雀聖の器 作:マージャンスキー
あの地獄の地下麻雀から数ヶ月、俺は出目徳という爺さんの下で働くことになった。
だが、この出目徳という爺、とんだタヌキだ。
俺のことは事前にリサーチしてたらしく、京太郎の残りの金額まで支払って二人を地上に引き上げてきた。
まあ、外の空気ってのは悪くない。控えめに言って最高だ。
『今日は横浜ロードスターズの一軍選手が麻雀教室をするらしい、おまえら二人で落としてこい』
俺と京太郎は地上に出ることは出来たが、この出目徳の爺さんに落とし屋という仕事をさせられている。
落とし屋、言ってしまえば一線級のプロをガキがボコボコにして調子を落とさせる仕事。本来ならプロアマ交流戦だとか、そういうので使われる言葉なのだが、子供を使用した方が調子を崩しやすいらしい。
そして、当日、同い年くらいから中学生くらいの子供達が本物のプロに歓喜の声をあげている。
「君、筋がいいよ、その手を欲を捨ててオリきるなんて」
プロの一人がベタオリを成功させた俺を優しく褒める。
俺はプロにあまり興味ないが、纏う雰囲気から地下麻雀の二軍とは違うソレを感じてならない。
俺達の仕事はこのプロを不運の地獄に叩き落とすこと、恨まないでくれよ……。
「では、恒例の交流麻雀を行います! 上位六名は壇上へ!!」
司会のお姉さんの言葉で俺と京太郎が壇上にあがる。そして、最初の卓は俺、次の卓は京太郎が座る。
さて、出目徳の爺? 一軍プロと戦って勝てる気しねぇーぞ……。
【対局開始】
東:プロ
南:中学生
西:俺
北:小学生
なんというか、外の麻雀ってのは新鮮な気分になる。
この全自動卓も配牌内蔵じゃなく自分で切り出すタイプ、地下とは違うのだと実感する。
【配牌】
{三五五六七七八九②赤⑤12白}
こいつはどうしたものか? 伸ばせば混一色、伸ばさず平和系の手に伸ばせるが……。
まあ、こういう手は最初のツモですべてが決まる。鬼が出るか蛇が出るか。
『6巡目』
ひゃぁー荒れてるなぁ……プロも小学生相手だろうと本気で倒しにかかってやがる……。
【下家】
{裏裏裏裏裏裏裏} {横[⑤]③④}{発発横発}
【対面】
{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {南南横南}
【上家】
{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {裏北北裏}
とほほ、確実に速度で負けてる。東発でこれかよ、表の麻雀もこえーな……。
{三赤五五五六七七八九東東西白} ツモ{三}
だが、手は確実に混一色に向かって名乗りを上げている。まあ、河的に降りることも可能、伸ばせるだけ名一杯いきますかッ!
と思っていたら……。
「ロン!」
七巡目に立直を宣言した上家の手牌が倒される。
{七八⑤⑥⑦567白白} {裏北北裏} ロン{九}
裏ドラを確認する手に震えが見える。
そして、
{⑨3裏裏裏}
{⑧中裏裏裏}
うひぃー、ドラ二枚……70符3翻で満貫とか滅多に見ねぇー手……。
もう、上家が落とし屋でいいんじゃないか? 俺しーらね。
プロ 17000
中学生 33000
俺 25000
小学生 25000
【東二局】
{一二赤五六六八九九35白発中}
また染め手かよ……こう場が荒れる流れだと混一色の成立が難しい。
ただ、手なりに仕上げるにしても三元牌が手元に三枚、処理の時点で他家との速度差が顕著、染め手が一番スピーディーってのは皮肉だな……。
ツモ{4}
急所が埋まったな……予想外、こいう時は字牌が来るか重なるのが多いのに……。
これも神様からのお告げだと思って平和系聴牌を目指すのが無難か。
打{白}
『13巡目』
うっわ、今日の俺ダメかも……。
{赤五六八八④⑥⑧234567} ツモ{③}
こんなの六巡目の手牌だよ、それが十三巡目? ありえねぇー、裏目牌は一枚もねぇーのにさ……。
もう、喰い断で安い点棒を拾うのが手なりってやつか?
「ロン」
{五六七七12334赤5678} ロン{四}
はぁ? ダマのザンク?? おめぇー本当にプロかよ??? 子供相手に何やってんだか……。
てか、下家の小学生涙目じゃん、それが子供の夢なのか? プロなんてやめちまえ!
っても、俺の親番が回ってきたってもんだ。小学生凹ませて終わらせるか……って、なんじゃこりゃ?
{二四七①④⑦144南西北発} ツモ{中}
ドラ表示牌
{東裏裏裏裏}
なんだよこのグロ配牌? 親番でこの手はねぇーべや……。
やべーな、地上に上がってから流れの掴み方を忘れちまったか?
九種九牌で流せないこいう形が一番厄介なんだよな、本当に……。
『流局』
「聴牌」
「聴牌」
「ノーテン」
「ノーテンです……」
小学生は完璧に流れを失ってやがる。
にしても、このプロ本当にプロか? 小手先の技術は上手いが、どうにも小物臭い。
こんなのが一線級のプロなのか? 地下の二軍の方が芸が細かいぞ……。
プロ 22400
中学生 34500
俺 23500
小学生 19600
その後、上家がダマで小学生に2000点を直撃、下家は完璧に落ち目……俺も落ち目の香りが漂ってきた。
『南一局』
もうやる気でねぇー、配牌が腐ってやがる。
{七八八⑤六1135669東} ツモ{西}
ドラ表示
{④裏裏裏裏}
対子が3つか……京太郎ぽく打ってみるか……。
『10巡目』
うっわ、ここまで伸びるかフツー……。
{七七八八④⑤11赤55668} ツモ{赤⑤}
七対子ドラ4の跳満確定手、立直する必要もなく跳満。
聴牌を気取られないように{④}を叩いて{8}単騎で勝負に出る。京太郎様々だぜ!
「うぅ……」
「ロン、跳満、12000は12300」
「うえっ!?」
完璧に落ち目の下家がすんなりと放銃、麻雀って弱肉強食だよな本当に。
プロ 22400
中学生 34500
俺 35500
小学生 5300
その後、俺が山越しの満貫で小学生を飛ばして終了。
前半戦は焦ったが、出目徳からの任務は完了と言ったところだろう。
プロの顔をみるが、自分が三着になったことに少しだけ不甲斐なさを感じているようだ。まあ、落とし屋ってのは調子を崩させる仕事、これで丁度いい。後は京太郎に任せることにしよう。
「ロン、七対子」
「ツモ、断么九・七対子」
「ロン、七対子ドラドラ」
「ツモ……天和……と七対子」
なんかさ、俺が真面目なデジタル打ちしてるのが馬鹿らしく感じられるんですが?
2
「なあ、京太郎……おまえの両親は引き取りに来ないのか……?」
「うん、人殺しは息子じゃないって……弟も生まれたらしい……」
「そうか、複雑だな……」
「そうだね」
隣の布団に眠る京太郎に語りかけたが、返事はヘビーとしか言いようがない。
こんな生い立ちなのに原作の性格に変化するもんだろうか? それとも、この世界は京太郎を必要としていないのだろうか……。
まあ、極論他人事、俺は両親に捨てられた時点でまともな人間から外れちまっている。
モブなんだよなー
「流也はどうなの?」
「そうだなぁー……捨てられたって気持ちが強すぎてな……」
「そうなんだ……僕は家族の為に何ができるかって考えたから……」
「おまえって大人しい性格なんだな、やっぱり」
親に捨てられて許せる人間なんているものなんだな、不思議だ。
別に絶対に育てろとは言わない。ただ、違法な方法で処分するなと言いたい。
そういえば、俺は100万の種銭を残して地下に送られたが、京太郎はいくら残してもらったんだろうか?
「そういえば京太郎、おまえの両親は種銭はくれたのか」
「種銭? ああ、あの地下で戦うお金……一万円だけだよ……」
「……正月のお年玉並だな」
一万から八百以上の金額を稼いだってことか……原作補正なのか? まあ、原作だったらあの場所に送られるわけがない。不純物の俺がこいつを引き寄せたとも表現できるな。
隣から安らかな息遣いが聞こえる。
……子供は寝る時間だな。
阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!
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怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
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愛宕親子再び
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京ちゃんの小学生時代希望
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テレビ番組出演(はやりん☆)
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おまけの中身 以下略