多分。恐らく。
───アリウス分校。キヴォトス内にある学校の一つ。
しかし、この学校は他校と少し事情が異なる。
前提として、昔アリウス分校の周辺には、様々な学校があった。それぞれの関係性はあまり良いものとは言えず、かなり危険視されていたわけだ。
それを防ぐために開かれていたのが、ティーパーティという話し合いの場。
いつしかその中でも主要な学園であるパテル、フィリウス、サンクトゥスという3校が中心となり、トリニティ総合学園という巨大学園へと変貌した。
ティーパーティは生徒会長3人を中心とした生徒会の組織名となり、三頭政治体制を採用。
以降争いの種は絶え、未だその勢いは衰えを知らない。
…それだけなら、よかった。
輝かしい歴史の裏には、いつだって踏み潰される者たちがいる。見て見ぬフリをして、もみ消した問題がある。
その一つが、アリウス分校だ。
トリニティの設立に唯一反対したアリウス分校は、トリニティ設立後に迫害、弾圧され、その存在は歴史の闇へと葬られた。
トリニティの抱える問題はそれだけじゃない。
トリニティ内での派閥意識の増長、それによる政治的内乱。
また、トリニティは巨大学園になったことにより、ゲヘナというもう一つの巨大学園と争えるほどの武力を手に入れた。それが両校間で確執を生み、争いを生み。
それら全ての要素を糧にして、ブルアカ本編では大きな問題が生まれる。
その中心となったのが、恨みに牙を研ぎ続けてきたアリウス分校。
正確にはアリウス生に恨みを刷り込み、増幅し、利用した、『大人』の一人であるベアトリーチェという人物。蔑称…もとい、愛称はベアおば。
彼女はアリウス分校の内乱に乗じて実権を握り、洗脳そのもののような教育を生徒に施し、自分にとって都合のいい駒にした。
どこぞのオカッパギャングに一度殴って欲しい邪悪なのだが、彼女は本編開始の十年前から実権を支配をしていたらしい。
そんな彼女の目的は『色彩』と呼ばれるキヴォトスの外の存在に触れ、強大な存在になること。
ここだけ切り取ればただのイタイ子ちゃんなのだが、それを実行しかけるのが恐ろしい。
と、まあこんな複雑な感じのがアリウス周りについてというわけだ。
んで、そんなヤバいとこだらけの中でもとりわけヤバい場所にいるのが俺、ってわけ。
…俺、これからどうなるんだろう。
元の世界に、帰れるのかな。
「…ぁー」
…できれば、戻りたい。
戻って、俺は無事…無事…?…まあ、一応生きてるって、家族や友達にそう伝えたい。
そのためにも、生き残らなくては。
そういや拾ってくれた女性…長いな、仮称ヒロコさん。
何回か心配そうにこっち見てるな。まあ、あの雨で体力的に弱ってたしな、俺。
「ぅー…」
んー。ベアおばが既に来てたら、もっとピリつくと思うんだよな。未来に希望なんかねーぞーとか言ってたらしいし。
随分雰囲気が柔らかく感じるのは本人の気質か、俺が赤子の体だからそう感じるのか。
まあ、ベアおばは多分まだいない、はず…。
「…ぁ?」
赤子の、体…?
ちょっと待て、俺ヘイローあったよな?つまりこの体、キヴォトス人の、生徒の、幼体…?
やれ生徒は忘れられた神々だ神秘が宿るだ考察されてたがそんなことはどうだっていい。今重要なのはそこじゃない。
…ブルアカ本編には、人型の人間は女生徒しか出てこない。
そして、今の俺は?頭に浮かぶヘイロー、恐らくは人間の形をしており、アリウスに拾われた以上、ここの生徒になる可能性が高い。
つまり人型の人間で、生徒。
「うぅー…」
いや待て。落ち着け。キヴォトス人の繁殖方法は示されちゃいねえが、希望を捨てちゃいけねえ。
俺という赤ん坊が確かにいる以上、オスの幼体だっている可能性が否定できない。
某頭ピンクのエロ本にはちゃんと男も描いてあった。生徒たち自身にも恐らく性欲はある。
つまりそれは…まあ、その、所謂セッ…!を通して子をなすということ。そのはずだ。そうじゃなきゃおかしい。
大丈夫。大丈夫だ。俺は俺の息子を絶対諦めない。
「うう!」
意を決して、両の手で自らの股をまさぐる。
「…」
…『無い』。俺、女の子になっちゃったみたいです。
「あああああああ!!!」
「!?どうした!?」
あっ、ヒロコさん心配してる。
優しいね、恋人にするならこういう人がいいよね。もう無理だけどね。
…クソッタレめ!!!
ベアトリーチェ
・ゲマトリアという組織に属する、キヴォトスの外から来た人間(?)。
・頭に目がたくさんついた異形で、恐らくは女性。
大人
・キヴォトスには人型のものは作中で描写されていない。
キヴォトス人
・キヴォトスに住まう人々。獣人やロボットなど、多種多様な形がある。
・ヘイローを持つ生徒は特別頑丈だが、それ以外の住人も銃や爆発で死なない程度には頑丈。
色彩
・『先生』と呼ばれる者や、ゲマトリアと同じキヴォトスの外にいる存在。
・キヴォトスに終焉をもたらすと言われている。