雀聖の器   作:マージャンスキー

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京太郎もこの作品の主人公だす。


七星の魔術師編
動き出す七星1


 中学時代、俺はハンドボールという球技をやっていた。

 サッカーや野球に比べるとマイナーもマイナー、ドマイナー、そんな競技の中で中学時代という青春の1ページを綴っていた。

 スポーツ推薦で強豪校への誘いもチラホラと来ていたらしいが……怪我、というより偶然が必然に変わった。

 右肩を脱臼してしまったんだ。

 脱臼ってのは癖になる、二年生の冬に脱臼、三年生で復帰したが……県大会準決勝で脱臼、そのままチームは敗退した。

 誰も俺が悪いなんて言わない。

 だが、俺が悪いように思えるのもまた事実。

 

「流也……」

 

 俺の従兄弟、滝川流也のことを思い出す。

 いつも気怠い表情をしながら麻雀を打っていた。

 両親の海外転勤が決まって、小学生だからと親戚の滝川爺さん、俺達から言えば何考えてるのかわからないタヌキ爺。その二人との生活は……すごく充実していた……。

 そういえば、流也とどんな遊びをしたのか……流也は麻雀が得意だった……。

 

 ――あれ、なんで俺は麻雀を打ってないんだ?

 

 下手の横好きでも、下手な打ち方でも、同い年の大親友がやってるゲームを一緒にプレイしてないなんて考えられない。少なからず、圧倒的な理不尽を押し付けられない限り数回はプレイする筈だ。

 それなのに……なんで麻雀牌を触った記憶がないんだ……?

 

「――京ちゃん」

 

 真っ白になった頭の中、一人の声で我に返る。

 

「咲? ああ、制服似合ってるじゃん……でも、ここのミニスカートは攻めてるなぁー」

「もう……京ちゃんのエッチ……」

「スケッチでワンタッチ、なーでなーで」

「ちょ! 恥ずかしいよぉ……」

 

 自分のクラスに到着し、荷物を机に大雑把する。

 そして、流也との記憶を呼び起こす。

 ……流也とは大親友の筈なのに、それなのに、思い出が出てこない。

 

「京ちゃん? 顔色悪いよ……」

「……いや、思うんだよ。楽しかった記憶が思い出せない時って気持ち悪くなる」

「えっ?」

「なぁ、咲? おまえ麻雀って打てるか……」

 

 咲は凍りついた表情で、静かに嫌いとだけ返事をした。

 嫌い、そう、嫌い、だが、嫌いってことは打ったことがある。

 俺は麻雀が嫌いなのか? それとも――麻雀で何かあったのか?

 麻雀を理由に流也との思い出を忘れてしまったとするなら……流也との思い出を……。

 

 

 その後の授業は身に入らなかった。

 勉強はスポーツ推薦を貰う人間にしてはできる方だが、今日に限って授業に身が入らない。

 この鬱屈とした気持ちをどうすればいい? 大切な親友を忘れた俺はなにをすればいい……。

 

「麻雀部?」

 

 部活動の勧誘、掲示板に貼られている若干薄れたその紙切れ。

 麻雀、麻雀なんだ、俺のシガラミは麻雀の中にある。

 静かに歩みを進める、旧校舎にある麻雀部に歩みを進める。

 麻雀に何かがあるなら、俺は麻雀という四角い世界で何かを思い出さなければならない。

 

「すいません、麻雀部はここですか?」

「うぇっ!? 長身金髪! あの、えっと、カツアゲはゲームセンターとかでー……」

「麻雀、打てますか?」

「なんじゃ、入部希望者か」

 

 二人でティータイムをしている上級生、それに麻雀が打てるかどうかを何度も確かめる。

 焦った俺の表情を見ながら、古い全自動卓だから三麻機能が無い、手積みでよかったらと三麻を提案してくれた。

 洗牌とかいうのを終わらせて山積み――なんで俺は山積みができるんだ?

 タンタンタンッと山を作り積み上げる。その速さは二人のそれを遥かに超えていた。

 

「なんじゃ、経験者なんか?」

「……わからないです」

「不思議な子ねぇー」

 

 配牌が配られ、静かに手作りをしていく。

 そして、宣言した。

 

「リーチッ」

 

 カランッと音を立てる1000点棒、そして――ッ!

 

「ツモッ、リーチ・一発・門前・七対子……裏二枚、跳満」

 

{一一77③③④④⑤⑤西西九} 自摸和了{九}

 

『ドラ表示牌』

 

{中裏裏裏裏}

{6裏裏裏裏}

 

 なんで、なんで、なんで……

 

 俺が麻雀のルールを知ってんだよ!!

 

 おかしい、確実におかしい、絶対におかしい!!

 

「たのもー!」

「こらゆーき! あの、ここが麻雀部ですか……?」

 

 何かを思い出せそうで思い出せないこの感覚、何かが足りない。

 俺は七対子に何かしらの思い入れがある。だが、この七対子じゃダメなんだッ!

 そう、この七対子じゃ、流也との思い出がナニカに縛られて思い出せない!!

 

「おんし……大丈夫か」

「大丈夫です……ッ! 自分、麻雀部に入ります。変な打ち方するかもですけど……よろしくおねがいしますッ」

 

 メガネの先輩に背中をさすられながら自分が和了した七対子を睨みつける。

 流也との思い出、それは――どの七対子なんだ?




 ルーキーランキングとは言えど【咲-saki-】の作品がランクインはすげーっす。

 ちょっち時系列おかしくなるけど、京太郎編もこまめに挟みます。

阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!

  • 怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
  • 愛宕親子再び
  • 京ちゃんの小学生時代希望
  • テレビ番組出演(はやりん☆)
  • BADENDとかある? 見たい
  • おまけの中身 以下略
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