修正前:私それ止めるために嫌々生徒会長になったんだからね!!?
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修正後:私それ止めるため人前苦手でも頑張ってるんだからね!?
あと第5話「権力者二人。ただし変人。」にも若干セリフが追加されてます。
詳しくは今日(2023年7月16日)の更新の後書きで説明します。
以後、このようなことがないよう注意します。申し訳ございませんでした。
この世界に生まれ出て、六年の月日が流れた。
鏡の前に立ち、服装を整える。
鏡に映るのは、中肉中背の青年…などではなく、可愛らしい小さな女の子。
「…うーん、幼女だ」
おはようじょー、と右手をあげてポーズをとるともはやただのロリだ。本当に自分を見ているとは思えない。
…うん。まあ、キヴォトスの科学力なら、いつか男に戻れる日も来るだろ。多分…いや、そうあってくれ…!
折角美少女が多い世界に来たのに恋愛できないとかあんまりだろ!?
「はぁ…けど、それより問題なのがなあ…」
改めて、自分の容姿をよく見る。
焦茶色の艶のある髪、深緑の目、茨の冠を模したヘイロー。そして…白と黒の瞳の、オッドアイ。
ええ。オッドアイでしたとも。
「はぁ…」
原作にも、オッドアイのキャラは三人いた。アビドス高等学校の小鳥遊ホシノ、砂狼シロコ、そしてシッテムの箱のメインosであるアロナ。
「厄ネタの予感しかしない…!」
ホシノはキヴォトス最高の神秘であり、別名暁のホルス。アホみたいに強くて硬いし、ゲマトリアに目をつけられていた。
シロコはホシノに次ぐ神秘を持ち、別名狼の神。ホシノの代わりになれる存在であり、黒服に保険のような扱いをされていた。
アロナは言わずもがな、シッテムの箱などというオーパーツのメインos 。
そう。オッドアイキャラはただでさえ数が少ない上に、なにか厄ネタを抱えている。本当碌でも無い。
「多分、人より神秘とやらは多いんだろうな、俺…体もやたら頑丈で強いし」
同年代の他の子供に比べて、かなり力が強い。
加えて、これは少し前の話だけど、諸事情で銃撃戦に巻き込まれて戦車砲ぶち込まれても動けなくはならなかった。
…本当治安が終わってる、この世界。
まあだから多分人より神秘が多くて、体が強い。
まあ、メリットと言えばメリット…なんだけど正直、あんま嬉しくない。
場合によっちゃ黒服に狙われる分はデバフもいいとこだ。
「ま、言ってても仕方ねぇか…」
いずれにしよ、内乱を止めるためにはもう、動くしか無い。
◇
俺が服装を整えていた理由。
ありうす小学校…なんて名前ではないが、まあよく似た教育施設のようなものに入れられたのだ。
そもそも、俺が以前から住んでいた寮みたいな場所がその敷地にあるんだけどね。とんだクソトラップだよ。
まあいい。んで、今日がその入学式。
壇上みたいなところで長い青髪のお姉さんが新入生に挨拶をしている。
ここでは銃の扱いや一般教養、戦闘の基礎などを学び、いずれはアリウス分校に進学することとなる。
代わりに衣食住は保証され、満足とは言えないが食事も出るし、必要物資は理由次第である程度提供してもらえる。銃弾、本、筋トレ器具、etc…などが該当する。
…多分、かなり恵まれている方なんだろうなあ。
人員確保のためとはいえきちんとした教育を受けられて、多少アレなとこはあっても衣食住を提供してもらえるのは、この上ない幸運と言えるだろう。
「諸君らには次世代を担うアリウスの一員であることを…」
しっかしこの人、話長いなあ…アリウス分校生徒会長なんだったか?
…たしかに、秤アツコに顔が似てる…ような?リアル調になってるからよくわからん。
…いや、やっぱ似てねぇな。
「…以上を以って、新入生諸君への挨拶とさせていただく。よく励むように」
…やっと終わったか。長かった。
「では、クラス別に教員についていけ。各教室に着いたら、待機しているように」
教員…ヘイロー持ちの大人か。アリウス分校卒者の。
「では、この列の皆さんは私に…」
◇
「あぁあ゛い!!!疲れたあ!!!」
部屋のベッドに飛び込み、思いっきり叫ぶ。
本っ当に疲れた。どうにも幼いこの体に長時間の拘束は、かなり負担になったようだ。
「やってる場合じゃねぇ…早く動かないと…」
情報収集のために。
この三年間…いや、まともに動けるようになったのはここ二年くらいだけど、定期的に夜中に部屋を抜け出し、自治区内外で情報収集をしていた。
内乱を無くし、ベアトリーチェを来させないために。
結果、わかったこととして…。
「できることが無さすぎる!!!」
ええ。ありませんでしたとも。
権力者の息子…じゃないか、娘…うん…娘…でもなければ、高校生に比べ圧倒的な力を持つわけでもない。
そんな子供が、内乱を事前に止めるのは無理がある。そういう結論に至った。
「はぁ…ばにたす」
ばにたすばにたす。
何もせずに終わるつもりはない。
俺には見た目より発達した頭脳と、恐らくアリウス最高峰の神秘と、何より原作知識がある。
ただの子供ではない。精神年齢で言えばもう大人のはずだし。
「とりあえず、できそうな計画をまとめるか…」
自習用机の引き出しを引いて、ボールペンの芯を使って二重底の蓋を開ける。
「…我ながら、よく作れたもんだなぁ…」
下手に開けると電気が通ってノートが燃える、安心安全の隠し場所。
ここならバレる心配もあるまいて。
サンキュー新世界の神。
そんなくだらないことを宣いながら、ノートのページを開く。
もちろん情報もしっかり集めてはいるが、それだけではない。
きちんと内乱を止める計画はしてきた。計画してるだけだけど。
「えーっとまず…過激派のトップを闇討ち…ちょっと厳しいか?」
そもそも今の俺で勝てるのか。
一応、すでに銃撃の訓練は遊びの一環でしているし、なんなら何度かヘルメット団や公安維持局から逃げおおせて見せた。
だが、その程度の実力で高校生に勝つのは厳しいだろう。
というか明白なトップが存在しない以上、実行不可能だ。
「やめ。次…トリニティ、ゲヘナ等外患誘致、及び継続的な監視体制の強化による動きの抑制…論外」
トリニティ、ゲヘナへの恨みを増長させてどうする。
一時的な解決にしかならない。
「次…全部話す、か。これはなぁ…」
ベアトリーチェが来て、この学校は洗脳教育を施されます、なんて言ったところでなぁ…そもそも、過激派からすればそれでトリニティを滅ぼせるのなら御の字なわけで。
ムリダナ。
とはいえ、人を選べば悪くはない作戦だ。穏健派の人間で信用できる人間にのみならやっても良い。
「一部採用。次。過激派を残して、残った全員で逃げる…」
アリウス分校を、継続不能な学校にすること。手段の一つとしては考えていた。
が、これも無理だ。
過激派は穏健派の生徒はまだしも、子供という将来の貴重な戦力を逃しはしない。
現に、俺がこっそり抜け出したのが過激派に見つかったときは…思い出したくない…。
それに、どんな人間だって見捨てていい理由はない。
「はぁ…不採用。次。ヘルメット団を利用して、間接的にアリウス分校周辺の警戒体制を強化…これは、アリだな」
この案はとてもいいものだ。
そもそもがヘルメット団とは犯罪者集団。指名手配された生徒もいる。
そしてかなり大きな集団で、トリニティに支部が作られているのだ。
ブラックマーケット周辺にあり、アリウスからの距離も遠くない。
そんな彼女らの拠点を爆破すれば、彼女らは新しい拠点を探そうとするだろう。
それに伴って犯罪率の増加を引き起こす。公安維持局や正義実現委員会、ゲヘナ風紀委員が警戒体制をとれば、アリウスの人間も内乱をおっ始めるわけにはいかない。
ようは、外患誘致をマイルドにしたバージョンというわけだ。一時的にでしかないが、効果はあるだろう。
さらに言えばヘイトはヘルメット団に向かうよう、アリウスに侵入させればいい。
「まあ、これは採用でいいか…次、例の施設の爆破…これ調査済みだろ、消しとけよ…」
ベアトリーチェが目的にしている施設を破壊して、そもそもベアトリーチェをこさせない。
思いついた時は最高のアイディアだと喜んですぐに実行したが、そもそもあれはベアトリーチェがアリウスに来たのちに建造されたもの。
まだ存在しなかった。
もっとも、それが建設されるであろう施設は目星がついたけど……ないものを破壊することはできない。
「えー…次に…」
◇
「…うーん?難しいな…」
頭を湯立たせながらなんとか全て浚ってみたけど、あまりいい案があるようには思えなかった。
幸先不安なんてものじゃない。
「…でも、目下の目標は決まった」
今の俺に足りていないもの。
知識、武力、技術、権力、その他諸々…いや何もかも足りてないけど。
だからこそ、今必要なのは。
「互いに絶対的信頼を置ける協力者が欲しい。できれば立場が強い、穏健派で」
協力者がいれば、武力を補うことができる。加えて立場が強ければ俺の行動範囲も広がるし、万々歳だ。
俺の全てを明かすことのできる、信頼できる人間。
今必要なあらゆる行動を代行してくれる人間。
つまりは、共犯者だ。
そんな都合よく見つかるとは思えないが、とにかく探してみるしかない。
「うん、何をするにおいてもまずそこだな」
そんなこんなで早速共犯者探しのため、いつも通りにトイレから外に出た。
◇
いつのまにやら夜になっていたようで、周囲を警戒しつつも割とのんびりとアリウスの育成施設の敷地内を出歩く。
この学校、アリウスの育成施設は、敷地内、かつ許可された時間帯であれば外出は自由だ。
が、しかし、勝手に外を出歩けばこっぴどく叱られる羽目になる…多分。
それ故に、できるだけこの敷地内の、それも教員で有望株を探しておきたいのだ。
とはいえ、人材の見極めはある程度してあるんだよなぁ…。
正直言って、教員側に穏健派なんつーものは珍しい。
わざわざ先のないこの学校に留まる奴だ、当然と言えば当然だが。
それでも穏健派が消え去らないのは、俺の様に『マトモ』に育てられる人間もまた多いからだろう。
それに、子供なんてみんな一様に厳しい大人が嫌いだしねっ!
『ぇ〜…』
「…ん?」
どこか遠くからか細く聞こえてきた声に、ふと耳を澄ます。
『ねー…やっぱ…も……さぁ!!わ……とかい……る!!!』
『んな……あん………すか!?』
「…んー?こっちの方かな?」
なんだろう?何かトラブってるのかな…。
「…ま、聞いちまったからには、な」
最低限様子だけでも見ておこう。
怪我人が出てたりしたらまずいし。
「よい、しょっと…」
小さい体を利用して校舎と校舎の隙間を通り、声の方向へと向かう。
「おーっ、やっぱりこっちの」
と、次の瞬間。
「だからさぁ!!!!言ってるじゃん!!みんなこっち見て心臓バックバックだったんだよ!!?私生徒会長向いてないんだよ!!!」
「声でかいッス!!誰かに聞かれたらどうするんスか!?」
「うるさいうるさい!!知ったこっちゃないよ!!もうやだぁ!!!この学校辞めるぅ!!今すぐこんなクソみたいな場所とおさらばして、素敵な王子様見つけるんだ!!」
「だーかーらー!!誰かがやるしかねぇんスよ!!!私じゃ弱すぎて無理っす!!!それに、プッ…王子様ァ?何スか、白馬に乗って薔薇散らしながらマァイハニィィとか言っちゃうんスか!?そんな奴いるわけねーッスよ!!!あんたに寄り付く雄は同種同科同属ゴリラ・ゴリラ・ゴリラくらいだ動物園行け!!!」
「う、うわぁぁあああ!!?アンナちゃんが言っちゃいけないこと言った!!ひどいひどい!!!その首へし折ってやる!!!」
「ちょっ、シャレんならねっス!!?私クソ雑魚ッスよ性能で言えばスライムAッスよマジで死ぬッス!!」
「……えぇ…?」
ちょっと待って欲しい。状況を理解する時間をくれ。
なんで昼まで俺の前で威厳たっぷりだった生徒会長が、こんなところで醜態を晒してるの…?
というか、スライムA…?とてもろくな娯楽がないアリウスの人間とは思えないセリフなんだけど…?
…いや待て。んなはずないだろ、これはアレだ、よく似た別人だ、きっと。
スライムAとか言ってたのもアレだ、銃の名前とかだろ。
「っ!!?」
あっやべっ、首締められてる人と目合った。
「そ、そこの幼女…!!助けてくれッス…!この女は頭がおかしい…!!!」
「え!?え、えっと…多分流れをみるに言い過ぎたあなたが悪いと思います…」
いや違う、真面目に答えるんじゃない俺!!
見つかったのは非常にまずいぞ!?
「そ、そんな無慈悲な…!?も、もういッス…!!こんな学校内乱でとっとと滅んじまえッス…!!」
「ね、ねぇ!?それ絶対言っちゃダメだよね!!?私それ止めるために人前苦手でも頑張ってるんだからね!!?」
…うん、生徒会長だな。間違いない。本人がそう言ってるんだから。
それで内乱を止めるためにと、なるほどなるほど。
…ちょっと待て今何つった!!?
「ね、ねぇ今」
「ぐぇぇえええぇぇ…!!!こ、コブラツイストぉ…!?あんたまた変なモン見ましたねぇ…!!?」
「プロレス漫画拾った!!!面白かった!!」
…いや確かに言っていた。内乱を止めたいって、そう言っていたはずだ。
しかも多分生徒会長だろ…!?権力も申し分なしどころか、十分すぎるくらいだ。
共犯者の相手としていいのかもしれない…いいのかもしれないけど…!!!
「お、おのれぇ…私が死んでも第二、第三の私がぁ…!!」
「ねぇ、そのゲーム拾ったの何年前だと思う!!?私が何でも覚えてると思わないでね!!?覚えてるけど!!」
この人たち、信用していいのかなぁ!!?
また3年経ちました。
序盤は割と明るめで行こうと思います。
万魔殿
・読み方はパンデモニウム・ソサエティ。
・ゲヘナという学園の生徒会。
神秘
・なんか生徒が持っているらしい何か。
・正直これは何?って聞かれるとはい、なんなんでしょうね…?
・本作では体や武器を強化する不思議パワーとして扱う。少年漫画によくあるアレみたいな。
・生徒が色彩に触れると、反転して恐怖というものに変化するらしい。
黒服
・ゲマトリアの一員。
・アビドス高等学校という場所で、恐怖を生きている生徒に適応できるかという研究を行おうとしていた。
シッテムの箱
・タブレット型のデバイスで、演算で攻撃の予測したりバリア貼ったりできる。
・アロナと呼ばれる幼女が住んでおり、メインOSとして先生のサポートを行う。