暗闇の奥へ向かって、サオリたちは進み続ける。光なく、手探りで進むしかない道を。
『暗いわね……光よ!!なーんて、ね』
もっともマユミからすればそんな非効率をする理由もないため、当然の如く光源を持ち出すのだが。
「ふざけている場合か!」
「次やったらその出来の悪いおもちゃ、捻じ切るから」
『ちょっと変な掛け声しただけじゃない!?私は至って真面目よ!』
頭に過ぎる、嫌な可能性。最もあり得る可能性。スオウがもう、死んでしまっているという可能性。それらから目を逸らすように、少し砕けた雰囲気で奥へと進み続ける。何も考えず、ひたすらに。
「っ……み、道が塞がれてます!」
「それだけじゃない……あの糸……多分、トラップ」
アリウス自治区の道はただでさえ入り組んでいる。加えて、シャッターや扉等で道を塞ぐ術を有しており、関所のようなその場所を教員たちが管理しているのだ。
一定の周期で目的地までの正しい順路が変わり、それらのことから最低限教員との戦闘は避けられないと考えていた。
「教員が、姿を消している……」
「ああ……これは、やはり」
想定される理由は二つ。一つ、ベアトリーチェの敗北を察した教員達が逃げ出した。二つ。どうあっても自分たちを通さないために、戦力を一ヶ所に集めているか、だ。
『ふむ……やたらと頑丈ね、この扉。どきなさい、破壊する』
いずれにせよ、希望がある。先が見える。今ここで、止まるわけにはいかない。
もはや千切れてしまいそうなほどに壊れかかった機械の腕を向け、掌に光を集め。
『随分と野蛮なお仲間を連れてきたようですね』
寸前、瓦礫の前に現れる赤いシルエットにその動きを止める。
『……あー。ホログラム、ね。ハジメマシテ、気色悪い見た目してるじゃないの。つまり、ええと、つまるところ。アンタが……』
「マダム……ベアトリーチェだ」
『消えなさい』
サオリがその名を口にした直後、マユミのロボットから光線が放たれる。青い光を集約した攻撃。ベアトリーチェとの通信装置ごと消し飛ばそうと放ち、扉と通信機の一つを破壊する。
「なっ……!?」
『まあそうするよね、マユミなら。無視して行っちゃおう』
そう言って、こじ開けた扉を潜ろうとして。
『少々、お時間をいただけると幸いです』
聖徒会により包囲され、それは能わなかった。
『くっ……!通信機は一個や二個じゃない、ってわけね……!』
『おかげさまで聖徒会にパスを繋ぎ、こうして利用することも可能になりました。感謝しますよ、スクワッド』
皮肉めいた口調。その矛先を向けられたスクワッドを代表し、サオリが前に出る。
「マダム……いや、ベアトリーチェ。やはり、生きていたのか」
『随分と偉くなったものですね、錠前サオリ。十年前のように、可愛らしく怯えてはくれないのですか?』
「ッ……!!」
十年前。内乱の直後、秤アツコを助けようと誘拐に向かった時。こっぴどく返り討ちにされ、都合の良い交渉を持ちかけられた、あの時。
「……私はもうお前を恐れない。スオウを返してもらうぞ、ベアトリーチェ」
あの時とは違う。弱かった頃の自分とは違う。皆を一人で抱えようとしていた頃の自分とは違う。そう言い聞かせるように強い言葉で、ベアトリーチェに反発した。
『スオウ……ふふ、あの異常者のことがそこまで大事ですか。ですが、それは不可能ですよ。彼女はもう、死にましたから』
「そんなわけない……!だったら、スオウの遺体はどこにやったの!?」
『ああ、その事ですか。アレには利用価値がありますので。どうせ土に埋めるのなら、こちらで有効活用させていただきます』
「……だとすれば、尚のこと諦める理由はない。遺体であろうと返してもらうぞ。大切な、私たちの……仲間を」
たとえ遺体であろうと、見捨てる理由はない。その上、ベアトリーチェの言葉に対し信憑性を持つつもりもない。
『愚かな子供たち。私に歯向かうおつもりですか……不可能ですよ。私を出し抜くことなど』
「それにしては、スオウに随分と手酷くやられたようじゃないか」
続くベアトリーチェの発言。自身に勝つことなどできないと驕りを口にしながら、サオリの指摘により口を閉じさせられる。ベアトリーチェの体は、惨状と表現して差し支えないモノだった。掌は爛れ落ちたように焦げ付いており、至る所から血を流している。異形を証明する無数の目も、幾らかは閉じられていた。
『……ええ。はっきり言って、予想外でした。まさか聖徒会を使い、私に叛旗を翻すとは……私は、彼女のトリニティに対する復讐心を買っていたのですが』
「あの馬鹿にそんなもの、始めからない。愚かな子供と言ったが、それに足元を掬われていては世話がないな」
スオウの自分勝手な行動に対する怒りを、八つ当たりのようにベアトリーチェにぶつける。恐れがないわけではない。幼少期に植え付けられたそれは、今でもサオリの腹の奥底で燻っている。否、サオリに限った話ではない。ミサキも、ヒヨリも……何より、アツコも。
だが、そんなものは。
「本当の愚か者は貴様だ、ベアトリーチェ。もう一度言う。スオウは何がどうあれ返してもらうぞ」
いきなり姉を名乗る強者と出くわす恐怖に比べてしまえば、擦り傷にも等しい。何より、自分達は一人ではないのだから。
『口だけは達者に育ったようですね。これも彼女の影響でしょうか』
「……スオウが何をしてたのかも知らなかったのに……今更、何言ってるの?」
『……秤アツコ。貴方の言葉は封じた覚えがありますが』
「バレもしないのに、守る理由なんてない」
仲間がいる。彼女がくれた、言葉がある。彼女が生きた証は、今でも胸の中で光を差し示しているのだから。
『……揃いも揃って、言いつけも守れない悪い子達……』
「それはマダムだって同じ。最初からアツコを解放するつもりなんてなかったんでしょ?自分は約束を破るくせに、どの口が言うんだか」
『……まあ、不毛にして退屈な話はここまでにしましょうか。私は議論が成り立たない子供相手に時間を割けるほど、暇ではありませんので』
スクワッドとの話を打ち切り、薄気味の悪い赤色の虹彩を、もう一人の『大人』の元へと向かわせる。
『はじめまして、先生。私はベアトリーチェと申します。既にご存知かもしれませんが、『ゲマトリア』の一員です。通信越しでの挨拶となる事をお許しください』
「“……!!”」
『黒服やマエストロ、ゴルコンダから、あなたについては兼ねてよりお話を聞いております』
先程までの見下した口調はなりを潜め、丁寧な社交辞令の言葉を連ねた。その行為の意外性に少々たじろぎながらも、先生は目線を外さないよう努める。
「“あなたが、アリウスを支配している……”」
『はい。そして現状、ゲマトリアにおける唯一の成功者でもあります』
成功者。揺らぎ始めているその事実を語りながら、ベアトリーチェは口元を隠して愉快げに笑った。
『ふふっ……私のことが気になりますか?どうやってアリウスを手中に入れたのか……必要ならば、あなたが知っている情報と交換することもできますよ?』
「“必要ない。あなたの手口は知っている”」
先生の言葉にベアトリーチェはおや、と目を見開いた。
『ほぉ、ご存知でしたか。そう、私は特殊な力など使っていません。それは大人のやり方ではありませんので。この地に満ちていた負の感情を増幅させ、それを利用し───』
「“違う”」
自慢げに語り始めたベアトリーチェの言葉を遮って、ピシャリと。怒気を滲ませながら、先生は強い言葉で否定した。
「“この子達は、恨みなんて抱いていなかった。あなたの取った方法の別の要素が、偶々成功したというだけ”」
『……別の要素?』
「“暴力と死の恐怖による支配。それが自分自身だけでなく、周囲に向く事を恐れていた。あなたの偽りの教えが、歪曲した学びが、この子たちへ与えた影響では決してない。あなたの権利と力に胡座をかく行為が、この子達を……あの子を、苦しめた。ただ、それだけが事実だ”」
『教え』。『学び』。その両方を侮辱し、踏み躙り、生徒たちを奈落へ導こうとした相手。先生にとってそれは断じて、断じて許せる行為ではなかった。
『……そうですか。理解に苦しみますね。私の教えは、確かに捻じ曲げたものです……ですが、同時に真実でもあります。この世界で他者と関わることなど、地獄に他なりません。怒り、嫌悪、苦痛、悔恨……そういったものが渦巻いている。まさしくこの、エデン条約のように』
「“……”」
『他人同士が理解し合えることなど、決してあり得ません。現に、あなた方はそれを証明しているではありませんか』
出来の悪い教え子を見て、小さくため息をつくような呆れた態度で。ベアトリーチェは語る。
『命を棄てて守り抜こうとした存在。それらが自分の意思で、自らの命を終わらせにきた。なんとも度し難い』
「“そうはならないし、そんなことはさせない。何より……その全ての元凶。それはベアトリーチェ、あなただよ。あなたにその言葉を語る権利はない”」
『そうですか。では先生、一つ交渉としましょう』
これ以上の議論は無意味だ。態度で示し、全ての目を閉じて……再び開き、その全てを先生へと向かわせる。
『どうかこのまま、この地を去っていただけませんか?』
そして先生に伝えられた言葉は、その場にいる誰もが耳を疑うものだった。
「“どういうこと?”」
『見逃すと、そう言っているのです。ああ、秤アツコ。あなたもですよ』
「……!」
アツコを生贄に捧げること。それはベアトリーチェにとっての悲願だ。スクワッドは、それを知っている。無論、先生も、マユミも、サユリも。だからこそ、疑問に思えて仕方がない。今更それを放棄する理由が。
『桐花スオウ。彼女は確かに厄介な存在でしたが、同時に私に福音も与えました。彼女の遺体を生贄に利用すれば、秤アツコを生贄に捧げた時と同様以上の効果を得られることでしょう。もっとも、これは保険……最終手段でしたが。幸いにして、問題は無さそうです』
自身の探究による成果を発表するように、ベアトリーチェは重ねる。
『ここは痛み分けとしましょう。私はあなた方という戦力を失います。同時に、先生を抹殺する機会も。ですが、あなた方も桐花スオウの遺体を諦めてはくださいませんか?』
「“……”」
先生は答えない。その先に続く言葉を見越していたから。何も答えることはせず、敵対の意思を明白にするつもりだった。
『あなたにも利がある提案です。この世界が……キヴォトスがどんな場所なのか、知りたくはないですか?正体不明のこの世界を───』
『っきからごちゃごちゃうるさいわねっ!!この!!クソババア!!!』
マユミは違った。ずっと堪え続けていた。ベアトリーチェが話し始めた時から、ずっと。
『世界の真実?正体?はっ!!腐る程どうでもいいわ!!はっきりしていることは!!』
光線を放ち、限界を迎えて煙を吹き出す手でベアトリーチェを指差し。
『あんたは秤アツコを殺そうとした!!スクワッドを利用した!!アリウス分校を利用した!!アシリの姉を殺した!!私の恩人を苦しめた!!それが全て!!あんたは私の敵!!同じ赤色でもサユリの方が万倍マシよ!!』
『あれと一緒にされたくはないなぁ。ホログラム越しなのに加齢臭が漂ってくるよ、ヤんなっちゃう』
「……!」
ベアトリーチェはアリウス分校を利用した。サオリ達の青い世界を奪おうとした。それだけでも許し難いと言うのに、この口振り。元々さして高くないマユミの沸点を湧き上がらせるためには十分だったのだ。
『……何の話やら』
『うっさい黙れ!!』
「マユミ……お前……」
もはや何度目になるかもわからない驚き。それでもサオリは、真剣な表情で取り繕って。
「……ありがとう。私たちのために怒ってくれて」
「良いこと言うじゃん、見直したよ。ちょっとだけ」
「た、ただの変人かと思ってました……!」
「実際変人だとは思うけど」
『な、何よみんなして!』
『ちょっと擁護できないよ』
三者三様なスクワッドの反応に口元を緩めた後、すぐにベアトリーチェに向き直った。
「折角の提案だが、丁重にお断りさせていただく。ベアトリーチェ。貴様は今から……いや、十年前から。私たちの敵だ」
『そうですか……先生も同じ意思という認識で間違いありませんね?』
再び目線を先生に向け直したベアトリーチェ。少し出遅れてしまったが、意思は変わりない。何より、頭に来ているのは何もマユミ達ばかりではないのだから。
「“悪いけど、そんな真実に興味はない。スオウのことは返してもらう。ベアトリーチェ、あなたは生徒を侮辱した。私は大人として、あなたを絶対に許すことはできない”」
『くくくっ……宣戦布告、というわけですか……いいでしょう。あなたは、あなた方は間違いなく、たった今から私の敵対者です』
敵対者。その言葉を皮切れに、先程までサオリ達を取り囲んでいた聖徒会達が動きを見せる。
『愚かな……死人のために命を棄てるなど』
「死人じゃない」
迫る聖徒会。吐いて捨てる様にこぼしたベアトリーチェに対して、アツコが反論を返した。
「死人を生贄にできるなら、私にこの仮面を渡す理由はない」
『……』
「スオウは生きてる。そうでしょ?マダム」
『……さあ。どうしても気になると言うなら、バシリカまで来てみなさい。もっとも……』
嘲るように微笑んで、ベアトリーチェは指先を鳴らす。構えろ。言葉にせずにそう伝えた。
『来れるのなら、という話ですが』
「……先生、下がってくれ。強行突破する」
聖徒会は銃を構え、そこで停止する。ベアトリーチェの言葉を待つようにして。
『さあ、先生……彼女と同じ、不可解な者よ。黒服はあなたを仲間だと認識し、互いに競い合えると信じ。マエストロはあなたを理解者だと認識し、互いに高め合えると信じ。ゴルコンダはあなたをメタファーと認識し、互いを通じて完成されると信じ。そして私はあなたを敵対者と認識し、互いに反発すると信じています』
「“……”」
『あなたは、私の敵です。始末してください』
何気ない、日常の会話。それを切り取った一節。そんな声色で、大した情動も抱かずに命じた。直後、聖徒会は発砲を始める。先程まで、サオリ達が操っていた時。その時には見られなかった大柄な聖徒会や、逆に小柄な聖徒会もいた。ベアトリーチェによる改造で、さらに強化されたのだろう。
「……おそらくこれが、スクワッドとしての最後の戦いになるだろう」
彼女達による銃撃を凌ぎ、サオリは息を吸い込む。『アリウス』としての、最後の戦いを始めるために。彼女の元へ……大切な姉の元へ、辿り着くために。
「先生、マユミ、サユリとやら!協力を頼む!!」
「“もちろん!”」
『ったりまえよ!!』
『オッケー!』
「スクワッド!!総員、出撃!!」
『了解!』
真っ先に動いたのは、サユリとマユミ。ほとんど壊れかかっているが、その巨体を利用して手始めに質量攻撃を試みるつもりなようだ。
「“サオリ、アズサ、アツコ!!機体に掴まって!!”」
「わかっ……っ!?な、なんでバレて」
「アズサ、急げ!」
その好機を見逃さぬよう、先生はスクワッドに指示を送る。途中アズサが驚いたりもしたが、問題なく安全に聖徒会との距離を詰めることができた。
「“ミサキ!”」
「わかってる!」
『おどれら血祭りにしたらァ!!』
少々おかしくなったテンションでマユミが雄叫びを上げ、サユリと共に聖徒会を殴り飛ばす。無論損傷している故出力不足であり、幾らかの聖徒会には反撃を貰いかけたがそれは共に向かったサオリ達が防いでくれた。問題なく十数対を空へと高く上げ。
「サン、ニ、イチ……発射!!」
その聖徒会達はミサキのロケットランチャーによる爆撃で、チリも残さずに消失させられた。
「“ヒヨリ!!撃ち漏らしを!”」
「は、はいぃいぃいい!!」
幾分か逃してしまった聖徒会はヒヨリがスナイパーライフルで正確に頭を撃ち抜き、確実にトドメを刺す。たったそれだけの攻防で、大量の聖徒会は行動不能にされてしまった。それでも、今先生達を取り囲んでいた聖徒会に比べればほんの一部。加えて。
『チッ……!このオンボロ!!』
ついにマユミのロボットがその機能を一時停止する。操縦者の腕によりサユリの方はまだ無事だが、それもいつまで保つかわからない。
「“マユミ、可能なら応急処置で動かせるようにして欲しい!”」
「任せなさい!!私を誰だと思ってるの!?古今東西、ありとあらゆる部活に弟子入りを試みた天っ才美少女部長マユミちゃんよ!?」
「御託はいいからさっさとして!!」
「うぐぅ!?」
ミサキの切れ味が高い言葉に血反吐を吐きながら髪を一束にまとめてゴーグルを付け、簡易的な修繕キットを取り出して修理を始めた。
「“近接のみんなはマユミを取り囲んで!!サユリはさっき崩した包囲網の方へマユミを機体ごと運んで欲しい!!ミサキとヒヨリはそのフォローを!”」
『機体ごと……?……あはー!そういうことかぁ!!』
「えっ!?ちょ、ちょっと!何するつもりよ!?」
「“三人も、機体の上まで一時退避!!”」
先生の指示に、サユリは悪どい笑みを浮かべる。否、表情は機体の奥に隠されてわからないが、付き合いの長いマユミにはわかったのだ。そして、ほんの一拍置いて。
『こうするつもりっ!!』
「うぎゃああぁぁあああああ!?」
奥行きのあるメタリックな蒼色の機体を、地面に引き摺りながら押して走った。
「せ、精密機械よっ!?馬鹿じゃないの!?」
『マユミが作ったやつでしょ!?なら大丈夫!』
「そりゃそうだけどね!?」
途中聖徒会を数人轢き潰し、無力化に成功する。しかしそこで、最初の攻防にて屠った聖徒会の数人が復活を始めた。
「”みんな、何体か聖徒会が復活し始めた!!そろそろ敵の戦力も増えるから、注意して!”」
「早い……!」
「耐久力を下げて、インターバルを早めた個体がいるな……!!」
学習能力はないまでも、最適解へと向かって動く聖徒会。彼女達が狙うのは、他ならぬマユミだ。先の一撃、その再現を妨害するべく。
『邪魔すんな!!』
「ここから先へは通さん……!」
先程包囲網を抜け、端へと追いやった影響で聖徒会が迫り来る角度の範囲は半分ほどに制限されている。それでも尚、圧倒的な物量。先生もヒヨリに背負われ、なんとか聖徒会の攻撃から自分の身を守り、ミサキ、ヒヨリと共にサオリ達を援護する。だが、しかし。
「っ……!?なんだ、コイツは……!!」
直後、突然現れた、顔に空虚な孔の空いた不気味な生き物。今までの聖徒会とは違い、明らかに人の形を保っていない。
「“……!総員、退避!!マユミは逃げ道を確保した上で、機体に身を隠して!”」
予感。スオウがアンブロジウスと呼んだその生き物が、青い光をその虚に蓄え始めている。
「っ……!?」
「アズサっ!!」
しかし先生の指示も虚しく、アズサは聖徒会に集中砲火され、撤退を妨害されてしまう。強さを増す光。奥の手であるが仕方ないと、先生が黒いカードを取り出すべくポケットに手を伸ばしたところで。
『アズサちゃんは傷つけさせません!!』
突如として空中より降り立つ、黄色の機体。七人の生徒を乗せたそれが、アンブロジウスの存在しない頬を殴り飛ばした。
今週とても忙しくて更新遅れました、すみません……次は可能な限り早く投稿します……