ts転生者の生徒が、頑張るだけのお話。   作:おにっく

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(スオウ)』の呼び声

「うぅ……結局水着に……!」

「あ、あはは……」

 

 なんとか落ち着き始めたアシリは、これ幸いとばかりに水着に着替えさせられてしまった。

 このままでは風邪を引いてしまうところだったので、仕方ないといえば仕方ないのだが。

 

「はぁ……というか、みんなすごい元気だね……私はもう眠くてフラフラだよ……」

「ま、まあ私は正義実現委員会のエリートだし!?この程度へっちゃらよ!」

 

 ポロッと弱音を漏らしたアシリに対し、自信満々にない胸を張るコハル。

 

「……そうか。コハルはすごいな。私は少し眠い」

「いえ、アズサちゃんはもっと、夜はちゃんと眠った方がいいと思いますよ?」

 

 それを肯定するアズサの発言に、見計らったようにハナコが反応した。

 

「……うん。今朝は寝坊して、みんなに迷惑をかけてしまった。慣れない場所で寝坊なんて、これまでほとんどなかったのに……」

 

 やや自嘲するような感情を抱きながら、アズサはふと考える。

 

 確かに今までは、比較的長期の任務……例えば潜入などにおいて寝坊することは、ほとんどなかった。と言うよりは、あまり眠れなかったのだ。

 その都度サオリやミサキに心配されていたが好都合ではあったし、気にしてもいなかった。

 

 だが今回、初めて寝坊をしてしまった。疲れていたからではない。その程度で寝坊はしない。

 ああそうか、これはつまり。

 

「……もうここは、『慣れない場所』じゃないからかもしれないな」

 

 ここが自分にとって、ある意味で居場所の一つになっていたからだ。

 そういうことなのだろうと、そう自己分析した。

 

「……とにかく、もっとしっかり寝た方がいいです。深夜の見張りは減らしていただいて」

「見張り……?何それ」

「ああ、毎晩夜中にちょっと見張りを……」

「“ハナコ、アズサのことをすごく心配してたよ”」

「そうなのか……?」

 

 やや驚き気味に、ハナコの方を向くアズサ。

 ハナコは、やや気まずげに笑っていた。

 

 確かに見張りをしていることはハナコに知られていたが、まさか心配されているとは思いもよらなかった。

 

「……ごめん。実は、見張りは言い訳で……ブービートラップとかを設置していたんだ」

「ブービートラップ……?」

 

 その設置という行為も言い訳、というか誤魔化しに過ぎないが、真実ではあった。

 

「どうしてそんなことを……?」

「心配しないで、普通に生活してる限り通るような場所には置いていなから」

「あ、ひょっとしてマリーさんの……」

「……あれは予想外だった。道に迷った時のことを想定してなかったから」

「可哀想だったねぇ、あれ……」

 

 ややバツが悪そうにふいっと目を逸らすアズサ。

 本当に、あの時は驚いたのだ。あまりに予想外の出来事だった故に。

 

「なるほど……ですが、それならそれで教えてくれると嬉しいです。どうしても、心配しちゃいますから」

「……そうか。うん、これからは気をつける」

 

 思ったより心配をかけてしまったのだなと自省しながらそう返した。

 

「私のせいで、先生とみんなが被害を受けるのは望むところじゃないから」

 

 そして自分の口からこぼれ出た言葉に、アズサは自分自身でも驚いた。

 まさか自分が、ここまで補習授業部の仲間と先生を大事に思っているとは。

 

「“アズサは優しいよね”」

「なっ……こ、子供扱いしないで、先生」

 

 きっと、スオウが言っていたのはこういう事なのだろう。

 友達の中に、きっと自分にとって大事な人ができる。間違いなく、今のアズサにとっては周囲の人間がそれにあたる。

 

「私は別に……そんなのじゃない」

 

 同時に、怖くなった。

 

「この世界は無意味で、虚しいもの……それでも、できることをする。けど……」

 

 もしも、自分が……。

 

「私はいつか、裏切ってしまうかもしれない……みんなのことを、その信頼を、その心を」

 

 ……自分が、アリウス分校の生徒で。トリニティの情報収集のためにここにいて。

 そのことがバレてしまったら、自分は……どうなってしまうのだろうか、と。

 

 それだけではない。アズサにとっては、アリウスのみんなも大切な仲間だ。

 

 もし、もしもいずれ……その二つを、天秤にかける瞬間が来たら、自分は……どうすればいい?

 

「……」

「アズサちゃん……?」

「……?」

「……」

 

 答えは、出なかった。

 

 

 

 

 そして、時間は過ぎていき。

 

「アシリ、ここはどうやるんだ?」

「あっ、うん、そこはねっ!」

 

「あ、あの、この問題って……!」

「あー、これちょっと応用してるね。ちょっと待ってなー」

 

「ねぇ、ここの文章」

「これは難しめだけど、どっかにヒントがあって」

 

「……」

「……あんた、なんで補習授業部入ったの?」

 

 勉強会は、驚くほどに順調だった。

 

 最初の頃は気合いを入れ過ぎてペースを調整しかねていたアシリも、徐々に進め方を理解していった。

 補習授業部の面々もいつでも質問して良い相手がいるということで、一気にその学習度を増大させていったのだ。

 

 そして迎えた、補習授業部内での最後の模試。

 

「“それじゃあみんな、結果を返すね”」

 

 浦和ハナコ。六十九点。

 

「あらあら、思ったより取れていましたね」

 

 なぜ六十九点なのかといえば、おそらく意図的なのだろう。

 コハルは気づいていなかったが、アシリは顔を真っ赤にしていた。

 

 次に白洲アズサ。九十点。

 

「すごい点数だ。予想以上に」

 

 元来、アズサの勉強の意欲と吸収率は凄まじいものがあった。

 環境さえ揃ってしまえば、彼女にとっては苦労こそあれど、点数を一気に上げることは不可能ではなかった。

 

 そして下江コハル。八十六点。

 

「ゆ、夢じゃないよね……?たった一週間で、ここまで……?」

 

 コハルもアズサと同じ、意欲はあった。

 ただしその吸収率については、アズサに比べれば著しく低かった。

 しかし自分一人で勉強するだけでなく、指導者がいるという状況が彼女には適していたのだ。

 

 最後に阿慈谷ヒフミ。九十二点。

 

「こ、こんな点数、私も初めて取りましたよ!」

 

 元々彼女は、勉強ができない方ではない。

 丸々一週間、昼間は勉強だけに力を入れれば、このくらいの点数は取れるようになることは明白だった。

 

「み、みんなぁ……よくやったよぉ……!」

 

 そしてアシリは、裏の方で枯葉のようになっていた。

 連日の監視に、カフェインの過剰摂取。もう限界だったのだ。

 

 しわしわの肌に涙を垂らし、感動に打ち震えていた。

 これならみんな、無事試験に合格してくれるはずだと。

 

 不安が残るのはハナコだが、彼女の場合不合格ならば全員退学、と知ってからこれだ。

 つまり、そういうことなのだろう。

 

 合格点が引き上げられれば、彼女も点数を上げるはず。故に、特段心配はしていなかった。

 

「“みんな、本当によく頑張ったね。おめでとう”」

「い、いえ!先生や、奉仕活動部のみなさんの協力もありましたから……ですから、これはみんなで出した成果です!ありがとうございます!」

 

 朗らかに微笑みながら、ヒフミは全員にお礼を言い、そして向き直る。

 

「ですが、試験まであと一日あります!張り切って勉強していきましょう!」

 

 和やかな雰囲気のまま、補習授業部の勉強会は始まった。

 

 

 

 

「……お待ちしておりました。ご無沙汰しております、先生」

 

 そして、第二次特別学力試験前日の朝。先生は、桐藤ナギサに呼び出されていた。

 

「あれからお変わりはありませんか?合宿の方はいかがでしょう、何か困ったことなどありませんでしたか?」

「“うん、おかげさまで何とか。ところで今日はどんな用事?”」

 

 互いに形式的な挨拶を交わしながら、先生はナギサに用事を尋ねる。

 

「ふふっ……この合宿は言うなれば元々、『生徒たちをよく観察できるように』という配慮でした。まあ、最近ですと余計なのも入り込んでいるようですが……」

 

 そう言ってナギサはわずかに冷たい目つきを見せ、そしてすぐに笑顔を取り繕った。

 

「そういうことなのですが、いかがでしたでしょうか?何か判明したことなどありましたか?……いえ。『トリニティの裏切り者』はどなただと思いますか?」

 

 迂遠な言い回しはやめ、直接的に尋ねるナギサ。

 彼女としても、もうあまり余裕はなくなっていたのだ。

 

「“……前と同じになるけど、私は私のやり方で対処するよ”」

 

 そんなナギサに対し、先生は以前と同じ返答を返した。

 ナギサは若干の苛立ちを感じながら、それを臆面に出さず冷静に言葉を紡ぐ。

 

「……そうでしたね。ただ、改めて確認しておきたかったのです。そのためにこうしてお越しいただいたわけで」

 

 そしてナギサは、今回の核心とも言える話題へと変更する。

 

「……おそらく、ミカさんも接触してきましたよね?」

 

 聖園ミカ。桐藤ナギサの幼馴染でもある彼女は、端的に言えばアホである。

 頭が悪いわけではないが行動が直情的で、楽観的。

 

 最近では、徐々に変わりつつあるようだが……彼女のことだ。

 どうせ、『ナギちゃんが良くないことしようとしてるー』、などと考えて、先生に無警戒にも接触を図ったはずだ。

 実際卑怯な手段を使おうとしているのは間違いないが。

 

「“……えっ?”」

 

 しかし先生から帰ってきたのは肯定でも否定でもなく、困惑だった。

 

 演技かとも疑ったが、本当に困惑から漏れ出た言葉にもならない反応だったのだろう。

 

「……考えすぎでしたか」

 

 そんなはずはない。彼女の知るミカなら必ず先生に接触し、そして自分を止めようとするはずだ。

 

 何故?

 

 疑問符を頭に浮かべながら、察せられまいと話を進める。

 

「いえ、気にしないでください。では、知らないのでしょう。何故彼女たちなのか……僭越ながら、私から説明させていただきます」

 

 ともすれば、先生にはまだ説得の余地があるのかもしれない。

 何故彼女たちが疑わしいのか、その理由さえ知らないのだから。

 

「まずコハルさん。ハスミさんを統制するための存在です。ハスミさんはゲヘナのことを憎んでいます。いつ何をしでかすかわからない存在です」

 

 ナギサの説明を、先生は心の中で否定する。

 先日ヒフミたちと夜の街に繰り出した際、たまたま偶然出会ったのだ。

 

 ナギサの言うゲヘナへの憎しみはいわば個人単位のもので、憎しみと呼ぶほどのものでもない。

 何より、違法行為を働いた美食研究会をルールに則ってゲヘナへ送り返している。心配するほどのものではないだろう。

 

「そしてハナコさんは本来誰よりも優秀な才能を持っていたにも関わらず、今はわざと試験で本気を出していません。何を企んでいるのか、全く理解できない状態です」

「“……”」

「アズサさんは、存在自体が色々と怪しいところです。それに、他の生徒とも何度か暴力事件を起こしている統制不可能な存在ですし。ヒフミさん、は……」

 

 と、ナギサはそこで言葉を詰まらせる。

 その一瞬の迷いを、先生は見逃さなかった。

 

「“ナギサは、ヒフミのことを……”」

 

 ナギサはわずかに逡巡しながら、意を決して口を開く。

 

「……はい。そう、ですね。ヒフミさんへの思いは……かなり特別です」

 

 彼女にとって、先生との対話で初めて見せた自分自身のための本音だった。

 

「私はヒフミさんのことを、とても大切に思っています。私は、彼女のことを好いている……そのことは、間違いありません」

 

 ならば、何故。

 そんな先生の疑問に答えるように、ナギサは続ける。

 

「ですが……あの子の正体が実は、恐ろしい犯罪集団のリーダーである、と言う情報がありました」

「“……”」

 

 心当たりしかない話に、先生は静かに冷や汗を垂らす。

 この件は絶対に漏らすわけにもいくまいと、察せられないよう袖で汗を拭い取った。

 

「こういったお話が、かえって一番怖いのです。信じていたからこそ、盲目な状態になっているのではないか、と」

 

 暗い顔で俯きながら、ナギサは尚言葉を続ける。

 

「私はちゃんとヒフミさんを理解できているのか、それともやはり私が知らない真実もあるのか……私にはわからないのです」

 

 初めてナギサが見せた弱さ。

 もはやなりふり構ってはいられないと、先生は意を決して話し始める。

 

「“誤解だよ……ちゃんと理由があって、私から説明”」

「どうやって?」

 

 ピシャリと。ナギサの一言で、切り捨てられてしまう。

 

「証明ができるのですか?ヒフミさんの心を、本心を、本音を、どうやって証明すると言うのですか?……心の中身など、証明できるものではありません」

「“……”」

「ヒフミさんの優しい心、礼儀正しいところ……それらを痛いほど知っていても、本音を知ることはできないのです。……私たちは所詮、『他人』ですから」

 

 そこまで言われて、先生はようやく気づいた。

 ナギサの思い、苦悩に。

 

「“……わかったかもしれない”」

「……?」

「“ナギサ。今の君はきっと、疑心暗鬼の闇の中だ”」

 

 慎重に言葉を選びながら、ナギサに自分の考えを明かしていく。

 

「……はい?疑心暗鬼の、闇……?」

「“君を、そこから出してみせる。そして絶対に、補習授業部のみんなを合格させる”」

「……」

 

 明白な対立。

 

 やはり先生からの協力は得られないかと、諦めの感情を抱く。

 

「……ふふっ、そうですか。まあつまりは、お話がシンプルになりましたね……承知しました。どうか頑張ってください、先生」

 

 であれば、こちらも相応の対応をするのみだ。

 内心そう考えながらも、笑顔で先生に別れを告げた。

 

 

 

 

「明日はついに、第二次学力試験です!この一週間で、私たちはしっかり合格できるだけの実力を身につけられたはずです!」

 

 放課後、トリニティ別館にて。

 

 ヒフミが中心となり、皆を鼓舞しながら締め括ろうとしていた。

 

「み、みんなぁ!!!大変だよぉ!!」

 

 そんないい雰囲気を壊すかのように、一時離席していたアシリが扉を開いて入ってきた。

 

「っ!?あ、アシリさん!?どうされましたか!?」

「こ、これっ!!見てこれっ!!」

 

 息も絶え絶えに、自分のスマートフォンの画面を見せるアシリ。

 

「……え。ええっ!?」

「ど、どうかしましたか?」

「え、嘘っ!?嘘ですよね!?」

 

 あまりの驚愕に未だ現実を受け入れられないヒフミに代わり、ハナコが内容を読み上げる。

 

「ええっと、『補習授業部の第二次特別学力試験に関する変更事項のお知らせ』……?」

「そ、そうなの!!試験範囲が、三倍に拡大だって!!しかも、合格点が九十点に……!」

「はぁっ!?何それ!?」

「“これは……”」

「なるほど、ナギサさんの仕業ですか……ですが、少々想定が甘いようですね。模試結果を入手できなかったのでしょうか?」

「あ、あはは、そうかもね……」

 

 実際にはマユミの指示に従ってアシリが偽装した模試の結果を用意していただけだったが、アシリは笑って誤魔化した。

 加えて、盗聴器と盗撮機も幸いした。おかげで、ティーパーティの息のかかった人間が別館に近づいて来た時即座に発見することができた。

 ミレニアムの技術力様様である。

 

「それに、このくらいの範囲なら余計にやった分がありますし……あらあら、何だかずいぶん私たちに都合がいい話ですね?」

「ひんっ!?」

「……後でお話を聞かせてくださいね?」

「うぅ、はい……」

 

 ハナコには色々とバレてしまったであろうことを察したアシリは若干落ち込みを見せ、しかしそれどころではないと奮起する。

 

「そ、それだけじゃないの!!試験会場、見て!!」

「あ、こっちにも変更が……『ゲヘナ自治区第十五エリア七十七番街、廃墟の一階』……ゲヘナ?げ、ゲヘナで試験を受けるんですか!?」

「そ、そうだよまずいよこれは完全に想定外だよぉ!!」

 

 このままではせっかく勉強したその成果も発揮することができず、不合格になってしまう。

 

「な、何でよ!?どうしてトリニティの試験をゲヘナで受けるわけ!?」

「……障害物に文句を言っても仕方がない。すぐに出発すれば、間に合うかもしれない。急ごう」

「わ、私たち奉仕活動部もついていくよっ!!急ごう!!」

 

 ゲヘナの治安など、たかが知れている。

 おそらくはそれにより試験会場へ到達できない事を目的とした会場設定だ。

 

 であれば、奉仕活動部でも多少の援護はできるかもしれない。

 

「ありがとう。みんなも、銃火器の準備は忘れずに……私も、少し用意をしてくる」

 

 

 

 

「んー?何だか見慣れない奴らだなぁ?」

 

 数時間後、ゲヘナの自治区に到達した一行は、挨拶とばかりにゲヘナの不良生徒に絡まれていた。

 

「無視とは冷たいねぇ、そんなに急いでどこにいくのさ」

「わあ、無法地帯といえばこれ、みたいな古典的な感じですねぇ」

 

 皮肉たっぷりに笑顔で話すハナコ。

 ヒフミとアシリはこれ以上刺激すまいと急いで話をする。

 

「え、えっと、私たちは試験を受けにいく途中でして……」

「そ、そうなんです!ですから、その」

「……はぁ?試験?頭大丈夫?」

 

 至極真っ当な不良の指摘に、項垂れる二人。

 

「……時間の無駄だ。強行突破あるのみ!」

「……んだと?ふざけてんじゃねぇぞ!!こちとらさっきからやけに抗争があってイラついてんだ!!出てこいみんな!!」

 

 不良生徒が合図を送った瞬間、物陰からわらわらと生徒が出てきた。

 

「ちょ、お、多くないですか……!?」

「うん……これはまずいかも」

「先生、指揮を!」

「“うん!”」

 

 一触即発。

 

 そしてまさしく戦闘が始まろうとした、次の瞬間。

 

「ぐぁっ!?」

「……!?」

 

 不良生徒がいきなり何者かに狙撃される。

 

『───!』

「……!」

 

 そして白洲アズサの耳にのみ、とある聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 肉声を聞くのは実に数ヶ月ぶりだろうか。

 

「……思ったより、ずっと早かった。みんな、こっちだ!」

「え、えぇ!?」

 

 その声にわずかに安心感を抱きながら、白洲アズサは皆を連れて歩みを進めた。

 

 

 

 

「……おっ、いたいた。アズサです。久しぶりですねー……」

 

 こうして実際に見るのは、それこそ数ヶ月ぶりだな……本当に久しぶりだ。

 

 ……ちょっと肌艶が良くなったかな?

 

「まあ積もる話もありますが、今はできそうにもありませんし」

 

 アズサへと向かっていく不良生徒に向けて、神秘を込めたハンドキャノンを放つ。

 一撃で気絶し、その場に倒れ込んだ。

 

「よし、この距離でもちゃんと当たりますね」

 

 ……やっぱ、知らない顔もちらほらいるな。聞いてた通りだ。

 本当、何者なんだろうアイツら……まあ、多少想定はつくけどさ。

 

 ともかく、アズサたちはこの後試験を控えているんだ。

 負担をかけさせるのはいただけないかな。

 

「それじゃあ、総員……出撃、です!」

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