雀聖の器   作:マージャンスキー

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動き出す七星3

 今日は部長の疲労が少ないのか、最初から卓に入っていた。

 染谷先輩は実家の雀荘、アルバイトの子が急な熱を出したからと部に来てはいたのだが、途中から抜けていった。

 洗牌と山積みをしていた俺だが、基本的に四人打ちを好んでいる女性陣に数合わせとして使われる哀れな男ってところさ……。

 

「うーん……休憩無しの三半荘は疲れるわねぇ~」

「そうですね、一半荘に三十分はかかりますから」

「七対子怖い、七対子怖い、七対子怖い、七対子怖い、七対子怖い、七対子…」ブツブツ

「なんかすいません、変な打ち方をしていますから……場を荒らしてるようで……」

 

 今日も今日とて流也との七対子を思い出す為に七対子オンリー、東場のノリノリ状態の優希は七対子の多彩な単騎待ちに翻弄され、何かしらの恐怖心を植え付けてしまったかもしれない。

 だが、俺の雀風は七対子先行……いや、七対子以外は捨ててるとも表現できる……。

 なんというか、七対子を聴牌した時だけ――和了れるって強く感じるんだ……。

 

「じゃあ、三連続ラスの優希は買いだしね♪ お釣りは好きに使っていいわよ」千円

「うー……気分転換で逆にありがたいじょ……」

「わたしもついていきます」

「じゃあ、自分は休憩しますね……あれ、この雑誌?」

 

 部長のカバンの中から見えているWeekly麻雀TODAY、コンビニの雑誌コーナーで観たことあるが、それより気になるのは……インターハイ要注目選手達? これは気になる。

 

「読みたい? 私は暇な時に読んでたから大丈夫よ」

「あ、ありがとうございます!」

 

 インターハイ要注目選手……もしかしたら流也の名前があるかもしれない、アレだけ麻雀を打ってたんだ、原村さんが優勝していたインターミドルだったかな? それも制覇している可能性がある。流也だったら怒涛の三年間無敗も無くはない。

 最初に男性の注目選手コーナーを見てみるが、流也の名前も、写真も存在しない……流也は中学では麻雀をしていないのか?

 残念な気持ちが重なっていく。

 それにしても、男性の注目選手は少ないな? 麻雀ってのは女性の方が強いって噂は聞くが……そこまで大きな差は感じない。試行回数が少ないからか……わからない……。

 

「団体戦……こんなのもあるんですね……」

「団体戦ねぇー……出たいけど、あと一人足りないのよね……」

「へぇ、男女で分かれてるんですね? 麻雀って男女分けする必要あるのかって思いますけど」

「それ、男性雀士に言っちゃダメよ? 須賀くんが特別なだけだから」

 

 そんなものかとソファーに腰掛けて女性選手、それの注目を眺めていく。

 宮永照……咲に少し似てるなぁ、もしかしてお姉さんか? 咲にはお姉さんが居るって聞いたことあるし、何かの競技で東京に行ってしまったとか悲しそうな顔で語ってたし……。

 辻垣内智葉……凛とした人だな、クールな人が麻雀強いってことなのか? 流也も口は悪いがクールな性格してたし……。

 愛宕洋榎……へぇ、元プロ雀士の娘さんなのか、親の強さが遺伝するのかな? 麻雀って……。

 荒川憩……ナースさんだ……。

 

「次のページは……ッ!? うっッッッ!!」

 

 雑誌を投げ捨ててゴミ箱に向かって駆けるッ!

 そして、強い吐き気をゴミ箱に向け、出せるモノをすべて吐き出すッッッ!

 神代小蒔ッッッ! 僕は……おまえを許さねぇぇぇぇ!!

 

「ど、どうしたの須賀くん!?」

「神代……神代……ッ!」

「え?」

「……流也、流也、流也ごめん」

 

 

 昔、一人の少女が騙されました。

 純粋無垢、人の悪意を見抜けないくらい純粋な女の子。

 彼女には友達がいませんでした。大人しく、人と仲良くなるのが苦手な子。

 

『宮永さん? 私と友達になろうよ!』

 

 彼女に声をかけてくる女の子がいました。

 クラスの中心人物で、明るくて誰にでも優しい……そんな子でした……。

 彼女のおかげで少女は暗い青春から、少しだけ明るい青春を楽しむことになります。

 ――あの日までは。

 

『宮永さん……ついてきて欲しい場所があるんだけど……』

 

 彼女と遊んでいた日曜日、もう帰らないといけない時間に彼女が笑みを見せました。

 少女は無垢、彼女の誘いにお父さんに電話するという形で答えました。

 ――そして、捕食の時間。

 

『やめて! やめてください!!』

『「」ちゃんも酷いね……こんな可愛い子を騙すなんて……』

『大人しい子だから誰にも言わないでしょ、パパも好きに遊んじゃって♪』

『じゃあ――』

 

 人気の無い公園駐車場、大型のバン、そこに連れ込まれた少女、彼女は捕食されるしかありません。

 誰も助けに来ない、もう助からない、自分に白馬の王子様はこの世界にいない。

 だから、受け入れるしかない。

 

『――お! 開いてんじゃーん(歓喜) 変態不審者さん発見! 正義執行!!』

『だ、誰だッ――ゴッ!!』

『隣のクラス……宮永さんと「」さんだよね、どっちが悪いか知らないけど……』

 

 金色の髪をした、汗だくの少年が少女を救う。

 まるで、何かの物語のように……。

 

『通報してるから♪』

 

 それは……王子さま……。

 

 

「あの、京ちゃん……須賀くんいますか?」

 

 ソファーに横になっていると咲が部室に訪ねてくる。最近は麻雀漬けで一緒に帰ったり、本屋に行ったりするのもご無沙汰、心配させてしまったのかもしれない。

 

「きょ、京ちゃん! ど、どど、どうしたの!?」

「ああ、半荘三回を休憩無しで打ったからさ……知恵熱だと思う……」

「……大丈夫? 頭痛くない」

「うん、目を瞑ってたら……良くなった……」

 

 どうしてだろう、なんで忘れていたんだ……。

 流也との思い出、そのすべてを忘れたのは――神代、アレのせいだ……ッ!

 でも、七対子……違う! 大七星を和了できたら……ッ! 絶対に思い出す!!

 鹿児島の巫女達……そして得体のしれない神共、人間を舐めるんじゃない……ッ!

 

「須賀くん! ポカリ買ってきたわ!!」

「あ、あとオレンジジュースもあるじょ!!」

「半荘三回は疲れますからね、復帰した人には辛かったのかもしれません」

 

 部長と優希、原村さんが買い出しを終わらせて部室になだれ込んでくる。多分、部長が慌てて「僕」が体調不良になったって報告したんだろう。結構、慌てん坊なのかもしれないね……。

 

「すいません……僕が知恵熱なんて出しちゃって……」

「「「「――僕?」」」」

「……咲、部長は難しい本いっぱい持ってるから借りて読ませてもらいな、僕はもう少し――」フラッ

「きょ、京ちゃん! 大丈夫、わたし少しだけ打てるから……ゆっくり休んでて……」

 

 咲が優しい笑みを見せて、僕の変わりに打ってくれるみたいだ。

 麻雀が嫌いなのに……やなことさせちゃったな……。




 なんか、変換ツールを使わない話を投稿するのはじめてな気がする。
 清澄高校はこれで大丈夫だな……ヨシ!

阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!

  • 怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
  • 愛宕親子再び
  • 京ちゃんの小学生時代希望
  • テレビ番組出演(はやりん☆)
  • BADENDとかある? 見たい
  • おまけの中身 以下略
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