雀聖の器 作:マージャンスキー
【赤土晴絵視点】
凄い戦いだった……思い返すだけでも震えが止まらない……。
すべての半荘、その一打一打に意味があって……それでいて、付け入る隙が存在しなかった……。
「くぅー! 良い手だったのにさー……聴牌」ケラケラ
「はやりも聴牌だよー☆」
「……ノーテンです」
『ドラ表示牌』
{7裏裏裏裏}
『三尋木咏』
{二三四234②③77888} リーチ
『瑞原はやり』
{一二四五六七八九56799} ダマ
『赤土晴絵』
{七七22⑥⑥⑦⑦⑧⑧8西北} 七対子一向聴
「雀聖くんもノーテン☆?」
「いや……満貫ッ! 俺の和了は河にあるッ!」
{東北九⑨南西}
{11東白発中}
{9南北北中}
(((ッッッ!? 九種九牌や国士無双を狙わず、あえての流し満貫ッ!)))
「2000・4000……流し満貫はリーチ棒貰えないのが悲しいな……ッ!」
違う、本当なら国士無双を和了できた筈……それなのに……!
私の親番を継続させる為に流し満貫を狙った……ッ!?
流也の麻雀は強気、降りるにしても――威圧だけは怠らないッ! そして……私に花を持たせようとして……。
信じられない……こんな弱気な私を……奮い立たせようとして……ッ!
「赤土さん……もうそろそろ、レジェンドと呼ばれる理由を見せてはくれないか……ッ!」
無理だ……流也の麻雀にも怖気づく自分がこの場で和了れる筈がない……。
早く終わって欲しい……そう思ってるのに……ッ!
『シーン変化』
「ロンッ! 親倍は24000!!」
「……まあ、流れはそっちか」
流也のリーチが防がれた!? 全員のベタオリで流局になることはあっても――絶対の信頼を持っているリーチ、それが放銃なんッ!?
ま、まさか! そんな……。
「流也……見せて……」
「見てどうする? 見たところで変わらない……変われない……」
「いいから! ――ッ!?」
やっぱりそうだ……流也は私からロンしなかった……。
フリテン、自摸和了だけを見た。
私を守るために……私の心を折らない為に……。
――私だけ、特別扱いしてる……悔しいッ! こんな気持ちッ!!
「……和了れ、そうしたら戦ってやる」
「――ッ!?」
「……今、アンタ……怯えた獣の目をしている」
『シーン変化』
「――ッ!?」
流也から和了牌が出た……でも、でも! 流也がトブ……ッ!!
こんな千点ののみ手で……流也がトブ……。
「瑞原プロ……ツモは待ってください……」
「……そうだね☆」
「赤土さん……アンタ、トップ狙ってないのにトップ狙ってる打ち方してんじゃねぇ! 逃げたいなら早く倒せ!!」
「ッ!? ロン……1000点」
「それでいい、それで……三半荘通しの焼き鳥は免れたじゃねぇか……」
どうして……どうして……。
『シーン変化』
「ツモ! 逃げ切りだぞ☆」
「うひゃー、これが和了れないのわかんねー」ケラケラ
「なんじゃ、もう終わったんか? 案外、早い幕引きじゃったな」
「……はい」
流也、どうして勝てる戦いから負ける戦いに……。
「流也・三尋木・瑞原でプロ二勝、アマ一勝か……まあ、上出来じゃろうて」
「雀聖くんは将来に期待だね☆」はやりーん☆
「これがどれだけ強くなるかわかんねー」ケラケラ
「……まあ、良い刺激になりましたよ」
どうして、流也は怖くないの……こんな怖い卓……。
「怖くなんてない……麻雀を打ってるだけだ……」
見透かされた!? 全部……手の内……ッ
「晴絵ちゃん、少し話そっか☆」
「……はい」
「いってらー」ケラケラ
瑞原プロに連れられて夜景を見に来た。
冷たい空気が体を冷やし、そして冷静な判断を取り戻させる。
「晴絵ちゃん……打てるようになってよかったね☆」
「やめてください! 打てるなんて……そんな……」
「じゃあ――打たされてたの?」
「――ッ!?」
瑞原プロの一言で両足から力が抜けていく。
そう、最初は自分から打つと決めた……それなのに、最後は打たされていた……。
流也は逃げていい、滝川さんに変わってもらうからと助け舟を出していたのに……。
私は……流也の足を引っ張っていた……。
「雀聖くん、健夜ちゃんと一緒だね☆ でも、纏うそれは違う……」
「小鍛治プロと同じ……」
「そう、健夜ちゃんと同じ……でも、纏うそれは禍々しいものじゃなくて――神々しさすら感じちゃうぞ☆」
「……そう、ですね」
確かに流也の戦い、流也のソレは小鍛治プロに似ている……だけど、あの時ッ! あの時感じた禍々しい何かとは真逆……すごく、温かい……。
「はやりと咏ちゃんは雀聖くんだけを見てたんだー☆ でもね――雀聖くんは晴絵ちゃんだけを見てたよ」
それ以上、言葉が耳から入ってこない……。
「少し、頭冷やそうか☆ 先に帰ってるねー☆☆☆」
『滝川流也視点』
うわーッ! 疲れたもー……。
赤土さんの弱気キチ―って! リーチ一発で振り込むんじゃねぇーよ! ったく、ほんとど三麻じゃねぇーか、この卓よぉ……。
本当、最初の威勢はどこにやら……ダブル立直が純カラだとしても、もう少し勢いをつけるってのを考えたらどうだよ? 一年後には実業団に入るんじゃねぇーのか……。
「雀聖くんとの麻雀すごく楽しかったぞ☆」
「いやー、将来有望な子と打つのは楽しいね! しらんけど」
「どうじゃ? 雀聖の器か」
「「――もちろん」」
うっわ、爺さんがドヤ顔してやがる……自分の目に狂いはなかったとか思ってんのか? それならもう少しアメとムチの配分を考えやがれゴラ……。
にしても、どうにかレジェンゴにトラウマ上乗せ回避! 原作が崩れたらどうするよ? そのまま学校の先生になられちゃたまんねぇー……あの人はプロになる器だ。原作ブレイクは趣味じゃない。
「おっと、そういえば……松実妹が瑞原プロの大ファンだったな、爺さんメモ帳とかある?」
「はやっ☆ サインが欲しいなら色紙もってきてるぞ☆☆☆」
「じゃあ、クロちゃんへってお願いします」
「かしこま☆」
瑞原プロのサインを受け取り、明日にでも渡すか、松実父に渡しておくか考える。
まあ、後者がいいな……会ったのをねちっこく聞かれるのはキツイ、アレ、見た目美少女だからさ……。
「はやりさんや、わたしにも一枚ちょうだいな♪」ケラケラ
「おっ、サイン嫌いの咏ちゃんがサイン☆ 雀聖くんはラッキーだね☆」
「名前はどうする? 麻雀馬鹿って書いてやろうか」ケラケラ
「じゃあ、クソガキで」
腹抱えて笑い出した三尋木プロが有言実行、クソガキへと書いて色紙を渡してきた。
うっわ、達筆ぅ……いいところのお嬢様感が全面に出てますぜぇ……。
二人のサインを受け取り、三尋木プロのは麻雀教室にでも飾っておくか……。
クソガキの部分は爺さんに擦り付けよう、そうしよう。
「まあ、これで試練は後一段階、次を超えたら並べるぞ……雀聖にッ」
「雀聖って連呼されてもね……俺は哲也じゃなくて流也だ。別人なんだよ」
「だが、おまえさんは――器で終わる存在じゃない」
「かーっ! 眼科行けよ爺さん」
今日の対局、全部が天運の導きを感じた。純正九蓮宝燈なんて最たる例。
正直、自分がプロ雀士になるなんて考えたくもない。こんな――打ってて楽しい奴らと打つなんて考えられない。
俺は程々でいいんだよ、原作ブレイクはしたくない。
それに、出来る限り阿知賀ガールズとはATフィールド突破されない程度の交友してるし。
「……まあ、楽しかったですよ」
素直な感想、それだけ。
【プロ視点・空港】
「それにしても雀聖くん☆ ……可愛くて強いなんて反則だぞ☆☆☆」はやりーん☆
「可愛いかどうかわかんねー」ケラケラ
「でも、このままだと裏に行っちゃうね……それはいやかなぁー……ダ・カ・ラ! 次会った時は口説かないと☆」
「アイドルって恋愛禁止なんじゃねぇーの? しらんけど」
「それでも、雀聖くんが世界一の打ち手になるところ、はやりは見たいぞ☆」
「わっかんねぇー」ケラケラ
こうして、語られぬ戦いは終わった。
雀聖の器が本物になるまで……あと少し……。
京ちゃん編の方が感想いっぱい来る、京ちゃん編をもう少し素早く書こうかな? (感想乞食)
とりあえず、ヒロイン個別イベントをやります! あ、でも恋愛はNG、だって百合が最高なんだもん! (TS主人公にしてない自分が言えたことじゃない)
阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!
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怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
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愛宕親子再び
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京ちゃんの小学生時代希望
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テレビ番組出演(はやりん☆)
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BADENDとかある? 見たい
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おまけの中身 以下略