雀聖の器   作:マージャンスキー

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キャラストーリー・赤土晴絵

 今日という日はお日柄もよく、新しい門出を祝うのに最高の天気になっております。

 なんだろう、小学生を襲うのやめてもらっていいですか?

 

「りゅうや……」

「抱きしめるなダボ! 小学生に発情してんじゃねぇーよ!!」

 

 時は一時間と少し前に遡る。

 

 

 今日も今日とて麻雀教室、阿知賀ガールズの役満攻撃を必死に耐え抜いてトップ率四割五分。積極的なあーし潰しで平均トップ率ダダ下がり、松実妹もカン一回くらいならドラでオーバーヒートすることがないと気づいたのか、積極的に俺の浮き牌を狙ってやがる……。

 こりゃ、迂闊にリーチも宣言できない……結構、窮屈な麻雀だわな……ッ!

 

「はーい、時間も時間だ! 今日はここまで、掃除当番の流也だけ残って帰りの準備をしなー」

「はーい♪」

 

 クッ! 新子の奴、松実妹を利用して倍満を直撃させたからニッコニッコしてやがる。ぶつけた本人もドヤ顔で「ですのだ」だとか「おまかせあれ!」みたいな表情で満足気……俺のこといじめて楽しいですか、そうですか。

 にしてもレジェンゴ……おまえも子供のゲームに割って入るなよな、役満直撃は中学生までの決まりなんですぅー、今決めましたー!

 全員が帰っていったので、大好きな孤独を味わいながら麻雀教室、本来は麻雀部の掃除、結構凝り性だから掃除は嫌いじゃない。まあ、松実妹が掃除スキーだから落ちてる髪の毛を掃除機するだけでパーペキなんだが……。

 

「流也……アンタってモテモテだねぇー……」

「わっち美少年ですから」ドヤァ

「はっ、鏡を見てから言いなさいな」

「鏡あった、やっぱり美少年♪」ドヤァ

 

 子供を一人にしてはいけないとか思ってるのだろうか、レジェンゴは俺が掃除をする姿を眺めている。

 あの、大人が掃除してるのを見てるだけとかやめてもらっていいですか? 大人ならせめてお手伝いくらいしなさいよ……精神年齢十三歳……。

 粗方の掃除を終わらせて一息、松実妹様に感謝しながら帰り支度。

 

「送ってやろうか? 流也の家ってそうとう山奥だろ」

「へー、赤土さんにしては優しい……ホ別三万でいいよ?」

「言ってろ、エロガキ」

「エロガキじゃありません、クソガキでーす」

 

 レジェンゴに誘われるまま、ホイホイと車に乗り込んでしまったんだ。

 にしても、レジェンゴの愛車って七人乗りのバンじゃなかったか? これ、どうみてもフィアットなんですがそれは……って、新子のお姉さんが乗ってるのと瓜二つ、なるほどね……実業団に入る時に譲ってるってところか? それなら納得ができる。

 

「流也の家ってどこらへんだっけ」

「爺さんと知り合いならわかるだろうて……◯◯山の中腹、徒歩で一時間半の場所だよ……」

「ああ、ラブホテルがある山!」

「あの、家の近くにラブホテルがあるの地味に嫌なんですよ……言わないでくださる……?」

 

 人が気にしてることをズケズケと……これだからレジェンゴは……。

 会話することなく、外の景色を静かに眺める。もう、ここに来て結構経ったな……。

 阿知賀ガールズとの交友で地下での生活、それが薄れてきて……本物の一軍プロとも戦って……。

 雀聖の器、そう呼ばれて……。

 

「……ねえ、赤土さんや……小鍛治健夜って凄いな、アレだけの喰運を使いこなすなんて……」

「――ッ!?」

 

 トラウマの元凶を聞いた瞬間、体をビクッと震わせる。

 まあ、それもそうか……あの喰運は下手すると爺さん以上、それにオカルトの複合と来たら――勝てる奴は存在するのかと思ってしまう……。

 赤土さん、俺の天運を小鍛治プロと同じモノだと思ってる節がある。だが、アレは喰運、他人の運を喰らい……自分の流れに変える……ッ!

 インターハイの試合、タイトル戦、その他モロモロ……全部確認してみたが、アレは爺さんと比べ物にならない……。

 高校三年生で麻雀デビューってのは知ってたが、ありゃ……初心者でもプロが放ったらかすわけがない……。

 

「赤土さんや、喰運は強い心……強い気持ちを持たないと本当に捕食されるだけ……」

「…………」

「アンタぁ……メンタル弱いからね……」

「言ってくれるなぁ……」

 

 信号が赤、ロードノイズが消えてエンジン音以外なにも聞こえない。

 出目徳の爺さんと積極的に打たないとな……ことオカルトに関しては適応できてきているが、喰運はまだまだ跳ね返すことが出来ない。この世界にどれだけ使い手がいるかわからないが――一人はプロにいる。それだけで対策する価値がある。

 

「そういえばさ、赤土さんって大学生なわけじゃん?」

「暗い話から藪から棒するのやめない?」

「明るくしてやろうって気持ちだよ……大学生って八割合コンするって聞いたんだけどさ、本当?」

「流石はエロガキ、合コンという不純な言葉を使って……」

 

 クソガキと言おうと思ったが、別にどうでもいいか……。

 少しは気が緩んだみたいだし、俺もレジェンゴが凛々しく戦う姿には興味がある。今の温い打ち方じゃ満足できない自分がいる……ッ! 俺は……本物のレジェンドと打ちたい気持ちが強いんだなぁー。

 

「……まあ、麻雀が恋人でもいいけどさ、本物の恋人、女も可、見つけたらどうよ?」

「……小学生に言われたくない! うりうりぃ」

「前見て運転しろよな……ったく……」

「…………」トオイメ

 

 麻雀に青春を捧げて、麻雀に心を置いて、麻雀に……。

 だからこそ、小鍛治プロとの対局で心が折れた……自分が大好きな麻雀が牙を向けたような感覚、自分のすべてが否定されたような感覚。

 出目徳の爺さんとの対局で俺も感じたことだ……。

 本当、俺って図太いからなぁー……。

 だからこそ、麻雀以外に心を許せる何か、誰かを隣に置いてた方がいい。そうしないと――また折れてしまいそうな気がする……。

 

「ついたよ……」

「あがってけよ、安いお茶くらいなら淹れてやる」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「緑茶でいいか」

 

 返事は了承、温かい緑茶、俺はほうじ茶をチョイスする。

 子供がまだまだおこちゃま、緑茶でも舌がピリピリする時があるんだよね? コーヒーもまだ飲めない。

 それにしても、出目徳の爺さんが出かけてるなんて珍しい? 誰かに呼び出されて宴会かね……。

 

「粗茶ですが」

「良いお手前で」

「飲む前に言うんじゃねぇーよ」

「はははっ」

 

 互いにお茶を飲んでため息を一つ、テレビのリモコンを手にとって明日の天気情報を確認っと……。

 

「流也はさ……私のこと、どう思う……?」

「メンタルよわよわ雀士」

「くぅー! 子供だからって少しは遠慮しろよなぁ……」

「でも、否定はできない……そうだろ……」

 

 お茶を飲み終わって次の一杯を注ごうとした時、声のトーンが変わる……。

 

「流也は……二人のプロと戦って……」

「一勝は奇跡だ。瑞原プロが直撃を狙って――ツモ和了りを捨てたから出来た勝利……」

「違う! 流也なら……私がいなかったら……ッ!」

「そういうのがダメなんだよ……子供に頭を撫でられて悔しいか……?」

 

 瞳に涙を映す赤土さんの頭を撫でる。身長差があるからな、座ってないと撫でられない。

 にしても……やっぱり精神年齢十三歳はダメだわー……。

 そんなのを体感数分続けて……ようやく目が元通り……。

 

「……財布に三万円入ってる」

「うっわ、ブルジョワジー」

「ホは入ってないけど……三万なんだよね……?」

「うぇっ!?」

 

 今日という日はお日柄もよく、新しい門出を祝うのに最高の天気になっております。

 なんだろう、小学生を襲うのやめてもらっていいですか?

 

「りゅうや……」

「抱きしめるなダボ! 小学生に発情してんじゃねぇーよ!!」

 

 チッ、こいつ女にしてはデカいからな……振りほどけねぇ……。

 

「なんで……おまえが教え子なんだよぉ……」

「小学生だからだろ」

「おまえが……おまえが……!」

「――あの時居てくれたら……後半戦で捲れたってか?」

 

 確かに、デジタル思考で麻雀を予測するなら――喰運なんて考慮しない。

 火力が高いだとか、和了りが早いみたいにわかりやすい情報だけが判断材料、アレは……もっと多くの情報がなけりゃ、判断することができない……ッ!

 もしかしたら……まだ運を喰らわれてるのかもな……。

 

「子供に撫でられて嬉しいか?」

「……うん、嬉しい」

「ひょえー……これだから精神年齢十三歳は……」

「……りゅーや」

 

 唇が重なるまで数センチ……。

 

 ――刹那、引き戸が開けられて醜い爺さんが入ってくる。

 

「遅かったじゃねぇーか、危うく童貞卒業のピンチだったわ」

「いや、ピンチじゃなくてチャンスじゃろうて……おまえも隅に置けんのぉ……」

「けっ! ど真ん中に置いてるクセによく言うぜ……」

「あ、あうあうあ……」

「おっ始めるなら二階の布団使え」

「使わねぇーよ」

 

 赤面したレジェンゴが逃げていく、あ、転んだ……。

 なんというか……明日の麻雀教室が楽しみでたまんねぇー……!

 これ、絶対に目も合わせられないだろ! 最高! ハッピー!! ウルトラハッピー!!

 

 ……俺以外を選べよな、赤土晴絵、阿知賀のレジェンド。




 み、みんな? 雀聖編好き過ぎない?? 今、麻雀打ってないよ……。

 ただ、アンケートの選択は絶対、絶対厳守。

阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!

  • 怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
  • 愛宕親子再び
  • 京ちゃんの小学生時代希望
  • テレビ番組出演(はやりん☆)
  • BADENDとかある? 見たい
  • おまけの中身 以下略
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