完結後に一箇所にまとめる予定です
読む上で不便を感じた方は教えていただけると幸いです
昔から…一体私が、私たちがどのくらいの年齢だったかすら覚えちゃいねぇが。
とにかく幼い頃から、私たちはいつも二人で一つだった。
「おい……持ってんだろ?寄越せよ、オラ」
「ヒッ……!」
私の横には、あいつがいて。
あいつの横には、私がいる。
「ヒッ……!じゃねぇよ、どうせお前にゃ家があって、家族がいて、毎日ぬくぬくと暮らせんだろ?」
「だったら私たちに少しくらい分けたって良い。そう思いやしねぇか?」
「そ、その……」
いつだって、何をする時だって。
たとえそれが誉められた行為じゃなかろうと、生きていくための苦渋の決断だろうと。私たちは、二人だったんだ。
二人揃えば、できないことはなかった。
「あ゛ァ?」
「おっ、思います!思いますっ!殺さないで!!」
「最初から渡しゃあいーんだよ……ほら、サウ」
「おう……チッ、これっぽっちか。シケてやがる」
私は、お互い一緒に生きていられれば、それでよかった。
「ここも最近、人が減り始めたからな…噂が広がってんだろ」
「……ハァ……狩場を変えるか……オラ!!いつまでそこに居やがる!!見せもんじゃねぇぞ!!!」
「す、すみませんでしたぁあああ!!」
「ったく……帰るか」
「ああ……そうだな」
◇
「……まっじい」
「そういうなよ……やっとこさ手に入れた安全な水分に、量こそ少ねぇが食料だぜ?」
「そうは言ってもよー……」
金も、食料も、服も、私たちに目をつけられたヤツは何もかも奪われる。
そうしないと、生きていけなかった……いや、少し違うか。たとえそうしたとしても、私たちはマトモに生きていけなかった。
「オェッ……コレ、飲むと気分が悪くなるんだよな…」
「文句言うなら私が代わりに飲んでやろうか?」
「ハッ!誰がくれてやるかよ!」
「フッ……」
あいつは、今思えばあの生活が好きではなかったのかもしれない。
まずい水を、いつも文句を言いながら飲んでいた。食料も、大したもんは手に入らなかった。
それでも、生活に使う水くらいは何とか手に入ったんだ。
世間知らずのボンボンや、裏道を通る犯罪者。酒に酔ったジジイどももいた。
「……さて。別の狩場を探すか」
「……おう」
「……」
あいつは、いつも…まあ、有り体に言えば苦痛そうな顔をしていた。
まずい水を飲まなきゃいけないからじゃない。少ない食料を分け合わなくちゃいけないからじゃない。
アイツは、きっと……人を傷つけることが、嫌いだったんだ。
私と違って、優しいヤツだから。
私は違う。
「オラオラぁ!!!ぶっ殺すぞぉ!?」
「か、勘弁してください…!このお金がなくなったら……」
……私は違う。
「アァ!?生言ってんじゃねぇぞ!!?」
「ぐぁっ!?う、腕が……」
私は違う。
「よく聞け、次は足だ。その次は肋骨。そのあとは首」
「っ……ご、ごめんなさい……!全て持っていって良いですから……!お願いします……許してください……」
「オゥ、わかりゃ良いんだ、わかりゃ」
私は違った。
私は、自分さえ良けりゃ良い。自分と、自分の大切な奴さえ良けりゃ、それで。
「ふぃー……おっ、お前か。どうだった?そっちは」
「……悪ぃ。あんまり、人がいなかった。これっぽっちだ」
「……そうか」
私たちは、二人で一つ。でも、あいつにとっては…私なんか、いなかった方が良かったのかもしれない。
それなら……最初から、あんなことにはならなかった。
◇
ある時期から、自由に外へと出ることができなくなった。
足に枷をつけられ、出ようとすりゃ殴られ、蹴られ、撃たれる。
それ自体はいい。どうせ金なんて、最初から使い方もマトモにしらねぇ。暴力を振るわれるのだって、慣れっこだ。
今まで通り、バカな連中から物を盗りゃ、食料はむしろ配給される分に加えて多くなったぐらいだ。
少なくとも、ゴミを漁る必要は無くなった。
「今日より、貴様らはアリウス分校の指揮下に置かれる。訓練は明日から開始される」
そうして一年後、だったと思う。
私たちを閉じ込めていた教員が、そんなことを言い始めた。
「……ふむ」
私にとっては、悪くない提案だった。
銃や弾薬も支給され、その上戦い方も学べるときたもんだ。
今までよりも、カツアゲだってしやすくなる。
もっと暮らしやすく、幸福になれる。
そのためなら、他の誰が不幸になろうと知ったこっちゃねぇ。
だから私は迷いなく了承した。元々拒否権なんてなかったみてぇだが…私にとっては、問題なかった。
……多分、ここからなんだろうな。私が、あいつとの違いを認識し始めたのは。
「痛い……!いたいよぉ……!」
「何を腑抜けている。さっさと立て」
「もうむりです…!ゆ、ゆるしてください……!」
「関係ない。立て!」
「きゃあっ!?ご、ごめんなさい……!ごめんなさい……!!」
訓練は……一言で言うのなら、地獄だった。
私たちの年齢には明らかに不釣り合いな訓練量。体にかかる負担一切鑑みやしねぇ。
全て虚しいだとか、訳のわからない教えを押し付けられて、従わなきゃ殴られる。
食料もあまり与えられない。今まではカツアゲした分を合わせて何とかなっていたが……カツアゲする余裕すらなくなった。
「ごほっ、ごほっ……!」
残酷なのは、死ねねぇことだ。
私たちの体は獣人やアンドロイドに比べ、子供だろうと頑丈で強い。
傷も、比較的容易に治癒する。
食料は足りねぇ。足りねぇが、それだけだ。飢え死にするほどじゃねぇ。
だからどんな傷を負おうと、数日もすりゃ必ず治っちまう。
それをわかって、ヤツらは私たちに暴力を振るう。
「チッ……!」
ヤツらの命令に従わなきゃいけねぇのは癪だが、私はそもそも訓練に対し積極的だった。
だから、基本的には私に暴力は振るわれることはなかった。
周りの誰が傷つこうが、泣き喚こうが、倒れようが、関係ねぇ。
どうでもいい。気にする必要なんざありゃしねぇ。私は、それでよかった。
……あいつは、違った。
「なんで、あんなことをした……!」
「……」
「私たちまで目をつけられんだぞ!!わかってんのか!!?」
ある時だった。あいつが、訓練で倒れたヤツを庇って……顔中を腫らして帰ってきた。
私はキレた。あいつが傷つくのが嫌だったから。我が身が可愛かったから。
そしたら、あいつは。
「……お前には、関係ない」
そんなことを宣った。
「……あ?」
わかってる。わかってた。あいつは、優しいから。
私を巻き込まないためにそうした。私が大事だからそうした。突き放した。そんなことはわかってた。
「お仲間ごっこもこれまでだ。もう二度と、私に関わるな」
「ふざけんなよ……!」
それでも、私はキレた。
そんなあいつの気遣いを無視して、踏み躙って、その場の感情に身を任せた。
「上等だ!!テメェとは切る縁もねぇ!!とっとと出てって野垂れ死んじまえ!!!」
「……最初から、そのつもりだ」
……その日。私は初めて、独りになった。
◇
「……」
独りで生きるのは、はっきり言って楽だった。
食糧も、水も、物資も、いくらでも集まる。あいつがいた時期よりも、独りで暮らす分には困らないくらいに。
「ゴホッ……はっ、その程度かぁ?」
「貴様ッ……!!いい加減にしろッ!!!」
訓練場で見かけるアイツは見る度に痩せ細って、ボロボロになっていった。
あのバカは、あの時を皮切りに……自棄になったみたいに、教官に反抗を始めた。誰かを庇うこともあった。自分が怒られたのに、抵抗したこともあった。
とにかく、あいつはどんどん弱っていった。訓練もまともに受ける気がない。必然、私の方が強くなっていった。
いい気味だった。
「ぁ……」
「……んだよ」
……そのはずだった。
「……」
だってのに、私の心は穏やかじゃなかった。いつも何かに苛ついていた。
何かが足りていなかった。
あいつはボロボロでも、周りに気遣ってくれる奴がいた。
私は違った。ずっと独りだった。
「……潮時、か」
もうそろそろ、許してやってもいいんじゃないか。私の中で、誰かがそう囁いた。聞き覚えのある誰かの声だった。
そうだ。あいつも確かに悪かったが、何か事情があったんだろう。私もつまらない意地を張りすぎた。二人なら、きっとまた上手くやっていける。
仲直りしよう。大丈夫、あいつだって本当はそうしたいはずさ。
そんな考えに従って、あいつのところへ会いにいった。
あいつは、雑魚どもを集めて一緒に暮らしていたらしかったから。
「……おい。どういう状況だ」
「っ……ごめんなさいっ……ごめんなさい……!!」
そこに、あのバカはいなかった。
「ごめんなさいじゃねぇんだよ。私は今『状況は?』って聞いたんだ。ちっぽけな脳みそよーくほじくり返して説明してみろ」
「……あ、あの人、が!」
「……あ?」
どうにも、あいつは懲罰送りになったらしい。
教官に気絶させられ、何処とも知れねぇ場所へ連れ去られたと。
「……そうか」
可哀想だとは思わなかった。そのくらい、覚悟の上だろう。
大丈夫。ちょっとやそっとで折れるくらい、あいつは柔じゃねぇ。そんなこと、一緒に暮らしていた私が一番わかってる。
「じゃ、ここで待たせてもらうぜ」
あいつはすぐに帰ってくる。そうたかを括って……結局あいつが帰ってきたのは、二日後だった。
「……」
「え……?」
血だらけだった。
身体中から、血が滴っていた。片足は変な方向に曲がっていて、手の指先は真っ赤に染まっていた。
「……お、い……おまえ」
「っ……」
私があいつに話しかけた時に向けられた目線は……恐怖。恐れだった。
「ごめん、なさい……」
「は……?」
「ご、ごめんなさいっ……!逆らいませんっ……!!何もしませんから……ゆ、許してください……!!ごめんなさい……!!」
私は逃げた。逃げるように帰った。
ボロボロのあいつを置いて。
爪を剥がされていた。足を折られて、わざとそのままにされていた。足と手の皮を削られていた。肋を折られていた。歯を抜かれていた。
あいつの状態が、眠りゆく意識の中でぐるぐる巡っていた。
◇
それからと言うものの、あいつは見違えるように訓練に積極的になった。
傷つけられている誰かを見ても、庇うことは無くなった。段々と、私の目にもつかなくなっていった。
ある時、たまたま出会って。
「……おい」
「……どうかされましたか?」
「っ……!」
あいつの口調が、驚くほどに変わっていた。
媚びるような口調だった。媚びるような目だった。媚びるような顔だった。
全てを諦めた人間の顔だった。
「……なんでも、ねぇ」
「そうですか。では、私は訓練に戻らせていただきます」
体の傷も、とっくに癒えているように見えた。それでも、あいつは何かを庇うように動いていた。何かを恐れているように、動いていた。
もはや、抵抗する人間なんていなくなった。
「はぁ……はぁ……」
「……おい。誰かその愚図を起こせ」
誰も逆らわなくなった。
「も、むりです……ゆるして……っ、げほっ……!」
むしろ、積極的に周囲の人間を貶めるようになった。傷つけるようになった。
当然だ。誰だって、自分の身は可愛いんだから。
「……もういい。連れて行け」
「っ……!ご、ごめんなさいっ!!ごめんなさい!!まだ頑張れます!!やめて……!嫌なんです、もう!あそこだけは!!」
「黙らせろ」
「ひっ……いや、やだぁ!!!助けてっ!!!だれかっ……誰でも、誰でもいいから……助けっ、もがっ」
私だってそうだ。同じようにしてきた。何も間違っていない。
この世の真理だろう?弱者は淘汰される。適応できないやつは消える。
私は間違っていない。私は、ずっとこうだった。
「……や、めて」
「……おい。今、なんて言った?」
……あいつは。
「やめ、て……く、くださ、い……いっ、いやがってます……その子……」
「……ほう?」
あのバカは、大馬鹿は……違ったんだ。
「……つまり。命令違反と見て、間違いないな?」
「っ……!は、い……」
あのバカは。震えてて。泣いてて。ちっぽけで。怖がりで。強くて。優しくて。
最後まで、何処の誰とも知れねぇ奴らを助けようとしていた。
「……で?」
「え……」
「それで、どうするつもりだ?嫌がっている?だから?だからなんなんだ?」
「わ、わたしがっ……代わり、に……」
バカだ。本当に、心からそう思った。
私は違う。私は、あんな
自分と……自分の大切なものさえ良ければ、それでいい。
「おい」
「は?なんだ、お前……っ!!?」
……そのはず。だったんだけどな。
なんでかな。あの時、あの場にいるカス野郎を……殴りたくて。実行しちまったのは。
◇
「ごほっ……あの、アホども……好き勝手、ボカスカ殴りやがって」
懲罰から帰ってくる頃には、もう誰もいなかった。当然だ。あいつと違って、私は独りなんだから。
「はぁ……何やってんだろうな……私は……」
なんとなく、死にたくなっちまって。一晩中、寝転んで空を見上げていた。
「……死ねばいいのにな」
「いや、んなわけないでしょ」
そんな時だった。
「……誰だ、テメェ」
「誰かって?ふっふっふーん……名乗らねばなるまい!!」
あのバカを超えた、超バカ。
「お姉ちゃんです!!!」
姉を名乗る異常者……小隊長と出会ったのは。
「殺すぞ」
「思ったより元気そうですね!……って、私の目を誤魔化せるわけないでしょっ!まず治療!」
「がっ……て、テメェっ……」
小隊長はテキパキと私に治療を施して、すぐに私を屋内に運んだ。
何処から盗んだのやら、暖かい飲み物と共に。
「……ってことで、挨拶に来ましたよ、第一分隊長……赤江サウ!」
「はっ……そういや、そんなもんになったんだったか」
つい一、二週間前の話だったと思う。私がよくわからねぇもんに任命されたのは。
「それにしても、本っ当に……辛かったですね……!よくがんばりました。もう大丈夫ですからね」
「……やめろ。つーか、お前いくつよ」
「十三です!」
「年下じゃねぇか……何が姉だよ」
「関係ないですよ!」
「頭おかしいんじゃねえのか?」
頭をやけに撫でてきて。
「それに、辛かっただぁ?テメェに何がわか、る……」
「……わかりますよ。ちょっとだけね」
その手の先には……爪がなかった。
「いやー、独り懲罰房に行っちゃった子がいるって聞きまして……潜入できるかなって、ちょーっと物質の取り扱いをミスったフリして……こんなんなっちゃいました、はははっ……」
爪だけじゃない。
手に皮はなかった。
歯が数本抜け落ちていた。
指先がぐちゃぐちゃと、おかしな形になっていた。
見えなかったが、足も同じようなことになっていたと思う。
「お前、それ……」
「あ、大丈夫大丈夫!見ててくださいよぉ……?はっ!」
小隊長がそう言った瞬間、手に包帯が巻かれていた。
血は滲んでいたが、問題ないかのように動かしていた。
「ふっふっふーん……これがお姉ちゃんの力っ!!」
「おま、え……」
戦慄した。あり得ない。あの状態で、痛みを感じないなど。
私も同じ状態にされたんだ。それはまず間違いない。
だってのに、こいつは……。
「……?どーかしましたか?」
狂っている。
いや、もはや錯覚した。こいつは、本当に痛みを感じないんじゃないかと。
あり得なくはねぇ。
だが、手から伝わる激痛がそれを否定していた。
「あ、ひょっとして心配してます?」
「誰が……」
「だいじょーぶですよ。お姉ちゃんですから」
頭がどうにかなりそうだった。
「……優しいですね、サウは」
「あぁ?」
同時に、耳も疑った。
私が、優しい?私みたいなもんが?
やっぱりこいつはイカれてる。そう思った。
「はっ……皮肉がうまいな?」
「皮肉じゃないですよ。私のことを、心配してくれた」
「……そんなもん、誰でもできんだろ」
そうだ。思うだけなら誰でもできる。
あいつと違って、私は……誰かを助けようって気にすらならねぇ。
「……そんなことはないですよ。だって」
「あるんだよ」
私が優しい人間なわけなかった。
優しい人間が、他者からものを奪って生き延びようとするか?傷つけるか?見捨てるか?
「……だってあなたは、守ろうとした」
「ッ……!!うるせェッ!!!」
奥底で、そうだと思っていた。そうだったらいいと思っていた。
そんな本音を自覚させられて。ムカついた。苛ついた。
だから小隊長を殴ろうとして。
「わ、あぶなっ……こらっ!いきなり人を殴っちゃいけません!」
「っ……は、はっ……」
指先で軽く止められて。全部馬鹿馬鹿しくなった。
「……なあ、小隊長」
「なんですか?」
そっくりだ。小隊長は。
優しくて、何処までも優しくて、見知らぬ誰かさえ見捨てられない……あいつに。
たとえ自分がどうなろうと、きっと小隊長は助けようとする。誰をって、誰かを。
危うくて、だから美しい。私も、そんなふうになりたかった。
なれなかったけど。
「頼まれごとを」
「いーですよ!!」
「早ぇわ!!まだ言い切ってねぇぞ、ったく……」
……まあ、細部は別物だが。
「……たまにでいい。あいつを」
◇
「ぶ、分隊長……」
「……あ?」
寝てたか……随分、古い夢だ。
「なんだ、テメェら……わらわらと」
「お、お疲れのようでしたので……せめて、見張りだけでも我々が……」
「いらねぇよ」
……結局。私とあいつは、どこまでも違う。それは今でも変わらない。
あいつは、ずっとずっと綺麗なままでいて。それでいい。それがいい。
「そ、それと……小隊長がお見えです」
「……ガソリンまいとけ」
「こら!!ダメでしょ、そんなことしたら!貴重なんですよっ!」
……寝覚めから、やかましいのが。
「おい……テメェら、見張りのつもりなんじゃなかったか?」
「ご、ごめんなさい……でも無理ですぅ……!この化け物止めるの……!」
「さ、散々な言われようですね!?」
ったく……こいつは、あの時から相変わらずだな。
……ひょっとすりゃ、あの夢は虫の知らせか?
『やべぇ小隊長が来るぞ、目ェ覚ませ』ってな具合に。
いずれにしても、お陰様でくだらねぇ約束思い出しちまった。
「……なぁ、小隊長」
「はい!お姉ちゃんです!」
「違え。あいつは……第五分隊長の高東ヤコは、元気か?」
「……はい。なんとか、上手くやれてますよ。ちょっとずつ、明るくなってきて」
……そうか。そいつは、よかった。
「サウ……やっぱりヤコと会うつもりはないですか?」
「ああ。いんだよ、私は」
私とあいつは違う。それでいいんだ。
あいつはあいつで。いつか幸せになりゃいい。
私は幸せになれるほど、善良な人間じゃないから。
「……もー!!意地っ張りですね!!サウ!」
……ただ、問題があるとすりゃ。
「抱きつくな、気色悪い」
目の前のアホはそんなこと微塵も思ってなさそうで……私も、ついそれに引っ張られそうになっちまうことだ。
明日も更新あります!
本編です!