雀聖の器   作:マージャンスキー

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覚醒する七星3

 これは参ったとしか言いようがない。

 あのドラ{6}を先に引いた方が場の支配者になると思っていたが、咲の場合は{白}を暗槓するまでが勝利の方程式、揺るがない絶対的な自信と言ったところだろうか? それを事前に察知することが出来ていたなら……{東}対子落としで相手と同じ土俵に立つなんてことはしていなかっただろう。いや、だからこそ麻雀……ッ! 絶対優位の場面でも一瞬の勝負手、この場合は『嶺上開花』によって崩壊する……。

 

「須賀くん……大丈夫ですか……?」

「うん、少しだけ動揺しちゃった……心配してくれてありがとうね、原村さん……」

「和でいいですよ……昔、昔住んでいた場所で出会った男の子に――名前で呼んでもらえませんでしたから」

「……じゃあ、和さん」

 

 見た目お硬そうな原村さん、それが名前呼びを心から許した存在……。

 僕にとっての流也みたいな人か(本人です)……人生色々あるもんだな……。

 まあ、正直この点数状況はツライ……部長命令で咲をトビ終了にするのが最大の目的、それなのに点棒差はほぼ三万点、東二局と表現するなら希望は見えるが、こと同レベル、卓のレベルが高くなればなるほど、失点ってのは低くなる。

 極めつけに場の支配力、優希の立ち親、和さんが門前のみを和了したが、これも圧倒的な運命力、場の支配が影響しているように見えて他ならない。

 強い打ち手は環境すら利用する……ッ!

 この場合、南場の優希、それの失速、そして失点が気になる。下手に咲を調子付かせたら南入する時点で優希が満貫ツモでトビ圏内、ここは少し強引だけど……その一番嫌なパターンを潰していく必要があるか……ッ!

 

 

 

【東二局1本場・親:宮永咲】

 

東:片岡優希 「17500」

南:宮永咲  「43700」親

西:原村和  「21100」

北:須賀京太郎「17700」

 

『ドラ表示牌』

{7裏裏裏裏}

 

 

「おっ! それポンだじぇ!!」 {横七七七}

 

 まだ東場、優希の流れは死んでいない、ここは南入に向けて点数状況を自分以外限りなく二万点台に押さえておく必要がある。

 ――僕はリーチ棒一本で十分、なんならハコでもいい、

 この状況で優希が聴牌するであろう手――赤を一枚含んだ鳴きの清一色ッ! 跳満は12000……普段の僕ならまずやらない差し込み……でも、こと相手をトビ終了にするとなれば容赦していられないッ!

 

「それもポン!」 {横五赤五五}

 

 路線に乗った……確実に聴牌している……ッ!

 

(須賀くん凄いわね……勝負に対する情熱が誰よりも上……南場に失速する優希をフォローする為にわざと差し込みの準備をしている。宮永さんも鳴きの清一色の気配を感じて萬子を打つことには消極的、和に至ってはベタオリ、須賀くんはただ萬子を引っ張ってくるのを静かに待っている……ッ!)

 

(京ちゃん……凄い、点棒状況を確認してわたしを飛ばす算段を一瞬で練り上げた。片岡さんは東場に凄く強いけど、南場に失速する。だから保険で推定跳満手を差し込み、自分の親番でジリジリと回収、原村さんの早い段階での和了を考慮しながらわたしを確実に削りにきてる)ウットリッ

 

 くそっ! こんな時に限って牌が裏目に向かわない……。

 

{①①⑦⑦5赤577西西中中8} 待ち{8}

 

 七対子・赤・ドラ2の満貫手、リーチを宣言したならドラツモ、ウラウラで倍満……だが、これは勝利の為の七対子、相手をトビ終了させる七対子じゃない……。

 これを和了するにしても、咲への直撃、それだったら優希の点棒が倍満まで耐えることができる。それならいい、だが……対面に座るこの文学少女がドラなんて切ってくれるか? いや、ありえない……。

 

(うーん、二鳴きまでは調子よかったのにぃ……)

 

 優希の表情を見る限り、僕に流れを喰われている。そりゃそうだ、こっちは満貫手を張ってる……そんな状況で焦りの見える優希に流れが入ってくる筈がない。

 

(手変わり……安くなるけど……)

 

{三五六七九九九} ツモ{中} {横五赤五五} {横七七七}

 

(優希が手変わりの機会、鳴きの清一色・赤、跳満。それを鳴きの混一色・ドラ、40符3翻の5200にするかどうかの瀬戸際、清一色に執着し過ぎると和了の機会を失いそうな現状、須賀くんは良型両面だと思ってるみたいだけど、現実は{三}の単騎、もし、この{三}を叩くなら――宮永さんの親番、最初の親番が終わるッ!)

 

(……ここは――点を拾うッ!)

 

 打{三}

 

({三}を打った! 須賀くんの表情は……!)

 

 

『京太郎の手牌』

 

{①①⑦⑦5赤577西西中中8} ツモ{8}

 

 ――ノンタイム{中}切りッ!

 

「ロン! 混一色・赤ドラ! 40符3翻は5200で一本場は5500だじぇ!」

 

{中五六七九九九} ロン{中} {横五赤五五} {横七七七}

 

「はい……」

 

(お、驚いた……{8}引きで跳満ツモ確定をノンタイムで差し込み、宮永さんをトビ終了させるにしても、相手に6000点の親被りを選択することもできたはず。それをあえてしない、自分の流れが強すぎるがあまりの差し込み、次局に少し調子を落とした方がいいという判断ッ! でも、これで優希の安全ライン、終局まで耐えきるだけの点棒を確保した……須賀くんが攻勢にでる……!)

 

 

 

【東二局1本場・親:宮永咲】

 

東:片岡優希 「17500」

南:宮永咲  「43700」親

西:原村和  「21100」

北:須賀京太郎「17700」

 

 

【東三局0本場・親:原村和】

 

東:片岡優希 「23000」

南:宮永咲  「43700」

西:原村和  「21100」親

北:須賀京太郎「12200」

 

 

 

 両面待ちだと思ってたけど、{三}を叩いた瞬間に単騎待ちだとすぐに理解できた。少しばかり直感が鈍ってるのかも……。

 でも、跳満を差し込み5500点にしたのは……和さんに怒られそうだなぁ、牌譜とられてないといいけど……。

 

(京ちゃん……最低でも満貫を張ってた、それが{中}を打つ瞬間、欲を払い除ける覚悟みたいなのも……もしかして、和了りを拒否したの? まるで――小さい頃のわたしみたい……)

 

 この跳満、早く洗わないと次だけじゃなく、次の次まで尾を引く、速攻で洗わせてもらう。

 点棒を渡したと同時に手牌を洗う、

 ……和さんの親番、実力的には二連荘が期待できるところだが、優希にあまり直撃してほしくない。咲に直撃なら全然構わないけど、彼女はデジタル打ち、それも長期スパンで高い連対率を誇るタイプ。まあ、出れば誰からでも和了する。和了しないのは失礼にあたる。

 だからこそ、また差し込むか――僕が和了するしかないッ!

 

『京太郎、あんまりカラ切りしてると運が逃げるぞ』

『でも、聴牌してないと思わせる方がロンしやすいんじゃない?』

『確かにそうだ。だけどさ、麻雀ってのは気持ち、自分が優位に立っていますよって心も必要なんだ』

『気持ち……』

『俺はさ、小手先の技術で麻雀を図りたくない。だからこそ、他人と同じ行動はしたくないのさ』

『かっこいいね……』

『ああ、カッコイイ麻雀をしてたら、牌の方からカッコイイ手を差し向けられる。それに全力で答えるのも麻雀だと思うぜ』

『流石は流也、言ってることまでカッコイイ』

『やめい! 照れちまう』

 

 カラ切り二回……流也に笑われちゃうな……。

 僕と流也の麻雀はどこまで行っても強気、相手より強いと思わせる麻雀……。

 レベルが高い相手から直撃なんて滅多に出ることはない、だからこその自摸和了り麻雀、だからこそのツモ切り、相手が落ち目なら全力で和了に向かうッ!

 ああ、思い出してきた――今なら、十万だろうが、二十万だろうが捲くれる気がするッ!

 

「「「ッッッッ!?」」」

「ん? どうかしましたか」

「今の……」

「確実に……」

「京ちゃんから……」

「「「宣戦布告……ッ!」」」

「?」

 

 咲……麻雀部に入る覚悟は出来てるかッ!




 若者の人間離れが加速するッ!

 七星編の解説ヒッサ部長、解説として優秀過ぎる……優秀すぎない? やっぱり竹井くんに解説頼んで正解やったわぁ……。

 あと、アンケートを見るに責任払いはロンの点数が一般的なのかな? なら、部長がトバされた時と同じようにロンの点数で計算していきます!

 次回もぜってぇーみてくれよな! (孫悟空)

阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!

  • 怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
  • 愛宕親子再び
  • 京ちゃんの小学生時代希望
  • テレビ番組出演(はやりん☆)
  • BADENDとかある? 見たい
  • おまけの中身 以下略
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