幾層にも織り重ねた防御を軽々と突破して、この威力。治るまでは、胸の一部が完全に消し飛んでいた。
「っ……ふ、う……!?」
そのダメージの回復と共に、脳は徐々に正気を取り戻していく。同時に、何かにエネルギーの消耗を強いられる感触は強くなっていく。殺意は、先程までよりさらに強い。
肉体へのダメージが積み重なるほどに、壊れた理性が形を成し。それと同時に、無名の司祭による次の『嚮導者』作りが進行していた。
「ふぅ……治った」
その事実を知る由もなく、スオウは完治と共に恐怖を周囲に展開。何かに監視されている感触がある、おそらく自分の居場所はとうにバレているのだろう。
であれば、どうする。この舟を破壊するための巡航ミサイル。それを作り出せるほどに恐怖の出力が回復するのは、まだあと一、二分はかかる。
「くそ……」
あの化け物相手に、その時間のどれだけ長いことか。
舟中に恐怖を張り巡らせながら、スオウは悪態をつき。
「っ……!」
音ではない。衝撃でもない。予感だった。
何百、何千回に渡る戦いの記憶。その経験から裏付けられる、『敵意を向けられた』という感触。
「っ、らぁ!!」
その感触に従って、恐怖で肉体を最大限に強化。さらに拳を模した巨大な物体を腕に纏わせて、意識の大元に向けて振り抜く。
「ゥおらァッ!!」
「ッ……!」
直後、衝撃。ほんの小さな、子供のそれと相違ない拳が、巨大な拳とぶつかり、せめぎ合う。
そこまでの行動は、ほとんど無意識。今の彼女に生存本能などというものがあるのかはわからないが、限りなくソレに近いモノが彼女の肉体を突き動かしていた。
「ふんっ!!」
しかし状況を把握してからの彼女の行動は早い。恐怖でできた拳の一部を爆弾に変え、前方向への一瞬の威力の増加。
僅かに拮抗が崩れた隙に移動、アズサともスオウとも判別がつかない彼女の腹に掌を当てる。
「なっ」
「消えろ」
そうして恐怖を用い生成するのは、銃でも爆弾でもない。拘束。と、同時に。先程ナラム・シンの玉座に張り巡らされた
「っ……!」
ほんの一秒にも満たない時間で迫り来る瓦礫。スオウとアズサは即座に拘束を破壊し、回避。
「させねぇよ」
しようとすることは百も承知。別世界のスオウは四方に壁を展開。具現化させた恐怖を霧散させれば、何ら問題はない。
大規模な質量攻撃。焦っているところを見るに、巡航ミサイルに二度目の対応はできない可能性がある。であれば、時間を稼ぐにはこれがベストであろう。
『ARIUS!!!』
「っ……?」
無論、その思考は正しい。問題は、たとえ最適解を選んだとて。
「お姉ちゃんッ……!!パンチッ!!!」
「かっ……!?」
その全てを破壊して来る理不尽そのものが、今自分の戦っている存在なのだ、と。それを理解できなかったことくらいだろう。
ふざけた掛け声と共に破壊された恐怖、何よりその拳圧で散らされた瓦礫。それらに驚愕しながらも、桐花スオウは動きを止めない。動きを止めれば敗北するとわかっているから。
『GEHENA!!!』
粉砕された瓦礫を足場にしながら移動。先程二回みせた動き、異常なまでの加速と速度は瓦礫で防ぐことができる程度のものではない。
だが視界を塞ぎ、そして何より目で追うことが難しいそれを、瓦礫の崩壊によって確実に観測することが可能となる。
「まだま、だッ?」
「ばーか」
再び加速して迫るスオウとアズサの顔面に向けて、逆にカウンターをぶち込んでやる。
ただでさえリミッターの外れた肉体、自身の体を崩壊させる程の速度、さらには拳に纏わせた爆薬による衝撃。その威力は計りれない。
「いったぁ……!?あ、アズサ!!大丈夫ですか!?」
「なんとか……鼻血が……」
「っ、このォ……!よくもかわいい妹の顔に傷を!!」
それでもなお「多少のダメージだ」と襲いかかって来るのだから、やはり怪物と言わざるを得ないだろう。
スオウが知ったことではないが、今の彼女達は状態の共存、その応用によりダメージを分散。さらにはシッテムの箱による防御、そしてマユミ謹製の装甲を神秘で強化することによって攻撃に耐えていた。
「俺は拳をおいただけ。やったのはおまえだ」
「……っ……ご、ごめんアズサ……お姉ちゃん酷いこと」
「いいから!これは向こうのスオウが悪い!だからちゃんと戦って!!」
『君の自己認識の杜撰さは相変わらずなようだね』
今のアズサは強くなっているものの、やはり戦闘の主体はスオウ。相手の言葉に落ち込むことにより一時的に肉体の制御権の全てを投げられ、アズサは焦ってスオウを励ました。
「んん、それはその通り!お姉ちゃん妹のために頑張っちゃうぞ、っと!」
『TRINITY!!!』
「へ?」
突如切り替えられたスーツの能力に、困惑の声を漏らすアズサ。すると、通信機器から声が聞こえてきて。
『お、お姉ちゃんも妹のために頑張っちゃうぞ!』
『出しゃばんな黄色ォ!!』
『オラオラ!!このまま交互に喋ってエチケット袋無しじゃ生きてけない体にしてやんよ!!』
『や、やめてよぉ……!うぷっ……!ま、まって……やめて、ほんとに……は、はいちゃ、おぇっ……!』
「……」
アズサは何も聞かなかったことにした。
一応世界の命運を賭けた戦い、のようなものだろうに、どうしてこうも緊張感がないのだろうか?
「……?どうかしましたか、アズサ」
「……いや、なんでもない」
それでも、あんな顔で一人で戦わせておくよりはずっといい。こうして、皆で戦える方が。
「そうですか!それじゃあ、バンバン行きますよ!お姉ちゃんは妹がいれば百人力の最強無敵!たとえ神様が相手だってバックブリーカーかましてやれるんですから!」
『スオウちゃん、シオちゃんのことあんまり言えないよね……』
「……ふふっ」
こうして、隣に並んで戦える方が、ずっとずっといい。今度こそ、自分が彼女の助けになると誓ったのだから。
「ところでアズサ、お姉ちゃん今思考を共有してるってお話をしたくって……」
「うるさい!今更こんなので照れないで!!」
「あ、あとその、先生の件は何卒内密に」
「わかった!わかったから!!」
いや、どうだろうか。あんまりよくなかったかもしれない。
スオウの言動に少し呆れ果てながらも尚、アズサは戦いの手を止めない。
「この……!ふざけ、やがってぇッ!!!」
『GEHENA!!!』
『いけッ、スオウさん!!イフリートストリーム!!』
「ありませんよそんな技!!」
その様子を見て、別世界のスオウは苛立ちを隠せずにいた。
『じゃあなんか技出してよ!私今すっごくワクワクしてる!』
「え、えぇっと……で、デビルファイア!パンチ!」
『……まあ、君にその手のセンスを期待する方が間違っているだろうね。サユリだったか、あまり』
『ダサいのが逆に良い!』
「アリなのか」
なぜそんなふうに戦えるのか。この世界の危機だというのに。
「しね、死ね死ね死ね死ね死ね殺すっ……!!」
「アロナさん!!」
『要求を確認。砂狼シロコ』
『ん!』
なぜそんなふうに手を取れるのか。世界を滅ぼそうとした相手だというのに。
「ナイスシロコ、一万お姉ちゃんポイント!!妹深度が限界突破です!!」
『スオウさん……その、あんまり他所様に迷惑かけたらダメよ?』
「他所じゃないです!妹!」
なぜ彼女の周りには大切な人がこんなにもいるのか。自分には、もう一人も残っていないのに。
『大真面目に、君の人格形成に興味がある。正直予知の力で見た範囲でもよくわからない。なぜ妹にするという結論に至ったんだい?』
「私!!お姉ちゃん!!」
「生まれた頃からおかしかったんだ、きっと」
『む、昔は普通だったよ……?』
なぜ、なぜ。
「この、野郎ォオッ!!!」
「させない、です、よっ!!」
「っ……!!」
なぜ自分は勝てないのか。
大切なものなんて、全部失った。全てなくなった。だから全てを捨てた。全てを捨てたら、この力が手に入った。
「クソっ……!クソォっ……!!」
皮肉な話だ。欲しかった力は、守るための力は。守るものが、一つも無くなってから生えてきた。
「おまえは……!おまえにだけは……!」
だからだろうか。そんなことだから、彼女は全てに期待することをやめた。
この世界に神様がいるのなら、悪逆非道か何も考えていない無能の低脳。そもそも、ベアトリーチェ如きが存在を許されている時点で神はいない。
「殺すッ……!」
「……」
だから、この世界で起こることに意味なんてない。何をしようが、全ては無意味だ。そう思った。そう思うことでしか、生きられなかった。
妹の死に意味なんて考えられなかった。自分の犠牲には何も意味がなかった。それが偶然?運が悪かった?ふざけるのも大概にしろという話だ。
「ああ、やっぱりそうだ」
だからこそ、この世界に来て。認められなかった。
「あなた、少し前から正気に戻ってるでしょ?」
「っ、うるせぇッ!!うるせぇえええええッ!!!」
『な、なんで煽ったの!?怒ってるよぉ!?』
この世界で、普通に過ごしている。幸せになっている。妹達と、笑い合っている。
ああ、そんな世界があるのだな、と。そんな可能性があるのだな、と。
「何がわかるんだよ!!お前に何がわかるんだよ!!?」
───じゃあ自分があんな結末に陥ったのは、唯の怠惰だったとでも言うつもりか?
ふと、そんなことを思った時には。体が動いていた。
醜い嫉妬心。そして、自己保身。
「知りませんよ!!知って欲しかったらちょっとくらい話聞きやがれってんです!!」
『すごいな。一分一厘余すところなく過去の君に言って聞かせたいくらいだ』
「過去は過去!私は成長したァ!!」
この世界に来て最初に桐花スオウを襲ったのは。殺そうとしたのは。所詮、その程度でしかない。
そして、その手を止めたのは。トドメを刺せる状況だったのに。その手が止まった理由は。
「なんで……!!」
『急いでください、桐花スオウ。白洲アズサ。もう彼女の出力が戻るまで、数秒しかありません』
「上等!アズサ、行きますよ!!」
「任された!」
妹達だけは。守ろうとした。この世界がまた滅ぶと思っていた。あんなものを拵えた。アヌビスを殺そうとした。
全てが無意味だと思っていたのに。そんなことをした理由は。
「おまえは……!!お前だけは!!絶対に許さない!!」
「ムカついてるのは!!私だって、一緒ですッ!!」
渦巻いて、納得のいく答えなんて一つも見つからない。
グラグラの精神に鞭打って、ほとんど回復した恐怖を使い、作り出すのは無数の銃火器。彼女の奥の手のうち、一つだ。
『GEHENA!!!』
「いきなり殺そうとしやがって!!」
無論その多くはシッテムの箱のバリアで逸らされる。しかし光や音、そして空気は話が別。
音響爆弾。閃光弾。光の剣。毒ガス。展開した武器の中に混ぜられたそれが、容赦なくアズサとスオウを襲う。
『MILLENNIUM!!!』
「挙句の果てに妹達を拉致監禁!!マユミとアシリとサユリにも酷いことして!!シロコのことも殺そうとして!!」
しかしそれらは、マユミが展開したドローンによって一部を打ち落とされ、そしてセイアの予感によって深刻なダメージは避けられていた。
『TRINITY!!!』
「先生とミカと!!みんなのことも傷つけた!!それを絶対許さない、だなんて言わないけど!!」
スオウは、ベルトを三回叩く。アズサと思考を共有して知った、切り札の使い方。
『GEHENA-MILLENNIUM-TRINITY!!!GEHENA-MILLENNIUM-TRINITY!!!GEHENA-MILLENNIUM-TRINITY!!!』
『うわぁああああ!?ちょっとマユミ!!これ安全管理どうなってんだよ!!』
『アンタの要望でしょうが!耐えなさい!!アシリもあとちょっとよ!!……アシリ?』
『うぷっ……!お、おぇぇええええええっ……!』
「お仕置きくらいは受けてもらいますよ!!」
光り輝く肉体。赤と黄色、青。全ての色が混ざって、一点。完全な、白の一色に。
『OVER-OVER-OVER-DRIVE!!!』
「こんだけ好き勝手やったんです!!」
どこか、別の世界に飛ばされた。そう錯覚するほどの、光と駆動音の散乱。
具現化しようとした恐怖は崩れ果て、防御一つすることなどできず。
「『
「っ……!?」
瞬間、衝撃。
「が、あああああああっ!?」
「この野郎ォオオオオオオオオっ!!!」
桐花スオウの体に、真っ白な光の一直線が突き刺さった。